2019年11月25日月曜日

IPO分析(テクノフレックス)

【事業内容】
(1)管継手事業
 管継手とは鉄鋼や樹脂でできた配管等の接続部分を指します。
 管継手事業では、ホース状に製品自身を曲げて使用するフレキシブル継手及び提灯のように製品を伸縮させて使用する伸縮管継手の製造・販売を行っております。フレキシブル継手及び伸縮管継手は継手自身が可動することから、配管等の屈曲運動や振動等を吸収することが可能であるため、インフラや産業配管に生じる様々な負荷から機器本体と配管を守るために使用される継手で、地震時等に大きく歪曲しても接続部分からの流体の漏洩等を防ぐことができます。本体素材はステンレス鋼で出来ており、ゴム製品やその他の樹脂製品と比較し、高温度性能及び高耐圧性能に優れていることから、様々な配管の“耐震措置”、“熱膨張変位の吸収”、“振動吸収”が可能であり、また近年では“配管作業の省力化”を目的として様々な配管にフレキシブル継手が使用され、人手不足の解消等に寄与しております。当社は配管工事で用いる多様な継手を製品ラインアップとして揃えており、ワンストップで顧客の要望に応えられる体制を構築しております。納入先は建築設備・製鉄設備・プラント設備・造船設備・電力設備・ガス設備・上水道設備等、多岐に渡っております。
 フレキシブル継手は諸官公庁が発行する配管工事共通仕様書において各種配管の防振・耐震措置として使用を指定する旨の記述があり、空調設備、衛星設備、消火設備等の各種配管に利用されております。また、当社ではフレキシブル継手の製造技術を生かし、金属製品のみならず食品、医薬、化学分野に向け、耐食性や衛生上の安全を重視したフッ素樹脂製(いわゆるテフロン)のホースの製造・販売及び真空機器関連業務として、主に半導体分野に向け、パーティクルレス(微小な小片、粒子がないこと)や微細化を行う半導体製造装置間の真空工事・ガス工事及び装置の設計・製作・据付等の業務も行っております。
 伸縮管継手については、都市ガス、電力、製鉄、石油化学、LNG及びLPGのプラントや運搬船等、広範囲な産業設備で利用されており、用途によっては10メートルを超える大型の配管にも使用されております。また、同製品は電気事業法、ガス事業法、高圧ガス保安法等の各種法規則に基づき製作されるものもあり、製造許認可の対象となる溶接部は高度な品質管理が必要になります。その他には、ライフラインである水道管の継手にも利用されていることから、熱膨張・耐震性への性能を考慮し、漏水に対する安全性、耐久性、環境性をクリアすることが必要で、公益社団法人日本水道協会の認証登録を受けた製品を提供しております。
(2)管継手関連事業
 管継手関連事業は、消防設備の設計・施工・管理、貯水機能付給水管装置の製造・販売及び水道管や電柱の切断装置の製造・販売を行っております。
 消防設備の設計・施工・管理につきましては、消防設備の設計・施工・管理にあわせて、衛生設備・消防設備業者が使用する配管の加工も行っており、配管の加工と設備の工事をセットで請け負うことができることが当事業の特徴となります。
 消防設備の設計・施工・管理につきましては、スプリンクラー工事を始め、泡消火・連結送水管、消火設備等の消防施設工事、冷暖房設備工事関係を請け負っております。消火に対するニーズは、年々多様化・大型化・高度化・複雑化している中、長年培ってきた豊富な実績・ノウハウと高い技術力によって、オフィスビル、高層マンション、大型再開発、大型ショッピングセンター、病院等において数多くの施工実績を上げております。配管の加工につきましては、衛生設備・消防設備業者が使用する配管で、現場ごとに違う施工図面を基に、専用ソフトで解析、配管材料、口径、ネジ管、溶接管を選定したうえで加工管を製造し、提供しております。この一連の作業を自動化ラインにしたことで、小ロット多品種要求に的確に答えることができ、かつ量を捌くことでコストの低減を図っております。また、消防設備の施工における現場工数削減のため、配管加工工場でプレハブ加工を実施しております。
 貯水機能付給水管装置の製造・販売につきましては、災害などの断水時に120リットルの飲料水・生活水が確保できる貯水機能付給水管「マルチアクア」を①戸建て住宅の標準装備品として大手ハウスメーカーへの販売促進、②BCPを目的とした法人事業場への設置、③災害時に帰宅困難者の一時避難を目的に同要件を満たす商業施設への設置と3つのターゲットに集中し営業推進を行っております。「マルチアクア」は、水道管に直結して配置するため、災害時に水道本管が断水した場合でも、通常通り蛇口をひねることで、飲用の水質基準を満たした水道水が7日間使用でき、公益社団法人日本水道協会の認証登録はもとより一般財団法人ベターリビング(1973年2月発足の、BL部品(同法人が認定する、機能・安全性・耐久性などにすぐれた住宅部品)の認定に関する業務を行う団体)から「優良住宅部品認定規程に基づく優良住宅部品」としても認定を受けております。
 水道管及び電柱の切断装置の製造・販売につきましては、主要な販売先は、水道事業は主に土木・建築機材及び工具などを扱っている商社となり、電柱事業は同様の商社に加え特殊車両メーカーを通じて販売するケースもあります。エンドユーザーとしては、水道管の切断装置は水道及び土木工事事業者が中心であり、電柱の切断装置は通信建設及び電力工事事業者が中心となります。また装置の特徴として、自走しながら電柱を切断します。
 また、東京都は都道での電柱新設を原則禁止し、無電柱化を推進する条例を制定しましたが、都道2,200㎞のうち無電柱化率は2017年3月末時点で2割前後とされており(出所:東京都建設局道路管理部安全施設課)、今後の工事ニーズの拡大が見込まれます。
(3)金属塑性(そせい)加工事業
 金属塑性加工とは、機械的力により金属を変形させ、力を取り除いた後も変形が残る性質(塑性)を利用して、金属を所定の形状、寸法の製品に成形する手段を言います。この金属塑性加工技術は、建設機械、工作機械、精密機械、医療器械、自動車といった様々な産業分野における部品製造で活用されております。
 当社の金属塑性加工事業では、金属管(鉄・ステンレス・アルミ・銅・チタン等)の各種塑性加工品の製造・販売を行っております。主な製品は大手完成車メーカーの1次部品メーカー向け部品となっており、金属管を曲げたり、広げたり、絞ったり、薄くしたり、厚くすることにより、軽量化、材料費の低減及び強度増加等を進めたことで駆動系、操舵系、排気系自動車部品及びオートバイ用エキマニジョイントに採用されるなど、金属塑性技術が評価されてきました。
 また、自動車部品以外にも産業機器等部品にも販路を広げており、産業用大型ロボットアームの駆動シャフト並びにバルブボール等を塑性加工・販売しております。
(4)介護事業
 介護事業では、要介護者向けに、福祉用具のレンタル・販売、介護用住宅改修(バリアフリー化・手すりの取り付け等)、介護用マットレスの洗浄等を中心に事業を展開しております。エンドユーザーは個人であり、主な販売先も個人でありますが、一部介護福祉施設向けの販売も行っております。
 高齢化が一層進む我が国において拡大が予測される介護業界では、政府の「施設介護から在宅介護へ」という転換姿勢に加え、介護の基本は「人と人のつながり」であるという考えのもと、地域密着型の展開が不可欠と考え、店舗展開を強化しております。利用者の自立支援を最優先して、その身体状況や目的、生活スタイルに合わせた商品の選定やアドバイスを行い、利用者の方々のみならず、介護プランを作成するケアマネージャーの方々から信頼を得るサービスを提供しております。また、商品の販売に加え、利用者の方々や実際に介護を行われているご家族などから直接要望や悩みを伺い、プロの目からの知識や経験を生かすことで、従来の汎用な介護用品・福祉用具とは異なる、一歩踏み込んだ機能的なシーツやクッション等のオリジナル製品の開発もしております。

【業績等】
業績動向(百万円) 売上高 営業利益 経常利益 純利益
(連結実績)2017.12 18,692 2,441 2,493 1,786
(連結実績)2018.12 19,858 2,569 2,721 1,333
(連結予想)2019.12 19,216 - 2,444 1,688
(連結3Q累計実績)2019.12 14,431 1,902 1,991 1,374
1株当たりの数値(円) EPS BPS※ 配当
(連結予想)2019.12 94.02 1,005.10 38
調達資金使途 ベトナム工場増床のための設備投資資金

上場時発行済み株数 21,360,000株 (別に潜在株式231,100株)
公開株数 2,700,000株(公募200,000株、売り出し2,150,000株、オーバーアロットメント350,000株)
PER:9.6
PBR:
配当利回り:
公募時吸い上げ資金:24.3億
公募時時価:192億
    
【株主構成】
(株)ティーエムアセット 役員らが議決権の過半数を所有する会社 10,726,200 59.02 180
前島崇志 代表取締役社長の血族 1,596,600 8.79 180
みずほ成長支援投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 700,000 3.85 90・1.5
東京中小企業投資育成(株) ベンチャーキャピタル(ファンド) 600,000 3.30 90・1.5
SMBCベンチャーキャピタル1号投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 400,000 2.20 90・1.5
DBJキャピタル投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 400,000 2.20
(株)ドリームインキュベータ ベンチャーキャピタル(ファンド) 400,000 2.20 90・1.5
従業員持ち株会 特別利害関係者など 343,400 1.89
前島岳 代表取締役社長兼社長執行役員 304,000 1.67 180
加藤伸哉 特別利害関係者など 124,000 0.68
 
【代表者】
代表者生年月日 1967年11月22日生まれ
代表者略歴
1994年04月 当社 入社
2009年01月 当社 代表取締役副社長兼営業本部長
2010年03月 当社 代表取締役社長兼営業本部長
2012年01月 当社 代表取締役副社長兼管理本部長
2013年03月 当社 代表取締役社長兼営業本部長 (株)チューブフォーミング 代表取締役社長
2015年05月 当社 代表取締役社長
2016年02月 (株)TFエンジニアリング 代表取締役社長 (株)スペースケア 取締役  3月 天津天富軟管工業有限公司 董事長(現任)
2018年03月 当社 代表取締役社長兼社長執行役員(現任)  9月 (株)中野製作所 代表取締役社長

【幹事団】
主幹事証券 大和 - -
引受証券 野村 - -
引受証券 三菱UFJモルガン・スタンレー - -
引受証券 みずほ - -
引受証券 SMBC日興 - -

【参考類似企業】今期予想PER 11/11
3442  MIEコーポ 4.7倍(連結予想 )
5262  日ヒューム 10.7倍(連結予想 )
5999  イハラサイエンス 7.9倍(連結予想 )
6151  日東工器 15.0倍(連結予想 )
6485  前沢給 13.4倍(連結予想 )
7925  前沢化 27.4倍(連結予想 )

【私見】
管継手というコアな部分ですが、業種としては妙味はなく、地味銘柄が好調であってもやや厳しいような気はします。
売上・利益ともに横ばいから減益傾向で、PERは低くても成長性を考えると大きな上値はないように思います。需給は、吸収金額・時価総額共に小さくはないので初値段階でもやや厳しいように思います。

想定価額:870円
仮条件上限:900円
初値予想:900円
ブック申し込み度・・・中立
セカンダリー期待度・・・中立
総合評価3

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