2025年10月10日金曜日

IPO分析(サイバーソリューションズ)

 【事業内容】

(1)サービス概要

 デジタルコミュニケーション&サイバーセキュリティ事業の単一セグメントでありますが、サービスの特徴から、メールの無害化、脅威防御、情報漏洩対策などと関連するセキュリティ、リスクマネジメントの製品・サービスの企画・販売事業を行うセキュリティソリューション事業、及びビジネスコミュニケーション(メール・ビジネスチャット・グループウェア)に関連する製品・サービスの企画・販売事業を行うコミュニケーションソリューション事業の2つの事業に区分しております。

・セキュリティソリューション事業

 メールセキュリティ「Cloud Mail SECURITYSUITE」、「MailGates」、「CyberMail-ST」、「Cybermail-CDR」、メッセージングアーカイブ「Enterprize Audit」といったメールセキュリティの製品・サービスの企画・販売

・コミュニケーションソリューション事業

 メールサービス「CyberMail」「CYBERMAILΣ」(注)、ビジネスチャット「CYBERCHAT」、セカンダリメール「EMERGENCYMAIL」、クラウドストレージサービス「SecureDrive」、クラウドグループウェアサービス「SecureBoard」、統合コラボレーションサービス「SecureCommunicationONE」(注)といったビジネスコミュニケーション製品・サービスの企画・販売

(2)ビジネスモデルの特徴

 当社のビジネスモデルの特徴としては、①ファブレス経営、②ハイブリッド経営、③No.3論理に基づく日本No.1戦略、の3つがあります。

①ファブレス経営

 創業時より「ファブレス経営」を掲げ、製品・サービスの企画、開発、検証、販売、サポートの中で、製品開発(カスタマイズ開発は除く)を自社では行わず、提携する会社に委託する体制を構築することで、固定費の抑制を図っております。製品開発に係る対価については、売上高に連動した一定率で設定しており、また、海外の提携会社に対しても円建てで決済する契約としていることから、原価のコントロールが容易となり、高い利益率を確保できる事業構造を実現しております。

②ハイブリッド経営

 コミュニケーションソリューション事業の対象となるメールサービス等の市場は、大きな成長は見込まれないものの、縮小傾向も見られない成熟した市場領域であり、開発人材の確保が困難であることから新規参入もなく、同業他社の撤退も進んでいることから、当社は安定的な収益基盤および残存者利益を確保しております。一方、セキュリティソリューション事業の対象となるメールセキュリティやリスクマネジメント等の市場は、成長性の高い市場領域となっております。当社は、これら2つの事業を組み合わせた「ハイブリッド経営」を推進することで、売上高の成長と収益性の確保の両立を図っております。

③No.3論理に基づく日本No.1戦略

 「No.3論理に基づく日本No.1戦略」を掲げ、当社がターゲットとしているメールサービス等のコミュニケーションソリューション事業領域において、ニッチ戦略により業界トッププレイヤーとの直接的な競争を回避し、価格優位性の確保を図っております。具体的には、業界大手がクラウドサービスを中心としたサービス展開をしている中、当社はクラウドサービスに加えてパッケージソフトウェアも提供しており、更には顧客の要望に応じた柔軟なカスタマイズにも対応可能な体制を整えております。また、業界大手がメール、チャット、Web会議、ストレージ等をオールインワンパッケージとして提供しているのに対し、当社は分野ごとに最適な他社製品を選定し、組み合わせて提供することで差別化を図っております。このように、同業他社が行わないサービスを提供する戦略により、価格競争に陥らず、顧客がスイッチしづらい構造を確立し、継続的な取引関係を構築できているものと考えております。


 以上のビジネスモデルの特徴により、当社の売上高は、月額利用料を主とするサブスクリプション形式が大半を占めております。また、主要な売上高であるクラウドサービスの実質解約率は0%以下、つまり解約金額を既存顧客へのクロスセルやアップセルによる売上高の増加が上回るネガティブチャーンの状況となっており、安定的なストックビジネスを実現しております。


【業績等】

決算期 種別 売上高 営業利益 税引き前利益 純利益

2026/04 単独1Q実績 875 364 362 258

2026/04 単独会社予想 3,566 1,492 1,484 1,000

2025/04 単独実績 3,126 1,232 1,216 902

2024/04 連結実績 2,748 916 872 589


決算期 種別 EPS BPS 配当

2026/04 単独会社予想 64.97 284.79 32.00


上場時発行済株数 15,782,050株(別に潜在株式1,413,100株)

公開株数 3,077,600株(公募781,900株、売り出し1,894,300株、オーバーアロットメント401,400株)

調達資金使途 設備投資、人件費・採用費


(親引け先)

株式会社TKC 23,400株を上限として要請を行う予定であります。 約3200万



PER:21.2

PBR:

配当利回り:2.3%

公募時吸い上げ資金:42.5億

公募時時価:218億

​   

 【株主構成】 以下180日

林界宏 代表取締役社長 7,949,990 48.43%  売出601,800

林盈穎 代表取締役の血族 1,893,000 11.53% 

林盈貝 代表取締役の血族 1,893,000 11.53%

ACAセカンダリーズ1号投組 投資業(ファンド) 765,150 4.66% 売出382,500

東明浩 特別利害関係者など 735,000 4.47% 売出585,000

Openfind IT,Inc 取引先 714,000 4.35%

(株)TKC 資本業務提携先 450,005 2.74%

(株)日立システムズ 資本業務提携先 450,005 2.74%

土谷祐三郎 執行役員 172,000 1.04%

廖長健 取締役 44,000 0.26%


(その他売出し)

林 盈貝150,000株

林 盈穎150,000株

土谷 祐三郎25,000株


 本募集並びに引受人の買取引受による売出しに関連して、売出人かつ貸株人である林界宏、売出人である林盈貝、林盈穎、ACAセカンダリーズ1号投資事業有限責任組合、東明浩及び土谷祐三郎、並びに当社の株主であるOpenfind Information Technology,Inc.、株式会社TKC及び株式会社日立システムズは、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場日(当日を含む)後180日目の日(2026年4月20日)までの期間(以下、「ロックアップ期間」という。)、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却等(ただし、引受人の買取引受による売出し、グリーンシューオプションの対象となる当社普通株式を主幹事会社が取得すること等を除く。)を行わない旨を合意しております。

 また、当社は主幹事会社に対し、ロックアップ期間中は主幹事会社の事前の書面による同意なしに、当社普通株式の発行、当社普通株式に転換もしくは交換される有価証券の発行又は当社普通株式を取得もしくは受領する権利を付与された有価証券の発行等(ただし、本募集、グリーンシューオプション、株式分割及びストックオプション又は譲渡制限付株式報酬(ロックアップ期間中に行使又は譲渡されないものであり、かつロックアップ期間中における発行等の累計による潜在株式ベースの希薄化率が1%を超えないものに限る)にかかわる発行等を除く。)を行わない旨合意しております。


【代表者】

代表者名 林 界宏(上場時67歳7カ月)/1958年生

本店所在地 東京都港区芝浦

設立年 2022年

従業員数 67人 (2025/08/31現在)(平均39.6歳、年収841.1万円)

事業内容 デジタルコミュニケーション&サイバーセキュリティー事業(メール・ビジネスチャット・グループウエアなどのビジネスコミュニケーションサービスおよびメールに関連するセキュリティー、リスクマネジメントなどのサービスの企画・開発・販売・サポート)

URL https://www.cybersolutions.co.jp/

株主数 9人 (目論見書より)

資本金 100,000,000円 (2025/09/18現在)



【幹事団】

主幹事証券 大和 - -

引受証券 丸三 - -

引受証券 SBI - -

引受証券 岩井コスモ - -

引受証券 岡三 - -

引受証券 マネックス - -

引受証券 楽天 - -

引受証券 あかつき - -

引受証券 SMBC日興 - -

引受証券 東海東京 - -

引受証券 松井 - -

引受証券 広田 - -


【参考類似企業】今期予想PER(9/25)

173A ハンモック 11.0倍 (単独予想)

2326 デジアーツ 24.7倍 (連結予想)

3682 エンカレッジ 19.2倍 (単独予想)

3692 FFRI 85.2倍 (連結予想)

4258 網屋 60.3倍 (連結予想)

4288 アズジェント 39.1倍 (単独予想)

4344 ソースネクスト - (連結予想)

4448 kubell - (連結予想)

4476 AICROSS 32.2倍 (連結予想)

4704 トレンド 36.3倍 (連結予想)


【私見】

 デジタルコミュニケーション&サイバーセキュリティ事業という二事業で、人気のセキュリティ関連ですので業種妙味はあります。ストック収入中心で、安定感はあるものの、大きな成長性は感じず、PERからも同業種が25~35のレンジなので大きな上値はないのかと思います。ロックもかかっており、売られる心配はないのですが、規模もそこそこ大きいことから1500円~2000円が落ち着きどころと予想します。


想定価額:1380円

仮条件上限:1380円

初値予想:1800円

ブック申し込み度・・・やや強気

セカンダリー期待度・・・中立

総合評価:3.5

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