2023年4月11日火曜日

IPO分析(レオス・キャピタルワークス)

 【事業内容】

​(1)当社グループの事業内容

①投資信託委託業務

 投資信託とは、お客様から投資いただいた資金を国内外の株式等に投資し、その運用成果をそれぞれのお客様の投資額に応じて分配する仕組みの金融商品です。投資信託委託業務では、投資信託の設定、運用及び販売を行っております。

 公募投資信託(直接販売)は、当社グループが運用を行うとともにインターネットを通じて販売も行う投資信託です。当社グループでは、運用会社が直接お客様に販売する形式をとることで、販売会社の意向に左右されることなく、独自の営業活動やお客様とのコミュニケーションを図ることが可能となっています。当社グループに口座を保有するお客様に対しては、「投資信託を保有して楽しい」と感じていただけるようなイベントやセミナーを開催し、密にコミュニケーションをとることで、お客様の資産形成をサポートしています。

 公募投資信託(間接販売)は、販売会社(証券会社、銀行等)が、当社グループの投資信託をそれぞれの販売会社のお客様へ販売する投資信託です。お客様が当社グループの投資信託をお買い求めやすい環境を提供するため、地方銀行、ネット証券といった様々な金融機関を販売会社として採用し、販売チャネルの多様化を図っております。


(ア)投資信託委託業務の仕組みについて

 当社が投資信託委託会社(委託者)として投資信託を組成し、投資家から集めた資金を運用し、その成果を投資家に配分しております。

 投資信託委託会社では、経済・金融情勢などのデータを収集・分析し、運用の専門家がこれまでの経験等を駆使しながら、どの企業に投資するのかを考え、信託銀行に対して運用を指図します。

 お客様からお預かりした運用資産の残高に一定率を掛け合わせることで算定される信託報酬から、信託銀行への手数料を差し引いた金額を委託者報酬として受け取ります。さらに、間接販売においては、委託者報酬の一部から、各販売会社が販売する当社の投資信託の残高に一定率を掛け合わせた代行手数料をそれぞれの販売会社に支払っております。

 

(イ)投資信託の特徴

(a)「ひふみ」ブランド

 いわゆる「老後2,000万円問題」に象徴されるように、日本国民の将来に対する不安が高まっている中、日本銀行が毎年公表する家計金融資産におけるリスク資産の割合は依然として低水準に留まっており、日本の家計における投資へのハードルは引き続き高いままであるのが現状です。当社グループでは、このハードルを少しでも低くして、よりたくさんの方々に資産形成を始める一歩を踏み出していただくためには、投資信託を単なる金融資産ではなく、お客様に長く大切にされる資産形成の大切なパートナーに育て上げたいと考えており、当社グループが運用するすべての公募投資信託の名称には「ひふみ」というブランドを使用しています。

「ひふみ」には「次のゆたかさの、まんなかへ」という想いを込めています。投資を通じてお金を提供することで社会を動かしていくということが金融の力であり、これを促すことが当社グループの役割です。「ひふみ」は、同じ想いを持つお客様と投資先の会社をつなぐものでありたい、お客様の夢や希望をかなえるための資産形成のまんなかの存在でありたい、そのような信念でできており、この「ひふみ」ブランドを支えるのが、当社グループの「運用力」「発信力」「販売力」という3つのチカラです。


(b)運用力

 当社グループの運用方針は、独自に発掘した成長企業に投資をし、守りながらふやす運用を目指すことです。

 当社グループのアナリストやファンドマネージャーは、事業内容、企業規模などにとらわれることなく、実際に企業に足を運び、企業の活動状況を目の当たりにし、企業が目指す理想の未来を経営者と共有して、企業が提供する製品・サービスが世の中にどのような影響を与えるのか、当該企業の属する産業は今後どのようにあるべきかなど、会社訪問の中で経営者と面談して得られる定性情報の分析を行います。これらに加え、国内外の産業の動向や、個別企業の成長性、バリュエーションなどの定量情報の分析を実施して投資先の選定を行い、中・長期的な将来価値に対して市場価値が割安だと考えられる銘柄や、安定的に業績を上げている成長企業に長期的に投資しております。

 なお、2019年10月から海外株式に投資する「ひふみワールド」の運用を開始したことを契機として、米国ニューヨーク市に調査拠点を設置し、海外企業についても成長性のある企業を独自のルートで発掘していく体制を整備いたしました。

 一方で、「守る」とは、投資対象企業の株価の変動(リスク)をさまざまな形で低減し、基準価額の変動を抑えることを指します。マーケットの変化に柔軟に対応し、幅広い銘柄に投資をすることで、相場の上下によるお客様のハラハラドキドキをできるだけ低減し、安心して長期にわたり保有して頂く運用にこだわっています。具体的には、IT企業など成長企業の王道のような銘柄から、地味で地道に収益をあげる銘柄まで、さまざまな価値観を組み入れることで、投資のリスク(価格変動)の大きさに比べてどれだけリターン(収益率)を得られるかを測るためのモノサシと言える「シャープレシオ」(リターンをリスクで割った数値)を高位に保つことを目標としております。

 これまでの実績として、「ひふみ投信」については、株式会社格付投資情報センター(R&I)が「シャープレシオ」を定量評価に用いて選定する「R&I ファンド大賞」を直近4年間(2019年~2022年)継続的に受賞しております。また、金融庁が毎年公表している「国内運用会社の運用パフォーマンスを示す代表的な指標(KPI)策定と国内公募投信に関する諸論点についての分析」において、当社は、当該分析時点における直近5年間の平均シャープレシオが高い運用会社として上位に掲載されております。


(c)発信力

 当社グループは自分たちの顔をしっかり見せて、Face to Faceでお客様とコミュニケーションすることを大切にしており、セミナー、イベント、運用報告会等を実施して、お客様に投資のたのしさや重要性をお伝えしております。例えば、当社グループの投資信託の話をはじめてお聞きになられる方や投資が初めてという方向けの「はじめてのひふみ」や、毎月月初に「ひふみ投信」などの運用結果とともに運用責任者やアナリストたちがどのような視点で経済・株式相場を捉え、運用を行っているかなどについてお話しする「ひふみアカデミー」などのセミナーの開催、当社グループが直接販売する公募投資信託を保有するお客様を対象に、当社グループのメンバーとともに経済や投資、企業を身近に感じていただく投資先企業の社会科見学の開催などを通して、「投資=悪」というイメージを払拭し、長期・分散・つみたて投資の促進を図っております。

 さらに、Webサイトにて運用メンバーのインタビュー記事等を公開し、セミナーをYouTubeやZoom等で配信することで「顔の見える運用」を意識した情報発信を行い、当社グループの運用メンバーを少しでも身近に感じていただき、安心して投資していただく環境を整えることを心がけています。

 また、2021年1月には、お金や投資についてたのしく・わかりやすく発信するYouTubeチャンネル『お金のまなびば!』を開設いたしました。『お金のまなびば!』は、「資本市場を通じて社会に貢献します」という当社グループの経営理念を元に、お客様の資産形成ニーズや不安に寄り添った内容を、できるだけ平易な言葉を使いながら配信をしています。具体的には、当社代表の藤野が解説する「なぜ株価は上昇しているのか」、各業界で活躍されるゲストと本気でお金を語る対談「100億円の驚きの使い方!?」、お笑い芸人、フリーアナウンサーなど著名人とお金について語らう「マネーキャンプシリーズ」などが好評で、視聴者の年代も、10代から60代以上の方まで、幅広い方々に視聴いただいており、2023年2月末時点でチャンネル登録者数は21.6万人となっています。


(d)販売力

 当社グループの販売手法の強みは、直接販売と間接販売という2つの販売チャネルを持っていることです。

 直販販売のチャネルを持っていることはとても重要です。お客様と直接コンタクトすることで、当社グループのメッセージを確実にお伝えし、当社グループの商品ブランドをしっかり育てることができるからです。また、長期の資産形成を促すコスト体系として、直接販売する公募投資信託の一部においては、長期に保有するほど信託報酬率が低減する日本初の仕組み「資産形成応援団(信託報酬一部還元方式)」を導入しています。この仕組みは、5年以上当社グループの投資信託を保有している場合に、信託報酬をあらかじめ決められた応援率分、実質的に割り引く制度です(注)。

 また、当社グループは、日本の大手金融機関から地方銀行、ネット証券など2023年2月末時点で96社の販売会社と取引をしており、幅広いサポートを得ています。お客様が当社グループの口座をお持ちでなくても、既にお持ちの金融機関の口座で、又は、近くに店舗のある金融機関で、当社グループの投資信託を購入し、資産形成を始めることができるよう、今後も販売会社の開拓を行ってまいります。


 ②投資顧問業務(投資一任契約に係る業務)

 投資一任契約とは、お客様から投資判断を任され、お客様に代わりお客様の資産運用を行う契約のことで、この契約に基づき投資資金を受託、運用する業務を行っています。

(ア)当社グループ投資顧問業務の運用資産残高と特徴

 当社グループでは、投資一任契約に基づき、国内企業年金基金や海外ソブリンウェルスファンドなどを受託し運用しております。

(イ)投資顧問業務の仕組みについて

 当社とお客様との間で投資一任契約を締結し、当社が投資家から投資判断や投資に必要な権限を委任され、投資家を代理して証券会社への売買発注などを行います。

 投資顧問業務の収益は、お客様からお預かりした運用資産の残高に一定率を掛け合わせることで算定される投資顧問報酬と、運用成績に応じて受け取る成功報酬から構成されます。


③その他業務

 2021年4月にベンチャー企業への出資等を目的とした、「レオス・キャピタルパートナーズ株式会社」を100%子会社として設立しました。レオス・キャピタルパートナーズ株式会社は、2022年2月1日にRheosCP1号投資事業有限責任組合を設立し、ベンチャーキャピタル業務を開始しております。


(2)投資信託委託業務及び投資顧問業務の運用資産残高の推移について

 当社グループの2016年3月末以降の投資信託委託業務及び投資顧問業務における運用資産残高の推移は次のとおりです。なお、日本円建て以外の運用資産残高を日本円に換算する際には、それぞれの時点における月末為替レートを用いております。

 


【業績等】

決算期 種別 営業収益 営業利益 経常利益 純利益

2023/03 連結3Q累計実績 7,242 1,181 1,195 775

2023/03 連結会社予想 9,676 1,607 1,623 1,053

2022/03 連結実績 9,479 1,952 1,969 1,303

2021/03 単独実績 6,783 1,265 1,265 849


決算期 種別 EPS BPS 配当

2023/03 連結会社予想 87.68 - -


売出しを行う地域

欧州及びアジアを中心とする海外市場(但し、米国及びカナダを除く。)


上場時発行済株数 12,374,300株(別に潜在株式873,000株)

公開株数 3,700,000株(公募357,700株、売り出し2,859,700株、オーバーアロットメント482,600株)

調達資金使途 システム投資、運転資金


PER:14.8

PBR:

配当利回り:

公募時吸い上げ資金:48.1億

公募時時価:161億

​   

【株主構成】 以下180日

SBIファイナンシャルサービシーズ(株) 親会社 6,161,700 47.80%

(株)ISホールディングス その他の関係会社 3,051,000 23.67%

遠藤昭二 その他の関係会社の代表取締役社長 1,427,300 11.07%

藤野英人 代表取締役会長兼社長など 540,000 4.19%

湯浅光裕 代表取締役副社長 420,500 3.26%

遠藤美樹 常務取締役 180,000 1.40%

(株)3A 特別利害関係者など 179,500 1.39%

五十嵐毅 従業員 81,200 0.63%

渡辺庄太 従業員 71,000 0.55%

高橋修 従業員 70,000 0.54%

吉原英 従業員 70,000 0.54%


 本募集並びに引受人の買取引受による売出しに関連して、売出人かつ貸株人である株式会社ISホールディングス、売出人であるSBIファイナンシャルサービシーズ株式会社、貸株人である株式会社3A並びに当社の株主である遠藤昭二、藤野英人、湯浅光裕、遠藤美樹、岩田次郎、上神田恵子、株式会社三菱UFJ銀行及びレオス・キャピタルワークス従業員持株会は、共同主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場日(当日を含む)後180日目(2023年10月21日)までの期間(以下、「ロックアップ期間」という。)、共同主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却等(但し、引受人の買取引受による売出し、グリーンシューオプションの対象となる当社普通株式を大和証券株式会社が取得することを除く。)を行わない旨を合意しております。

 また、当社の新株予約権を保有する上神田恵子、五十嵐毅、渡邉庄太、高橋修、吉原英、石川祥子、八尾尚志、齋藤光代、小林靖史、岡田雄大、竹中陽子、福江優也、吉川香澄、入江晴美、堅田雄太及び吉崎知子は、共同主幹事会社に対し、ロックアップ期間中、共同主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社新株予約権及び新株予約権の行使により取得した当社普通株式の売却等を行わない旨を合意しております。​


【代表者】

代表者名 藤野 英人(上場時56歳7カ月)/1966年生

本店所在地 東京都千代田区丸の内

設立年 2003年

従業員数 114人 (2023/01/31現在)(平均40歳、年収1082万円)、連結116人

事業内容 投資信託の設定、運用ならびに販売業務・投資一任契約に基づく投資顧問業務

URL https://www.rheos.jp/

株主数 11人 (目論見書より)

資本金 100,000,000円 (2023/03/22現在)

代表者生年月日 1966年08月29日生まれ

代表者略歴

1990年04月 野村投資顧問株式会社(現 野村アセットマネジメント株式会社) 入 社

1996年10月 資顧問(現 JPモルガン・アセット・マネジメント)ファンドマネージャー

2000年02月 ゴールドマン・サックス・アセットマネジメント株式会社 ポートフォリオ・マネージャー

2003年08月 レオス株式会社(現 当社) 入社 9月:当社 代表取締役社長

2009年02月 当社 社長付CIO 9月:当社 CIO 兼 ひふみ投信運用責任者 10月:当社取締役CIO

2020年06月 当社 代表取締役 会長兼社長 最高投資責任者(現任)

2021年04月 2月:みらいターボ株式会社 代表取締役社長(現任) 3月:ViXion株式会社 取締役(現任) 4月:レオス・キャピタルパートナーズ株式会社 取締役(現任) 6月:株式会社スカイマティクス 取締役(現任)

2022年04月 株式会社polarewon 取締役(現任)


【幹事団】

主幹事証券 大和 - -

主幹事証券 SBI - -

引受証券 楽天 - -

引受証券 FFG - -

引受証券 マネックス - -

引受証券 野村 - -

引受証券 三菱UFJモルガン・スタンレー - -

引受証券 松井 - -


【参考類似企業】今期予想PER(4/4)

2337 いちご 14.1倍 (連結見込)

2497 UNITED 6.2倍 (連結見込)

3266 ファンドクリG 14.2倍 (連結予想)

3454 Fブラザース 6.2倍 (連結予想)

4310 DI 18.5倍 (連結見込)

7347 マーキュリアHD 9.1倍 (連結予想)

8462 フューチャーVC 51.3倍 (連結見込)

8518 アジア投資 34.5倍 (連結見込)

8595 ジャフコG 52.1倍 (連結見込)

8739 スパークスG 13.0倍 (連結見込)

8793 NECキャピ 7.4倍 (連結見込)


【私見】

 知名度はありますが、再申請含めてあまり良いイメージはなく、仮条件が想定価額を下回ったことからも機関投資家の評価も高いとは言えないことが分かります。業績はブレもあり判断しずらいのですが、予想PERからは類似業種と比べても妥当な水準なのかと思います。ロックがかかっているので売り要素がないことは評価できますが、規模もやや大きめで、大きくは上がらないと予想します。


想定価額:1400円

仮条件上限:1300円

初値予想:1450円

ブック申し込み度・・・中立

セカンダリー期待度・・・中立

総合評価:3

2 件のコメント:

  1. ispaceはかなり高い位置で初値が付きますね。
    購入予定してましたが、見送るかもしれません。

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  2. 相当高く寄りそうですね。見送る可能性高いです。

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