【事業内容】
(1)当社グループの概況
「決済から、きのうの不可能を可能にする。」をミッションとして掲げ、消費者向け(BtoC)から事業者間(BtoB)まで、あらゆる産業の事業者や金融機関に決済・金融機能を実装することにより、経済活動の変革を支える「決済イネーブラー」として事業を展開しております。
大手金融機関から新たにフィンテック市場に参入する新興企業まで、あらゆる事業者のフィンテック・パートナーとして、次世代型の決済システムを中心とした金融サービスを機能単位で柔軟に利用するためのプラットフォームを提供するとともに、当社プラットフォームの導入支援を含む決済・金融領域全般に関するコンサルティングサービスを提供しております。これまで国内の金融機関や大手企業で用いられてきた決済・金融基盤よりも柔軟性が高くコスト効率に優れた次世代型のインフラ提供者として、決済・金融領域を起点に、従来よりも効率的で利便性の高い社会の実現に貢献することを目指しております。
当社グループが事業を展開する決済・金融領域では、コロナ禍に端を発した社会構造の変革やデジタル化・キャッシュレス化の潮流により、これまで以上に手軽で利便性の高いサービスを求めるエンドユーザーのニーズが急速に高まっており、金融機関や事業会社は、多様化・複雑化が進む社会のニーズに迅速かつ柔軟に適合することが求められております。また、国策による電子帳簿保存法の改正、インボイス制度開始のほか、近年のAI技術のめざましい発展によって企業のバックオフィス業務は定常業務の省力化やペーパーレス化をはじめとした効率化が急速に進んでおり、これらを実現する業務プロセス自体のデジタル化に対応した決済手段の整備が急務となっております。
創業以来、このような事業者の課題解決に向けて、決済手段の多様化や効率化を実現するプラットフォームの拡充に取り組んでまいりました。当社グループが提供するプラットフォームはクラウド上で構築されており、多様な外部システムと連携可能な拡張性に加えて、初期導入時及びメンテナンスにおけるコストメリットを有するという特徴があります。これにより現在では、消費者向け決済及び事業者間決済の双方にプラットフォームを提供する総合型の決済イネーブラーとしての事業基盤を築いております。
2024年8月には、事業者間決済領域において、事業者の経営改革やデジタル・トランスフォーメーション(以下、「DX」という。)を総合的に支援するプラットフォームの構築を目指し、株式会社三井住友銀行及び三井住友カード株式会社(以下、総称して「SMBCグループ」という。)との資本業務提携契約を締結し、2025年4月には、SMBCグループが提供する法人向けデジタル総合金融サービス「Trunk(トランク)」の開発への参画を発表いたしました。当社グループは、SMBCグループへの決済領域における専門的なナレッジ及びノウハウの提供のほか、AIを活用した先進的な決済基盤の開発を担うとともに、当社グループが持つ次世代カード発行プラットフォーム及び請求書支払いプラットフォームをSMBCグループの法人カードとシームレスに融合することで、決済・金融の枠にとどまらないソリューションを提供するなど、企業の経営を多角的に支援するプラットフォームの構築に取り組んでおります。
当社グループは、重厚なシステムを基盤に拡大してきた日本の決済・金融業界を変革し得る、優れた拡張性や連携性を有する軽量な決済プラットフォームを提供することで成長を続けてまいりました。あらゆる事業者を支える決済イネーブラーとして、日本全体の産業・サービスの競争力向上に貢献してまいります。
① ペイメントプラットフォーム事業
・国際ブランドカード発行プラットフォーム
・請求書のカード支払いプラットフォーム
・金融機関や大手企業におけるオリジナルPayを はじめとした自社決済手段構築プラットフォーム
② マーチャントプラットフォーム事業
・加盟店とカード会社等とを接続するための決済端末、
決済アプリ、ゲートウェイの提供プラットフォーム
③ コンサルティング事業
・金融機関や大手企業に対する決済・金融領域における
コンサルティングサービス
(2)事業及びサービスの概要
事業持株会社である当社が中心となり、グループシナジーを追求しながら各事業を展開しております。各事業の内容は以下のとおりであります。
① ペイメントプラットフォーム事業
金融機関や事業者のサービスに、クラウド上で構築された当社グループの決済・金融ソリューションをAPIで接続し、機能を組み込むことにより、各社サービスへクレジットカード発行機能や、アプリへのキャッシュレス決済機能の搭載など、先進的な組込型のファイナンス機能をオープンプラットフォーム上で提供しております。
(ⅰ)Wallet Station
「Wallet Station」は、金融機関自身のデジタル化やリテール企業におけるオリジナルPayをはじめとした自社決済手段の構築をサポートするためのプラットフォームを提供しております。金融機関においてはWallet Stationを活用することで、自身のデジタル化のみに留まらず、金融機関の顧客である事業会社、系列金融機関などに対するウォレット機能を提供することができます。また、導入企業は、二次元コード決済や個人間送金のみならず、会員管理からクーポンやポイントの発行まで行うことができるため、Wallet Stationを通じて自社の顧客経済圏を構築することが可能となります。
(ⅱ)Xard
「Xard」は、フィンテック企業、金融機関、SaaS事業者、WEBサービス事業者など、国際ブランドカードの発行ニーズがある法人顧客に対して、自社オリジナルの国際ブランドカード発行の基盤となるプラットフォームを提供しております。国際ブランドカードの発行においては、カード発行ライセンスの取得、プリペイドバリューとしてチャージされた残高の管理や明細照会、カード発行や決済に関わるミッションクリティカルなシステムプロセシング等、必要となるプロセスが多岐にわたりますが、Xardが提供する様々なAPI機能を導入企業のサービスに組み込むことにより、国際ブランドカード発行プロセスに掛かる一連のプロセスやコストを大きく低減させることができます。
(ⅲ)Winvoice
「Winvoice」は、法人間における請求書払いのクレジットカード決済を実現するために必要な業務プロセス、システムをワンストップで提供する請求書支払いプラットフォームを提供しております。導入企業は、経費精算や会計システムをはじめとした提供サービスに、Winvoiceを利用して機能を拡張することで低価格かつ迅速に請求書カード払いサービスを提供することができます。また、Winvoiceの利用企業は、請求書をクレジットカードにより支払うことによって、30日間から60日間支払いサイクルを延長できるほか、請求書をデジタルプラットフォーム上で一元管理することにより、請求書管理に要する業務負担を軽減することが可能となります。
② マーチャントプラットフォーム事業
キャッシュレス社会の拡大に必要不可欠な要素である店舗のキャッシュレス化・デジタル化を推進するためのプラットフォームを展開しております。具体的には、あらゆるキャッシュレス手段を単一デバイスで解決するマルチ決済機能に加えて、継続課金業務や店頭オペレーションのデジタル化を実現する端末の提供、加盟店におけるキャッシュレス決済の処理等を行うアクワイアリングシステムの開発、運営などを行っております。
マーチャントプラットフォーム事業の主要プロダクトである「Anywhere」は、加盟店とカード会社等を接続するために必要な決済端末、決済アプリ、ゲートウェイまでをワンストップで提供しております。Anywhereには、加盟店のタブレットやスマートフォンと組み合わせて決済端末化する簡易型決済端末(mPOS)と、単体で利用可能な決済専用端末(EFT-POS)があり、加盟店の業種・業態・規模に応じて最適な決済端末を選択できるラインナップを揃えております。2025年8月時点において、国内で利用されるキャッシュレス決済手段39種に対応しており、POSレジ、顧客管理、予算管理といった他のAndroidアプリを搭載することで、加盟店のオペレーションを効率化する業務端末となっております。また、アプリなどフロントエンドシステムの開発のみならず、決済情報処理センターなどバックエンドシステムの開発及び24時間365日対応のヘルプデスクも含めて運用を行い、加盟店向けに安心・安全な決済処理サービスを提供しております。
2025年3月末現在、保険業界における保険外交員の決済端末やタクシーの車載タブレット用の端末等への導入が進んでおり、当社決済情報処理センター接続の稼働決済端末ID数は16万件以上となっております。
③ コンサルティング事業
創業以来、金融機関や大手企業に対する決済・金融領域におけるコンサルティングサービスを提供しております。決済・金融領域と先端テクノロジーに精通した事業開発のプロフェッショナルチームにより、新規事業開発時の課題抽出から企画立案、実行までの各フェーズにおける支援を行うとともに、金融機関や大手企業と共創して社会のデジタル化の推進に取り組んでおります。また、コンサルティングサービスを起点として、ペイメントプラットフォーム事業及びマーチャントプラットフォーム事業で提供するプロダクトの導入に繋がる入口としても機能するなど、コンサルティングとプロダクト間におけるグループシナジーを発揮しております。
(3)売上高の区分
当社グループの売上高は、サービス導入時や決済端末の販売に伴って受け取る「フロー収入」、固定額を定期的に受け取る月額基本料、及び決済処理金額等に応じて課金される従量型の収入で構成される「ストック収入」、コンサルティングサービスの対価として受け取る「コンサルティング収入」に区分されます。
2025年3月期時点で、フロー収入が連結売上高の約47%を占めておりますが、今後の業績成長を牽引するペイメントプラットフォーム事業において提供する各プロダクトは決済処理金額等の増加に伴いストック収入の割合が逓増する収益構造であるため、業容の拡大に伴う継続的な収益成長を見込んでおります。
コンサルティング収入は、80%以上が既存顧客からの12か月以内の継続的な受注に起因する売上となっており、ストック収入とあわせて、当社グループにおける安定的な収益基盤として位置付けております。
【業績等】
決算期 種別 売上高 営業利益 経常利益 純利益
2026/03 連結1Q実績 1,992 45 37 230
2026/03 連結会社予想 9,000 180 80 200
2025/03 連結実績 7,174 143 107 74
2024/03 連結実績 5,836 -528 -598 -557
決算期 種別 EPS BPS 配当
2026/03 連結会社予想 10.25 241.43 0.00
上場時発行済株数 20,369,600株(別に潜在株式2,918,400株)
公開株数 6,954,500株(公募1,700,000株、売り出し4,347,400株、オーバーアロットメント907,100株)
調達資金使途 プロダクト開発や機能強化、人材採用の強化、借入金の返済
PER:156
PBR:
配当利回り:
公募時吸い上げ資金:111億
公募時時価:326億
【株主構成】
三井住友カード(株) 資本業務提携先 2,703,600 12.52% 360日
(株)三井住友銀行 資本業務提携先 2,703,200 12.52% 360日
丸山弘毅 代表取締役社長CEOなど 2,431,200 11.26% 360日
来田武則 取締役執行役員副社長COOなど 2,131,600 9.87% 360日
神沢順 元取締役 1,761,600 8.16% 売出1,265,500 180日
Minerva Growth Partners 投資業(ファンド) 1,219,200 5.65% 売出243,900 120日・2倍
FinTechビジネスイノベーション投組 投資業(ファンド) 1,050,000 4.86% 90日・1.5倍
(株)りそな銀行 特別利害関係者など 736,800 3.41%
JPインベストメント1号投組 投資業(ファンド) 713,200 3.30% 売出713,200
NTTドコモビジネス(株) 特別利害関係者など 516,000 2.39% 売出516,000
(その他売出し)
FinTechビジネスイノベーション投資事業有限責任組合 525,000株
Pleiad-Minerva Japan Growth Opportunities L.P. 243,900
三菱UFJイノベーション・パートナーズ2号投資事業組合 240,000株
株式会社ジェーシービー 154,000株
来田 武則 128,500株
本募集並びに引受人の買取引受による売出しに関連して、売出人かつ貸株人である丸山弘毅及び来田武則並びに当社株主である三井住友カード株式会社、株式会社三井住友銀行、SBI Ventures Two株式会社、QR2号ファンド投資事業有限責任組合、GMOペイメントゲートウェイ株式会社、BIPROGY株式会社及び株式会社JR西日本イノベーションズは、共同主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後360日目の2026年10月18日までの期間中、共同主幹事会社の書面による事前の同意なしには、当社株式の売却等(ただし、引受人の買取引受による売出し、オーバーアロットメントによる売出しのために当社普通株式を貸し渡すこと、グリーンシューオプションの対象となる当社普通株式を株式会社SBI証券が取得すること等は除く。)は行わない旨合意しております。
また、売出人かつ貸株人である神澤順、貸株人である株式会社サードストーリー、売出人である株式会社ジェーシービー並びに当社株主(新株予約権者を含む)であるインフキュリオン従業員持株会、髙木一輝、株式会社NTTデータ、長迫亮、重富隆介、富岡圭、齊藤篤史、嶋田裕太及び当社新株予約権者49名は、共同主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後180日目の2026年4月21日までの期間中、共同主幹事会社の書面による事前の同意なしには、当社株式の売却等(ただし、引受人の買取引受による売出し、オーバーアロットメントによる売出しのために当社普通株式を貸し渡すこと、グリーンシューオプションの対象となる当社普通株式を株式会社SBI証券が取得すること等は除く。)は行わない旨合意しております。
加えて、売出人であるPleiad-Minerva Japan Growth Opportunities L.P.は、共同主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後120日目の2026年2月20日までの期間中、共同主幹事会社の書面による事前の同意なしには、当社株式の売却等(ただし、引受人の買取引受による売出し及び売却価格が「第1 募集要項」における発行価格の2倍以上であって、株式会社SBI証券を通じて行う株式会社東京証券取引所で行う売却等を除く。)は行わない旨合意しております。
更に、売出人であるFinTechビジネスイノベーション投資事業有限責任組合、三菱UFJキャピタル6号投資事業有限責任組合、みずほ成長支援第4号投資事業有限責任組合、株式会社マネーフォワード、静岡キャピタル9号投資事業有限責任組合及び株式会社S Venturesは、共同主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後90日目の2026年1月21日までの期間中、共同主幹事会社の書面による事前の同意なしには、当社株式の売却等(ただし、引受人の買取引受による売出し及び売却価格が「第1 募集要項」における発行価格の1.5倍以上であって、株式会社SBI証券を通じて行う株式会社東京証券取引所で行う売却等を除く。)は行わない旨合意しております。
【代表者】
代表者名 丸山 弘毅(上場時48歳11カ月)/1976年生
本店所在地 東京都千代田区麹町
設立年 2006年
従業員数 234人 (2025/08/31現在)(平均36.4歳、年収701.6万円)、連結358人
事業内容 さまざまな産業・企業のフィンテック・パートナーとして、決済全域をカバーする組み込み型の金融・決済基盤の開発・提供および関連コンサルティングの提供
URL https://infcurion.com/
株主数 31人 (目論見書より)
資本金 100,000,000円 (2025/09/19現在)
【幹事団】
主幹事証券 SBI - -
主幹事証券 JPモルガン - -
引受証券 SMBC日興 - -
引受証券 三菱UFJモルガン・スタンレー - -
引受証券 野村 - -
引受証券 マネックス - -
引受証券 水戸 - -
引受証券 楽天 - -
引受証券 岩井コスモ - -
引受証券 岡三 - -
引受証券 Jトラストグローバル - -
【参考類似企業】今期予想PER(9/30)
3626 TIS 22.4倍 (連結予想)
3753 フライト 34.3倍 (単独予想)
3769 GMOPG 33.6倍 (連結予想)
4015 ペイクラウド 26.1倍 (連結予想)
4051 GMO-FG 34.1倍 (連結予想)
4073 ジィ・シィ企 29.2倍 (単独予想)
4431 スマレジ 30.8倍 (連結予想)
5258 TMN 41.1倍 (連結予想)
5590 ネットスターズ 109.0倍 (連結予想)
【私見】
決済関連のフィンティング銘柄で、三井住友カードと提携し、業種妙味はあります。前期黒字化、成長性はありますが、SBI主幹事で規模も大きく上も下もある銘柄です。業績は前期黒字化し、PERからは非常に高いですが、PSRの判断となると3.3倍ほどで、近い業種のネットスターズが4.5倍ほど(時価220億・売上48億)と400億までは評価できます。ロックも主要ベンチャーにはかかっており心配はないと思いますが、吸収金額が100億超えと買い需要があるかは微妙なところです。仮条件も上がり、黒字体質ということから公募は若干上回ると予想します。
想定価額:1540円
仮条件上限:1600円
初値予想:1700円
ブック申し込み度・・・中立~やや強気
セカンダリー期待度・・・中立
総合評価:3.5
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