2022年3月12日土曜日

IPO分析(メンタルヘルステクノロジーズ)

 【事業内容】

 メンタルヘルスソリューション事業、メディカルキャリア支援事業及びデジタルマーケティング事業を主たる業務としております。

(1)メンタルヘルスソリューション事業

 メンタルヘルスケアサービス「ELPIS」の開発は当社が行っており、顧客へのサービス提供は子会社であるAvenirが行っております。当事業の売上高は2020年12月期においてグループ全体の売上高の77.9%を占めており、当社グループにおける主要な事業であります。

 メンタルヘルスソリューション事業では、産業医及び保健師等による役務提供サービスと労働者の心身の健康管理に関する各種クラウド型サービス「ELPIS」をパッケージ化し、「産業医クラウド」の名称で提供しております。

 「産業医業務」はこれまで、危険有害業務に従事する労働者の労働環境整備や、生活習慣病の予防等、主に身体の健康管理への助言や指導が中心でした。しかしながら、近時においては、そうした業務に加え、職場におけるメンタルヘルスに起因する疾病予防についても重要視されるようになり、新たに新型コロナウイルスの感染防止対策が加わったことで、産業医が対処すべき業務の範囲も大きく変化しております。このような環境の変化に対応できない産業医と契約する企業においては、「安全配慮義務を尽くして労働者を災害から守る」という雇用者としての義務を十分に果たせていない可能性がある状況と考えております。

 企業にとっても、労働者の心身の健康管理に積極的な関与が必要であることは認識しているものの、産業保健業務に従事する専門職の雇用や、EAPサービス(心身に不調を来す従業員のケアを目的とした従業員支援プログラム)の導入には、多額の費用が必要となることや、健康経営を推進する上で必要な専門知識を有する社員が組織内に不在であること等の理由から、実施のハードルは非常に高いものとなっております。このため、メンタルヘルスに起因する疾病予防対策は、大手企業や一部の優良企業のみの導入にとどまるといった課題がありました。

 また、労働安全衛生法では、50名以上の労働者を使用する事業場においては、産業医の選任が義務づけられており、法令違反に対しては刑事罰も含めて罰則が設けられております。したがって、産業医と契約している企業は少なくないものの、産業医の役務提供の品質について客観的に評価できる企業はそう多くはないことや人事部門の人材不足といった要因から、結果的に産業医の業務が形骸化している状況も多くみられます。

 そこで当社は、このような課題に対応すべく、「産業医クラウド」を開発しました。

「産業医クラウド」とは、従来産業医が行っていた産業医業務を整理し、産業医のみが実施できる業務と保健師等の産業医以外の専門家やスタッフ、及びクラウドサービスに置き換え可能な業務に切り分け、企業における産業医業務に係る事務負担とコストを引き下げつつ従業員の健康管理の質を高めるというサービスです。

 このサービスの中では、産業医にしかできない部分についてはAvenirと嘱託産業医サービス業務委託契約を結んだ産業医が役務提供を行い、それ以外の代替可能な部分は保健師・看護師、及びAvenirのスタッフが役務を提供しております。また、クラウドサービス「ELPIS」によって代替・充実できる業務もあり、これまで対応が難しかった従業員のメンタルヘルスケアを従来よりも低コストで実施できるようにしました。


各サービスの主な内容は下記のとおりです。

①役務提供サービス

 従来産業医が行っていた業務を整理し、産業医のみが実施できる業務と保健師等の産業医以外の専門家により実施できる業務に切り分けました。それに加え、Avenirのスタッフによる事務手続代行サービス等を提供することにより、企業の産業医業務に係る事務負担の軽減を可能にしました。

② メンタルヘルスケアサービス「ELPIS」

 当社が開発したクラウドサービスです。Avenirが役務提供サービスと共に「産業医クラウド」の名称で顧客へ提供しております。

 「産業医クラウド」においては、Avenirと嘱託産業医サービス業務委託契約を締結した顧客企業がAvenirへ月額顧問料等を支払う契約となっております。その中から、役務提供サービスに関してAvenirが医師・保健師(当社社員ではない場合)等へ稼働状況に応じた業務委託料を支払います。「ELPIS」に関しては、顧客企業の規模(利用数)に応じた月額課金制となっております。


(2)メディカルキャリア支援事業

 子会社であるAvenirが職業安定法に基づいて行う有料職業紹介事業であり、主に医師を医療機関に紹介する採用支援サービスを行っております。

 医師の転職市場においては、医師は都市部に集中する傾向があり、地方病院においては医師や看護師等の確保は大きな課題です。そのため、紹介手数料は都市部より高くなる傾向があることから、Avenirは地方医療機関との接触を増やすことにより、売上拡大を目指しております。

 当事業においては、常勤医師の場合は医師が医療機関へ入職した時点で医療機関からの紹介料が発生する契約となっており、非常勤医師の場合は入職時にその年の想定稼働時間に応じて紹介料を頂く場合と、実際に勤務した時点で紹介料が発生する場合の2パターンがあります。


(3)デジタルマーケティング事業

 当社が行っており、医学会向けサービス、Webマーケティング支援サービスを提供しております。


【業績等】

業績動向(単位:百万円)

決算期 種別 売上高 営業利益 経常利益 純利益

2022/12 連結予想 2,027 347 303 256

2021/12 連結実績 1,453 138 136 161

2020/12 連結実績 947 -145 -147 -149

2019/12 連結実績 646 -225 -225 -226


決算期 種別 EPS BPS 配当

2022/12 連結予想 26.70 54.63 0.00


上場時発行済株数 9,616,000株(別に潜在株式822,000株)

公開株数 1,436,100株(公募50,000株、売り出し1,198,800株、オーバーアロットメント187,300株)

調達資金使途 人材採用費・人件費


PER:23.5

PBR:

配当利回り:

公募時吸い上げ資金:9.0億

公募時時価:61億

​   

【株主構成】 

刀禰真之介 代表取締役社長 3,876,000 37.31% 180日

ファストトラックイニシアティブ2号投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 1,792,000   17.25% 90日・1.5

(株)Orchestra Investment ベンチャーキャピタル(ファンド) 420,000 4.04% 90日・1.5

Skyland Ventures 1号投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 400,000 3.85% 90日・1.5

(株)ベクトル ベンチャーキャピタル(ファンド) 400,000 3.85% 90日・1.5

INTAGE Open Innovation投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 400,000 3.85% 90日・1.5

(株)杏林舍 資本業務提携先 200,000 1.93% 180日

和田洋 特別利害関係者など 170,000 1.64%

山田真弘 取締役 150,000 1.45% 180日

Aflac Ventures LLC ベンチャーキャピタル(ファンド) 140,000 1.35% 90日・1.5

(株)H&Pコンサルティング 特別利害関係者など 140,000 1.35% 180日


 本募集並びに引受人の買取引受による売出しに関連して、売出人かつ貸株人である刀禰真之介、売出人である山田真弘、佐藤敬幸、株式会社杏林舍、株式会社H&Pコンサルティング、藤浜有限会社並びに当社株主である中村幸雄、三宅琢、STONE株式会社、合同会社ふくり、株式会社ユビキタスAIコーポレーション、株式会社MS-Japan、KKキャピタル株式会社、合同会社HS、合同会社セ・ラムール、株式会社吉村産業医事務所及び当社新株予約権者である松本裕介、渡邉隆久、萩原耕一郎、新井直幸、佐藤義仁、西上祐一、大島基予子、牧野由佳、栗賀智史、西尾明哲、須永知久、小松佐知子、藤村繰果、梅藤朝葉、舍川美咲、前場柚花、田中敦史、佐野直樹、栗原祐子、上田華子、小池健斗、佐藤純は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む。)後180日目の2022年9月23日までの期間中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社株式の売却(ただし、引受人の買取引受による売出し、オーバーアロットメントによる売出しのために当社普通株式を貸し渡すこと等を除く。)等を行わない旨合意しております。

 また、売出人であるファストトラックイニシアティブ2号投資事業有限責任組合、Skyland Ventures 1号投資事業有限責任組合、INTAGE Open Innovation 投資事業有限責任組合、マネックスベンチャーズ株式会社並びに当社株主である株式会社Orchestra Investment、株式会社ベクトル、株式会社エアトリ、Aflac Ventures LLC、三菱UFJキャピタル5号投資事業有限責任組合、FPステップアップ支援投資事業有限責任組合、みずほ成長支援投資事業有限責任組合は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む。)後90日目の2022年6月25日までの期間中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却(ただし、引受人の買取引受による売出し及びその売却価格が「第1 募集要項」における発行価格の1.5倍以上であって、東京証券取引所における初値が形成された後に主幹事会社を通して行う東京証券取引所での売却等を除く。)等を行わない旨合意しております。

 

【代表者】

代表者名 刀禰 真之介(上場時42歳8カ月)/1979年生

本店所在地 東京都港区赤坂

設立年 2011年

従業員数 17人 (2022/01/31現在)(平均37.2歳、年収478.1万円)、連結59人

事業内容 メンタルヘルスソリューション事業、メディカルキャリア支援事業、デジタルマーケティング事業

URL https://mh-tec.co.jp/

株主数 59人 (目論見書より)

資本金 459,700,000円 (2022/02/18現在)

社員数 17人(2022年01月31日現在)

代表者生年月日 1979年07月26日生まれ

代表者略歴

2002年04月 デロイト・トーマツ・コンサルティング(株)(現:アビームコンサルティング(株))入社

2004年09月 UFJつばさ証券(株)(現:三菱UFJモルガン・スタンレー証券(株))入社

2007年04月 エンジェルジャパン・アセットマネジメント(株)入社

2008年01月 (株)環境エネルギー投資入社

2011年03月 (株)Miew(現当社)設立 代表取締役社長(現任)

2014年01月 Miew system service(株)(現(株)Avenir) 代表取締役社長(現任)


【幹事団】

主幹事証券 みずほ - -

引受証券 野村 - -

引受証券 SBI - -

引受証券 東海東京 - -

引受証券 SMBC日興 - -

引受証券 マネックス - -

引受証券 東洋 - -

引受証券 水戸 - -

引受証券 岩井コスモ - -

引受証券 極東 - -

引受証券 楽天 - -

引受証券 松井 - -


【参考類似企業】今期予想PER(3/1)

2412 ベネ・ワン 52.3倍 (連結予想)

6078 バリューHR 40.0倍 (連結予想)

8769 ARM 47.9倍 (連結予想)

8876 リログループ 23.6倍 (連結予想)


【私見】

 業種としても時流に乗っており、コンサル出身の社長で株価としては評価できる銘柄です。業績の伸びも良く、成長性を考えると上値余地は十分あるかと思います。規模的にも大きくないので問題ないのですが、1.5倍でロックが外れるVCが多いので、需給からはとても買えません。この地合いではリスクが高いでしょう。

 

想定価額:630円

仮条件上限:630円

初値予想:900円

ブック申し込み度・・・やや強気

セカンダリー期待度・・・中立

総合評価:3.5

0 件のコメント:

コメントを投稿