2021年11月7日日曜日

IPO分析(AB&Company)

 【事業内容】

(1)直営美容室運営事業

 美容室を直営展開しており、その対価を得ております。また、全ての直営店において、店舗運営は統一的なオペレーションにより行われております。

(2)フランチャイズ事業

 フランチャイズ本部として、経営指導、企業ノウハウ及び教育研修の提供、プライベートブランド商品の販売、パーマ液やカラー剤等の材料仕入、広告代理業務、採用、経理や管理業務の代行等を行ない、フランチャイズ店からその対価を得ております。

 店舗の運営は各フランチャイズ加盟法人で行われ、フランチャイズ契約により、美容室の経営に関するシステム(サービス・商品・人員の配置方法等)やノウハウ、商標等を使用しております。そのため、加盟型フランチャイズ店においても、当社グループブランドを展開しております。


(3)インテリアデザイン事業

 美室等の内装デザイン業者としてAgu.グループの美容室の出店及びグループ以外の受注案件に関して、店舗デザインや施工業者のアレンジ等のサービス提供を行ない、その対価を得ております。

 当社グループは、インテリアデザイン事業を内製化することにより、内装工事費用を比較的安価に抑えることが出来、かつ、より短い期間での開業を可能としております。


<Agu.グループの特徴>

(1)業務委託モデル

 Agu.グループは、スタイリストの低賃金及び長時間労働が常態化している正規雇用モデルではなく、スタイリストのライフスタイルに応じて柔軟に働ける業務委託モデルを採用しております。

 一般的に、スタイリストは長時間労働に見合わない低賃金を不満として退職することが多いのが実情であります。Agu.グループは各直営・FC法人がスタイリストと業務委託契約を結んでおり、報酬体系は完全に売上と連動しております。数多くのお客様を施術しても大きく報酬が変わることのない正社雇用モデルと比べて、業務委託モデルでは売上に応じてスタイリストに還元していることからスタイリストは正規雇用モデルの報酬(平均311万円/年(出所 厚生労働省:令和元年賃金構造基本統計調査))よりも高い報酬(平均378万円/年※)を得ることが可能であります。また、シフトが柔軟であることからスタイリスト自身のライフスタイルに合わせた働き方が実現可能となります。結果として、Agu.グループは、結婚・出産を経験した女性美容師等の多種多様な人材を確保することが可能となっていると考えております。

 また、美容学校の新卒生については正社員のアシスタントとして採用し、卒業後約1年程度でスタイリストデビューし、業務委託への転換を可能とする育成プログラムによりスタイリストの確保を図っております。


(2)フランチャイズオーナー制度

 Agu.グループは、外部からフランチャイズオーナーを募ることなく、Agu.グループで育ったスタイリストをフランチャイズオーナーに起用する独自のモデルを採用しております。同モデルを採用することにより、帰属意識の高いフランチャイズオーナーが輩出されることから、離反リスクを低く保ちながらフランチャイズ運営を行うことが可能となっております。また、同じグループに所属していたことでフランチャイズオーナー同士が密に連携し、コミュニケーションをとる風土が醸成されており、店舗運営ノウハウの共有を行うことが出来るとともに出店立地については相互の動きを把握できているため、カニバリゼーションが起きにくい組織形態となっております。さらに、人材採用、マーケティング戦略、資金調達、計数管理や記帳等の様々な面においてフランチャイザーであるB-first株式会社が事細かな支援を行っており、Agu.グループに所属し続けるメリットを提供し続けることで離反リスクをさらに低く保っていると考えております。

 また、2021年9月末現在31人のフランチャイズオーナーが日本各地に散在しており、各地のトレンドや競合店の状況を敏感に踏まえた店舗運営を行うことが出来ます。さらに、不動産業者等と密な関係性を構築し、新規出店時にはスピード感を持った物件確認・選定を行っていることから、不動産業者等との間に更なる信頼関係を構築することが出来、結果として優良な物件情報が入ってきやすい好循環を発生させていると考えております。

 なお、一定程度の店舗数を超えたフランチャイズ会社については、Agu.グループ全体に対するガバナンス強化、当社グループの収益及び利益の拡大のため、当社グループが同株式を適正な価格で買い取り、直営化する場合があります。その場合、当該フランチャイズオーナーには当社グループの一員として、より若い世代のフランチャイズオーナー育成と当社グループ全体の企業価値向上に努める職責を与えます。当該職責を果たすため、他のフランチャイズオーナーとの積極的なコミュニケーションが必要であり、グループ所定の規則の範囲内で交際費の使用を認めております。また、多数店舗の臨店等に際してグループ所定の規則の範囲内で社有車の利用を認めております。


(3)WEB広告による効率的な集客

 多くの美容室利用者は、株式会社リクルートが提供する美容検索・予約サイト「HOT PEPPER Beauty」を利用しているため、Agu.グループでは、同サイトを活用したマーケティングに注力しており、社内に専属チームを設置しております。出店地域で上位に露出する最適なプランを周知・徹底し、予約し易いように予約状況を常に把握・コントロールする等「HOT PEPPER Beauty」の効率的な運用ノウハウを蓄積しており、また、連結子会社のB-first株式会社がグループ全体の広告宣伝活動を一括して行うことにより、低コストで高い集客力の実現が可能となっていると考えております。

 なお、Agu.グループにおける顧客の男女比は、女性73%、男性27%となっており、女性顧客の64%が20歳代、30歳代であり、新規出店後の1店舗当たり月間総来店客数は1年後で419人、2年後で490人、3年後で531人となり、そのうちリピーター比率はそれぞれ1年後で66%、2年後で74%、3年後で80%と徐々にリピーターが積み上がるビジネスモデルであります。


(4)地方展開及び空中店舗展開

 Agu.グループは、郊外では駐車場完備の広い敷地面積を持つ平屋店舗、都心では賃料の安い空中店舗を中心に店舗展開しており、賃料等の固定費削減分をスタイリストへの報酬還元及びWEB広告費用に充当することにより、高い競争力及び集客力を実現し、出店後短期間における黒字化を可能としていると考えております。

 また、フランチャイズオーナー制度により、フランチャイズオーナーと縁がある地域の優良物件や特性等の詳細な情報が入手可能であり、さらに、地方の主たる競合である個人経営店に対しては、「HOT PEPPER Beauty」の露出順位や予約のし易さ等により集客力で優っているため、地方展開に強みを有しております。


 2021年9月30日時点における直営店舗の地域別店舗数は、北海道が15店舗、東北が73店舗、関東が23店舗、中部が47店舗、近畿が57店舗、中国が6店舗、四国が3店舗、九州・沖縄が18店舗です。

 FC店舗の地域別店舗数は、北海道が11店舗、東北が56店舗、関東が92店舗、中部が106店舗、近畿が64店舗、中国が16店舗、四国が8店舗、九州・沖縄が60店舗です

 直営店舗の店舗数は、株式会社ロイネスが85店舗、株式会社Puzzleが94店舗、株式会社agirが63店舗です。

  また、Agu.グループの国内における店舗数等の推移は、149→231→319→408→528→655



【業績等】

業績動向(百万円) 売上収益 営業利益 税引き前利益 純利益

(連結実績)2019.10 8,700 1,061 905 614

(連結実績)2020.10 9,630 1,104 912 584

(連結予想)2021.10 11,009 1,504 1,395 904

(連結予想)2022.10 13,373 2,204 2,099 1,372


1株当たりの数値(円) EPS BPS※ 配当

(連結予想)2022.10 92.83 - 27.85

調達資金使途 システム開発


上場時発行済み株数 14,786,320株 (別に潜在株式445,400株)

公開株数 5,441,800株(公募50,000株、売り出し4,682,100株、オーバーアロットメント709,700株)


・売出しを行う地域

欧州及びアジアを中心とする海外市場(ただし、米国及びカナダを除く。)

 

PER:16.0

PBR:

配当利回り:

公募時吸い上げ資金:81億

公募時時価:220億

    

【株主構成】 

Sunrise Capital III,L.P. ベンチャーキャピタル(ファンド) 5,217,580 34.40 180日・1.5倍

Sunrise Capital III(JPY),L.P. ベンチャーキャピタル(ファンド) 2,830,560 18.60 180日・1.5倍

Sunrise Capital III(Non-US)L.P ベンチャーキャピタル(ファンド) 2,267,580 14.90 180日・1.5倍

丹内悠佑 子会社の代表取締役 1,513,600 10.00 180日

(株)Logotype 役員らが議決権の過半数を所有する会社 1,031,540 6.80 180日

(株)SunFlower 役員らが議決権の過半数を所有する会社 1,031,540 6.80 180日

市瀬一浩 代表取締役 494,840 3.30 180日

(株)I.M.C 役員らが議決権の過半数を所有する会社 442,080 2.90 180日

永島光 取締役CFO、子会社の代表取締役 74,000 0.50 180日

樋口和貴 子会社の代表取締役 47,200 0.30 180日


  本募集並びに引受人の買取引受による売出しに関連して、売出人かつ貸株人であるSunrise Capital III, L.P.、Sunrise Capital III (JPY), L.P.及びSunrise Capital III (Non-US), L.P.は、共同主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場日(当日を含む)後180日目(2022年5月17日)までの期間(以下、「ロックアップ期間」という。)、共同主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却等(ただし、引受人の買取引受による売出し、グリーンシューオプションの対象となる当社普通株式を共同主幹事会社が取得すること及び売却価格が本募集等における発行価格又は売出価格の1.5倍以上であって、共同主幹事会社を通して行う株式会社東京証券取引所取引での売却等を除く。)を行わない旨を合意しております。

 また、株主である丹内悠佑、株式会社Logotype、株式会社SunFlower、市瀬一浩、株式会社I.M.Cは、共同主幹事会社に対し、ロックアップ期間中は共同主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却等を行わない旨を合意しております。

 さらに、当社の新株予約権を保有する丹内悠佑、永島光、樋口和貴、鈴木紀彦、曽我克、吉田圭一、米崎慎也、山田雄大、江木壮太郎、犬塚美代子、塩川未也子、シェピス雅子、伊藤友子、蒲教子は、共同主幹事会社に対し、ロックアップ期間中は共同主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社新株予約権及び新株予約権の行使により取得した当社普通株式の売却等を行わない旨を合意しております。


【代表者】

代表者名 市瀬 一浩(上場時40歳9カ月)/1981年生

本店所在地 東京都新宿区新宿二丁目

設立年 2018年

従業員数 14人 (9/30現在)(平均40.9歳、年収734.1万円)、連結158人

株主数 8人 (目論見書より)

資本金 90,000,000円 (10/15現在)

代表者生年月日 1981年02月02日生まれ

代表者略歴

2003年04月 hair salon asia AOYAMA 入社

2009年02月 美容室「Alice hair salon」 設立

2011年01月 美容室「Alice hair salon」を法人化し、(株)ロイネス 設立 代表取締役就任

2011年12月 B-first(株) 設立 代表取締役就任(現任)

2018年11月 当社 代表取締役就任(現任)



【幹事団】

主幹事証券 大和 - -

主幹事証券 マッコーリーキャピタル - -

引受証券 野村 - -

引受証券 三菱UFJモルガン・スタンレー - -


【参考類似企業】今期予想PER(10/20)

2406  アルテHD 27.4倍(連結予想 )

4679  田谷 2.3倍(単独予想 )

6571  QBネットHD 37.9倍(連結予想 )

9439  MHグループ -倍(連結予想 )


【私見】

 マザーズのファンドの売出し案件ということで、規模的にもフォトシンス同様に苦戦が予想される銘柄です。美容室では最近流行りの業務委託制を採用しており、雇用に伴うリスク軽減はされており、他社に比べて優位性は保たれおり機関に評価される可能性はあります。アルテやQBなどと比べるとPFRからも割安感はありますが、1年後の予想数字なので成長を織り込んでるとも捉えられます。年二割増で店舗を増やしていますが、今後も継続して増やせるかがポイントで、競争激しい業界なので簡単ではないかと思います。1.5倍ロックがかかっているので売り圧力はそこまで大きくなくジリ高の可能性もありますが、買い手不在で公募前後の動きを予想します。


想定価額:1470円

仮条件上限:1490円

初値予想:1490円

ブック申し込み度・・・中立

カンダリー期待度・・・中立

総合評価3


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