2023年4月13日木曜日

IPO分析(スタジアム)

【事業内容】

​(デジタルソリューションセールス事業)

 顧客企業の営業戦略及び戦術の考案から営業活動の実施の請け負いまでを一貫して支援するサービス「SALES PARTNERS」を提供しております。

当社は、過去に蓄積された営業ノウハウ・データを活用し、営業支援を通じて顧客企業のデジタル・DX商材の拡販を支援しております。また、企業のあらゆるサービスがデジタル技術を活用したデジタル空間を通じて提供されるようになる一方で、サービスを提供する企業の営業現場においては、デジタル商材を販売するノウハウを持つ人材の獲得や育成、管理にも課題を持っており、当社は、営業にかかわる課題の解決を総合的に支援しております。

 当社の収益構造は、主にプロジェクトごとに顧客企業と最低3か月からなる業務委託契約を基に、合意した営業支援の人数及び受注単価による固定報酬制によるものとなっております。当社のデジタルソリューションセールス事業は、営業支援の人数が2019年7月期から2022年7月期までの3か年の期末比で年平均成長率(CAGR)30%以上成長しております。また、当月稼働商材数÷前月末総商材数の年間移動平均にて算出した2022年7月期の受注継続率は、95.3%となっております。

 当社は飲食、EC、金融、法務、労務、建設、教育等、様々な業界の支援を通じ商談ノウハウ・データを蓄積しており、特定の分野に特化することなく、あらゆる業界を支援することが可能である点が特徴となっております。


(a)SALES PARTNERS

イ.営業支援サービス「SALES PARTNERS」の概要

 当社のサービスは、インサイドセールスからフィールドセールス、カスタマーサクセスまで営業プロセスにおける各段階において、様々な手法による営業支援を提供できることを強みとしております。当社は、各プロセスを分業化し、専任の最低3名から構成される営業チームが顧客企業に対して専門性の高いアプローチを行うことで、各プロセスにおける成果の最大化を図っております。各営業チームは連携により営業プロセスを進めることで企業全体を通じて様々な手法による一貫した営業支援が可能となっております。

 当社は、企業における営業活動のうち、一部を切り出して営業支援を依頼することが可能であること、企業の体制変更にも柔軟に対応しやすいこと、営業にかかる業務を区切ることで、業務の仕組み化がしやすいことから、各営業プロセスを分業化し、提供していく支援体制を構築しております。

 当社は、現在、東京だけではなく大阪、名古屋、福岡、札幌にて、営業支援活動を行っております。DX推進の遅れが深刻な地方においてもデジタル技術を拡販すべく営業支援の拡充を図っております。


ロ.サービスの特徴・強み

① 第二新卒や20代後半の人材採用

 主にデジタル商材の拡販支援を行っております。第二新卒や20代後半の人材は、ネットリテラシー・ポテンシャルが高く、当社が支援する顧客のデジタルツールに親和性が高いことから、これらの年代の営業メンバーを日本全国様々な地域からあらゆる採用チャネルを通じて積極的に採用し、育成することで顧客提供価値の最大化を図っております。


② 戦略・戦術の型化

 各営業プロセスにおいて属人的な営業とならないよう、具体的なアクションやナレッジ等をまとめて、営業手法を型にした営業ツールを用いて営業する点が特徴となっております。

 営業支援の契約締結後、依頼企業からの過去の受注傾向(規模、領域、エリア等)、当該企業の成績優秀者の営業トーク、商談資料及びヒアリングを基に分析を行い、企業の商談資料・商談概要のペライチ資料、トークスクリプト、切返しトーク集、質問蓄積集、業務フロー等の営業ツールを提供することで、属人的な営業成果に頼らず組織全体で成果を上げることを目的とした営業支援を行っております。

 また、ノウハウやナレッジとして蓄積されたこれらの営業ツールを活用することで、営業人材を約1~2か月で早期戦力化することに強みを持っております。


③ PDCAサイクルに基づく営業支援活動

 獲得効率を上げるため、円滑な組織運営により高速でPDCAを回すことで、生産性を向上させることに強みを持っております。具体的には、当初立案した戦略・戦術に基づく計画に対し、週次の定例会にてKPIの達成状況を把握し、方針の振返りを行い、打ち手の継続可否の判断を基に、計画の再設計を行います。各チームは、毎日の朝会を通した当日の行動量の把握、そして夕会による達成状況の確認、進捗状況の共有を行うことで、日次においてPDCAを回し、計画が達成できるよう適時適切な管理を行っております。

 また、顧客とは週次・月次にて定例会を実施し、営業手法と結果に関するレポートを提供することで連携を密にとっております。契約開始時に定めた戦略・戦術が効果的であったかを顧客とともに検証し、打ち手の再設計を行い、改善を行うべくPDCAサイクルを回すことで戦略・戦術の見直し、及び業務の最適化を図っております。


④ 徹底的な品質管理

 当社の営業メンバーは営業活動を開始した後も属人的にならないよう、営業支援活動のポイント、フィードバック項目を可視化したチェックシートを用いて、定期的に営業ロールプレイング(模擬商談)を実施することによりトークスキルの向上を図っております。営業活動の事前訓練を行うことで顧客対応の質を上げ、案件の成約率、目標達成率が向上いたします。また、後述する「トレキャン」を活用し、営業成績優秀者の商談を模倣することにより定性面も含め、質の向上を図っております。


(インタビューメーカー事業)

 採用面接特化型システム「インタビューメーカー」の開発・提供及び就職・採用活動を支援するソリューションを提供する「プロフェッショナルサービス」を展開しております。

(a)インタビューメーカー

イ.インタビューメーカーの概要

 インタビューメーカーは、採用面接をオンラインで実施するために必要な多数の機能を提供する、採用面接に特化したSaaS型システムであります。一般的な会議ツールと比較して、インタビューメーカーの採用選考に特化した各種機能を活用することで、採用形態の多様化やオンラインによる面接の増加等により高度化した採用活動を効率的に実施することが可能となっております。

 サポート体制を構築することで、導入企業がインタビューメーカーを採用フローの中に組込み、円滑に運用できるようサポートいたします。さらに、システム導入時に抱えていた採用課題を、インタビューメーカーを活用して解決するため、定期的な運用検証会の実施を通して採用活動の改善サポートを行っております。


(b)プロフェッショナルサービス

イ.「im AIエクスプレス選考 Powered by ExaWizards」の概要及び特徴

 当社が持つインタビューメーカーの録画面接データと選考結果、株式会社エクサウィザーズが持つAIアルゴリズムと人事領域でのデータ活用ノウハウを組み合わせることにより、採用選考の効率化を図るサービス「im AIエクスプレス選考 Powered by ExaWizards」を株式会社エクサウィザーズと共同で開発し、提供しております。

 当社が提供するサービスは、世の中の一般的な学生の基準や傾向を教師データにした汎用モデルではなく、企業独自の求職者とその合否結果のみを教師データに企業独自の採用結果の合否を予測するAIモデルを構築することで、個社ごとの採用活動の支援ができる点が特徴となっております。

 AIは企業の採用基準の指標を考慮して、求職者がその企業に適合する人材かどうかの合否判定及び当該合否の確信度を提供いたします。企業の採用担当者は、データを意思決定サポートに用いることで、求職者のスクリーニングの工数削減が期待できます。


ロ.AIに関する基本姿勢

 AIに関する漠然とした不安の解消のため、特に「個人情報はどのような形でAIに学習されるのか」、「AIの判定結果がどのような形で選考に役立てられるのか」について、分かりやすく開示していく必要があると考えております。当社は、より良いAIの活用を目的に、当社がAIを活用する際の指針となる、独自の「AIに関する基本姿勢」を、各種指針(注)を参考に策定して開示しております。具体的な取組みとしては、「AIに関する基本姿勢」に基づき組成されたAI委員会が主体となって、求職者に対する職業差別に繋がらないよう、合否判定モデルやその構築プロセスの妥当性について確認しております。


(その他事業)

(a)Handy事業

 高校生と、高校生を採用したい企業の距離を近づける求人票デジタル共有システム「Handy進路指導室」を提供しております。

 高校生が就職する場合、在籍している学校の先生を介して、就職先を紹介されることが一般的です。学校には、高校生の採用を希望する求人企業から、印字された求人票が郵送やFAXで送り届けられます。学校は、生徒の要望に合致すると思われる求人票を選び出し、生徒に開示します。そして、高校生は、学校に届いたこれらの紙の求人票から、自分の関心や条件に合致する企業を見つけ出し、応募するのが通例となっております。

 「Handy進路指導室」にて紙の求人票をクラウドで管理できるような環境を学校に提供することにより、採用DXを促進し、先生の業務負荷を軽減、また、1人1社ずつ応募を行う「1人1社制」の仕組みが根付く高校就活市場において、当社のシステムにより求人票が可視化されることで、高校生は複数社を比較検討した上で就活することが可能となり、高校生の就活市場の活性化が期待できます。

 学校は、企業から学校に郵送、または現物にて持ち込まれた求人票を、スマホや複合機により、OCR技術を用いてスキャンすることで、「Handy進路指導室」上にて企業の求人票が閲覧可能となります。当社のサービスは、生徒が学校の進路指導室にて、紙で掲載された企業一覧表や、ファイリングされた紙の一覧から探していた求人情報をクラウド上で簡単に検索、閲覧することが可能となっている点が特徴となっております。2023年7月期第2四半期末現在452校にて導入いただいております。

 求人企業にとっては、企業の意向に基づいた写真や動画等の、求人票では伝えられない視覚的な会社情報や先輩インタビュー等を、システム導入先の学生に向けて、直接情報発信することが可能となっております。

 当社は、学校にシステムを無償で提供しており、収益は求人票に加え、高校生に対し会社情報を追加で発信したい企業から得ております。収益構造は、月額基本料金に加え、求人掲載情報量に応じた変動課金制となっております。


(b)トレキャン事業

 クラウド型営業育成ロールプレイング(模擬商談)システム「トレキャン」を提供しております。

 「トレキャン」は、模範となる営業成績優秀者の営業動画と、営業メンバーにより模倣して撮影された営業の練習動画を比較分析することにより、模範動画と練習動画の一致率を算出いたします。当システムは、AIにより両動画の表情、笑顔の量、スピード、トーン等のスピーチスキル、身振り手振り等の一致率を総合的に判定し、互いの相違点をレポートを通じ定量的な情報とともにフィードバックを行います。

 当システムを活用することで営業メンバーは、営業スキルを営業成績優秀者に近づけることが可能となっております。また、模擬商談の結果が自動で判定されることにより、営業メンバーは時間及び場所の制約なく営業トークの模擬練習に取組むことができ、現場に立つまでの時間短縮が見込めます。また、AIにより評価基準が統一されることで、営業の質の標準化に繋がります。

 また、当システムによりメンバーのトレーニング実施状況の把握や営業スキルの不足、向上度合いの数値化・可視化を行うことで、効率的、高品質な営業活動を行うための示唆を部門長に提供しております。


【業績等】

決算期 種別 売上高 営業利益 経常利益 純利益

2023/07 単独中間実績 1,192 202 198 196

2023/07 単独会社予想 2,182 253 246 242

2022/07 単独実績 1,995 -30 -51 -117

2021/07 単独実績 1,674 -530 -537 -555


決算期 種別 EPS BPS 配当

2023/07 単独会社予想 322.87 - 0.00


上場時発行済株数 1,005,250株(別に潜在株式85,200株)

公開株数 173,400株(公募100,000株、売り出し50,800株、オーバーアロットメント22,600株)

調達資金使途 人材採用費、オフィス増床の設備投資、借入金返済

PER:8.0

PBR:

配当利回り:

公募時吸い上げ資金:4.4億

公募時時価:26億

​   

【株主構成】 

太田靖宏 代表取締役 317,400 32.05% 180日

ジャフコSV5共有投組 投資業(ファンド) 170,250 17.19% 90日・1.5倍

(株)ファミリースタジアム 役員らが議決権の過半数所有 100,000 10.10% 180日

児玉尚彦 新株予約権信託の受託者 50,000 5.05% 180日

ドコモ・イノベーションファンド2号投組 投資業(ファンド) 44,150 4.46% 90日・1.5倍

GMO GFF投組 投資業(ファンド) 35,800 3.61% 90日・1.5倍

(同)RSPファンド6号 投資業(ファンド) 35,750 3.61% 90日・1.5倍

間渕紀彦 取締役 32,100 3.24% 180日

ジャフコSV5スター投組 投資業(ファンド) 30,500 3.08% 90日・1.5倍

石川兼 取締役 22,050 2.23% 180日

SMBCベンチャーキャピタル5号投組 投資業(ファンド) 17,900 1.81% 90日・1.5倍


 本募集並びに引受人の買取引受による売出しに関連して、売出人かつ貸株人である株式会社ファミリースタジアム、売出人である石川兼、熊本康孝、武田慎之介、前澤隆一郎及び吉沼久美並びに当社株主である太田靖宏、間渕紀彦、株式会社ヒト・コミュニケーションズ・ホールディングス、株式会社エムアウト、株式会社ツナググループ・ホールディングス及び佐志雪乃並びに当社新株予約権信託の受託者である児玉尚彦は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後180日目の2023年10月22日までの期間(以下「ロックアップ期間①」という。)中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社株式(当社新株予約権及び新株予約権の行使により取得した当社普通株式を含む)の売却等(ただし、引受人の買取引受による売出し、オーバーアロットメントによる売出しのために当社普通株式を貸し渡すこと等は除く。)は行わない旨合意しております。

 また、当社株主であるジャフコSV5共有投資事業有限責任組合、ドコモ・イノベーションファンド2号投資事業有限責任組合、GMO GFF投資事業有限責任組合、合同会社RSPファンド6号、ジャフコSV5スター投資事業有限責任組合、SMBCベンチャーキャピタル5号投資事業有限責任組合、FFGベンチャー投資事業有限責任組合第2号、TARO Ventures2号投資事業有限責任組合、株式会社レアゾン・ホールディングス、きらぼしキャピタル夢・はばたき1号投資事業有限責任組合及び旺文社イノベーションファンド1号投資事業有限責任組合は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後90日目の2023年7月24日までの期間(以下「ロックアップ期間②」といい、ロックアップ期間①とあわせて以下、「ロックアップ期間」という。)中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社株式の売却等(ただし、その売却価格が「第1 募集要項」における発行価格の1.5倍以上であって、主幹事会社を通して行う東京証券取引所での売却等は除く。)は行わない旨合意しております。


【代表者】

代表者名 太田 靖宏(上場時46歳0カ月)/1977年生

本店所在地 東京都港区赤坂

設立年 2012年

従業員数 126人 (2023/02/28現在)(平均30.4歳、年収468.5万円)

事業内容 営業支援・ビジネスプロセスアウトソーシングサービスの提供、ウェブ面接システム「インタビューメーカー」の開発・提供など

URL https://stadium.co.jp/

株主数 27人 (目論見書より)

資本金 100,000,000円 (2023/03/23現在)

代表者生年月日 1977年04月11日生まれ

代表者略歴

1999年04月 フジ住宅株式会社 入社

2001年10月 株式会社リクルート 入社

2009年04月 同社 首都圏営業部長

2012年08月 当社設立 代表取締役(現任)


【幹事団】

主幹事証券 SBI - -

引受証券 SMBC日興 - -

引受証券 岩井コスモ - -

引受証券 FFG - -

引受証券 極東 - -

引受証券 東海東京 - -

引受証券 松井 - -


【参考類似企業】今期予想PER(3/30)

4433 ヒトコムHD 10.7倍 (連結予想)

6089 ウィルG 7.5倍 (連結予想)

7039 ブリッジ 15.9倍 (連結予想)

7376 BCC 51.0倍 (単独予想)


【私見】

 楽天などの営業支援ということで名前からもVCらしい勢いのありそうな会社です。同業が低PERからなのか、仮条件の設定には割安感を感じ、規模も非常に小さいので初値段階で高くなるかと思います。ただし、ジャフコを始め1.5倍でロックが外れるので、空白期間があるとはいえ、セカンダリーには注意は必要です。


想定価額:2200円

仮条件上限:2570円

初値予想:6000円

ブック申し込み度・・・強気

セカンダリー期待度・・・中立

総合評価:3.5

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