【事業内容】
1.事業の概要
位置情報等を必要とするお客さまに対して、GNSS測位により発生したメートル級の誤差をセンチメートル級までに補正する情報を配信しております。GNSS測位とは、GPSなどに代表される衛星が発信する電波を利用して、受信機の緯度、経度、高度等を測定する方法であります。位置情報等を求めるにあたっては、近年、GPSをはじめGNSS衛星を使って測位することが身近になってきておりますが、衛星からの情報(単独測位 )だけではどうしてもメートル級の誤差が生じてしまいます。より正確な位置等を求めるためには、その誤差を補正する作業が必要であり、当社の補正情報等を利用することで、その誤差を補正しセンチメートル級の高精度な位置情報等を求めることが可能になります。
・誤差が発生する原因と補正情報等について
GNSSによる位置情報等の測位は、GNSSからの電波を取得するまでに要した時間を用いて行います。しかし、GNSSから発信された電波は大気層を通過する際、電離層と対流圏で電波速度に影響が発生するため、測位結果にメートル級の誤差が生じてしまいます。また、電波を受信する場所によっては、周辺の建物による電波の反射や回折(※11)などの影響も受けてしまいます。当社は、既に位置情報が分かっている箇所(電子基準点 )からの当該既知情報と計測地点(未知点 )の情報をもとに、これらの影響による誤差を解析して、当該誤差を排除することができるデータ(補正情報等)を配信しております。
2.当社のサービスの体系
お客さまが現在の位置を正確に把握するためにリアルタイムに補正データを提供するリアルタイムデータ配信と、ドローン等で取得した観測記録を元に観測時の移動状況を後日分析の上、補正データを提供する後処理データ配信の2種類の配信サービスを行っております。サービスに関する料金体系については、リアルタイムデータ配信サービスにおいては「従量プラン」、「定額プラン」、「年間契約プラン」、後処理データ配信サービスにおいては「後処理専用プラン」を設けておりますが、利用台数や方法に応じて個社別に契約等を締結する場合もございます。また、どちらのサービスを利用いただく際も、初回登録料を頂いております。さらに、初めて当社のサービスを利用されるお客さま(建機・農機・特殊車両等ご希望になるお客さま)に向けて、通信機器の販売も行っております。電源を入れると、すぐに当社のデータセンターと接続を開始して補正データを受信するため、お客さまは接続設定等の煩わしい作業を行うことなく、簡単に使用を開始できる環境を提供しております。
(1)リアルタイムデータ配信
当社のサービスを利用するお客さまは、ネットワーク通信を介して、お客さま側で単独測位した観測結果である位置情報を当社に送信した後、当社から送信した位置に対する補正データを受信し、お客さま側の機器で解析(基線解析))することで、リアルタイムに高精度測位を行うことが可能になります。補正データを作成するにあたり、一般的には観測現場毎に基準局(既知点・基準点)を設置する必要がありますが、当社のサービスは、国土地理院が日々管理している電子基準点情報を基に作成するため、それらが不要となります。
このリアルタイムデータ配信は、「仮想点方式」「電子基準点方式」のいずれでも利用することが可能であります。
この方式の違いは、補正データとして使用する基準局が、任意の位置に仮想的に生成された仮想点か、国土地理院の電子基準点かの違いで、お客さまの用途によって使い分けることができます。
(i) 仮想点方式(VRS方式)
仮想点方式は、観測位置の近傍に仮想的に基準局を生成し、仮想点からの基線解析を行うことで、高精度な位置情報を求める方式です。
仮想点は、国土地理院の電子基準点の成果と高精度な現在座標をもとに誤差要因を補正した理想空間における仮想観測データと地殻変動による推定計算を行った仮想の電子基準点であるため、極めてバラツキが少なくなっております。そのため、国家座標に整合した高精度測位が可能になっております。
また、物理的な基準局でないため台風や地震などの外部環境の影響を受けません。
(仕組み)
①お客さまが観測した単独測位(衛星のみで取得した概算位置)を当社に発信いたします(NMEA GGAフォーマット・・・GNSS受信機から測位結果として出力されるデータ形式の一つで、時刻や位置とGPS関連の情報をまとめたセンテンスの集合で構成されております)。
②当社は、衛星から発信され電子基準点が受信する測位衛星信号と、地殻変動補正を行った高精度な位置座標を使用して、お客さまの近傍に受信機が出力した概略位置の仮想観測情報(仮想位置と観測情報)を作成いたします(これが仮想点になります)。
③当社から補正情報をお客さまの受信機に発信いたします(RTCM(=Radio Technical Commission for Maritime Services)形式・・・補正情報を送信するための標準フォーマット)。
④受信機は補正情報を入力、解析し、測量地点の正確な位置(国家座標または測量法に基づく座標)を求めることができます。
(ⅱ) 電子基準点方式
電子基準点方式は、観測地点の最寄りの国土地理院の電子基準点の実観測データを使った補正データを受信機に配信し、基線解析することで、高精度な位置情報を求める方式です。
利用する電子基準点は観測開始時に取得し、観測終了するまで利用いたします。特に、島しょ部では、VRS方式での観測ができない可能性があるため、直接的な観測で活用されるという特長があります。
(仕組み)
①お客さまが観測した単独測位(衛星のみで取得した概算位置)を当社に発信いたします(NMEA GGAフォーマット)。
②当社はリアルタイムの電子基準点情報を保持しており、概略位置に近い電子基準点1点のRTKデータを利用者に配信いたします(RTCM形式)。
③受信機は電子基準点情報を解析し、測量地点の正確な位置を求めることができます。
(2)後処理データ配信(PPK)方式)
後処理データ配信は、現地でのネットワーク通信を必要とせず、お客さまが単独で衛星測位を行った後に、その観測したデータと、当社が配信する後処理データによって高精度な位置情報を取得することができます。
基準局については、リアルタイムデータ配信の仮想点方式と電子基準点方式と同様に、物理的な機器の設置は不要であり、指定された座標で仮想的に生成する方法と、あるいは電子基準点を指定することで取得できる方法があります。
後処理データは、当社のWebサイトにおいて観測した日時と座標の入力、あるいは電子基準点を指定し、ダウンロードすることで入手できます。
(ⅰ) 仮想点データ
仮想点データは、お客さまが任意座標と観測した時間帯を指定し、その指定した位置と時間帯に仮想的に基準局設置した時の、後処理データであります。
(ⅱ) 電子基準点データ
電子基準点データは、お客さまが利用する電子基準点と観測した時間帯を指定し、その電子基準点の観測データを基に作成された後処理データであります。
3.当社サービスの特長及び強み等
(1)国土地理院の電子基準点約1,300点を活用した仮想点方式による配信処理、測地成果)への整合
当社の配信サービスは、国土地理院によって全国に設置された約1,300点の電子基準点網(GEONET)を活用しており、高精度で安定した補正データを提供しています。
仮想の基準局の生成には既知点である電子基準点のデータが必要で、理論的には、使用可能な電子基準点が高密度であるほど精度の高い補正データを提供することができます。当社では業界最多水準の全て(=約1,300点)の電子基準点網の中から観測位置から最寄りの3点を自動的に選定しております。また、当社が配信する補正データは「測地成果2011」(国土地理院が公表している最新座標値)に整合しているため、公共測量の際に用いることができます。
(2)地殻変動の影響も加味していること
日本及び周辺には複数のプレートが有り、さまざまな力が加わって複雑な地殻変動が生じております。その変動量は、年間0.2ppm(100kmで2cm)程度であることが知られています。そのため、公共作業を行う場合は、補正して国家基準点に準拠させる必要があります。当社では定期的に計算する理想空間座標を使用して推定計算を行う方法により、国家基準点に準拠した高精度の補正情報を生成してお客さまに提供しています。
(3)電子基準点で対応している全ての衛星システムに対応
米国のGPSをはじめ、ロシアのGLONASS、日本のQZSS(みちびき)、EUのGalileoに対応しています。複数のGNSS信号を受信することで、常に安定した数のGNSS信号を受信できます。このことは観測する様々な環境下において安定した精度をもたらします。
(4)観測支援ツールの提供
当社では、スマートフォン及びWebアプリの「J-View®」(※23)や、衛星飛来予測ツールなど、観測支援ツールを提供しています。「J-View®」は、当社が提供する現場観測支援サイトで、ネットワーク型GNSSサービス(JENOBA方式)を利用した観測状況を事務所PCやスマートフォン等で確認ができるサービスです。衛星飛来予測ツールは、観測地域、観測日時及び時刻を指定することで、そのときの衛星の配置、測位精度への影響度を計算します。
(5)GNSS受信機別の技術検証に合格したデータ配信であること
GNSS受信機はメーカーごとに異なるため、GNSSの電波から受け取る信号の取り扱いもそれぞれのGNSS受信機ごとに異なる場合があります。その場合、正しいデータ生成を行うためには補正が必要となります。当社は、測量業務に適した最高水準の配信を実現するため、仮想点の座標指定や変更機能など、継続作業・点検作業に最適の利用環境を、多くのGNSS受信機メーカーと共同で開発・検証しています。
(6)補正情報の品質チェック、配信システムの冗長化
電子基準点のデータを24時間365日監視し、補正データ等の品質をチェックしています。例えば、太陽フレア等に起因する障害が発生していないかの監視等も行っており、データ的な問題があれば注意喚起するなどの対策を講じています。また、安定して品質の高いサービスを提供するために、解析用電子基準点の高密度化を図っており、解析用ソフトウエアの研究やテストを継続的に行っており、常に最適なデータ生成の研究を行っています。さらには、配信システム及びデータセンター等の冗長化を実現し、サーバー自体の物理環境の保護に加え、電源やセキュリティの強化、メンテナンスの充実により、配信を停止しないシステムの構築に努めております。サーバーの開発・テスト環境との分離により配信用のサーバーには負荷はかからず、商業用として独立で機能しています。当該サーバーの管理は全てリモートコントロールで行うことができ、当社の技術者の管理により24時間体制での配信サービスを提供しています。
4.当社サービスの利用事例
測量・土地家屋調査
測量分野における衛星測位において、GPS測量から始まり、近年ではGLONASS、Galileo、準天頂衛星など、数多くの衛星が使用可能となっています。国土地理院が定める公共測量作業マニュアルにおいても、マルチGNSS測量の利用ができるようになりました。マルチGNSS化により、ネットワーク型RTK-GNSS測位の使用用途が広がっています。
ICT施工
国土交通省は、建設現場の生産性向上と魅力ある建設現場に向けて、測量・設計・施工・管理の全プロセスにおいて、情報化施工を前提とした新基準 『i-Construction』を2016年度より導入いたしました。現在はICT土工、ICT舗装工に続き、ICT浚渫工・ICT地盤改良工など全国で取り組みが進んでいます。
使用されるICT建機において、施工精度が必要になるため、GNSS測位を用いて高精度な位置情報を取得し、3次元設計データとの差分によって自動制御やガイダンスが可能になりました。これにより習熟度の浅いオペレーターでも、効率的に施工ができるようになります。
ドローン測量
マシンコントロール
出来形管理
工事の着手前に現状の形状を把握するために行う起工測量や施工後に実施する出来形測量等で利用されています。
IT農業
国内における農業の現場では、依然として人手に頼る作業や熟練度が必要な作業が多く、省力化、人手の確保、負担の軽減が重要な課題です。そこで、日本の農業技術にICT技術(スマート農業)を活用することで、省力・軽労化をさらに進めることが出来るとともに、新規就農者の確保や栽培技術力の継承等が期待されています。
GNSSガイダンスシステム
GNSS自動操舵システム
ドローンによる農薬散布、育成管理
トラクターにGNSS受信機と表示用ディスプレイを搭載し、農作業機械の作業幅に合わせて作業経路を誘導するシステムです。
その他
ドローン測量、ドローン物流、さらには、公共事業等で建設・整備されたものの、かなりの年数を経年した橋・道路・その他の各種インフラ点検時などに導入されるドローン点検のようなドローン分野における利活用、また、自動車をはじめとした運行管理などのモビリティ分野でも衛星測位の利用が研究されています。
【業績等】
決算期 種別 売上高 営業利益 経常利益 純利益
2023/09 単独1Q実績 312 182 182 127
2023/09 単独会社予想 1,230 630 607 412
2022/09 単独実績 1,162 596 596 412
2021/09 単独実績 1,051 514 514 355
決算期 種別 EPS BPS 配当
2023/09 単独会社予想 31.68 223.84 3.00
上場時発行済株数 14,195,000株(別に潜在株式2,345,000株)
公開株数 920,000株(公募800,000株、オーバーアロットメント120,000株)
調達資金使途 設備投資、人材確保のための人件費・採用関連費
PER:14.2
PBR:
配当利回り:
公募時吸い上げ資金:4.1億
公募時時価:64億
【株主構成】
南安子 特別利害関係者など 2,613,000 17.40% 90日・1.5倍
南尚子 特別利害関係者など 2,612,000 17.40% 90日・1.5倍
(株)トプコン 資本業務提携先 1,500,000 9.99% 90日・1.5倍
(株)日立産機システム 取引先 1,000,000 6.66% 90日・1.5倍
(株)パスコ 取引先 875,000 5.83% 90日・1.5倍
戸上敏 代表取締役専務 673,000 4.48% 90日・1.5倍
河野芳道 代表取締役社長 561,000 3.74% 180日
小松哲郎 特別利害関係者など 393,000 2.62% 90日・1.5倍
細谷素之 元代表取締役社長 336,000 2.24% 180日
菅原光一 常勤監査役 323,000 2.15% 180日
ユニコムグループホールディングス(株) 特別利害関係者など 250,000 1.67% 90日・1.5倍
(有)ゼンショウ 特別利害関係者など 204,000 1.36% 90日・1.5倍
小曽根毅 特別利害関係者など 200,000 1.33% 90日・1.5倍
本募集に関連して、当社の株主かつ貸株人である戸上敏、並びに当社の株主である河野芳道、細谷素之、菅原光一、中村敏英、西田大助、来田倍周、西田昭彦、迫謙一、杉本義昭、高原義久、工藤幸太郎、池田隆博、亀井直樹、吉川晃司、加藤和人他4名は、保有する当社株式1,064,000株について、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場日(当日を含む)後180日目(2023年10月14日)までの期間(以下、「ロックアップ期間」という。)、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却等(ただし、グリーンシューオプションの対象となる当社普通株式を主幹事会社が取得すること等を除く。)を行わない旨を合意しております。
また、当社の株主である南安子、南尚子、株式会社トプコン、株式会社日立産機システム、株式会社パスコ、小松哲郎、ユニコムグループホールディングス株式会社、有限会社ゼンショウ、小曽根毅、小田徹、株式会社玖珂総業、国土情報開発株式会社、滝本守、医療法人陽風会、逸見英輔、宇治田卓司、鷺谷智美、若林香織、株式会社テクニカルリード、加藤千春、方波見忠、谷岡明、日本連合警備株式会社、阿島英雄、木田夕紀、吉田士誠、金山たまよ、KDDI株式会社、杉本和雄他47名は、保有する当社株式11,407,000株について、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場日(当日を含む)後90日目(2023年7月16日)までの期間、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却等(ただし、グリーンシューオプションの対象となる当社普通株式を主幹事会社が取得すること及び売却価格が本募集等における発行価格又は売出価格の1.5倍以上であって、主幹事会社を通して行う株式会社東京証券取引所取引での売却等を除く。)を行わない旨を合意しております。
加えて、当社の新株予約権を保有する戸上敏、河野芳道、細谷素之、菅原光一、中村敏英、西田大助、来田倍周、西田昭彦、迫謙一、杉本義昭、高原義久、工藤幸太郎、池田隆博、亀井直樹、吉川晃司、加藤和人、今給黎哲郎、松井美和子は、主幹事会社に対し、ロックアップ期間中は主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社新株予約権及び新株予約権の行使により取得した当社普通株式の売却等を行わない旨を合意しております。
【代表者】
代表者名 河野 芳道(上場時55歳4カ月)/1967年生
本店所在地 東京都千代田区神田須田町
設立年 1997年
従業員数 16人 (2023/02/28現在)(平均47歳、年収734.4万円)
事業内容 GNSS(全球測位衛星システム)補正情報配信サービスなど
URL https://www.jenoba.jp/
株主数 101人 (目論見書より)
資本金 473,500,000円 (2023/03/13現在)
代表者生年月日 1967年12月18日生まれ
代表者略歴
1990年04月 キヤノン販売株式会社入社
1999年10月 ライカジオシステムズ株式会社入社
2015年01月 同社 キーアカウント開発営業部長
2017年03月 当社入社 経営企画室部長
2018年12月 当社取締役営業部長兼経営企画室長
2019年12月 当社代表取締役社長(現任)
【幹事団】
主幹事証券 大和 744,000 93.00%
引受証券 SBI 8,000 1.00%
引受証券 松井 8,000 1.00%
引受証券 水戸 8,000 1.00%
引受証券 極東 8,000 1.00%
引受証券 香川 8,000 1.00%
引受証券 東洋 8,000 1.00%
引受証券 岩井コスモ 8,000 1.00%
【参考類似企業】今期予想PER(3/23)
4018 ジオロケ 12.5倍 (単独予想)
5137 スマートドラ - (連結予想)
7077 ALiNK 17.3倍 (単独見込)
【私見】
GNSS補正情報配信サービスということで技術力も高そうで、優位性もあり業種妙味が非常にあります。業績面では、売上からは成長性にやや疑問はありますが、上場を機に他展開することも考えられ、ドローンなど含め可能性はある銘柄だと思います。また、利益率の高さは魅力で、PERから割高感はなく、比較対象銘柄はありませんが、高PERでも容認されると思います。1.5倍で外れる株主は多いですが、VCではないことから、需給もそれほど心配しなくても良いのではないかと思っています。更に低単価の3桁銘柄で、4桁には初値段階で突破することはほぼ確実で、時価総額も大きくないのでセカンダリーも気になる銘柄です。
想定価額:450円
仮条件上限:470円
初値予想:1500円
ブック申し込み度・・・強気
セカンダリー期待度・・・やや強気
総合評価:4
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