2019年6月21日金曜日

IPO分析(フィードフォース)

【事業内容】
 当社は「『働く』を豊かにする。~B2B領域でイノベーションを起こし続ける~」というミッションを掲げ、企業の生産性を向上させるサービス・プロダクトづくりを通じて豊かな働き方を実現するべく事業活動を行っております。特に、デジタルマーケティング領域において、データフィード、構造化データ、ID連携をはじめとしたテクノロジーを駆使し、「企業の持つ情報を適切な形でユーザーに届ける」ことで、企業の抱える課題の解決や生産性の向上を支援しております。 
 データフィードを活用する最大のメリットは「簡単に様々な場所に散らばった情報を最新の情報に保てること」です。たとえば、EC 事業者が、商品情報を最新のものにしたいと考えたとき、更新した商品のリストにあわせてEC サイト、比較サイト、ショッピングモール、ソーシャルメディア、リスティング広告、ディスプレイ広告、アフィリエイトなど、様々な場所に散らばっている古い情報を新しい情報に書き換える必要があります。これをすばやく確実に行えるのがデータフィードです。
 データフィードを活用した広告の代表例としては、Googleにて商品やこれに関連するワードを検索したユーザーに対して商品の画像や価格、ショップ名等を表示する「Google ショッピング広告」、FacebookやInstagram等のタイムラインに表示される「インフィード広告」、CriteoやGoogle等がサイト内の商品閲覧履歴などの行動データに基づき最適な広告を配信する「動的ターゲティング広告」が挙げられます。
 現在、スマートフォン、タブレット端末、ウェアラブルコンピュータ等の普及により、かつてパーソナルコンピューターに限られていたインターネットへのアクセスは、様々なデバイスを通じて可能となっております。また、一般的なWebサイトに加え、Googleの提供する検索エンジン、Facebook/ Instagram、Twitter等のソーシャルメディアやLINE等のメッセンジャーアプリなどのプラットフォームの登場により、ユーザーが情報を得るメディアも多種多様になっております。あらゆるデバイスやメディアが分散化(以下「フラグメンテーション」)されたことで、一律に同じ情報を受動的に入手するのではなく、それぞれのユーザーが嗜好にあった情報を能動的に入手する時代へと変化を遂げております。 
 当社事業は、企業のデジタルマーケティング支援をビジネスの主軸に、顧客属性に応じたサービスの提供方法により、プロフェッショナルサービス事業とSaaS事業の2つの事業セグメントで構成されております。プロフェッショナルサービス事業では、主としてエンタープライズを中心とした顧客に対して、個々のニーズに応じたデータフィードの構築やプラットフォームへの広告配信受託を行っております。一方で、SaaS事業においては、SMBと言われるような中小規模事業者もターゲットとして含め、SaaS型でのデータフィード統合管理ツールや自動広告出稿ツール等を提供しております。
 プロフェッショナルサービス事業にて大手を中心とした先進的な顧客のニーズにテイラーメイドで対応することで当社としてのノウハウを蓄積し、当該知見をSaaS事業の各サービスの機能に適宜組み込んでいくことで幅広い顧客に対して高品質なサービスの提供が可能となっている一方で、プロフェッショナルサービス事業におけるサービス提供にあたりSaaS事業のサービスや機能を一部利用するなど、両事業セグメントは相互補完関係にあると考えております。
 各事業セグメントにおける提供サービスの内容、特徴は以下のとおりです。
(1)プロフェッショナルサービス事業 
 当社のプロフェッショナルサービス事業は、エンタープライズを中心にデータフィードマーケティングの支援を行っております。具体的なサービスは以下のとおりです。
① DF PLUS 
 「DF PLUS」は、データフィード管理のアウトソーシング・サービスです。Criteo、Google(「ショッピング広告」及び「動的リマーケティング広告」)、Facebook / Instagram、Yahoo! JAPAN、Indeed など多数の広告媒体をはじめ、DMP、価格比較サイト、Instagram ショッピング機能まで、50社以上のインターネット媒体に対応しております。大手広告代理店でも多数採用されているなど豊富な導入実績があり、出稿までに必要な準備作業をスムーズにサポートします。
② Feedmatic 
 「Feedmatic」は、当社が各種アドテクノロジーサービスを開発してきた技術的な強みを活かし、機械学習による効果最大化を前提としたコンサルティング型広告運用サービスであり、データフィード広告)を中心としたコンサルティング型の広告運用代理業務及び企業内でのインハウス広告運用支援を行っております。特に、大量の商品・案件データを保有・更新する必要があるEC)、人材、不動産、旅行業界といった業種において高い成果実績を有しております。
③ Contents Feeder 
 「Contents Feeder」は、ロングテールキーワードに適合したサテライトサイトを生成・自動運用するSEO支援サービスです。ただキーワードを詰め込んだ機械的なページを生成するのではなく、RSSフィードやメタデータの活用支援をする中で培ってきたノウハウを活かし、ユーザーにとって価値のあるページの生成や自動運用を実現します。

(2)SaaS事業
 当社のSaaS事業は、エンタープライズ企業からSMBまで幅広い企業に対し、セルフサービスで高度なマーケティングが実施できるシステムとして、データフィードマーケティングの管理システムやソーシャルログインシステム等をSaaSにより提供しております。具体的なサービスは以下のとおりです。
① dfplus.io
 「dfplus.io」は、データフィードの作成、管理、最適化を広告担当者自身で行うことができるデータフィード統合管理ツールです。ユーザービリティの高いUI/UXの実装により、広告担当者は、柔軟で強力なルール設定が可能となり、企業の保有する商材データをGoogle ショッピング広告やCriteo、Facebookなどのデータフィード広告を含む多様な媒体に最適化することができます。

② EC Booster
 「EC Booster」は、事業者が運営するECサイトの商品情報を自動的に取得及び最適化し、検索結果として商品画像が表示されることが特徴である「Google ショッピング広告」に自動配信するサービスです。ECサイト運営者は小規模組織が圧倒的に多数を占めていることから、マーケティングや広告にかけられる予算も少なく、人的リソースも限られているのが実情です。このような実情を踏まえ、少額の広告予算でも広告成果を上げることができ、一旦Webサイト上から簡単な初期登録及び設定を行った後は、必要に応じて広告成果の確認と広告予算変更を行う程度で継続的な自動広告配信ができるように配慮し開発したツールです。

③ ソーシャルPLUS
 「ソーシャルPLUS」は、Facebook、Google、LINE、Yahoo! JAPANなどのアカウント情報を活用し、自社サイトへの会員登録やログインの簡素化をAPIを経由して実現するサービスです。サイトの会員登録数・購買のコンバージョン率の最大化を支援し、顧客接点の拡大から売上向上まで一気通貫で実現するマーケティング基盤を提供し、導入企業にとってはマーケティング上有用な情報を取得することが可能となります。
 また、あわせてLINEログインオプションを導入することにより、自社のWebサービスとLINEアカウントを連携させ、日常的にメールを使わないユーザーに対しても個別にLINEメッセージの配信ができるなど、LINEアカウントを起点に集客・アクション誘導・リピート促進までシームレスに完結させることができます。

 【業績等】
業績動向(百万円) 売上高 営業利益 経常利益 純利益 
(単独実績)2017.5 486 -28 -31 -32 
(単独実績)2018.5 562 -25 -28 -28 
(単独3Q累計実績)2019.5 490 9 7 7 
(単独予想)2020.5 989 235 232 161 

1株当たりの数値(円) EPS BPS※ 配当 
(単独予想)2020.5 32.58 162.99 0 
調達資金使途 人件費・人材採用費、クラウド型ストレージやサーバー費用・情報機器関連購入費、本社増床に係る設備資金・賃料、借入金返済 

上場時発行済み株数 5,593,400株 (別に潜在株式364,800株) 
公開株数 782,000株(公募650,000株、売り出し30,100株、オーバーアロットメント101,900株) 

PER:35.2
PBR:
配当利回り:
公募時吸い上げ資金:9.0億
公募時時価:64億
    

【株主構成】 
(同)理力 役員らが議決権の過半数を所有する会社 2,000,000 37.68   180
塚田耕司 代表取締役社長 1,923,600 36.24  →8
トランス・コスモス(株) ベンチャーキャピタル(ファンド) 527,400 9.94   90.1.5
(株)マイナビ 特別利害関係者など 217,600 4.10 90.1.5
寺嶋徹 特別利害関係者など 120,000 2.26 180
喜多宏介 取締役 83,800 1.58  180
秋山勝 特別利害関係者など 80,000 1.51  180
宮城満英 従業員 61,600 1.16  180
西山真吾 取締役 41,000 0.77  180
大西健太 従業員 40,000 0.75 
市野玄 従業員 40,000 0.75 

本募集並びに引受人の買取引受による売出しに関連して、大株主であり売出人かつ貸株人である塚田耕司、売出人である秋山勝、並びに当社の株主である合同会社理力、寺嶋徹、喜多宏介、宮城満英、西山真吾は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場日(当日を含む)後180日目(2019年12月31日)までの期間、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却等(ただし、引受人の買取引受による売出し、グリーンシューオプションの対象となる当社普通株式を主幹事会社が取得すること等を除く。)を行わない旨を合意しております。 

 また、当社の株主であるトランス・コスモス株式会社、株式会社マイナビは、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場日(当日を含む)後90日目(2019年10月2日)までの期間、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却等(ただし、当社普通株式の売却価格が本募集等における発行価格又は売出価格の1.5倍以上であって、主幹事会社を通して行う株式会社東京証券取引所での売却等を除く。)を行わない旨を合意しております。 

加えて、当社は主幹事会社に対し、ロックアップ期間中は主幹事会社の事前の書面による同意なしに、当社普通株式の発行、当社普通株式に転換もしくは交換される有価証券の発行又は当社普通株式を取得もしくは受領する権利を付与された有価証券の発行等(ただし、本募集、グリーンシューオプション、株式分割及びストックオプションにかかわる発行等を除く。)を行わない旨合意しております。 

【代表者】
代表者生年月日 1968年07月05日生まれ
代表者略歴 年月 概要
1992年04月 安田信託銀行(株)(現 みずほ信託銀行(株)) 入行
1996年10月 (株)ルートコミュニケーションズ設立 代表取締役就任
2006年03月 当社設立 代表取締役社長就任(現任)


【幹事団】
主幹事証券 大和 625,700 92.00 
引受証券 SBI 6,800 1.00 
引受証券 野村 6,800 1.00 
引受証券 エース 6,800 1.00 
引受証券 丸三 6,800 1.00 
引受証券 マネックス 6,800 1.00 
引受証券 東海東京 6,800 1.00 
引受証券 エイチ・エス 6,800 1.00 
引受証券 みずほ 6,800 1.00 

【参考類似企業】 今期予想PER(6/5) 
2497  UNITED 3.7倍(連結予想 ) 
3690  ロックオン -倍(連結予想 ) 
3984  ユーザローカル 65.5倍(単独予想 ) 
6094  フリークアウト 46.2倍(連結予想 ) 
6185  SMN 26.9倍(連結予想 ) 


【私見】
 ネット・SNS関連で完全な類似業種がなく業種妙味は非常にあります。売上規模からも小規模ですが、利益率は高く100~200の高PERが容認される業種ではあると思います。吸収金額も小さめで時価総額200億を超えても問題ないと思いますが、トランスとマイナビがロックが外れることはやや気になります。初値段階で高いとは思いますが、緩めばセカンダリーの可能性もある銘柄です。

想定価額:1020円
仮条件上限:1150円
初値予想:4000円
ブック申し込み度・・・強気
セカンダリー期待度・・・中立~やや強気

総合評価4

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