2025年9月19日金曜日

IPO分析(オーバーラップホールディングス)

 【事業内容】

 当社グループは、当社および連結子会社2社で構成され、主にライトノベルやマンガをはじめとしたコンテンツIPを取り扱うエンターテインメント事業を運営しており、持株会社である株式会社オーバーラップホールディングスと事業を担う株式会社オーバーラップと株式会社オーバーラップ・プラスから構成されております。

1.ビジネスモデル
 ゼロから作品を生み出し、その生み出した作品について最適な作品展開(マンガ・ノベル・アニメ・ゲーム・WEBなど)を組み合わせていくことで、ヒット作に結びつけるというものです。
 具体的には、以下の流れに沿って良質なコンテンツIPを生み出しております。
① 小説投稿サイトやSNSを通じて、すでにユーザーの注目があるアマチュア作品の中から優れたコンテンツIPの原石を発掘し、プロの目で編集を行い、ライトノベル作品として刊行します。
② ライトノベル作品の中でヒットした作品を原作として、最適な漫画家を組み合わせることで、新たなマンガ作品として刊行します。マンガ化することにより新たなファン層の開拓を行い、コンテンツIPあたりの売上を高めていきます。
③ マンガ化された作品の中からヒットした作品をアニメ化することによりコンテンツIPの認知度を高め、ライトノベル・マンガ作品への波及効果による売上増加を目指しております。
 ヒットしたコンテンツIPは海外でもライセンス収入を生み出し、国内外のヒット作品としてライフサイクルも長寿化していきます。このように、ライトノベル化等を通じてコンテンツIPを創出し、マンガ化、アニメ化とメディアミックスの段階を経てコンテンツIPの価値を最大化させるよう取り組んでおります。
 また、当社グループは、シリーズ化させることによって長年にわたって収益貢献するコンテンツIPを多く創出しているという特徴があります。シリーズ化したIPについては、継続的に新刊を発売することによる売上に加えて、過年度に刊行した関連商材も売れ続けるという相乗効果も生じることにより、長期間にわたって収益を生み出す基盤となっていることに加え、毎期新たにIPを創出することによって安定的な成長を実現しているというのが、当社グループのビジネスモデルの特徴となります。

2.主要な取扱商品及びレーベル
 ライトノベル、マンガ、アニメなどを通じてコンテンツIPの創出及び価値最大化を図っており、主要な取扱商品及びレーベルは以下のとおりです。なお、当社グループの売上の大部分は、ライトノベル及びマンガの売上によって構成されております。
① ライトノベル(主要レーベルの価格帯は概ね1,000円前後)
 「オーバーラップ文庫」、「オーバーラップノベルス」、及び、「オーバーラップノベルスf」というレーベルより作品を刊行しております。
② マンガ(主要レーベルの価格帯は概ね1,000円未満)
 主力レーベル「コミックガルド」をはじめ、「コミッククリエ」、「LiQulle」、「ラブパルフェ」、及び、「はちみつコミックエッセイ」という複数のレーベルより作品を刊行しております。また、「コミックガルド」については、アプリ等を通じた電子書籍配信サービスも行っております。
③ アニメ
 ライトノベルやマンガの原作の刊行を行っているコンテンツIPに関連するアニメーション作品に関して、原作の許諾や製作委員会への出資など様々な形で関与しており、当社グループは、原作元として受領する原作使用料や、製作委員会からの出資金の分配等を収受いたします。
④ その他
 当社グループが原作IPを創出する作品以外でも、他社が保有する原作IPをもとにした商品の販売を行うことがあります。具体的には、ポケモンのゲーム攻略本やサウンドトラックのCDなどの商品を発売しております。

【業績等】
決算期    種別    売上収益    営業利益    税引き前利益    純利益
2025/08    連結3Q累計実績    6,055    2,093    1,977    1,371
2025/08    連結会社予想    8,601    3,144    2,987    2,060
2024/08    連結実績    8,403    2,151    1,773    1,147
2023/08    連結実績    7,781    1,559    1,281    806

決算期    種別    EPS    BPS    配当
2025/08    連結会社予想    103.00    -    -

上場時発行済株数    20,000,000株(別に潜在株式1,902,800株)
公開株数    9,200,000株(売り出し8,000,000株、オーバーアロットメント1,200,000株)
株式会社小学館・・・取得金額920百万円に相当する株式数を上限として要請を行う予定
株式会社ポケモン・・・取得金額920百万円に相当する株式数を上限として要請を行う予定
計18.4億


売出しを行う地域・・・ 欧州及びアジアを中心とする海外市場(ただし、米国及びカナダを除く。)

PER:16.0
PBR:
配当利回り:
公募時吸い上げ資金:152億
公募時時価:330億

​   

 【株主構成】 以下180日
NIC Fund II Cayman, LP    投資業(ファンド)    3,473,800    15.86%  売出2,315,900
Cerasus Fund II Cayman, LP    投資業(ファンド)    2,923,600    13.35% 売出1,949,100
Wisteria Fund II Cayman, LP    投資業(ファンド)    2,828,000    12.91% 売出1,885,300
Camellia Fund II Cayman, LP    投資業(ファンド)    2,664,800    12.17% 売出1,776,500
(株)小学館    取引先    2,000,000    9.13%
(株)ポケモン    取引先    2,000,000    9.13%
KKN(同)    役員らが議決権の過半数所有    1,200,000    5.48%
永田勝治    代表取締役社長    1,200,000    5.48%
OSK(同)    創業者の資産管理会社    1,000,000    4.57%
岩崎篤史    元取締役    1,000,000    4.57%

●その他売出し
Musa IE 有限責任事業組合 73,200株


 引受人の買取引受による売出しに関連して、売出人かつ貸株人であるNIC Fund II Cayman, LP、Cerasus Fund II Cayman, LP、Wisteria Fund II Cayman, LP、Camellia Fund II Cayman, LP及びMusa IE 有限責任事業組合並びに当社株主(新株予約権の保有者を含む。)である株式会社小学館、株式会社ポケモン、KKN合同会社、永田勝治、OSK合同会社、岩﨑篤史、原田直樹、岸川雄吾、白井勝也、高橋もと子、長峯久子及びその他52名(当社従業員等)は、共同主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後180日目の2026年3月31日までの期間(以下、「ロックアップ期間」という。)中、共同主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却(ただし、引受人の買取引受による売出し、オーバーアロットメントによる売出しのために当社普通株式を貸し渡すこと、グリーンシューオプションの対象となる当社普通株式をみずほ証券株式会社が取得することは除く。)等は行わない旨合意しております。

【代表者】
代表者名    永田 勝治(上場時59歳3カ月)/1966年生
本店所在地    東京都品川区西五反田
設立年    2022年
従業員数    6人 (2025/07/31現在)(平均36.8歳、年収846.3万円)、連結85人
事業内容    ライトノベル・コミック・アニメにおける作品の企画・編集・プロデュース
URL    https://hd.over-lap.co.jp/
株主数    11人 (目論見書より)
資本金    10,000,000円 (2025/08/28現在)
代表者生年月日    1966年06月18日生まれ
代表者略歴
1989年04月    株式会社リクルート入社
1996年04月    株式会社メディアファクトリー入社
2012年02月    株式会社オーバーラップ入社 代表取締役社長(現任)
2021年03月    株式会社オーバーラップ・プラス代表取締役
2022年07月    株式会社オーバーラップホールディングス(現当社)代表取締役社長(現任)
2023年11月    株式会社オーバーラップ・プラス取締役(現任)

【幹事団】
主幹事証券    みずほ    -    -
主幹事証券    三菱UFJモルガン・スタンレー    -    -
主幹事証券    モルガン・スタンレーMUFG    -    -
引受証券    SMBC日興    -    -
引受証券    SBI    -    -
引受証券    大和    -    -
引受証券    野村    -    -
引受証券    マネックス    -    -
引受証券    楽天    -    -

【参考類似企業】今期予想PER(9/2)
3641 パピレス 34.8倍 (連結予想)
3678 メディアドゥ 14.4倍 (連結予想)
3981 ビーグリー 11.2倍 (連結予想)
4424 Amazia - (連結予想)
7849 スターツ出版 9.7倍 (単独予想)
9467 アルファポリス 18.3倍 (単独予想)
9468 KADOKAWA 43.5倍 (連結予想)
9684 スクエニHD 42.7倍 (連結予想)

【私見】
 ライトノベルやマンガばどのコンテンツIPの会社で、ポケモンが株主で親引けもあり、海外からの評価もされる銘柄ではあると思います。しかし、海外ファンドの売出し案件で、不透明な部分も多い銘柄でもあります。のれんが、76億ほどと無形固定資産と合わせると資産の60%ほどを占めており、更に金融機関との借入条項にも特約が付いており、財務面では非常に不安です。売上は微増ながら、前期から無形固定資産の一時償却がなくなり、大幅な利益となっていことも評価は下がります。PERからは割安感はなく、コンテンツ系なので当たりが出れば、上記不安は一掃され問題はないのですが、現時点では予想はしずらく、親引けを引いた吸収金額も100億超えており、初値段階では静かなスタートが予想されます。金子眼鏡なども財務面の不安はありながら、アフターで上がった経緯もあり、材料が出てから買いでも良いと思っております。


想定価額:1600円
仮条件上限:1650円
初値予想:1650円
ブック申し込み度・・・中立
セカンダリー期待度・・・中立
総合評価:3

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