2021年11月8日月曜日

IPO分析(サイエンスアーツ)

 【事業の内容】

(1) ミッション

 「世界中の人々を美しくつなげます」というミッションを掲げ、デスクレスワーカーをつなげるライブコミュニケーションプラットフォーム「Buddycom」の開発・販売を行っております。

 当社のBuddycomは、鉄道会社、航空会社、GMS(General merchandise store=総合スーパー)、介護施設、工場、商業施設、大規模小売店舗など、あらゆる業種・業態において有効なホリゾンタルなサービスとして、すでに370社のお客様にご利用いただいております。


(2) 事業の概要

 当社は「ライブコミュニケーションプラットフォーム『Buddycom』」の利用ライセンス(ID)を、サブスクリプションにより、セールスパートナー(販売代理店)を通じてエンドユーザーに販売しております。

 エンドユーザーは、お手持ちのスマートフォンやタブレットにアプリをインストールし、Buddycomをお申込みいただいた際に付与されるIDと指定のパスワードを入力してログインすれば、すぐに使い始めることができます。あわせてBuddycomをお客様の現場でより有効に活用いただくために必要な、イヤホンマイクなどのアクセサリーも販売しております。


Buddycomの主な特長は以下のとおりです。

① 開発当初よりBtoB向けの大規模運用を想定した設計思想と自社内製による開発

当社はBuddycomの前身であるAldioの設計段階から、BtoB、とりわけ大企業のミッションクリティカルな現場での運用と、機能の多角化を想定して開発に取り組んでまいりました。


② 大規模運用を可能にする機能

Buddycomは①に記載の通り、エンタープライズ向けの大規模運用を想定して設計されており、ひとつのグループに登録できる人数は無制限です。また、グループ数も無制限に登録ができ、初期画面のグループコマンドですぐにグループの変更が可能です。さらに、音声受信については一度に8グループまで指定したグループからの送信を同時に受信することができます(マルチグループ受信)。

 これらの特長を生かし、既にイオンリテール株式会社(小売)、東海旅客鉄道株式会社(鉄道)、株式会社JALエンジニアリング(航空)、株式会社ツクイ(介護)など、多くの大企業において、現場を支えるデスクレスワーカーのみなさまにお使いいただいている実績があります。


③ 誰でも簡単に使えるシンプルなUIと多彩な機能

Buddycomはスマホやタブレットなど、インターネットに接続できる端末があればアプリをダウンロードするだけですぐに利用ができ、免許や届け出などの手続きは不要、かつ専用機器の購入や設備の設置などの初期費用が一切不要です。


④ 災害にも強いディザスタリカバリー対応と、お客様の情報を守るセキュリティ機能

災害やシステム障害などが発生してもサービスの提供を維持するためのディザスタリカバリー対応として、当社は早くからシステムの二重化とサーバーのマルチリージョン化を実現しております。現在ではサーバーは日本だけでなく、アジア、ヨーロッパ、北米の4リージョンの構成で同時稼働しております。


(3) ビジネスモデルの特徴について

① サブスクリプション型課金モデル

 当社のBuddycomは、利用者(ID)数に応じた定額の利用料(所謂サブスクリプション型の課金)をいただいており、安定的な収益獲得が可能なビジネスモデルとなっております。利用契約は1月ごとの契約と、1年ごとの契約があります。


② SaaS(Software As A Service)形式

Buddycomは、お客様が通信した会話、画像・動画などのデータは、すべてクラウドを通して配信され、同時にクラウドに保存されるSaaS形式で提供しております。セキュリティ上の対策としては、TLS/SSLで通信を暗号化しております。


③ ホリゾンタル(ありとあらゆる業種・業界に水平展開可能なサービス)

Buddycomは、特定の業種・業界に限定されることなく、既に多様な業種・業界における現場において幅広く利用されており、今後もありとあらゆる現場における新しいコミュニケーションプラットフォームとしての普及を目指しております。また、インターネットに接続できる環境なら誰でも、どこでも使うことができるため、日本国内にとどまらず、世界中で販売することが可能です。


④ 安定的な顧客基盤と拡張性

Buddycomは一旦現場に導入されると、現場を支えるインフラとして継続的にご利用いただけるサービスとなっております。実際に獲得ID数ベースでみた1ヶ月ごとの月次解約率(ID Monthly Churn Rate)※12は、前期2020年9月から2021年5月までの9ヶ月間の平均で0.54%となっております。


⑤ キャッシュインが先行するビジネスモデル

Buddycomを1年ごとに契約いただいた場合、利用料は原則として利用開始時に一括で受領しております。


 (4) 顧客への販売手法

① セールスパートナー(販売代理店)による販売

当社はBuddycomの前身であるAldioの販売開始当初、自社営業による直接販売を中心としていましたが、現在ではセールスパートナー(販売代理店)による営業展開にシフトしております(当社ホームページからのインターネットによる直接販売を除く)。セールスパートナーの一部はBuddycomを二次販売店に卸しており、全国各地のお客様への対応が可能な体制を確立しております。


② アクセサリー連携

当社のBuddycomは、スマホやタブレットなどの端末にアプリをインストールするだけで利用可能ですが、実際には多くのお客様は、イヤホンマイクやヘッドセットなどのアクセサリー(周辺機器)を用いて利用されております。


(5)パートナーエコシステム

 Buddycomをお客様へ提供するに当たり、様々なソフトウェア又はハードウェアなどのソリューションを持つ他社サービスとのAPIによる連携を行った上で、Buddycomを提供することがあります。他社サービスの相手先をエコパートナーと呼び、このエコパートナーと連携して商品開発や事業活動に取り組み、相互作用しながら共存共栄する仕組みをパートナーエコシステムと呼んでおります。

 公表済のパートナーエコシステムの事例としては、シスコシステムズ合同会社のMeraki及びWebex Teamsとの連携や、外部ストレージサービスのBoxやDropboxとの連携、ビジネスチャットのLINE WORKSとの連携、富士通株式会社のAI映像解析ソリューションとの連携、株式会社デンソーの地域情報配信システム「ライフビジョン」との連携、ならびにマクニカネットワークス株式会社が販売するマシンデータ分析プラットフォーム「Splunk」や介護用見守りシステム「Attentive Connect」との連携などがあります。

 WEB会議システムやビジネスチャットとの連携では、相互に発話あるいは入力した内容がやりとりできます。また、AI映像解析や見守りシステムとの連携では、AIや見守りシステムが解析又は検知した内容をBuddycomで必要なメンバーに一斉に通知することができます。外部ストレージサービスとの連携では、Buddycomで交わした音声、画像、映像などのデータをお客様がご利用中のストレージサービスに保存することができ、お客様自身で通信履歴の活用や分析に使っていただくことができます。

   


【業績等】

業績動向(百万円) 売上高 営業利益 経常利益 純利益

(連結実績)2019.8 179 -93 -95 -95

(連結実績)2020.8 222 -93 -92 -92

(連結実績)2021.8 365 -97 -95 -95

(連結予想)2022.8 414 -91 -96 -96


1株当たりの数値(円) EPS BPS※ 配当

(連結予想)2022.8 -30.26 -  - 

調達資金使途 人件費、賃借料、オフィス拡張


上場時発行済み株数 3,356,000株 (別に潜在株式241,600株)

公開株数 253,000株(公募200,000株、売り出し20,000株、オーバーアロットメント33,000株)


PER:

PSR:14

配当利回り:

公募時吸い上げ資金:4.3億

公募時時価:57億

    


【株主構成】 以下90日(横道克己除く)

(同)平岡秀一事務所 役員らが議決権の過半数を所有する会社 1,500,000 45.66

平岡秀一 代表取締役社長 640,000 19.48

SBテクノロジー(株) 特別利害関係者など 225,000 6.85

auカブコム証券(株) 特別利害関係者など 200,000 6.09

(株)ブロードバンドタワー 特別利害関係者など 133,000 4.05

横道克己 取締役 83,600 2.54

岡地証券(株) 特別利害関係者など 70,000 2.13

日本ATM(株) 特別利害関係者など 66,600 2.03

JPE第2号(株) ベンチャーキャピタル(ファンド) 60,000 1.83

(株)プラネット 特別利害関係者など 50,000 1.52

(株)ぐるなび 特別利害関係者など 33,300 1.01


本募集並びに引受人の買取引受による売出しに関連して、売出人かつ貸株人である平岡秀一並びに当社株主である合同会社平岡秀一事務所、SBテクノロジー株式会社、auカブコム証券株式会社、株式会社ブロードバンドタワー、岡地証券株式会社、日本ATM株式会社、株式会社プラネット、株式会社ぐるなび及び株式会社アルファステップは、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後90日目の2022年2月21日までの期間中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社株式の売却等(ただし、引受人の買取引受による売出し、オーバーアロットメントによる売出しのために当社普通株式を貸し渡すこと及びグリーンシューオプションの対象となる当社普通株式を主幹事会社が取得すること等は除く。)を行わない旨合意しております。 

 

【代表者】

代表者名 平岡 秀一(上場時60歳3カ月)/1961年生

本店所在地 東京都新宿区神楽坂

設立年 2003年

従業員数 22人 (9/30現在)(平均31.7歳、年収484.4万円)

株主数 14人 (目論見書より)

資本金 50,000,000円 (10/19現在)

代表者生年月日 1961年08月14日生まれ

代表者略歴

1984年04月 日立西部ソフトウェア(株)(現(株)日立ソリューションズ)入社

1996年01月 マイクロソフト(株)(現日本マイクロソフト(株))入社

2001年02月 (株)インスパイア 取締役、(株)インスパイア・ストラテジッグ・コンサルティング設立 代表取締役社長

2002年06月 (株)Plan・Do・See 取締役

2002年10月 日本駐車場開発(株) 監査役

2002年12月 (株)ヴァンテージ・コンサルティング設立 代表取締役社長

2003年09月 (株)シアンス・アール(現(株)サイエンスアーツ)設立 代表取締役社長(現任)

2004年10月 日本駐車場開発(株) 取締役


【幹事団】

主幹事証券 岡三 187,000 85.00

引受証券 大和 8,800 4.00

引受証券 SBI 8,800 4.00

引受証券 SMBC日興 4,400 2.00

引受証券 三菱UFJモルガン・スタンレー 4,400 2.00

引受証券 岡地 2,200 1.00

引受証券 マネックス 1,100 0.50

引受証券 楽天 1,100 0.50

引受証券 エイチ・エス 1,100 0.50

引受証券 むさし 1,100 0.50


【参考類似企業】今期予想PER(10/25)

3681  ブイキューブ 22.2倍(連結予想 )

4019  スタメン 550.0倍(単独予想 )

4375  セーフィー -倍(単独予想 )

4448  Chatwork -倍(単独予想 )

4476  AICROSS 19.1倍(単独予想 )


【私見】

 ビジネスにおけるコミュニケーションアプリということで、大手企業も採用しており海外にも目を向けて優位性が高く業種としての評価は高いです。株主構成もVCはほぼなく優良企業も名を連ね、小型でロックも完全なので評価はできます。問題は売上4億の上場をどう捉えるがで、上場審査が甘くなった象徴のような銘柄です。これまでも岡三主幹事の銘柄はGC企画やフューチャーLのように業種は面白くても街の中小企業の延長のような企業が多く、結果は伴っていません。ここも化ける要素もありながら、見向きもされない可能性もあり判断分かれる銘柄です。


想定価額:1510円

仮条件上限:1710円

初値予想:3500円

ブック申し込み度・・・強気

セカンダリー期待度・・・中立〜やや強気

総合評価4


2 件のコメント:

  1. 面白そうな銘柄ですね。でも今のセカンダリーはほぼ壊滅状態なので、注意が必要ですね。

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  2. 魅力ある銘柄ですが、今の時期はギャンブルといえはギャンブルですよね。

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