2022年11月30日水曜日

IPO分析(大栄環境)

 【事業内容】

​ 2022年9月末日現在、62の事業拠点を有しております。「再資源化施設等」は、廃棄物や汚染土壌の再資源化や処分等を行う施設で31ヶ所、「その他事業拠点」は、分析センターや自治体から受託した廃棄物処理施設の運営を実施している施設等で18ヶ所、「営業所」は、当社グループ統括の営業本部を含め13ヶ所であります。

 当社グループは、持続可能な循環型社会を目指し、「廃棄物処理・資源循環」を中心とする「環境関連事業」を主な事業としております。「環境関連事業」は「廃棄物処理・資源循環」のほか、「土壌浄化」、「エネルギー創造」、「森林保全」、「施設建設・運営管理」、「コンサルティング」、「その他」の7つの事業に区分しております。また、「その他」として、「アルミペレット」、「リサイクルプラスチックパレット」で構成される「有価資源リサイクル事業」を行っております。


(1)環境関連事業

(廃棄物処理・資源循環)

 2022年3月期において、当社グループの連結売上高の86.6%を占めております。

 当社グループの主力となる「廃棄物処理・資源循環」においては、様々な施設群を活用して、産業廃棄物及び一般廃棄物の収集運搬、中間処理・再資源化及び最終処分に至るまでのワンストップサービスを展開しております。自社廃棄物管理システム等を活用して、廃棄物のトレーサビリティ、処理状況の見える化や再資源化に向けた分別指導などを進め、排出事業者の廃棄物管理をサポートすることで、事務負担やリスクの低減を図り、安全・安心な廃棄物処理サービスを提供しております。産業廃棄物は主に製造メーカー、ゼネコン、医療機関(国立病院、大学病院、大手民間病院等)から、また、一般廃棄物は主に自治体(2022年3月期における取引自治体数414)から、廃棄物処理を請け負っております。

 収集運搬は、廃棄物を排出場所から収集し、中間処理・再資源化等を行うリサイクルセンターまで運搬する事業であります。当社グループは、収集運搬に用いるパッカー車、コンテナ車、ダンプ車のほか、トレーラーなど合計693台(2022年9月末日現在)の車両を保有し、関西・中部エリアをはじめ、関東エリア、中四国エリアまで陸上輸送・海上輸送の連携も通じて、収集運搬を行っております。また、廃棄物の大量輸送、広域物流に対応するため、海上輸送も実施しており、廃棄物専用海上コンテナも800基以上保有しております。

 中間処理・再資源化は、廃棄物を再生利用するための選別・破砕や減容化のための焼却等を行う事業であり、当社グループの25ヶ所ある中間処理施設の総許可能力は、2022年9月末日現在、一日あたり53,809トン(選別・破砕・再資源化施設51,742トン、焼却等熱処理施設2,067トン)であります。当社グループは、一般廃棄物及び輸入廃棄物を除く産業廃棄物全20品目に対応する処分業許可及び特定有害汚泥・廃石綿等など特別管理産業廃棄物処分業許可を有しており、廃棄物の減容化・無害化等を通じて、最終処分量の低減を図るとともに、循環型社会の実現に貢献するため、金属・非鉄金属回収や廃プラスチック類の固形燃料化など各種リサイクル法等に対応した処理を行っております。また、廃棄物の焼却時の余熱や蒸気は、エネルギーとして活用しております。

 最終処分は、再生利用できない廃棄物を適切に管理された処分場にて埋立処分する事業であり、当社グループは、2022年9月末日現在、総設置許可容量は合計30,437千㎥(2022年9月末日現在の残容量は、10,684千㎥)であり、6地域で管理型最終処分場及び1地域で安定型最終処分場を有しております。

 これらの施設群を活用して、収集運搬、中間処理・再資源化及び最終処分に至るまでのワンストップサービスを提供しております。このワンストップ体制については、排出事業者から廃棄物処理過程の透明化に対するニーズの高まりに応えることができ、また、許認可取得が難しく、利益率が高い大型の熱処理施設や最終処分場を自社で保有していることにより、外部委託による収益性低下を回避できるといったメリットがあると考えております。また、廃棄物処理・再資源化ビジネスは、不法投棄リスクや排出事業者責任の強化により、排出事業者は安心安全で信頼できる処理・処分事業者を選ぶという事業の性質上、既存顧客の取引継続性が高く、かつ許認可の取得や多額の投資を要することから参入障壁が高いため、今後も安定した事業成長を見込んでおります。

 また、被災地の災害復興支援として災害廃棄物の処理も実施しております。さらに、少子高齢化に伴う税収やごみ量の減少、多発する大規模災害による大量の災害廃棄物への対応など市町村が抱える課題解決の方策として、廃棄物処理施設を核とした地域循環共生圏の構築を進めております。


(土壌浄化)

 2022年3月期において、当社グループの連結売上高の6.0%を占めております。

 当社グループは土壌汚染対策法に基づく指定調査機関の許可を保有しており、主に建設会社に対して、土壌汚染エリアの調査から汚染対策の提案、汚染土壌処理に至るトータルソリューションを提供しております。当社グループは、6事業所で汚染土壌処理業許可を取得しております。ほぼ全ての汚染土壌処理方式に対応し、PCB汚染土壌など難処理土壌の処理も実施しております。また、連結子会社の株式会社ジオレ・ジャパン及び株式会社セーフティーアイランドにおいては、専用岸壁を有しており、船舶による広域的な受入れを実現しております。当社グループの土壌浄化の総許可能力は、2022年9月末日現在、一日あたり10,795トンであります。


(エネルギー創造)

 2022年3月期において、当社グループの連結売上高の0.4%を占めております。

 当社最終処分場の跡地を利用したメガソーラーや、廃棄物やバイオマスからの熱回収によるエネルギー供給施設、並びにメタン発酵によるバイオガス発電事業における余剰電力の有効利用など、再生可能エネルギーや非化石エネルギーの供給事業を展開しております。余剰電力は再生可能エネルギーの固定価格買取制度の利用等により電力会社に販売しております。このように、廃棄物という資源と自然の力をエネルギーに変換し、地域循環共生圏の構築に貢献しております。


(森林保全)

 2022年3月期において、当社グループの連結売上高の0.1%を占めております。

 全国29ヶ所、合計約8,160haの山林を保有し、100年先を見据え、森林保全事業を通じて、主に森林組合や奈良県など森林所有自治体に対して、「地域づくりモデルの確立」「森づくり技術開発」「林業コンサル・人材育成」「防災・生物多様性」の4つの取組みを展開しております。奈良県十津川村では、「バイオマスプラットフォーム」を設け、周辺の森林所有者や行政、森林組合、素材生産業者などの林業関係者とともに、建築、エネルギーなどの様々な分野のニーズとのマッチングを行うとともに、行政と連携し林業管理の担い手を育てる仕組みづくりも行っております。


(施設建設・運営管理)

 2022年3月期において、当社グループの連結売上高の3.3%を占めております。

 主に自治体から受託したごみ処理施設の施設建設から、維持管理及び保全業務まで一貫して実施しており、緊急時のバックアップ体制も備えた安定的な施設運営を図っております。施設建設は、基本仕様の設計から建設工事での工程管理に至るまで廃棄物処理施設を保有するエンドユーザー目線で廃棄物の性状に適した整備を行っております。維持管理及び保全業務は、日々の点検・保守及び設備や機器の清掃により、設備や機器の不具合・異常の早期発見に繋げております。また、最適な補修・整備計画の立案を行っており、立案した計画に基づき修繕・整備工事も実施しております。


(コンサルティング)

 2022年3月期において、当社グループの連結売上高の0.7%を占めております。

 これまで蓄積した経験やノウハウをもとにAI・IoTなどを活用した新たなサービスを研究・開発し、廃棄物を排出する自治体や製造メーカー、ゼネコンなどの民間企業に対して最適なソリューションを提供しております。また、災害廃棄物処理計画策定支援、循環型社会の実現に向けた事業者のゼロエミッション活動の支援、自治体が抱える課題やニーズに応じた廃棄物管理に関する提案等を行っております。産学官と連携したオープンイノベーションを通じて、地域ソーシャルビジネスを創出し、今後加速する人口減少などの社会的課題に対応してまいります。


(その他)

 2022年3月期において、当社グループの連結売上高の0.1%を占めております。

 保有する廃棄物処理施設の運転管理等の担い手を確保すること等を主たる目的に事業を行っている「人材派遣及び人材紹介」や最終処分場が立地している地域の基幹産業である農業の担い手不足を補い、遊休農地を活用し地元雇用など地域貢献を行う「アグリビジネス」などを行い、多様な事業展開を通じて地域社会へ貢献しております。


(2)その他(有価資源リサイクル事業)

 飲料用アルミ缶や容器包装プラスチック等の原料を仕入れ、再生品に加工・販売する事業を行っております。


(アルミペレット)

 2022年3月期において、当社グループの連結売上高の2.1%を占めております。

 主に自治体から仕入れる飲料用アルミ缶の表面塗料やコーティング材などの異物を取り除き、徹底した品質管理で高純度なアルミペレットを製造し、高炉メーカー等に販売を行っております。アルミ缶を原料とした粒状の製品であるアルミペレットは、高炉での「鋼」製造工程で使用する副資材である「脱酸材」として国内外で取引しております。


(リサイクルプラスチックパレット)

 2022年3月期において、当社グループの連結売上高の0.7%を占めております。

 自治体が回収する容器包装プラスチック等を原料にリサイクルプラスチックパレットの製造及び販売を行っております。


【業績等】

決算期 種別 売上高 営業利益 経常利益 純利益

2023/03 連結中間実績 32,492 7,147 7,326 4,763

2023/03 連結会社予想 67,337 12,882 13,061 8,445

2022/03 連結実績 64,992 12,840 13,304 8,870

2021/03 連結実績 61,608 13,053 14,155 9,230


決算期 種別 EPS BPS 配当

2023/03 連結会社予想 91.19 - 28.00


上場時発行済株数 95,077,900株

公開株数 36,915,000株(公募3,500,000株、売り出し28,600,000株、オーバーアロットメント4,815,000株)

調達資金使途 設備投資


国内募集、引受人の買取引受による国内売出し及びオーバーアロットメントによる売出しと同時に、米国、欧州及びアジアを中心とする海外市場(但し、米国においては1933年米国証券法に基づくルール144Aに従った適格機関投資家に対する販売のみとする。)における募集及び売出し(海外募集及び海外売出し)が、SMBC Nikko Capital Markets Limitedを主幹事会社兼ブックランナーとする海外引受会社の買取引受により行われる予定であります。

 本件募集による新株式発行の募集株式総数は3,500,000株の予定であり、国内募集株式数1,750,000株及び海外募集株式数1,750,000株を目処として募集を行う予定でありますが、その最終的な内訳は、募集株式総数の範囲内で、需要状況等を勘案した上で発行価格等決定日に決定する予定であります。また、本件売出しの売出株式総数は28,600,000株の予定であり、国内売出株式数15,584,000株及び海外売出株式数13,016,000株を目処として売出しが行われる予定でありますが、その最終的な内訳は、売出株式総数の範囲内で、需要状況等を勘案した上で売出価格等決定日に決定される予定であります。


PER:14.8

PBR:

配当利回り:

公募時吸い上げ資金:498億

公募時時価:1283億

​   

【株主構成】 持株会以外は180日

ウイングトワ(株) 役員らが議決権の過半数を所有する会社 89,999,500 98.28%

従業員持株会 特別利害関係者など 1,190,700 1.30%

金子文雄 代表取締役社長 47,300 0.05%

井上吉一 取締役副社長 46,800 0.05%

大田成幸 専務取締役など 46,800 0.05%

篠原啓二 顧問 46,800 0.05%

東井基光 従業員 15,600 0.02%

石川光一 従業員、子会社の役員 15,600 0.02%

出射邦彦 従業員、子会社の役員 15,600 0.02%

下田守彦 従業員、子会社の役員 15,600 0.02%

下地弘章 従業員、子会社の役員 15,600 0.02%

下地正勝 従業員、子会社の役員 15,600 0.02%

平井俊文 従業員、子会社の役員 15,600 0.02%

森田憲一 従業員、子会社の役員 15,600 0.02%

山下竜生 従業員、子会社の役員 15,600 0.02%

鰐部仁 従業員、子会社の役員 15,600 0.02%


 グローバル・オファリングに関連して、売出人かつ貸株人であるウイングトワ株式会社並びに当社株主である金子文雄、井上吉一、大田成幸、篠原啓二、東井基光、石川光一、出射邦彦、下田守彦、下地弘章、下地正勝、平井俊文、森田憲一、山下竜生、鰐部仁、田中厚夫、大仲一正、峯森章及び魚住隆太は、グローバル・コーディネーターに対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む。)後180日目(2023年6月11日)までの期間(以下「ロックアップ期間」という。)、グローバル・コーディネーターの事前の書面による同意なしには、当社普通株式の譲渡、貸付け又は処分等(但し、引受人の買取引受による国内売出し、海外売出し及びオーバーアロットメントによる売出しのために当社普通株式を貸渡すこと等を除く。)を行わない旨を約束する書面を差し入れる予定であります。

 また、当社はグローバル・コーディネーターに対し、ロックアップ期間中、グローバル・コーディネーターの事前の書面による同意なしには、当社普通株式、当社普通株式に転換もしくは交換されうる有価証券又は当社普通株式を取得もしくは受領する権利を表章する有価証券の発行等(但し、本件募集、本件第三者割当増資及び株式分割等を除く。)を行わない旨を約束する書面を差し入れる予定であります。

 さらに、グローバル・オファリングに関連して、当社株主及び親引け先である大栄環境従業員持株会に対し、ロックアップ期間中、グローバル・コーディネーターの事前の書面による同意なしには、当社普通株式の譲渡、貸付け又は処分等を行わない旨を約束する書面を差し入れるよう要請を行う予定であります。

【代表者】

代表者名 金子 文雄(上場時66歳1カ月)/1956年生

本店所在地 大阪府和泉市テクノステージ(実質上:兵庫県神戸市東灘区向洋町中)

設立年 1979年

従業員数 1059人 (2022/09/30現在)(平均39.9歳、年収531.9万円)、連結2101人

事業内容 一般・産業廃棄物の収集運搬、中間処理・再資源化および最終処分を中心とする環境関連事業および有価資源リサイクル事業

URL https://www.dinsgr.co.jp/

株主数 23人 (目論見書より)

資本金 558,637,000円 (2022/11/09現在)

社員数 1059人(2022年09月30日現在)

代表者生年月日 1956年10月17日生まれ

代表者略歴

1979年04月 有限会社大栄衛生入社

1983年09月 三重中央開発株式会社取締役

2002年03月 当社取締役副社長

2002年03月 三重中央開発株式会社取締役副社長

2003年03月 株式会社GE(現:DINS関西株式会社)設立 取締役

2004年03月 バイオエタノール・ジャパン・関西株式会社(現:DINS関西株式会社)取締役

2004年05月 当社代表取締役副社長、三重中央開発株式会社代表取締役副社長

2007年04月 同社代表取締役社長、当社代表取締役社長(現任)、株式会社RAC関西(現:DINS関西株式会社)取締役


【幹事団】

主幹事証券 SMBC日興 - -

引受証券 三菱UFJモルガン・スタンレー - -

引受証券 大和 - -

引受証券 SBI - -

引受証券 野村 - -

引受証券 岡三 - -

引受証券 岩井コスモ - -

引受証券 松井 - -

引受証券 楽天 - -


【参考類似企業】 今期予想PER(11/11)

2195 アミタHD 20.9倍 (連結予想)

3168 黒谷 11.2倍 (連結予想)

4125 三和油化 17.9倍 (連結予想)

5698 エンビプロH 10.3倍 (連結予想)

5699 イボキン 13.3倍 (連結予想)

6564 ミダックHD 58.8倍 (連結予想)

6566 要興業 12.9倍 (連結予想)

7375 リファインバス 18.4倍 (連結予想)

9221 フルハシEPO 10.4倍 (連結予想)

9247 TREHD 13.5倍 (連結予想)

9793 ダイセキ 27.3倍 (連結予想)


【私見】

 業種としては地味ですが、環境関連という意味ではテーマ性は多少あります。業績が伸びていれば良いのですが、横ばいなのは気になるところで、PERからも適度ではあります。グローバル案件で、海外配分が45%と増えたのはプラス材料で、仮条件も想定価額を上回ったことは大きいです。ソシオのようにセカンダリーで大きく上がることはないと思いますが、売られる材料は乏しく、公募価額やや上で寄ってから安定的な動きはすると予想します。


想定価額:1270円

仮条件上限:1350円

初値予想:1450円

ブック申し込み度・・・やや強気

セカンダリー期待度・・・中立

総合評価:3.5

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