2019年6月4日火曜日

IPO分析(Sansan)

【事業内容】 
(1)Sansan事業 
 Sansan事業では、「Sansan, Where Business Starts 名刺管理から、ビジネスがはじまる」をコンセプトに、クラウド型の名刺管理サービス「Sansan」を法人向けに展開しております。「Sansan」の活用により、例えば、企業が抱える「名刺交換情報が社内で共有されていない」、「社内コミュニケーションが円滑にできていない」、「名刺情報が持つ価値に気付けていない」といった課題を解決し、企業に眠る名刺を事業活動に使える資産に変えることで、ビジネスの「出会い」の価値を最大化することができると考えております。ユーザー企業は名刺をスキャンするだけで、名刺情報は当社グループ及び外部の情報処理パートナーの入力オペレーター等により正確にデータ化され、クラウド型アプリケーションを通じて「AI名刺管理」を利用することができます。本機能では、各社員単位での名刺管理だけではなく、組織内での名刺情報の共有も可能となります。また、最新の人物情報が通知される人事異動ニュースの配信や一括メール配信機能等の幅広い顧客管理機能を備えております。更に、これらの基本的機能に加えて、同僚とスムーズな情報共有を可能にする社内電話帳や同僚の強みや知見を可視化する機能を備えた「同僚コラボレーション」、社内のデータベース連携や複雑な顧客データの高度な名寄せが可能な「顧客データHub」といった機能も提供しております。
 クラウド上の名刺データにはパソコンやスマートフォンから素早くアクセスが可能であり、検索機能や電話・メッセージ機能等の活用を通じて、ビジネスパーソンに生産性向上、業務改善、コストの削減といった効果を提供しております。また、組織内で名刺情報の共有や企業内の顧客データの名寄せ等が行えることで、ユーザー企業のビジネス機会の創出につながる高度なマーケティング活動、顧客管理等が可能になると考えております。これらは、ユーザー企業が働き方改革を行う上でも重要な「労働生産性の向上」にも寄与すると考えております。 
 ビジネスモデルとしては、ユーザー企業の全社員によるサービス利用(全社利用)を前提としたライセンスへの月額課金を推進しております。ユーザー企業にて取り込まれる(データ化される)名刺の枚数を基に算出されるライセンス費用に、オプション機能の利用料やスキャナレンタル料等が加算されたものが月額利用料となります。また、サービス導入時には、紙で保管されている大量の名刺のデータ化や導入支援等の付加サービスを有料で提供しております。 
 「Sansan」は、2019年5月期第3四半期末時点で契約件数5,738件、名刺管理サービス市場で81.9%のシェアを獲得しております。また、その利便性が評価され、継続的に利用されるサービスとなっており、直近12か月平均の月次解約率は1.0%以下に留まっております。 
       
(2)Eight事業
 Eight事業では、「名刺でつながる、ビジネスのためのSNS」をコンセプトに、単なる名刺管理だけではなく、ソーシャル・ネットワーキング・サービスの仕組みを取り入れた新しいビジネスネットワークサービスとして名刺アプリ「Eight」を運営しております。2017年には、初のテレビコマーシャルを含む広告宣伝活動を展開し、ビジネスネットワークとしての価値を強く訴求してきた結果、手軽に名刺管理ができるサービスとして2019年5月期第3四半期末時点で、235万人のユーザーを有しております。 
 「Eight」の活用により、ビジネスパーソンが抱える「ビジネスの出会いを活かしきれていない」、「名刺情報に容易にアクセスできていない」、「ビジネスSNSを活用したいが友人を増やすことが目的ではない」といった課題を解決できると考えております。 
 「Eight」では、「Sansan」と同様に、名刺をスキャンするだけで、自分や交換相手の名刺情報が正確にデータ化されます。「Eight」では、まず利用ユーザーは自分の名刺を登録することで、ビジネスライフを通じて活用できる自身のページが作成され、プロフィール管理が可能となります。次に、交換相手の名刺を登録することで名刺管理機能が活用でき、クラウド上にデータ化された全ての名刺情報には、スマートフォンやパソコンから、いつでもどこでもアクセスが可能となります。また、ネットワーキング・サービスを通じてつながった相手の情報に変更があった場合には、登録した名刺情報が自動で最新の状態に更新され、通知が届くようになります。加えて、ビジネスチャットが送り合えるメッセージ機能も利用ができ、ユーザー自身が持つビジネスネットワークをよりスムーズに活用することが可能となります。更に、興味のある企業の情報の収集や転職活動等にも活用ができます。 
 ビジネスモデルとしては、プロフィール管理や名刺管理機能が無料で使用できるアプリをベースとし、一部利用機能を拡充した個人向け有料サービス「Eightプレミアム」や「Eight」における名刺共有を企業内で可能にするサービス「Eight 企業向けプレミアム」、転職潜在層のユーザーにアプローチ可能な採用関連サービス「Eight Career Design」、「Eight」のユーザーに対して広告配信ができるサービス「Eight Ads」等を提供しております


【業績等】
業績動向(百万円) 売上高 営業利益 経常利益 純利益
(連結実績)2017.5 4,839 -778 -780 -790 
(連結実績)2018.5 7,324 -3,061 -3,077 -3,085
(連結予想)2019.5 10,069 -938 -976 -988
(連結3Q累計実績)2019.5 7,361 -655 -684 -688

1株当たりの数値(円)EPS BPS 配当
(連結予想)2019.5 -42.25 174.06 0
調達資金使途 広告宣伝費・販売促進費などマーケティング投資、人件費、採用費

上場時発行済み株数 29,932,353株 (別に潜在株式986,641株)
公開株数 8,636,500株(公募500,000株、売り出し7,010,000株、オーバーアロットメント1,126,500株)
シンジケート 公開株数7,510,000株 (別に1,126,500株)/(海外分含む)

PER:
PBR:25.9
配当利回り:
公募時吸い上げ資金:389億
公募時時価:1346億
    

【株主構成】 
寺田親弘 代表取締役社長、子会社の取締役 10,920,000 35.90 90
DCM Ventures China Fund ベンチャーキャピタル(ファンド) 2,030,000 6.67 90・1.5
(株)INCJ ベンチャーキャピタル(ファンド) 1,740,000 5.72
(株)SMBC信託銀行(信託口) ベンチャーキャピタル(ファンド) 1,710,000 5.62
従業員持ち株会 特別利害関係者など 1,470,000 4.83
ジー・エス・グロース・インベストメント(同) ベンチャーキャピタル(ファンド) 1,300,000 4.27
A-Fund, L.P. ベンチャーキャピタル(ファンド) 1,280,000 4.21 90・1.5
富岡圭 取締役、子会社の取締役 1,050,000 3.45 90
ニッセイ・キャピタル5号投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 900,000 2.96 90・1.5
EEIクリーンテック投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 690,000 2.27 90・1.5

 本募集及び引受人の買取引受による売出しに関連して、売出人かつ貸株人である寺田親弘並びに売出人である塩見賢治、富岡圭及び常樂諭並びに当社株主である赤浦徹は、野村證券株式会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後90日目の2019年9月16日までの期間中、野村證券株式会社の事前の書面による同意なしには、当社株式の売却等(ただし、引受人の買取引受による売出し及びオーバーアロットメントによる売出しのために当社普通株式を貸し渡すこと等を除く。)を行わない旨合意しております。 
 売出人であるDCM Ventures China Fund(DCM VII), L.P.、ニッセイ・キャピタル5号投資事業有限責任組合、EEIクリーンテック投資事業有限責任組合、株式会社サイバーエージェント、ニッセイ・キャピタル6号投資事業有限責任組合、salesforce.com, inc.、ジャパン・コインベスト投資事業有限責任組合、DCM VII, L.P.、角川素久、ブログビジネスファンド投資事業有限責任組合、WMグロース3号投資事業有限責任組合及び永井晋平並びに当社株主であるA-Fund, L.P.及び株式会社光通信は野村證券株式会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後90日目の2019年9月16日までの期間中、野村證券株式会社の事前の書面による同意なしには、当社株式の売却等(ただし、引受人の買取引受による売出し及びその売却価格が「第1 募集要項」における発行価格の1.5倍以上であって、野村證券株式会社を通して行う売却等は除く。)を行わない旨合意しております。
 また、当社株主であるSansan従業員持株会は、野村證券株式会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後180日目の2019年12月15日までの期間中、野村證券株式会社の事前の書面による同意なしには、当社株式の売却等は行わない旨合意しております。
 加えて、当社は野村證券株式会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後180日目の2019年12月15日までの期間中、野村證券株式会社の事前の書面による同意なしには、当社株式の発行、当社株式に転換若しくは交換される有価証券の発行又は当社株式を取得若しくは受領する権利を付与された有価証券の発行等(ただし、本募集、株式分割、ストックオプションとしての新株予約権の発行及びオーバーアロットメントによる売出しに関連し、2019年5月16日開催の当社取締役会において決議された野村證券株式会社を割当先とする第三者割当増資等を除く。)を行わない旨合意しております。
 上記のほか、当社は、取引所の定める「有価証券上場規程施行規則」の規定に基づき、上場前の第三者割当等による募集株式等の割当等に関し、当社株式の割当を受けた者(DCM Ventures China Fund(DCM VII), L.P.、株式会社SMBC信託銀行(特定運用金外信託口 契約番号12100440)、A-Fund, L.P.、日本郵政キャピタル株式会社、salesforce.com,inc.、DCM VII, L.P.、SBI AI&Blockchain投資事業有限責任組合及びT. Rowe Price Japan Fund)及び当社新株予約権の割当を受けた者(串田隆徳(受託者)並びに当社又は当社子会社の役員及び従業員)との間に継続所有等の確約を行っております。その内容については、「第四部 株式公開情報 第2 第三者割当等の概況」をご参照下さい。


【代表者】
代表者生年月日 1976年12月29日生まれ 

代表者略歴
1999年04月 三井物産(株)入社 
2001年05月 Mitsui Comtek社シリコンバレー勤務 
2006年02月 三井物産セキュアディレクション(株)出向 経営管理部長 
2007年06月 当社代表取締役社長就任(現任) 


【幹事団】
主幹事証券 野村
引受証券 SMBC日興
引受証券 大和
引受証券 みずほ
引受証券 SBI
引受証券 三菱UFJモルガン・スタンレー
引受証券 楽天
引受証券 マネックス
引受証券 極東

【参考類似企業】今期予想PER(5/20)
3991  ウォンテッドリ 202.4倍(連結予想 )

【私見】
 メルカリに続く時価総額1000憶超えのスタートアップの上場ですが、メルカリに比べると対象が企業に特化し、名刺管理といってもそこまでの需要は感じず業種的な魅力はやや欠けると思います。業績も赤字で、規模は300憶超の吸い上げで時価総額は1000憶超えと、スタート時点で完成された感はあります。更に問題は需給で、ロックなしVCの数も多く、1.5倍でロックが切れるVCがほとんどで、規模が100憶程度で上場したカオナビとは違って売り抜け要素が高い上場と感じます。


想定価額:4075円
仮条件上限:4500円
初値予想:4500円
ブック申し込み度・・・中立
セカンダリー期待度・・・中立

総合評価3

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