2018年8月7日火曜日

IPO分析(チームスピリット)

【事業内容】
(1)事業の概要 
 当社は「すべての人を、創造する人に。」というミッションのもと、クラウド上のサービスを通して、働く人と企業の「働き方改革」を推進する顧客サービスを事業として展開しております。当社では、企業向けに勤怠管理、就業管理、工数管理、経費精算、電子稟議、カレンダー、SNS等の従業員が日々利用するアプリケーションをひとつにまとめた「TeamSpirit」やユーザー企業を有償で支援するプロフェッショナルサービスを提供しております。
 当社は「個を強く。チームを強く。」というビジョンのもと、主力サービスとして勤怠管理・工数管理・経費精算などのように従業員が日々利用するアプリケーションをひとつのシステムにまとめ、出社から退社までの活動を記録することで働き方を可視化し、創造的な時間を増やすことで生産性向上を実現するサービス「TeamSpirit」を提供しています。「TeamSpirit」は、従業員が日常的に使用する様々なアプリケーションを一体化した働く人視点の「フロントウェア」をコンセプトに設計されており、出社から退社まで働く人の活動に関する基礎情報を収集することで間接業務を効率化するだけではなく、日々の成果を可視化し、チームのコミュニケーションやPDCAサイクルの仕組みに変えるという新しい価値を提供します。 
 今、「働き方改革」の名の下、企業の生産性向上に大きな注目が集まっています。そのため、単なる労務管理だけではなく、今いる人やチームの活性化に関心を持つお客様からの受注が増加したことにより「TeamSpirit」は平成30年5月末時点で契約社数が932社、契約ライセンス数は129,944人となりました。 

(2)当社商品について 
a.「TeamSpirit」 
 当社の中核商品で、勤怠管理、就業管理、工数管理、経費精算、電子稟議、カレンダー、SNSなど従業員が日々利用するシステムをひとつにまとめたサービスです。インターネット経由で必要な期間利用できる SaaS という形態で提供され、テレワークや在宅勤務など多様で先進的なワークスタイルをサポートします。「勤怠管理、就業管理」の領域においては単なる出退社時刻の記録だけでなく、有給休暇の取得状況・残業時間の推移・36協定の抵触・インターバル時間・必要な休日確保の状況など、近年特にニーズの高い長時間労働の抑制や健康確保措置としての労働時間管理を実現します。また「工数管理・SNS」の領域では、リアルタイムに従業員の働き方を可視化し、トップパフォーマーの時間や経費の使い方などの行動を分析することで、従業員が生産性高く、生き生きと働くための質の高いコーチングを提供するなど、真の「働き方改革」の実現をサポートします。 
 「TeamSpirit」のコンセプトは、勤怠管理、就業管理、工数管理、経費精算、電子稟議、カレンダー、SNSなど従来は単体で提供されていたシステムが一体化され、出社から退社まで働く人の活動に関する基礎情報(ビッグデータ)を収集することで実現する「働き方改革プラットフォーム」という新しい価値の提供にあります。従来それぞれのシステムは人事部が担当する給与計算や経理部の行う財務会計、部門毎に必要な原価管理や総務部が取りまとめる各種稟議のように、企業の経営管理を司るERP(注4)などの基幹系システムのオプションとして提供されていました。しかしその性質上、月次の決算に必要な情報しか登録することができないと認識しています。「TeamSpirit」は基幹系システムのオプションに当たる機能を従業員視点でひとつにまとめ、ERPから従業員が毎日使うワークフロー機能を分離独立させたフロントウェアとして提供しています。そのため従業員の日々の活動データを「リアルタイム」にかつ「体系的」に中間的なデータベースに格納します。そこから必要なタイミングで基幹系システムにデータを取り込み処理をする業務フローに見直しました。そのため「TeamSpirit」では既存の基幹系システムにアドオンするだけの手軽さで働く人の活動に関する基礎情報(ビッグデータ)を収集することができます。 

「TeamSpirit」の契約ライセンス数の推移は以下の通りです。 
 契約ライセンス数(人)  契約社数(社)
平成24年8月  2,811  34
平成25年8月 11,736  116
平成26年8月 23,691  250
平成27年8月 46,335  423
平成28年8月 71,593  616
平成29年8月 98,900  795
平成30年5月 129,944  932 

(3)当社のビジネスモデルについて 
《サブスクリプション型 リカーリングレベニューモデルによる安定性と成長性》 
 当社の主要サービス「TeamSpirit」は顧客企業に対し、使用した期間に応じたサービス料をユーザー人数分のサブスクリプション(定期購読)として課金する、リカーリングレベニュー(継続収益)方式を採用しています。サブスクリプションが複数年にわたり継続して利用されることで、新規の契約数を解約数が上回らない限り、収益が前年度を上回るという安定性がありながら、高い成長も目指すことができるビジネスモデルです。第22期第3四半期累計期間で当社の売上におけるリカーリングレベニューであるライセンス売上の比率は76%となっています。 
 収益の安定に重要な契約の継続のために、エンジニア・デザイナー・カスタマーサポートが一丸となって「働く人の創造的な時間を生み出し、チームの力を引き出す」機能を提供すべく定期的なバージョンアップを実施しております。切れ目のない顧客価値向上を実現することで高い継続率の維持の実現を目指しています。また当社では既存のお客様に対する活用促進を行う営業体制を構築しております。そのためファミリー製品を追加で導入いただくなど、今まで既存のお客様から年間の解約を上回るリカーリングレベニューの増加を実現しており、これからも引き続き年間の解約を上回るリカーリングレベニューを獲得出来るよう、努力してまいります。 
 成長性の実現に重要な新規の受注に関しては、高価なソフトウェアを売り切り型で販売するのではなく月額料金ですぐに利用できることから、受注までの平均商談期間が短縮でき企業規模に関わらず契約数の拡大が可能になると認識しております。無償トライアル利用の機会を提供し導入前に効果を確認していただくことで、安心して導入の意思決定ができ、受注リードタイムの短縮も可能になります。そのため「デロイト トウシュ トーマツ リミテッド 2017年 日本テクノロジー Fast50」において、過去3決算期の収益(売上高)に基づく成長率ベースで50位中8位を受賞したことが示しているように、業界の中でも比較的高い成長性の維持の実現を目指すことができるビジネスモデルであると考えています。 
 世界のSaaS企業の標準となりつつあるサブスクリプション型 リカーリングレベニューモデルの単一事業であることから経営の安定性と成長性が両立できることに加え、年間の契約金額を一括前払いで回収しているため、キャッシュ・フローの観点で有利なことも当社ビジネスモデルの特徴です。


【業績等】
業績動向(百万円) 売上高 営業利益 経常利益 純利益 
(単独実績)2016.8 540 -137 -138 -138 
(単独実績)2017.8 772 -102 -96 -97 
(単独予想)2018.8 1,219 56 35 14 
(単独3Q累計実績)2018.8 886 72 72 49 

1株当たりの数値(円) EPS BPS※ 配当 
(単独予想 )2018.8 2.09 - 0  
調達資金使途 商品開発や営業活動にかかる人件費、広告宣伝費、IT(情報技術)関連費、オフィス関連費など 

上場時発行済み株数 7,310,000株 (別に潜在株式792,000株) 
公開株数 552,000株(公募400,000株、売り出し80,000株、オーバーアロットメント72,000株) シンジケート 公開株数480,000株 (別に72,000株)

PER:574
PBR:
配当利回り:
公募時吸い上げ資金:6.6億
公募時時価:87億    

【株主構成】 
荻島 浩司 代表取締役社長 2,800,000 36.35 
Draper Nexus Tech Prtnr2号投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 1,046,200 13.58 
salesforce.com, inc. 資本提携先 973,400 12.64 
NVCC7号投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 595,000 7.73 
ニッセイ・キャピタル5号投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 530,000 6.88 
SMBCベンチャーキャピタル1号投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 500,000 6.49 
増山 秀信 取締役副社長 300,000 3.90 
有本 陽助 取締役 130,000 1.69 
SMBCベンチャーキャピタル3号投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 122,000 1.58 
都 賢治 取締役 100,000 1.30 

 本募集並びに引受人の買取引受による売出しに関連して、売出人かつ貸株人である荻島浩司並びに当社株主である増山秀信、有本陽助、都賢治及びオーバーザレインボー株式会社は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後90日目の平成30年11月19日までの期間中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社株式の売却等(ただし、引受人の買取引受による売出し及びオーバーアロットメントによる売出しのために当社普通株式を貸し渡すこと等は除く。)は行わない旨合意しております。
 また、当社株主であるDraper Nexus Technology Partners2号投資事業有限責任組合、salesforce.com, inc.、NVCC7号投資事業有限責任組合、ニッセイ・キャピタル5号投資事業有限責任組合、SMBCベンチャーキャピタル1号投資事業有限責任組合、SMBCベンチャーキャピタル3号投資事業有限責任組合及びDraper Nexus Partners Ⅱ, LLCは、主幹事会社に対して、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後90日目の平成30年11月19日までの期間中は、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社株式の売却等(ただし、その売却価格が「第1 募集要項」における発行価格の1.5倍以上であって、主幹事会社を通して行う売却等は除く。)を行わない旨を合意しております。 

【代表者】
代表者生年月日
1960年05月20日生まれ 

代表者略歴
1982年04月 日幸興産(株) 入社 
1983年04月 アイ・エヌ・エス(株) 入社 
1996年10月 (有)ネットウェイ設立 代表取締役 
1996年11月 当社設立 代表取締役(現任) 
2011年08月 オーバーザレインボー(株)設立 代表取締役(現任) 

【幹事団】
主幹事証券 野村 - - 
引受証券 SMBC日興 - - 
引受証券 三菱UFJモルガン・スタンレー - - 
引受証券 SBI - - 

【私見】
 働き方改革銘柄として業種妙味は非常にある銘柄で、利益規模は小さいものの成長性を感じる銘柄です。規模は小さく良いのですが、問題はVCの多さ。1,5倍でロックが切れるVCも多く、上値は重くなる可能性は高いと思います。ロックが切れて、株主が入れ替われると軽くなり、上値を追うかもしれません。


想定価額:1000円
仮条件上限:1200円
初値予想:3000円
ブック申し込み度・・・強気
セカンダリー期待度・・・中立
総合評価3.5



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