2022年11月11日金曜日

IPO分析(tripla)

 【事業内容】

​(1) サービス概要

 宿泊施設向けに、「tripla Book」を中心に、「tripla Bot」、「tripla Connect」、「tripla Pay」等を提供しております。それぞれのサービスの概要は下記のとおりです。

① 「tripla Book」

 2019年7月のサービス提供の当初から宿泊施設向けのクラウド型の公式サイト予約システムとして、宿泊施設の公式サイトに、当社で用意したJava Scriptを埋め込むことにより、宿泊施設の公式サイト上で予約が可能となるウィンドウが表示され、自社予約(注1)を実装できるサービスを提供しております。「tripla Book」の特徴は下記のとおりです。


 a. ユーザーが短時間に予約可能なUX/UI

 簡単に、予約に掛ける時間を可能な限り短くするよう機能的なデザインを考慮しております。ユーザー(宿泊客)が宿泊施設の公式サイトを訪問した場合でも、宿泊予約が完了するまでの時間が長く掛かる、直感的な画面操作ができない等となれば、ユーザー(宿泊客)が離脱しやすくなり、結果として、宿泊予約は減少します。そのため、離脱を防止し、自社予約を増加させるため、操作の簡単さ、予約完了に至るまでの時間を短くするような仕様としております。


  b. 手数料率を抑えた料金体系

 料金体系としては、部屋数に応じた月額の基本料金と従量料金があり、従量料金は「tripla Book」を通じて宿泊した部屋数が閾値を超えた場合に発生いたします。閾値の設定は、原則として、宿泊施設が「tripla Book」を契約する前に利用していた他社予約エンジンによる過去1年間の月ごとの宿泊実績(部屋数)といたします。また「tripla Book」を契約した場合、「tripla Agent」以外の各種機能を標準利用することが可能です。


c. ソーシャルログイン対応の会員機能

 ユーザー(宿泊客)が会員登録した場合、LINEやFacebookといったSNSを利用し、簡単にログインすることが可能です。


d. 外部ポイントへも交換可能なポイント機能

 宿泊施設は自らが提供する独自のポイントプログラムを設けている場合があります。例えば、宿泊者が次回、同じ宿泊施設もしくは同じブランドの施設で宿泊する場合に、ポイントを利用することで値引を受けることができるような場合があります。当社は「tripla Book」を株式会社DIGITALIOが提供するデジタルギフトのサービス「デジコ」とAPI連携し、宿泊施設の独自のポイントプログラムによって、ユーザー(宿泊客)が宿泊施設を通して獲得したポイントを、利用した宿泊施設のみでなく、外部のAmazon、App Store & iTunes、Google Play等で使用できるような機能を提供しております。なお、ポイントプログラム自体は各宿泊施設独自のものであり、当社が負担するポイントプログラムではありません。


e. ベストレート機能

 宿泊施設の公式サイトに掲載する宿泊料金を、宿泊予約をする際に、OTA(注5)が提示する価格と比較し、自動的に値引する機能を備えております。自社予約を最も安い料金とすることで、ユーザー(宿泊客)が宿泊施設の公式サイトから予約しようとするインセンティブとなります。


f. 蓄積したデータをマーケティング活動に利用可能

後述する「tripla Connect」との連携によって可能となります。


g. 大手チャネルマネージャーとの連携

 宿泊施設のプラン情報、部屋在庫の情報はPMS(注7)によって管理されていることが多く、PMSとOTA、予約エンジンを連携するため、多くの宿泊施設においては、チャネルマネージャーを導入しています。予約エンジンを拡販する上で、チャネルマネージャーとの連携は必須であり、当社は2018年5月に「手間いらず」との連携を行い、その後、「TLリンカーン」、「ねっぱん」、「らく通with」との連携が2020年1月に完了したことにより、国内大手4社との連携が完了いたしました。なお、日本国内においては、チャネルマネージャーではなく、サイトコントローラーと言う名称が一般的です。


h. 「tripla Agent」

 「tripla Book」のオプション機能であり、メタサーチサービス(注8)への出稿が可能となるサービスです。Google Hotel Ads、フォートラベル、tripadvisorへの連携が可能で、実広告費、宿泊料金等の宿泊施設が実際に利用した費用に当社の利益分を加算した従量料金の料金体系となります。


 オンラインによる宿泊予約の方法としては従来より、OTAによる予約、宿泊施設による自らの公式サイト上での自社予約が存在しております。このうち、OTAは、OTAのウェブサイト上に各施設の情報を掲載することができるため、施設にとってはマーケティングに資するという反面、手数料率が高く、OTAによっては、氏名と電話番号以外のユーザー(宿泊客)の情報がOTAにのみ蓄積され施設に蓄積されないという課題があります。これに対し、「tripla Book」は、基本料金はあるものの手数料率はOTAより抑えるとともに、ユーザー(宿泊客)のデータを自社で取得し、活用することができます。なお、データの活用については、「tripla Connect」との連携により可能です。また、宿泊施設が自らの公式サイト上に自社予約の仕組みを開発するためには、開発に関する人材、ノウハウ、ユーザー(宿泊客)にとって使いやすいUX/UIとするための機能的なデザインをする等、多額の開発費用が必要となり、当社の「tripla Book」であれば、Java Scriptの埋め込み等により実装することができ、多額の開発や多くの工数を必要としません。

  

② 「tripla Bot」

 宿泊施設等の公式サイト上にチャットボットを表示させ、ユーザー(宿泊客等)からの質問に対し、当社で開発したAIが自動的に回答するサービスです。宿泊施設等は、自ら開発を行うことなく、当社で用意したJava scriptを自社の公式サイトに埋め込むことにより実装することが可能です。従来、電話で受け付けていた質問をチャットボットで代用できるため、問い合わせ対応に掛けていた人的リソースを減少させ、より付加価値の高い業務にリソースを割くことができます。


③ tripla Connect

 宿泊施設向けに特化したCRM・MAツールです。2022年1月より販売開始いたしました。宿泊施設は、複数の経路によりユーザーのデータを取得し、データをセグメントに分け分析・可視化し、セグメントごとにマーケティング施策を実施することで、自社予約の増加につなげます。 


④ tripla Pay

 宿泊施設向けに特化し、現地決済の仕組みを提供するサービスです。2022年5月より販売開始いたしました。当社はPaypal社の仕組みを活用し、決済事業者が発行するQRコードをtripla Pay上で表示させます。ユーザーは主としてチェックアウト時に、QRコードを自らが所有しているスマートフォンで読み取り、自らが所有するクレジットカード情報を入力することにより、決済を行います。tripla Bookにより宿泊予約を行う場合、決済方法は主として、2種類あります。予約時にクレジットカードで決済する方法(以下、「事前クレジットカード決済」)と、チェックアウト時に現地で決済する方法(以下、「現地決済」)です。このうち事前クレジットカード決済の利用率は、2022年10月期第3四半期累計期間平均において、全体の宿泊予約の16.1%にとどまり、実際に宿泊先の施設で、チェックアウト時に、現金もしくはクレジットカード決済をするユーザーが多くを占めております。当該ユーザーに対し、当社のtripla Payの利用を促します。また、tripla Book以外の宿泊予約手段により宿泊したユーザーに対しても、チェックアウト時にフロントでtripla Payの利用を促します。


【業績】

決算期 種別 営業収益 営業利益 経常利益 純利益

2023/10 単独会社予想 1,174 255 225 188

2022/10 単独会社予想 798 64 61 47

2021/10 単独実績 506 -136 -132 -128

2020/10 単独実績 295 -319 -296 -303


決算期 種別 EPS BPS 配当

2023/10 単独会社予想 36.02 151.37 -


上場時発行済株数 5,280,000株(別に潜在株式450,800株)

公開株数 1,183,300株(公募660,000株、売り出し369,000株、オーバーアロットメント154,300株)

調達資金使途 借入金の返済、人件費・採用費、広告宣伝費


PER:22.2

PBR:

配当利回り:

公募時吸い上げ資金:9.5億

公募時時価:42億

​   

【株主構成】 

鳥生格 代表取締役CTO 1,200,000 23.66% 180日

高橋和久 代表取締役CEO 820,000 16.17% 180日

イノベーション・エンジン産業創出投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 362,000 7.14% 90日・1.5倍

MSIVC2018V投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 357,600 7.05% 90日・1.5倍

リード・グロース3号投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 348,000 6.86% 90日・1.5倍

ALL-JAPAN観光立国ファンド投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 186,000 3.67% 90日・1.5倍

NREGイノベーション1号投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 160,000 3.16% 180日

JR東日本スタートアップ(株) ベンチャーキャピタル(ファンド) 128,000 2.52% 180日

イノベーション・エンジンPOC投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 112,000 2.21% 90日・1.5倍

CSAJスタートアップファンド投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 111,000 2.19% 90日・1.5倍


 本募集並びに引受人の買取引受による売出しに関連して、売出人であるNREGイノベーション1号投資事業有限責任組合、株式会社コーエーテクモキャピタル、大樹生命保険株式会社、鳥生格、高橋和久及び株式会社ラクス並びに当社の株主であるJR東日本スタートアップ株式会社、株式会社ベルーナ、株式会社ぐるなび、藤田観光株式会社、コア・コネクション株式会社、株式会社工芸精器製作所、川崎 達生、Paul Kuo、黒田 蓮及び株式会社ミレットワンは、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場日(当日を含む)後180日目(2023年5月23日)までの期間(以下、「ロックアップ期間」という。)、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却等(ただし、引受人の買取引受による売出し、グリーンシューオプションの対象となる当社普通株式を主幹事会社が取得すること等を除く。)を行わない旨を合意しております。

 売出人である株式会社パレスホテル並びに当社の株主であるイノベーション・エンジン産業創出投資事業有限責任組合、MSIVC2018V投資事業有限責任組合、リード・グロース3号投資事業有限責任組合、ALL-JAPAN観光立国ファンド投資事業有限責任組合、イノベーション・エンジンPOC投資事業有限責任組合、CSAJ スタートアップファンド投資事業有限責任組合、株式会社 CARTA VENTURES、奈良田 隆、ハック大阪投資事業有限責任組合、The Independents Angel投資事業有限責任組合及びアイテック阪急阪神戦略パートナーズ投資事業組合は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場日(当日を含む)後90日目(2023年2月22日)までの期間、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却等(ただし、引受人の買取引受による売出し、グリーンシューオプションの対象となる当社普通株式を主幹事会社が取得すること及び売却価格が本募集等における発行価格又は売出価格の1.5倍以上であって、主幹事会社を通して行う株式会社東京証券取引所取引での売却等を除く。)を行わない旨を合意しております。

 また、当社の新株予約権を保有する鳥生格、高橋和久、岡義人、山本雅輝、山添千加美、阿曾友淳、田端聡朗及びその他61名は、主幹事会社に対し、ロックアップ期間中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却等(ただし、引受人の買取引受による売出し、グリーンシューオプションの対象となる当社普通株式を主幹事会社が取得すること等を除く。)を行わない旨を合意しております。

【代表者】

代表者名 高橋 和久(上場時46歳1カ月)/1976年生鳥生 格(上場時48歳8カ月)/1974年生

本店所在地 東京都中央区新川

設立年 2015年

従業員数 71人 (2022/09/30現在)(平均35.3歳、年収576.2万円)

事業内容 宿泊施設などに対する、公式サイト予約システム「triplaBook」、AI(人工知能)チャットボットシステム「triplaBot」などのサービスの提供

URL https://tripla.io/

株主数 28人 (目論見書より)

資本金 388,750,000円 (2022/10/20現在)

代表者生年月日 1976年09月26日生まれ

代表者略歴

2001年04月 株式会社TKK 入社

2004年05月 フィリップモリスジャパン株式会 社(現 フィリップ モリス ジャ パン合同会社) 入社

2006年05月 A.T.Kearney株式会社 入社

2006年11月 フィリップモリスジャパン株式会 社(現 フィリップ モリス ジャ パン合同会社) 入社

2011年07月 アマゾンジャパン株式会社(現 アマゾンジャパン合同会社) 入 社

2015年05月 日本コカ・コーラ株式会社 入社

2015年09月 株式会社 umami(現 tripla株式会 社)取締役 就任

2016年06月 当社代表取締役就任(現任)


【幹事団】

主幹事証券 大和 - -

引受証券 マネックス - -

引受証券 みずほ - -

引受証券 楽天 - -


【参考類似企業】 今期予想PER(10/25)

2477 手間イラズ 49.2倍 (単独予想)


【私見】

 旅行関連で、大きな優位性はなさそうですが、コロナの影響には左右されそうながらも中期では伸びそうな銘柄です。業績も伸びてはいますが、PERからも高くはないので上値余地はありそうです。吸収金額・時価総額共に小さいことは評価できますが、1.5倍でロックが外れるVCが多いので1.5倍がラインと予想します。


想定価額:640円

仮条件上限:800円

初値予想:1200円

ブック申し込み度・・・強気

セカンダリー期待度・・・中立

総合評価:3.5

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