2025年9月29日月曜日

IPO分析(ライオン事務機)

 【事業内容】

(1) 当社グループの事業全体の概要

 文具・事務用品、オフィス家具及び事務機器の製造販売、オフィス環境のデザイン・施工・内装工事、並びにICT機器の文教市場向け販売を主な事業の内容としております。

 商流としては、製造委託先及び仕入先から商品を仕入れ、販売店や異業種の大手パートナー経由又は直接、ユーザーや官公庁・自治体等に販売しております。近年は「オフィスまるごと提案」(※)を進めており、顧客のオフィス移転、レイアウト変更等のニーズを捉え、デザイン・設計から施工まで提案しております。提案にあたっては、LIONブランドの商品を取り扱うメーカー機能のみならず、時流に合わせた商品を取り込んで多様な仕入商品を取り扱う商社機能も活用し、顧客に最適な提案を行っております。

 また、当社は、販売チャネルとして、ECプラットフォーム「ナビリオン(NAVILION)」を有しております。商品の配送、組立、施工は、子会社の株式会社ライオンロジスティクスと外部の配送業者に委託しております。

 海外において、米国子会社のLION OFFICE PRODUCTS, INC.は、アメリカ国内で主に文具を販売しております。台湾子会社の福獅事務機器股份有限公司は、商品や部材を当社や国内外の子会社向けに輸出しております。中国子会社の福獅刅公用品貿易有限公司は、当社や日本国内企業への輸出、及び中国国内での商品販売を行っております。

 事業は、ターゲットチャネル及び組織体制毎を基礎とした、販売店事業、エンタープライズ事業、文教事業の3事業ユニットと、全社横断的な販売チャネルであるECプラットフォーム「ナビリオン(NAVILION)」を通じて販売を行うEC事業の4つの事業ユニットで構成されており、グループ全体としては単一セグメントとなっております。なお、EC事業の売上高は、販売店事業、エンタープライズ事業及び文教事業の中に含まれております。

 

① 幅広いソリューションによる1取引あたりの単価向上

 オフィス家具の販売にとどまらず、電気工事やLED設置など、同業他社が扱いにくい領域までを含めたワンストップソリューションを提供しております。複合的な提案により受注単価が上昇し、営業効率や生産性の向上を実現します。これは、エンドユーザーだけでなく、売上拡大を目指す販売店やパートナー企業にとっても大きなメリットとなります。


② 顧客接点の深耕・長期化による収益の拡大

 単発の販売で終わらせず、「ナビリオン(NAVILION)」を通じた消耗品の継続購入や、次のオフィス改修に向けた提案などを通じて、顧客との接点を維持・拡大します。これにより、顧客との継続的な取引が発生し続ける仕組みを構築しております。課題解決型のアプローチを通じて、顧客のニーズに寄り添いながら、長期的な関係構築を図ってまいります。


 ① 販売店事業

(事業の概要)

 全国の文具やオフィス用品等を取り扱う販売店が主要な顧客であり、文具・事務用品、オフィス家具、事務機器等を販売しております。なお、一部、官公庁等のユーザーに直接販売している取引もあります。


(事業の特徴)

 設立時は文具の取り扱いが主であり、祖業から継続している事業となります。近年IT化により文具・事務用品の取り扱いが少なくなってきた販売店は、オフィス家具、事務機器等に商材を広げており、商社・メーカー両方の機能をもつ当社と長年にわたり事業を続けてきました。当事業の売上は横ばいではあるものの引き続き収益の基盤となっております。販売店に対して、年に一度、約18,000点の商品を掲載した総合カタログを販売・配布して、最新の商品を認知していただいています。


② エンタープライズ事業

(事業の概要)

 文具・事務用品業界とは異なる業種の大手パートナー企業との協業や、法人ユーザーとの直接取引、また、介護・福祉市場、海外市場向けの取引等により、商品(文具・事務用品、オフィス家具、事務機器等)を販売する事業であります。販売店事業(①参照)が横ばい傾向であり、エンタープライズ事業の拡大に力を入れております。


(事業の特徴)

 大塚商会との協業で培ったスキーム、すなわち、協業企業の顧客にオフィス家具等の需要があった場合に共同提案したり顧客の紹介を受けたりする関係を構築することで、安定的な収益獲得が可能となるよう、文具・事務用品業界とは異なる業種の大手パートナー企業との協業を強化しております。また、法人ユーザー顧客の新規開拓を進め、直接販売を行っております。その他、量販店向けメーカーへのOEM供給や、介護・福祉施設、病院医療施設市場への販売、さらには海外市場向けに80か国以上へ主に文具・事務用品を販売しております。


 ③ 文教事業

(事業の概要)

 自治体・教育委員会を通じて、公立の小中学校へICT機器(パソコン、タブレット等)や保守業務等を、主に入札により販売しております。自治体等に直接販売するケース以外に、リース会社等を経由して販売するケースがあります。


(事業の特徴)

 過去には、公立の小中学校にパソコン教室の整備に必要なパソコン、机や椅子、書画カメラ等を多く販売しておりましたが、近年は商材が変化しています。特にコロナ以降、GIGAスクール構想により、生徒1人に1台の端末が必要になり、文教向けICTニーズは急速に顕在化し、タブレットやタブレット充電収納保管庫の販売、それに伴う保守等が増加しました。当社が入札に参加することや、SIerから各学校への端末の調達や設定、その後の保守等を受託することで、受注しております。当社は、長年にわたる文教市場への取り組みによる深い理解を有しており、ヘルプデスクを用意していることや、公立・私立を問わず幅広く現場ニーズを把握し、個別要件に柔軟に対応できることが強みです。当社は、東京都北区・板橋区・大田区、多摩市、横浜市等36自治体をカバーしております。

 定期的なリプレイスニーズを捕捉するとともに、ネットワーク対応等のICTインフラへのニーズ変容を見据え、ICT業務・保守を通じて信頼関係を築いてきた顧客基盤を活かしてSIerやICTベンダーとの協業を図り、新しいICTニーズに対応しております。また、新規顧客の獲得を進めるとの同時に、既存顧客には他事業で取り扱っている商材・サービス等の幅を広げた提案を実施して、事業拡大に努めてまいります。


 ④ EC事業

(事業の概要)

 ECプラットフォーム「ナビリオン(NAVILION)」にて、文具・事務用品、消耗品等を販売しております。

 ナビリオン営業部が、EC事業を促進する営業支援の役割を担っておりますが、上記①から③の各事業におけるターゲットチャネルに対して、横断的に取り組んでおります。


(事業の特徴)

 「ナビリオン(NAVILION)」の仕組みは、株式会社大塚商会の「たのめーる」の仕組みが基盤にあり、当社ライオンブランドの豊富な文具・事務用品に加えて、コピー用紙、トナー、飲料等「たのめーる」で取り扱う多品目にわたるオフィスサプライ品を、顧客に供給するものです。

 OAサプライ、PC周辺機器からお茶やティッシュに至るまでオフィスで購入されるものを幅広く揃え、Webでの取扱商品総数は約450,000点、1年に2回発刊される「ナビリオン・カタログ」の掲載件数は約31,000点で、その内の約2,900点が、当社ライオン事務器ブランドの文具・事務用品で構成されております。

 ECプラットフォーム「ナビリオン(NAVILION)」の強化・普及によって、ストックビジネスを次世代の収益基盤として成長加速させる方針です。当社の「ナビリオン(NAVILION)」の顧客は法人であり、景気動向の影響を比較的受けにくく、年々積み上がっていくビジネスであるため、ストックビジネスと捉えて推進しております。


(2) 製・商品及びサービスの特徴

① 文具・事務用品

 オフィス向けのロングセラー商品をはじめ、環境に配慮した商品等、デザイン性と機能性に優れた多彩なステーショナリーを取り扱っております。

(主な文具・事務用品)

 ファイル、フォルダ、パンチ、ステープラ、デスクマット、各種クリップ、定規、名札・ストラップ、指さっく等


② オフィス家具

 オフィス家具は、オフィス向けに豊富な設計ノウハウと人間工学に基づいた技術力を駆使し、さまざまなワーキングシーンを想定した商品を開発しております。代表的な商品として、2005年に発売したフラッグシップのオフィスチェアー「i-Beetle」があり、現在も継続して販売しております。また、教育施設用家具や医療・福祉施設用家具等、オフィス以外の場所に対応した家具も取り扱っております。


(主なオフィス家具)

 デスク、チェアー、書庫、ロッカー、会議用テーブル、パーティション、個室ブース、教育施設向け家具、福祉施設向け家具等

このうち、書庫、ロッカー、会議用テーブル等を連結子会社の株式会社サンライテックにおいて生産しております。


(オフィス提案の場:プレゼンテーションルーム)

 近年、オフィス家具は単品での販売に加え、ワークスタイルに合わせて空間全体をトータルコーディネートした提案を行っております。2014年10月に東京ショールーム「WORK PALETTE」、2024年12月に大阪プレゼンテーションルーム「soLid LABO(ソリッドラボ)」を開設し、お客様への提案やコミュニケーションの場として活用しております。


③ 事務機器・ICT機器

 事務機器は、オフィス向けにシュレッダー・紙折機等を販売しております。またICT機器は、学校向けにパソコン等を販売するとともに、LAN構築などのICT環境を企画、設計、工事、導入後のサポートまでハードウェアとソフトウェアの両方から支援しております。

 現在のオフィスシーンではリアルタイムでスピーディーな情報共有が求められています。オンラインコミュニケーションを促進するデジタルツールや、ミーティングルームの円滑で効率的な運用を促すICTツールで、業務効率化とコミュニケーションの活性化をサポートします。


(主な事務機器・ICT機器)

 シュレッダー、紙折機、セキュリティ機器、PC、プロジェクター、タブレット充電収納保管庫、電子黒板等


【業績等】

決算期    種別    売上高    営業利益    経常利益    純利益

2025/09    連結3Q累計実績    27,563    942    1,010    689

2025/09    連結会社予想    36,555    1,126    1,212    816

2024/09    連結実績    34,894    1,089    1,168    762

2023/09    連結実績    33,021    1,012    1,110    809


決算期    種別    EPS    BPS    配当

2025/09    連結会社予想    27.35    404.71    5.00


上場時発行済株数    31,369,000株(別に潜在株式2,693,800株)

公開株数    4,906,300株(公募1,500,700株、売り出し2,765,700株、オーバーアロットメント639,900株)

調達資金使途    基幹システムへの投資


PER:7.8

PBR:

配当利回り:2.3%

公募時吸い上げ資金:10.5億

公募時時価:67億

​   

 【株主構成】 

(株)大塚商会    その他の関係会社    12,000,000    36.85% 180日

福井資    元役員    1,372,525    4.22% 180日

福井靖    元役員    1,192,825    3.66% 180日

福井務    元役員    1,098,550    3.37% 180日

(株)みずほ銀行    主要取引金融機関    844,000    2.59% 売出 844,000株

ライオン事務器社員持株会    特別利害関係者など    633,800    1.95% 180日

勝又祐一郎    元従業員    400,500    1.23% 180日

(株)三井住友銀行    主要取引金融機関    390,000    1.20% 売出 390,000株

寺西八    特別利害関係者など    364,150    1.12% 180日

日本生命保険(相)    特別利害関係者など    332,500    1.02%



その他売出し

株式会社三菱UFJ銀行 300,000株

損害保険ジャパン株式会社 250,000株

AIG損害保険株式会社 200,000株

みずほ信託銀行株式会社 150,000株

細野 すみ子 103,000株

大樹生命保険株式会社 100,000株

小松ウオール工業株式会社 100,000株

磯野 春代 90,000株

朝倉 健一 74,200株

山本 志乃布 57,000株

河原 弘 49,000株


 

 本募集並びに引受人の買取引受による売出しに関連して、当社株主かつ貸株人である株式会社大塚商会、売出人かつ当社株主である福井務及び橋爪正生、当社株主かつ新株予約権者である清野宏、鎌田龍雄、島徹、茶谷英二及び当社従業員8名、当社新株予約権者である髙橋俊泰、大庭忠良及び当社従業員2名、並びに当社株主である福井資、福井靖、勝又祐一郎、寺西八、日本生命保険相互会社、ゼネラルホールディングス株式会社、福井夏樹、小野瑞穂、福井麻里、福井繁、福井淳二、福井千賀子、勝又規雄、福井律子、山田隆、三進金属工業株式会社、株式会社ナイキ、ナカバヤシ株式会社、磯田國範、森下泰男、株式会社エーコー、森義隆、田中肇、須坂和晃、勝又政子、酒井康隆、田中等、高谷洋介、株式会社明光商会、株式会社クオリ、新生紙パルプ商事株式会社、株式会社杉村倉庫、ダイシン工業株式会社、トヨセット株式会社、日本紙パルプ商事株式会社、吉川化成株式会社、ライオン事務器社員持株会、ライオン事務器役員持株会及び当社元従業員1名は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後180日目の2026年4月12日までの期間(以下「ロックアップ期間」という。)中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却(ただし、引受人の買取引受による売出し、オーバーアロットメントによる売出しのために当社普通株式を貸し渡すことは除く。)等は行わない旨合意しております。

 また、当社は主幹事会社に対し、ロックアップ期間中は主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の発行、当社普通株式に転換若しくは交換される有価証券の発行または当社普通株式を取得若しくは受領する権利を付与された有価証券の発行(ただし、本募集、株式分割、ストックオプションとしての新株予約権の発行及びオーバーアロットメントによる売出しに関連し、2025年9月5日開催の当社取締役会において決議された主幹事会社を割当先とする第三者割当増資等を除く。)等を行わない旨合意しております。


【代表者】

代表者名    高橋 俊泰(上場時74歳11カ月)/1950年生

本店所在地    大阪府東大阪市長田中(本社:東京都中野区東中野)

設立年    1921年

従業員数    380人 (2025/07/31現在)(平均41.5歳、年収587.4万円)、連結493人

事業内容    文具・事務用品、オフィス家具および事務機器の製造販売、オフィス環境のデザイン・施工・内装工事、ICT(情報通信技術)機器の文教市場向けの販売、ならびにeコマース

URL    https://www.lion-jimuki.co.jp/

株主数    870人 (目論見書より)

資本金    2,677,000,000円 (2025/09/05現在)

代表者生年月日    1950年11月07日生まれ

代表者略歴

1973年03月    株式会社大塚商会入社

2000年07月    同社MRO事業部長

2002年03月    同社取締役就任

2003年07月    同社取締役兼上席執行役員

2006年03月    同社取締役兼常務執行役員

2008年06月    当社取締役就任

2010年03月    株式会社大塚商会取締役兼上席常務執行役員

2011年03月    同社取締役兼専務執行役員


【幹事団】

主幹事証券    みずほ    -    -

引受証券    SBI    -    -

引受証券    岡三    -    -

引受証券    岩井コスモ    -    -

引受証券    楽天    -    -

引受証券    広田    -    -

引受証券    松井    -    -

引受証券    マネックス    -    -

引受証券    丸三    -    -

引受証券    水戸    -    -


【参考類似企業】予想PER(9/22)

3955 イムラ 12.5倍 (連結予想)

6454 マックス 21.5倍 (連結予想)

7846 パイロット 12.5倍 (連結予想)

7957 フジコピア 116.8倍 (連結予想)

7962 キングジム 24.0倍 (連結予想)

7972 イトーキ 15.1倍 (連結予想)

7975 リヒトラブ 16.1倍 (連結予想)

7976 三菱鉛筆 16.9倍 (連結予想)

7984 コクヨ 19.6倍 (連結予想)

7987 ナカバヤシ 9.1倍 (連結予想)

7992 セーラー - (連結予想)

7994 オカムラ 10.0倍 (連結予想)

8057 内田洋 11.6倍 (連結予想)


【私見】

 大塚商会の子会社で、業務提携後からのパートナー企業のようなもので、業種としてはほぼ変わらず、安定性はあるものの成長性ではやや物足りません。業績は安定しており、PERは同業と比べても非常に割安で、最低10~12の評価はしても良いと思います。今回の売出しも金融機関の売出しで、VCなしのロック付きで、低単価であることからも初値段階で買われる可能性は高いです。PER評価で300円をラインに300円から350円までが適正ラインと予想します。


想定価額:209円

仮条件上限:213円

初値予想:300円

ブック申し込み度・・・強気

セカンダリー期待度・・・中立

総合評価:3.5

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