【事業内容】
(1)コインパーキング事業
、創業当初から「遊休不動産の有効活用」という基本理念の下、コインパーキングとして活用可能な遊休土地を持つ土地所有者に対し、「コインパーキングの運営から駐車場機器の供給・メンテナンスを手掛ける駐車場管理の総合商社」として、土地所有者の要望に応じて柔軟に提案・対応をしてまいりました。
「コインパーキングの収益性に興味はあるが、自分で運営するのは不安。」という土地所有者に対しては、当社がコインパーキングの運営事業者として、土地所有者から賃借した土地にコインパーキングを開設・運営し、土地所有者へ土地の賃借料を支払います。
「コインパーキングを自分で運営したい。」という土地所有者に対しては、当社が駐車場機器の供給・メンテナンス事業者として、コインパーキングの開設から運営まで幅広くサポートします。コインパーキングの開設時にはコインパーキングの造成、コインパーキングの運営開始後にはコインパーキングの利用者からの入電の受付、場内でのトラブル発生時における駆け付け対応、駐車場機器の定期点検業務等、コインパーキングの開設から運営に必要なサービスを全て当社が提供します。
このような「総合商社のような顧客ニーズに応じた柔軟な対応」という戦略のもと、当社グループの直営駐車場・駐輪場数及び管理受託駐車場・駐輪場数は順調に伸びており、2023年1月末現在、45都道府県で7,344件、132,270車室を展開しております。
① コインパーキング運営ビジネス
a. ビジネスの概要
コインパーキング運営ビジネスは、土地所有者から当社グループが土地を賃借又は購入し、その土地に当社グループが駐車場システム(精算機、フラップ装置、看板その他の駐車場設備をいう。)を設置し、時間貸し又は月極にて駐車場・駐輪場の運営管理を行います。
精算した後に上昇していた板が下降する装置をいいます。
b. 市場環境
(a) 市場規模
コインパーキング市場の市場規模の推移・予測は、次のとおりであります。
・2020年、2021年のコインパーキング市場は、新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けており、利用者数や稼働率が下がっています。しかし、拠点数や車室数に関しては、大きな変化はないとみられます。
・コインパーキングは、短期間でも利益を得られるビジネスであるため、遊休地を有効活用するには最適な選択肢の1つとなっています。建設計画が決まっていない土地や、建設が始まるまでの間に運営することが多いです。加えて、コインパーキングだった土地を、別の事業者とともに新たなコインパーキングに設置し直すパターンが多いため、安定した推移が続く見通しです。
(b) 業界の特徴と傾向
イ 需要予測の重要性
コインパーキングは、目的地に向かうために一時的に自動車を駐車するスペース、言い換えるとコインパーキングは目的地ではありません。そのため、コインパーキングがその需要を創出することはありません。従って、コインパーキングの需要を見極めて新規開設を行うことが重要となります。
ロ 需要変動が頻繁に発生
一つのコインパーキングの商圏は、一般的に半径200mと言われており、非常に狭いことが特徴です。そのため、商圏内で集客力のある店舗等の出退店、多数の工事車両の出入りがある建設工事の着工等により、コインパーキングの需要が大きく変動するため、需要変動に応じて利用料金を変更する等の対応が必要となります。
ハ 積雪による機会損失
コインパーキングは、積雪があった場合において、その積雪がコインパーキング利用者車両の入出庫に支障をきたすときは、場内の除雪が必要となります。また、多くのコインパーキングは、タイヤロック装置が設置されているフラップ式駐車場であります。このフラップ式駐車場の除雪を行う際には、フラップ板と除雪機の接触の恐れがあることから、フラップ板周辺は除雪機を使用出来ず、場内の除雪に多くの時間を要します。その結果、売上の機会損失が発生することがあります。
ニ キャッシュレス決済の普及
若い世代を中心に、キャッシュレス決済を行う利用者が増えております。特に最近普及が進んでいるのがスマートフォンアプリ決済です。雨のなか車内で精算を済ませたいというユーザーや、利用料金精算時の精算機との接触を感染症の感染リスクと考え精算機との接触を好まないユーザーがスマートフォンアプリ決済を利用するようになっております。
(c) 当社の特徴・強み
コインパーキング運営ビジネスにおける当社グループの特徴・強みは、需要予測力、需要変動への対応力、積雪への対応力及び利用者へのサービス提供力であります。
イ 需要予測力
2023年1月末現在、32都道府県で直営駐車場・駐輪場を1,189件運営しています。これらのコインパーキングの稼働率等の業績データを分析・活用することにより、コインパーキングの新規開設時における高精度の需要予測を可能としています。
ロ 需要変動への対応力
この需要変動に対応した料金体系の変更等を行うための専門チームを設けております。この専門チームは、当社グループが運営するコインパーキングの稼働率を日常的に監視し、コインパーキングの商圏内で集客力のある店舗等の出退店等による需要変動の兆候を発見した場合には、現地調査に基づいた適切な料金体系への変更を実施し、コインパーキングの稼働率向上に貢献しています。
ハ 積雪への対応力
降雪地域において、フラップ板がない駐車場「フラップレス駐車場」を積極的に展開しております。フラップ式駐車場が場内の除雪に多くの時間を要する一方で、フラップレス駐車場については、場内のほぼ全域を除雪機で除雪することが可能であるため、短時間で除雪が完了します。
また、当社グループでは、降雪地域のうち北海道、宮城県、長野県、富山県、石川県、福井県に事業所を有しており、これらの地域においては、降雪状況を直に確認した上での速やかな対応が可能であり、除雪は外部委託による除雪に加え、自社社員による除雪を行っております。さらに、近年では北海道及び福井県の事業所において、除雪用の重機を自社で所有することとし、効率的な除雪対応を進めております。
ニ 利用者へのサービス提供力
コインパーキングの利用者の利便性の向上を目的として、利用者向けに当社グループ独自のスマートフォンアプリ「SmooPA」を提供しております。SmooPAは、コインパーキングの検索機能、コインパーキングの利用料金の決済機能を有しております。2023年1月末までのSmooPAアプリの累計ダウンロード数は112,185件、2023年1月のアクティブユーザー数は17,742名であります。
コインパーキング検索機能は、住所等に基づいて、SmooPAサービスに登録されているコインパーキングの検索が出来ます。検索結果には、駐車場の立地や利用料金に加えて、検索した住所の近隣のコインパーキングの情報も表示され、これらの混雑状況も確認可能としています。検索結果に表示される駐車場は、当社グループが運営するコインパーキングに加え、当社グループの顧客であるコインパーキング運営事業者が運営し、当社グループが管理受託しているコインパーキングも含まれています。
駐車場の利用料金決済機能は、SmooPAにクレジットカードの登録やスマートフォン決済アプリ(PayPay、au PAY等)を連携させることにより、駐車料金の精算時、コインパーキング場内の料金精算機を操作することなく、スマートフォンの操作のみで利用料金の決済を可能としています。
② 駐車場機器の販売・保守ビジネス
a. ビジネスの概要
駐車場機器の販売・保守ビジネスは、駐車場機器の販売ビジネスと保守ビジネスから構成されます。
駐車場機器の販売ビジネスは、当社グループが駐車場機器等を精算機メーカー等から仕入れ、駐車場システムとしてコインパーキング運営事業者に販売します。
駐車場の保守ビジネスは、コインパーキング運営事業者から駐車場システムの保守業務を請け負います。駐車場システムの保守業務の主な内容は、駐車場内でのトラブル発生時の利用者からの電話対応(コールセンター業務)及び駐車場への駆け付け、精算機内の利用料金の回収、駐車場機器の定期点検であります。
なお、土地の所有者から当社グループが土地を賃借し、転貸先である駐車場事業者に駐車場システムの設置及び販売、並びに当該保守業務を請け負い、その土地を時間貸し又は月極駐車場用地として、駐車場事業者に賃貸する場合もあります。
b. 市場環境
(a) 市場規模
駐車場管理システム市場の市場規模の推移・予測は、次のとおりであります。
・2020年のフロー市場は新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、コインパーキング事業者が機器のリプレイスを先延ばしにし、新設計画の見直し等を行ったことにより、数量ベースで前年比約75%程度まで落ち込んでいます。2023年頃には、2019年以前の水準まで回復することが予測されます。
・2024年には新紙幣が発行される予定となっており、これに対応できない機器の入替需要の増加が予測されます。また、クレジットカードやQRコード等の幅広い決済方法への対応が必要となる駐車場運営事業者にとって、新紙幣への対応とキャッシュレス決済への対応を同時に進める動きが加速し、2024年以降のフロー市場拡大を後押しする要因となっています。
・都市部でのコインパーキングの安定的な新設や、新設の大型ショッピングセンター等の商業施設、都心部のコンビニエンスストア向けのコインパーキング設置が予測されるため、継続的な伸長による市場拡大が予測されます。
(b) 業界の特徴と傾向
イ 特徴あるコインパーキングが少ない
コインパーキングビジネスは、自動車の駐車スペースの貸し出しというシンプルなビジネスであります。そのため、最近ではフラップレス駐車場等の新しい取り組みが見られるものの、新たな需要の創出に向けた取り組みが少なく、結果として特徴あるコインパーキングはあまり見られません。
ロ コインパーキングの造成・運営に係る業務が多数存在
コインパーキングの造成には、駐車場や案内看板等のレイアウト作成から駐車場機器等の調達及び設置等の業務があります。また、コインパーキングの造成が完了し、運営を開始後は、コインパーキングの利用者からの問い合わせやクレームの受付、場内でのトラブル発生時における駆け付け対応、駐車場機器の定期点検業務等の業務があります。このように、コインパーキングの造成・運営には複数の業務が存在します。
ハ コインパーキングは無人管理
コインパーキングは、「無人管理」であることが大きな特徴の一つであります。無人管理であることから、場内でトラブル等が発生した場合には電話対応、電話対応で対応しきれない場合は現場への駆け付け対応が必要となります。現場への駆け付け対応となった場合には、コインパーキングの利用者をお待たせすることになるため、トラブルの発生を未然に防ぐことが非常に重要と認識しております。
ニ キャッシュレス決済の普及
(c) 当社の特徴・強み
駐車場機器の販売・保守ビジネスにおける当社の特徴・強みは、商品企画・開発力、幅広な関連サービスの提供力、トラブルの未然・再発防止力及び利用者向けサービスの提供力であります。
イ 商品企画・開発力
駐車場機器の商品企画・開発を社内にて行っております。自社に商品企画・開発を行う部署を設けることで、迅速な商品企画・開発を行うことを可能としています。これまで、電気自動車及びプラグインハイブリッド車向けの充電スタンド、コインパーキング場内にフラップ板が無い駐車場「フラップレス駐車場」等の企画開発実績があります。
ロ 幅広な関連サービスの提供力
コインパーキングの造成・運営に必要な業務を全て請負うことが可能です。このように、一般的には数社にまたがって契約を要するようなコインパーキングの開設から運営に必要なサービスを、当社グループが一手に提供することにより、コインパーキングの運営事業者はコインパーキングの運営に集中することが出来ます。
ハ トラブルの未然・再発防止力
自社でコールセンターを運営し、直営及び管理受託駐車場・駐輪場7,344件(2023年1月末現在)のコインパーキングの利用者からの問い合わせやクレームを受け付けております。この問い合わせ等の情報を入電情報管理システムに集計・分析し、その結果をコインパーキングの管理業務に反映することで、トラブルの未然防止と再発防止につながり、利用者及び運営事業者ともに安心できるコインパーキングの提供に努めております。
ニ 利用者向けサービスの提供力
コインパーキングの検索、駐車場利用料金の決済アプリ「SmooPA」を当社グループの顧客である駐車場運営事業者にも提供しております。これにより、顧客である駐車場運営事業者のコインパーキングの付加価値の向上に貢献し、当社グループの得意先の囲い込みにつながっております。
(2)プロパティマネジメント事業
プロパティマネジメント事業は、当社所有のテナントビル及びマンションを個人又は法人に賃貸します。
(3)その他事業
その他事業は、工芸品の販売事業及びドローン事業であります。
工芸品の販売事業は、当社グループ創業の地である福井県内の工芸作家から工芸品の販売を受託し、工芸作家から販売手数料を受領します。その工芸品の販売は、福井県福井市の「ふくい工芸舎」にて行っております。
ドローン事業は、ドローンの操縦技能を習得しようとする者に対して、ドローンを操縦するのに必要な知識と技能を教習します。教習指導は当社グループの社員又は外部委託の講師が行い、受講料を主な売上としております。
【業績等】
決算期 種別 売上高 営業利益 経常利益 純利益
2023/06 連結中間実績 3,367 257 252 152
2023/06 連結会社予想 6,756 383 364 215
2022/06 連結実績 6,776 354 340 179
2021/06 連結実績 6,947 -89 -89 -339
決算期 種別 EPS BPS 配当
2023/06 連結会社予想 188.48 1,754.30 53.00
上場時発行済株数 1,145,144株(別に潜在株式2,800株)
公開株数 172,500株(公募100,000株、売り出し50,000株、オーバーアロットメント22,500株)
調達資金使途 直営駐車場のフラップレス化のための設備資金
PER:10.0
PBR:
配当利回り:
公募時吸い上げ資金:3.2億
公募時時価:22億
【株主構成】
野坂信嘉 代表取締役社長、専務の血族 268,084 25.62% 180日
野坂俊彰 代表取締役専務、社長の血族 147,440 14.09% 180日
野坂弦司 代表取締役の血族 53,144 5.08% 180日
野坂美智代 代表取締役の血族 26,600 2.54% 180日
(株)サニカ 特別利害関係者など 21,400 2.04% 90日・1.5倍
林明代 特別利害関係者など 19,440 1.86% 180日
出口和生 特別利害関係者など 17,620 1.68% 180日
近藤進 特別利害関係者など 16,520 1.58% 180日
JAIC企業育成投組 投資業(ファンド) 16,400 1.57% 180日
(株)滋賀銀行 取引先 14,000 1.34% 90日・1.5倍
本募集並びに引受人の買取引受による売出しに関連して、売出人である野坂弦司、野坂美智代及び園田廣、貸株人である野坂信嘉並びに当社株主である野坂俊彰、林明代、出口和生、近藤進、野坂真美、野坂幸司、野坂喜美江、野坂椎菜、野坂宗司、野坂歩未、野坂勇輔、天谷暢男、東孝二、関口豊、安嶋一及び天谷康宏は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後180日目の2023年10月10日までの期間中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社株式の売却(ただし、引受人の買取引受による売出し、オーバーアロットメントによる売出しのために当社普通株式を貸し渡すことは除く。)等は行わない旨合意しております。
加えて、当社株主である株式会社サニカ、JAIC企業育成投資事業有限責任組合、株式会社滋賀銀行、福井信用金庫、福井都市開発株式会社、アイザワ・インベストメンツ株式会社、益茂証券株式会社、株式会社千葉銀行、株式会社三菱UFJ銀行、マイ・パーク株式会社及び三津井証券株式会社は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後90日目の2023年7月12日までの期間中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社株式の売却(ただし、引受人の買取引受による売出し及びその価格が「第1 募集要項」の1.5倍以上であって、主幹事会社を通して行う売却は除く。)等は行わない旨合意しております。
【代表者】
代表者名 野坂 信嘉(上場時58歳3カ月)/1965年生
本店所在地 福井県福井市中央
設立年 1996年
従業員数 175人 (2023/01/31現在)(平均43歳、年収409.7万円)、連結187人
事業内容 コインパーキングの運営、駐車場機器の販売・保守
URL https://www.syb.co.jp/
株主数 276人 (目論見書より)
資本金 497,150,000円 (2023/03/10現在)
代表者生年月日 1965年01月07日生まれ
代表者略歴
1988年04月 三谷商事㈱ 入社
1996年07月 日本システムバンク㈱(以下「同社」) 入社
2000年06月 同社 専務取締役
2007年05月 同社 代表取締役社長
2015年07月 システムパーク㈱ 取締役(現任)
2019年07月 ダイヤ電子工業㈱(現 ノルテパーク㈱) 取締役(現任)
2021年11月 同社 代表取締役社長 兼 営業本部長
2022年07月 同社 代表取締役社長(現任)
【幹事団】
主幹事証券 岡三 135,000 90.00%
引受証券 SBI 7,500 5.00%
引受証券 益茂 3,000 2.00%
引受証券 アイザワ 1,500 1.00%
引受証券 ちばぎん 1,500 1.00%
引受証券 あかつき 1,500 1.00%
【参考類似企業】今期予想PER(3/17)
2353 日駐 19.4倍 (連結予想)
3286 トラストHD 8.3倍 (連結予想)
3496 アズーム 40.2倍 (連結予想)
4666 パーク24 25.4倍 (連結予想)
4809 パラカ 13.1倍 (単独予想)
【私見】
コインパーク事業ということで、安定した銘柄ではありますが、真新しさはなく、名証上場で人気が出ることは考えにくいです。業績も大きくは伸びてはおらず、低いPERですが、類似業種からも公募やや上くらいが妥当で、値動き少ない銘柄になるでしょう。
想定価額:1800円
仮条件上限:1880円
初値予想:2000円
ブック申し込み度・・・中立
セカンダリー期待度・・・中立
総合評価:2.5
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