2023年10月9日月曜日

IPO分析(ジャパンM&Aソリューション)

 【事業内容】

​(1)事業の概要

 日本における経営者の後継者不足の解決や中長期的な事業発展のためにM&A(※1)を実施したいすべての企業に対してM&Aアドバイザリーサービスを提供しています。

 会社規模や利益にとらわれず、主に中小企業を対象としたM&Aアドバイザリーサービスを提供しております。1組でも多くのM&A案件を成約させることを目的に「相談されたら断らない」という経営方針を掲げております。

 当社は1件でも多くのM&Aアドバイザリーサービスを提供するため、金融機関や税理士・会計事務所等(以下「提携先」という)からアドバイザリー契約の契約者(以下、「ご依頼者」という)の紹介を受けることを目的に提携関係を構築しております。M&Aアドバイザリーサービスの提供において、単に譲渡希望企業と譲受希望企業を取次ぐのではなく、ご依頼者の意向として、譲渡後に存続していくためのシナジー効果を生めるか、事業の商流にどのような影響がでるか、親族内承継はできないのか、従業員の雇用は維持されるか等の相談を受け検討を行っていきます。

 一般的にM&A仲介事業では譲渡企業とは1度の取引で終了するため、将来的に継続した取引が期待できる譲受希望企業の意向を中心に条件交渉が進んでいく傾向があります。しかし当社では、ご依頼者にとって最善の譲受希望企業を見つけるために、ご依頼者に合わせた譲受企業を、その特性や地域に合わせ探索を行っていきます。譲受企業を探すのは当社のみでは限界があるため、インターネット上で譲渡希望企業と譲受希望会社の売買する場を提供するM&Aプラットフォーマーの活用や、提携先から譲受希望企業の紹介を受けながら、幅広く効率的に譲受希望企業を探索しております。ご依頼から譲渡実行までを速やかに実施するために、譲渡日までのスケジューリングをご依頼者と共有し、課題を解決しながらM&Aアドバイザリーサービスの提供を行っております。

 M&Aアドバイザリーサービスの報酬体系は、譲渡希望企業と譲受希望企業の間で譲渡成立時に受領する成約報酬とアドバイザリー契約に基づき譲渡希望企業から受領する月額報酬から構成されております。一般的には、アドバイザリー契約締結時に着手金を受領することが多いと考えておりますが、アドバイザリー契約締結時に着手金を受領する場合、ご依頼者の金銭的負担が大きいことから、当社では月額報酬として受領することとしております。月額報酬を受領するアドバイザリー契約件数を増やすことで安定した収益基盤を構築し、ご依頼者は毎月の成果を要求するとともに、当社は成果を出すため、案件にしっかり取組む報酬体系となります。


(2)M&Aアドバイザリーサービスの流れ

 M&Aアドバイザリー事業は仲介形式とFA形式のいずれかで行われますが、当社では仲介形式が売上の大部分を占めております。仲介形式の業務の流れは下記のとおりです。

① M&Aニーズの発掘

 M&Aの案件を継続的に獲得していくことが当社ビジネスを継続的に拡大していく上で非常に重要となります。案件を継続的に獲得していくためには、提携先の開拓及び深耕を深めていくことが必要となります。提携を進めることにより、安定的かつ継続的にご依頼者の紹介及び新規アドバイザリー契約の獲得ができるようになります。

 当社は複数の提携先を有しており、提携先から譲渡希望企業・譲受希望企業の紹介を受けて、ご依頼者の発掘を行います。一般的に、数か月間以上の多くの時間と労力をかけてM&Aニーズの発掘を行うのに対して、当社は提携先から効率的かつ安定的にM&Aニーズを有するご依頼者の紹介を受けております。そのため、当社は案件の獲得までは、それぞれの提携先のニーズに合わせ、事業承継の端緒を掴むためのセミナーや事業承継事例等を紹介するセミナーを実施し、提携先との関係の深耕に向けた活動を行っております。

 また、案件を獲得した後は、提携先に定期的に案件の進捗報告を行うことによって、提携先との良好な関係構築を図っております。

 その他、提携先の獲得を日々行い、常に売り手のニーズをつかめるように提携先のネットワークの拡大に向けた活動を行っております。提携先との良好な関係を保つためにも「相談されたら断らない」方針で提携先とご依頼者と当社で円満な案件成約ができるよう尽力しております。


② 個別譲渡相談

 ご依頼者と秘密保持契約を締結し、ご依頼者のニーズをヒアリングし、入手した譲渡希望企業(事業譲渡の場合を含む)の情報からビジネスモデルを分析していきます。希望条件に応じた譲渡を実現するためのM&Aスキームやストラクチャ等のプランを提案するとともに、事前に課題や論点を整理し、M&Aのクロージング (譲渡の実行、対価の支払等)の見通しをつけていきます。


③ アドバイザリー契約の締結

 ご依頼者から当社の提案するM&Aプランに合意いただいた段階で当社とアドバイザリー業務委託契約の締結を行います。アドバイザリー業務委託契約締結後、当社は提案したM&Aプランを速やかに実行していきます。譲受希望企業への提案のため、譲渡希望企業の事業内容、事業特性、財務内容、譲渡条件等を取り纏めた企業概要書等のM&A検討用資料を作成します。


④ 譲受希望企業の探索

 ご依頼者の希望条件・事業内容をもとに譲受希望企業を選定していきます。当社内での探索手法としては譲渡希望企業の属する業界内での検討、ビジネスの商流での検討、その他シナジーの生まれそうな企業の検討等、様々な観点から譲受希望企業の選定を行います。

 また、当社は譲受希望企業の探索方法として、幅広く探索するためのM&Aプラットフォーマーの活用や提携先から譲受希望企業の紹介を受けながら、幅広く買収先候補の探索を行います。ご依頼者が希望する条件及び企業価値の最大化が見込まれる譲受希望企業を選定するため、当社は匿名情報の範囲で譲受企業へM&Aの関心の有無を打診します。


⑤ 個別買収相談

 譲受企業を速やかにみつけられるよう、買収意欲のある企業との買収ニーズの蓄積を継続的に行っております。仲介業務を実施する場合においては、事前に買収意欲のある企業の相談を受け、希望とする業種・規模等を把握しておくことで、スピーディーに譲渡希望企業への紹介へつなげることができます。


⑥ 譲渡案件情報の提供

 譲受希望企業が譲渡希望企業の詳細情報の開示を希望する場合、当社は譲受希望企業と秘密保持契約を締結し、企業概要書を提出します。譲受希望企業は、M&A検討用資料を精査したうえで、本格的な買収検討に進む場合には、当社は譲受希望企業に対して、譲渡希望企業の詳細な情報資料を提供し、当社の支援・調整のもと、譲渡希望企業の買収を検討するうえで必要なQ&Aを実施します。加えて、譲渡希望企業の事業所や工場の視察、ご依頼者との面談実施等を通じて、譲渡希望企業への理解を深めてもらい、譲受の是非及びその基本条件等を検討していただきます。


⑦ 仲介業務契約

 ご依頼者が譲受希望企業に対して興味を持った場合、ご依頼者の合意を得て、当社は譲受希望企業と仲介業務契約を締結いたします。


⑧ トップ面談・条件調整

 譲受希望企業が買収に係る初期的な意思決定に至った場合、当社支援のもと、買収条件等を記載した「意向表明書」を作成いただき、ご依頼者に対して提示します。ご依頼者は、譲受希望企業からの「意向表明書」を受領し、その受け容れの可否を検討します。複数の譲受希望企業から「意向表明書」が提出された場合は、受け容れの可否を検討するとともに、独占的に交渉を進める譲受希望企業を1社に絞り込みます。

 独占的に交渉を進める1社が選定されれば、「意向表明書」に記載された条件をもとに、基本的な譲渡条件について、当社とご依頼者との間で調整を行います。ご依頼者と譲受希望企業双方の経営者(トップ)が面談を実施し、経営者の価値観や経営理念等、書類では確認できない部分に関して、相互理解を深めるために実施いたします。


⑨ 基本合意契約・デューデリジェンス

 基本的な譲渡条件がまとまった段階でご依頼者と譲受希望企業との間で基本合意契約を締結します。その後、譲受希望企業が譲渡希望企業に対してデューデリジェンスを実施し、譲渡希望企業のビジネスリスク、法務リスク、財務リスク等を調査し、その調査結果を踏まえて、ご依頼者と譲受希望企業で最終的な条件交渉を行います。

 当社では譲受希望企業がスムーズなデューデリジェンスを実施できるよう環境の整備をするとともに、客観的、合理的見地から、最終的な条件調整を支援いたします。また、必要に応じてスキーム提案を行うなどして、双方の要望を満たす枠組みを提供し、M&Aが円滑に実現できるよう、アドバイザリーサービスを提供します。


⑩ 譲渡契約・取引実行

 最終的な譲渡条件が決定した段階で、当社が最終契約書(譲渡スキームが株式譲渡であれば株式譲渡契約書)及び付随して必要となる各種の関連ドキュメントの作成を行います。また、並行して利害関係者との調整や、譲渡後の新経営体制の発足に必要となる各種の準備等、経営権の移転に伴い必要となる様々な課題について、その抽出と対応を当社が支援します。

 最終契約書の内容が確定しましたら、ご依頼者と譲受希望企業との間でこれを締結します。最終契約書に規定される各種のクロージング・コンディション(実行の前提条件)の整備を支援し、これらが整えば、クロージング(譲渡の実行、対価の支払等)が行われ、M&Aにかかる一連の取引が完了します。これらの業務の完了に伴い、ご依頼者と譲受企業の双方より成約報酬を受領いたします。

 なお、当社は公的機関である事業承継・引継ぎ支援センターや提携先等からの紹介を通じてアドバイザリーサービスの契約を締結しており、当社が成約報酬を受領することとなった場合には、当社は提携先に対し、原則として紹介手数料をお支払いしております。


【業績等】

決算期 種別 売上高 営業利益 経常利益 純利益

2023/10 単独3Q累計実績 528 124 122 80

2023/10 単独会社予想 706 150 144 101

2022/10 単独実績 434 60 61 43

2021/10 単独実績 342 38 47 31


決算期 種別 EPS BPS 配当

2023/10 単独会社予想 84.21 - -


上場時発行済株数 1,378,000株(別に潜在株式133,000株)

公開株数 439,700株(公募180,000株、売り出し202,400株、オーバーアロットメント57,300株)

調達資金使途 新規拠点の設立費用、採用費・人件費、システム投資など


PER:15.9

PBR:

配当利回り:

公募時吸い上げ資金:5.9億

公募時時価:18億

​   

【株主構成】 

三橋透 代表取締役社長 700,000 52.59% 180日

(株)ディア・ライフ 特別利害関係者など 120,000 9.02% 90日・1.5倍

(株)エアトリ 特別利害関係者など 120,000 9.02% 90日・1.5倍 

中島秀浩 取締役 70,000 5.26% 180日

谷垣俊一郎 特別利害関係者など 70,000 5.26% 90日・1.5倍

ジャパンベストレスキューシステム(株) 特別利害関係者など 58,000 4.36% 90日・1.5倍

日本ビズアップ(株) 特別利害関係者など 40,000 3.01% 90日・1.5倍

大山亨 特別利害関係者など 20,000 1.50% 180日

河合寿士 取締役 13,000 0.98% 180日

文山和樹 従業員 12,000 0.90% 180日


 本募集並びに引受人の買取引受による売出しに関連して、売出人かつ貸株人である三橋透、売出人である中島秀浩並びに当社株主(新株予約権者を含む。)である大山亨、河合寿士、笹嶋邦則、八木チエ及び今﨑恭生は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場日(当日を含む)後180日目(2024年4月20日)までの期間、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式(当社新株予約権及び新株予約権の行使により取得した当社普通株式を含む。)の売却等(ただし、引受人の買取引受による売出し及びオーバーアロットメントによる売出しのために当社普通株式を貸し渡しすること等を除く。)を行わない旨を合意しています。

 また、売出人である株式会社ディア・ライフ、株式会社エアトリ、ジャパンベストレスキューシステム株式会社及び日本ビズアップ株式会社並びに当社株主である谷垣俊一郎は主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場日(当日を含む)後90日間(2024年1月21日)までの期間、当社普通株式の売却等(ただし、引受人の買取引受による売出し及び売却価格が「第1 募集要項」における発行価格の1.5倍以上であって、主幹事会社を通じて行う株式会社東京証券取引所で行う売却等を除く。)を行わない旨を合意しています。

【代表者】

代表者名 三橋 透(上場時59歳4カ月)/1964年生

本店所在地 東京都千代田区麹町

設立年 2019年

従業員数 31人 (2023/08/31現在)(平均34.8歳、年収621.1万円)

事業内容 M&Aアドバイザリーサービス

URL https://jpmas.jp/

株主数 8人 (目論見書より)

資本金 91,300,000円 (2023/09/20現在)

1987年04月 株式会社三和銀行(現 株式会社三菱UFJ銀行)入行

2009年06月 フィンテックアセットマネジメント株式会社 取締役就任、12月:フィンテックグローバル株式会社 取締役執行役員 投資銀行本部長 就任

2012年04月 フィンテックアセットマネジメント株式会社 代表取締役社長 就任、6月:三田ばさら株式会社 代表取締役 就任、9月:すし青柳株式会社 代表取締役 就任

2014年02月 岡山建設ホールディングス株式会社 代表取締役就任、3月:ユニハウスホールディングス株式会社(現 株式会社ユニハウス)代表取締役就任、6月:ベターライフサポートホールディングス株式会社 代表取締役 就任、10月:フィンテックアセットマネジメント株式会社 取締役 就任

2015年09月 城南開発株式会社 代表取締役 就任、10月:株式会社ベルス 代表取締役 就任

2016年04月 ベターライフプロパティ株式会社 代表取締役 就任

2018年02月 フィンテックグローバル株式会社 入社、3月:フィンテックM&Aソリューション株式会社 代表取締役 就任

2019年09月 株式会社リエゾン 代表取締役 就任、10月:里村株式会社 代表取締役 就任、11月:当社設立 代表取締役 就任(現任)


【幹事団】

主幹事証券 SBI - -

引受証券 岡三 - -

引受証券 水戸 - -

引受証券 丸三 - -

引受証券 アイザワ - -

引受証券 むさし - -


【参考類似企業】今期予想PER(9/28)

2127 日本M&A 21.7倍 (連結予想)

4792 山田コンサル 12.1倍 (連結予想)

6080 M&Aキャピ 14.3倍 (連結予想)

6196 ストライク 18.1倍 (単独予想)

7076 名南M&A 15.3倍 (単独予想)  売上17億 経常3億 時価28億

7360 オンデック 17.4倍 (単独予想)  売上15億 経常2億 時価26億 

9552 M&A総研H 72.4倍 (連結予想)


【私見】

 流行りのM&A会社の上場で、業種妙味はありますが、直近のM&A総研のようなスケール感はなく、オンデックと名南との比較で良いでしょう。それなりの会社が株主に名を連ね、上場を機に成長性はありそうですが、業績からも2社の時価総額30億までの2000円前半が目先の上限ラインだと予想します。更に1.5倍のロックラインもあるので、2000円を超えればリスクはあるでしょう。


想定価額:1260円

仮条件上限:1340円

初値予想:2500円

ブック申し込み度・・・強気

セカンダリー期待度・・・中立

総合評価:3.5

0 件のコメント:

コメントを投稿