2022年11月16日水曜日

IPO分析(サイフューズ)

 【事業内容】

​ 1.当社の事業概要及び基盤技術

(1) 当社の概要

「細胞から希望をつくる」「バイオ3Dプリンティングの技術を用いて、細胞のみから成る立体的な組織・臓器を患者さまへお届けする」


「細胞(Cyto)が融合(Fusion)する」ことを社名とする、当社『サイフューズ(Cyfuse)』は、2010年の創業以来、「革新的な三次元細胞積層技術の実用化を通じて医療の飛躍的な進歩に貢献する」という企業理念のもと、細胞のみから作製した立体的な組織・臓器を新しい「3D細胞製品」(*1)として、再生医療分野・創薬分野をはじめとする先端医療の現場へ新しい治療法の選択肢としてお届けすることで、社会に貢献することを目指す再生医療ベンチャーです。

 当社は、3D細胞製品等の研究開発及び製造販売並びにこれらの付随業務の単一セグメントでありますが、当社独自の基盤技術に基づいて進める再生医療等製品の開発を中心に、以下の3つの領域で事業を展開しております。

①再生医療領域において、再生医療等製品の承認取得へ向けたパイプライン開発及び研究用細胞製品の受託

②創薬支援領域において、製薬企業等を相手方とした創薬支援用のツールとしての細胞製品の開発

③デバイス領域において、基盤技術を搭載した三次元細胞積層システム機器(バイオ3Dプリンタ及び消耗品)等の開発・販売及び細胞製品開発のための技術応用や新技術開発等


 事業戦略に基づき、基盤技術をもとに生み出される3D細胞製品という独自の製品を複数の領域で事業展開しております。事業展開の内容につきましては、後述の「2.当社のビジネスモデル」をご参照ください。

 将来の収益の柱となる再生医療等製品については、現在、再生医療等製品の承認取得を目指して、末梢神経再生・骨軟骨再生・血管再生にかかる主要パイプラインの臨床開発を実施しております。

このうち、末梢神経再生のための再生医療等製品(開発コード:CYF-PA1)については、現在医師主導治験を実施中で、2023年からの企業治験開始、2025年の承認申請、2026年の承認取得を予定しております。

 本医師主導治験は、2020年11月開始後、本書提出日現在において、外傷性末梢神経損傷を有する患者さまへの移植を計画通り実施し、予定した3症例の全症例への移植が終了(2022年内に全症例が経過観察期間を終了する予定)しており、安全性の確認及び有効性が推定されることから、再生医療等製品の開発プロセスに沿って承認取得に向けた臨床開発を進めております。

 末梢神経再生をはじめとする開発パイプラインの詳細及び再生医療等製品の製造販売承認体制構築の状況等につきましては、後述の「3.当社の開発パイプラインとアライアンス」をご参照ください。

 本製品の開発背景や概要、臨床開発の進捗については、「第21回日本再生医療学会総会」(2022年3月開催)のほか、「末梢神経」の領域の主要学会である「第33回日本末梢神経学会学術集会」(2022年9月開催)や組織工学分野の主要な国際学会である「6th world congress of the Tissue Engineering and Regenerative Medicine International Society」(TERMIS2021, 15-19 Nov開催)においても発表されております。

 なお、医師主導治験後は、2023年から、当社の開発方針に基づき、多施設での臨床試験(企業治験)を2~3年の期間をかけて当社主導で実施し、企業治験実施の主たる目的である製品の普及活動、関係医療機関等との連携及び製造販売流通体制について十分に体制を整備・構築した上で、本製品の製造販売承認を取得する計画です。

 また、当社では、独自の事業戦略によって、様々な企業及び医療機関等との間でのアライアンス(パートナーシップ)により、国内における再生医療等製品の製造及び販売・搬送等のサプライチェーンを構築し、将来の製品製造販売が可能な体制を確立しております。 


 今後は、中長期成長のため必要となる製品の実用化に向けて、主要パイプラインの臨床開発及び次世代パイプラインの研究開発等への先行投資を進めることで一時的に営業損失が膨らむものの、これらの成長資金投資の効果が再生医療等製品の上市を予定する2026年頃から現れることにより、将来的には当社の再生医療等製品の販売を通じて黒字化達成を図る事業計画です。

 さらに、複数の再生医療等製品の上市に加え、様々な領域での事業展開による収益安定化及び次世代パイプラインの上市並びにパイプラインの拡大による収益拡大を達成し、再生・細胞医療分野において当社の基盤技術のポジションを確立し、将来的には、グローバル展開へ繋げていくことを計画しております。


(2) 再生医療等製品の概要

 再生医療とは、細胞や組織を用いて、病気やケガなどにより機能を失った組織や臓器を修復・再生させる医療であり、患者さまに対して新たな治療法の選択肢を提供し、国民の健康増進に大きく寄与することが期待される新しい医療領域です。

 本領域において、ヒト又は動物の細胞に培養等の加工を施したもので、身体の構造・機能の再建・修復・形成するものや疾病の治療・予防を目的として使用するものを総称して「再生医療等製品」といいます。


(2) 当社の事業戦略

 当社独自のビジネスモデルを発展拡大させ、デバイス普及により「ベース収益の確保」と「シーズ探索の拡大」を図り、創薬支援用途等の研究用組織による「早期のマネタイズ」の実現を経て、中長期的には「再生医療等製品の承認取得」を目指し、再生医療ベンチャーとしての事業価値最大化を図ってまいります。


① 再生医療領域

 再生医療領域において、神経・骨軟骨・血管など様々な組織・臓器再生の再生医療パイプライン開発を進めております。


② 創薬支援領域

創薬支援領域において、製薬企業等を相手方とした創薬支援用のツールとしての細胞製品の開発を進めております。

  

【業績等】

決算期 種別 売上高 営業利益 経常利益 純利益

2022/12 単独中間実績 332 -96 -76 -114

2022/12 単独会社予想 367 -500 -476 -518

2021/12 単独実績 708 70 144 142

2020/12 単独実績 137 -372 -327 -329


決算期 種別 EPS BPS 配当

2022/12 単独会社予想 -196.54 486.50 0.00


 募集を行う地域

欧州及びアジアを中心とする海外市場(ただし、米国及びカナダを除く。)

 

上場時発行済株数 7,168,000株(別に潜在株式862,000株)

公開株数 1,758,600株(公募1,250,000株、売り出し279,300株、オーバーアロットメント229,300株)

調達資金使途 臨床試験費用、研究開発費用、システム費用、人件費


PER:

PBR:

配当利回り:

公募時吸い上げ資金:28.4億

公募時時価:116億

​   

【株主構成】 

SBI Ventures Two(株) ベンチャーキャピタル(ファンド) 490,500 7.23% 180日

秋枝静香 代表取締役 460,000 6.78% 180日

富士フイルム(株) 資本業務提携先 433,500 6.39% 180日

ニッセイ・キャピタル7号投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 380,000 5.60% 180日

三條真弘 取締役CFO 345,000 5.09% 180日

積水化学工業(株) 資本業務提携先 340,000 5.01% 180日

CYBERDYNE(株) 特別利害関係者など 319,500 4.71% 180日

中山功一 特別利害関係者など 254,000 3.75% 180日

三菱UFJキャピタル4号投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 251,500 3.71% 90日・1.5倍

(株)新生銀行 特別利害関係者など 223,000 3.29% 180日

(株)JTファイナンシャルサービス ベンチャーキャピタル(ファンド) 222,500 3.28% 180日

名古屋大学・東海地区大学広域ベンチャー1号投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 222,000 3.27% 90日・1.5倍


本募集並びに引受人の買取引受による売出しに関連して、貸株人であるSBI Ventures Two株式会社、売出人である秋枝静香、三條真弘及びCYBERDYNE株式会社、並びに当社株主である富士フイルム株式会社、積水化学工業株式会社、中山功一、株式会社JTファイナンシャルサービス、株式会社新生銀行、三菱HCキャピタル株式会社、口石幸治、太陽ホールディングス株式会社、国立研究開発法人科学技術振興機構、澁谷工業株式会社、川野隆清、岩谷ベンチャーキャピタル合同会社、徳永周彦及びサイフューズ従業員持株会は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後180日目の2023年5月29日までの期間(以下「ロックアップ期間①」という。)中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社株式(当社新株予約権及び新株予約権の行使により取得した当社普通株式を含む)の売却(ただし、引受人の買取引受による売出し、オーバーアロットメントによる売出しのために当社普通株式を貸し渡すこと等は除く。)等は行わない旨合意しております。

 また、売出人であるニッセイ・キャピタル5号投資事業有限責任組合並びに当社株主であるニッセイ・キャピタル7号投資事業有限責任組合、三菱UFJキャピタル4号投資事業有限責任組合、名古屋大学・東海地区大学広域ベンチャー1号投資事業有限責任組合、SBI AI&Blockchain投資事業有限責任組合、サイフューズSKND投資事業有限責任組合、DCIハイテク製造業成長支援投資事業有限責任組合、東京都ベンチャー企業成長支援投資事業有限責任組合、QB第一号投資事業有限責任組合、DBJキャピタル投資事業有限責任組合及びニッセイ・キャピタル6号投資事業有限責任組合は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後90日目の2023年2月28日までの期間(以下「ロックアップ期間②」といい、ロックアップ期間①とあわせて以下、「ロックアップ期間」という。)中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社株式の売却(ただし、引受人の買取引受による売出し及びその売却価格が「第1 募集要項」における発行価格の1.5倍以上であって、主幹事会社を通して行う東京証券取引所での売却等は除く。)等は行わない旨合意しております。


【代表者】

代表者名 秋枝 静香(上場時45歳11カ月)/1976年生

本店所在地 東京都港区三田 住友不動産三田ツインビル西館1階

設立年 2010年

従業員数 21人 (2022/09/30現在)(平均38.5歳、年収713.1万円)

事業内容 バイオ3Dプリンターを用いた、再生医療等製品の開発・製造・販売

URL https://www.cyfusebio.com/

株主数 46人 (目論見書より)

資本金 169,034,000円 (2022/10/27現在)

上場時発行済株数 7,168,000株(別に潜在株式862,000株)

公開株数 1,758,600株(公募1,250,000株、売り出し279,300株、オーバーアロットメント229,300株)

調達資金使途 臨床試験費用、研究開発費用、システム費用、人件費

代表者生年月日 1976年12月02日生まれ

代表者略歴

2004年04月 九州大学大学院医学研究科 整形外科学講座 研究員

2007年04月 九州大学大学院医学研究科 病理病態学講座 学術研究員

2010年04月 九州大学病院 整形外科 学術研究員

2010年10月 当社 入社

2013年10月 経済産業省事業/国立研究開発法人日本医療研究開発機構事業 再生医療分野 ヒト細胞製造システム開発ワーキンググループ ワーキング委員・タスクフォース委員

2016年09月 当社 取締役 細胞製品開発部長

2016年10月 当社 取締役 執行役員・細胞製品開発部長

2018年03月 当社 代表取締役 社長執行役員(現任)


【幹事団】

主幹事証券 SBI - -

引受証券 岡三 - -

引受証券 SMBC日興 - -

引受証券 三菱UFJモルガン・スタンレー - -

引受証券 楽天 - -

引受証券 アイザワ - -

引受証券 東洋 - -

引受証券 松井 - -

引受証券 水戸 - -



【参考企業】

4880 セルソース 816億円

4978 リプロセル 198億円

7774 J・TEC 216億円

7776 セルシード 30億円


【私見】

 バイオ再生医療の銘柄で業種妙味はありませんが、女性社長で話題性は多少ありそうです。売上も多くはなく、今期は赤字と厳しい状況です。規模は大きくないのは救いですが、赤字のバイオで、ネット証券主幹事と買い材料は乏しく人気薄と予想します。


想定価額:1745円

仮条件上限:1620円

初値予想:1500円

ブック申し込み度・・・弱気

セカンダリー期待度・・・やや弱気

総合評価:2.5

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