2022年11月28日月曜日

IPO分析(property technologies)

【事業内容】

​ 主力商品は、リノベーション済中古区分所有マンションであり、株式会社ホームネットが北海道から沖縄まで主要都市部で販売しています。また山口県と秋田県では株式会社ファーストホーム、株式会社サンコーホームが地元有数の施工会社として新築戸建の請負を行っております。

 各地域の住宅事情にあった住宅供給を行うことをコンセプトとした展開に加え、住まい・住み替えに関わる主なプロセス、すなわち住宅購入・売却以外の住宅リフォーム・リノベーション、不動産賃貸等のサービスも提供しております。

 また、当社グループは中古住宅再生および戸建住宅を取り扱うリアル(実取引)を通じて蓄積してきた不動産情報のデータベースを有しており、当社グループが全国に展開する拠点の先にある仲介会社ネットワークを介した情報の受け渡しとテクノロジーとしてのAI査定やポータルサイトの機能をも有している『KAITRY』にて直接一般顧客と情報の受け渡しを行うことで幅広い不動産情報を取り扱っております。

 

(1) 不動産供給の状況

1.中古住宅再生

 株式会社ホームネットの全国9拠点(2021年11月末現在/11拠点:2022年8月末現在)で中古区分所有マンションを仕入れ、リノベーションを施した上で販売しております。取扱い物件はファミリー実需向けでマーケットが一番広い30、40歳代の一次取得者をターゲットとしております。全国拠点において地元の売主、買主、仲介会社、リノベーション工事業者と取引しており、また、仕入資金については同社が各拠点の地元金融機関から調達しております。

 

2.戸建住宅

 戸建住宅は株式会社ファーストホーム(山口県に7拠点)及び株式会社サンコーホーム(秋田県に4拠点)において、主に新築戸建住宅を扱っております。両社ともに顧客要望に応じた注文住宅の請負建築を得意として地元に根ざした事業展開を行っており、株式会社ファーストホーム約2,500棟、株式会社サンコーホーム約2,500棟、累計約5,000棟の引渡し実績があります。

 

(2) プラットフォームを活用した事業展開について

 主力商品である中古区分所有マンションの取引に関しては、「リアル(住まい)×テクノロジー」で多くの不動産情報を授受し実取引に結び付ける事業モデルを構築しております。


1.リアル(実取引)実績件数

① 販売・査定実績

 2021年11月末時点で株式会社ホームネットが販売した中古区分所有マンション数は累計約4,000件あります。また、2021年11月期に年間約1,000件の中古区分所有マンションの仕入契約を行っていますが、その過程では17,000件以上の価格査定を行っております。これらリアル(実取引)に基づく実績データベースが構築できております。


② 取引ネットワーク

 北海道から沖縄におよび主要都市をカバーしております。更に各拠点合計で不動産仲介会社約2,000社、仲介会社拠点約4,200拠点、仲介会社営業員数約9,500人(それぞれ2021年11月末時点の下記「ホームネットシステム」に登録された社数・人数)と繋がっており、顧客との接点となっております。


2.テクノロジーと事業展開

① テクノロジー

当社グループは以下のようなテクノロジーを保有・活用しております。

・AI査定

(2020年9月より社内査定検証開始、2021年7月より外部向け査定サービス開始)

PriceHubble社が人口動態や住環境等のビッグデータを用いて算出する査定価格に当社グループが保有するリアルの査定実績を掛け合わせることで査定精度を高めた当社グループ独自のAI査定機能となります。


・物件管理システム

(2019年4月より運用開始)

 独自開発した株式会社ホームネットで使用している物件管理システム「ホームネットシステム」とは、社内向けに物件仕入から売却までをデジタル化した社内DXであり、具体的には「物件概要」「物件設備」「事業計画」「購入/在庫」「販売開始計画」「営業活動」「案内」「販売最終計画」「売却」という各ページに必要項目を入力することで物件そのものの情報や、情報提供を受けた仲介会社のデータを保管し後の案件捕捉に活用しつつ、進行中の保有物件を見える化し物件回転を促進しております。


・仲介会社支援システム(KAITRY PRO)

(2013年10月のHP上での物件公開システムの公開以降更新運用中)

 当社グループが保有する物件を取引のきっかけに活用する仲介会社に対してホームネットのHPより販売マイソク図面(物件の概要・間取り図・契約関連情報などを纏めた資料)等情報入手の仕組みを提供しております。また、仲介会社の顧客に対して物件関連情報(査定価格、市場動向、周辺環境、近隣物件等)を提供できる機能も備えております。


② プラットフォームで提供するビジネス

 上記1.①,②、2.①の経営資源を有機的に結び付けることで差別化を図り事業展開しており、これら機能の連携を一体のプラットフォームと捉えております。プラットフォームの特徴として、AI査定の活用と社内DXの推進による効率性を追求しており、提案のスピードと質で物件仕入を伸ばしております。

 具体的には、従来の査定方法では、物件情報に対する仕入価格提案を行うにあたって、過去の売買事例や周辺環境、周辺開発計画などの調査に数時間要していたものを、必要情報をデータベースから取込みAIで瞬時に査定できる体制に転換しております。この当社グループのAI査定では、過去に行ったリアルの査定実績を掛け合わせることで、培ってきた経験値を損なうことなく査定結果に反映しております。仲介会社に対して従来と変わらない精度の価格査定を短時間でお返しすることで、仲介会社の先にいらっしゃる売主顧客の取引を促し、当社グループの仕入に繋げております。

 社内DXとしては、査定の省力化以外にも、仲介会社へ提案する物件関連情報を導出できる仲介会社支援システムの整備、仕入れた後のリノベーションから販売までの工程を見える化し適切に管理する物件管理システムの開発などにより、マンパワーをより付加価値の高い提案営業に振り向けております。こうして整えた営業体制で、全国拠点の取引ネットワークから幅広い不動産情報を得て、取引を拡大しております。

 これら仲介会社を経由するビジネスに加えて、2021年7月にリリースしたポータルサイト『KAITRY』では一般顧客から直接価格査定や売却相談を受け付け、当社グループで買取りを行うiBuyer機能を提供しております。

 このように、プラットフォームを活用して(a)取引ネットワークを介した売買と(b)直接仕入(iBuyer)という2つの取引ルートを備えたビジネス展開を図っています。

 なお、2022年8月末現在で、当該プラットフォームは一部戸建住宅に関する情報収集も行っておりますが、主に中古住宅再生において活用しております。


【業績等】決算期 種別 売上高 営業利益 経常利益 純利益

2022/11 連結3Q累計実績 26,469 1,494 1,413 850

2022/11 連結会社予想 37,291 2,205 2,077 1,389

2021/11 連結実績 29,543 1,688 1,593 1,034

2020/11 連結実績 26,463 1,043 909 514


決算期 種別 EPS BPS 配当

2022/11 連結会社予想 389.75 1,416.56 0.00


上場時発行済株数 4,074,151株(別に潜在株式282,390株)

公開株数 856,700株(公募360,000株、売り出し385,000株、オーバーアロットメント111,700株)

調達資金使途 増員関連費用、広告宣伝費用


PER:7.5

PBR:

配当利回り:

公募時吸い上げ資金:25億

公募時時価:118億

​   

【株主構成】 

浜中雄大 代表取締役社長 3,054,000 76.42% 180日

J-GIA1号投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 740,311 18.52% 180日

みずほ成長支援投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 30,000 0.75%

高橋正哉 子会社の従業員 25,500 0.64% 180日

杉浦潤一 取締役 22,500 0.56% 180日

田井昇 取締役 22,500 0.56% 180日

水野治 取締役 14,610 0.37% 180日

松岡耕平 取締役 14,610 0.37% 180日

下村貴之 外部協力者 14,610 0.37% 180日

樋口勝弘 子会社の従業員 7,800 0.20% 180日


本募集並びに引受人の買取引受による売出しに関連して、売出人かつ貸株人である濱中雄大、売出人であるJ-GIA1号投資事業有限責任組合並びに当社新株予約権者である髙橋正哉、杉浦潤一、田井昇、水野治、松岡耕平及び松尾光剛は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む。)後180日目の2023年6月10日までの期間(以下「ロックアップ期間」という。)中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却(ただし、引受人の買取引受による売出し及びオーバーアロットメントによる売出しのために当社普通株式を貸し渡すこと等を除く。)等を行わない旨合意しております。

【代表者】

代表者名 浜中 雄大(上場時56歳11カ月)/1966年生

本店所在地 東京都渋谷区本町

設立年 2020年

従業員数 19人 (2022/10/31現在)(平均42.3歳、年収817.8万円)、連結336人

事業内容 中古住宅再生および戸建て住宅(KAITRY事業)

URL https://pptc.co.jp/

株主数 3人 (目論見書より)

資本金 100,000,000円 (2022/11/08現在)

社員数 19人(2022年10月31日現在)

代表者生年月日 1966年01月07日生まれ

代表者略歴

1988年04月 株式会社ミヤマ(現:株式会社レオパレス21)入社

2000年12月 株式会社ホームネット設立 代表取締役社長就任(現任)

2005年06月 株式会社アドバンスリンク設立 取締役就任

2006年11月 株式会社アドバンスリンク 代表取締役就任

2018年09月 株式会社ファーストホーム 取締役就任(現任) 10月:株式会社ファーストコーポレーション 取締役就任(現任)

2019年07月 株式会社サンコーホーム 取締役就任(現任)、有限会社サンコーベース 取締役就任(現任)

2020年11月 当社設立 代表取締役社長就任(現任)


【幹事団】

主幹事証券 みずほ - -

引受証券 SBI - -

引受証券 楽天 - -

引受証券 松井 - -

引受証券 マネックス - -

引受証券 ひろぎん - -


【参考類似企業】 今期予想PER(11/10)

1419 タマホーム 8.1倍 (連結予想)

1431 リブワーク 31.1倍 (連結予想)

1436 フィット 9.2倍 (連結予想)

1840 土屋HD 22.1倍 (連結予想)

1873 日ハウスHD 7.1倍 (連結見込)

2974 大英産業 5.3倍 (連結見込)

2975 スターマイカHD 7.1倍 (連結予想)

2982 ADワークスG 17.6倍 (単独予想)

2991 ランドネット 5.8倍 (連結予想)

3294 イーグランド 5.8倍 (単独予想)

3299 ムゲンエステト 8.3倍 (連結予想)

3491 GATECH 265.6倍 (連結見込)

8737 あかつき 9.7倍 (連結予想)

8925 アルデプロ 5.5倍 (連結予想)

8940 インテリックス 11.3倍 (連結予想)

9633 テアトル 41.5倍 (連結予想)


【私見】

 横文字の社名から不動産テックという印象を受けますが、中古不動産のリノベで、同業種も多く大きな優位性はなさそうです。不動産市況が良いので、業績の伸びは素晴らしく、来期予測のPERで引き直せば上値はありそうです。VCなしなので売り圧力はありませんが、規模はそこそこ大きく来期予測次第ですが、買い意欲は少ないと予想します。


想定価額:2920円

仮条件上限:2950円

初値予想:3300円

ブック申し込み度・・・中立

セカンダリー期待度・・・中立

総合評価:3

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