2019年11月27日水曜日

IPO分析(マクアケ)

【事業内容】
 (1)当社の事業内容について 
①「Makuake」サービス 
 「Makuake」サービスとは、クラウドファンディングプラットフォーム「Makuake」の運営を通じて、新しいアイデアや優れた技術等を用いた製品又はサービスの実現及びその加速を希望する企業や個人と、そのプロジェクトを支援する複数の個人等とを、インターネット上でマッチングするサービスを主体として展開する事業であります。
 本サービスは、プロジェクト実行者が予め設定した支援額に応じたリターンを目的としてプロジェクト支援者が支援を行う仕組みであり、新製品・新サービスにかかる予約購入サービスの側面を有しております。当社は、プロジェクト支援者がプロジェクト実行者へ支援金を提供することが決定した場合に、プロジェクト実行者から一定のプラットフォーム利用料を受領しております。 
 当該サービスにおけるプロジェクト支援者からプロジェクト実行者への支援金提供の決定方式には、①プロジェクト掲載の終了期日までに集められた支援額がプロジェクト実行者に提供(支援総額が目標額に達していない場合を含む)されるAll-in方式及び ②支援総額が設定された目標額に達した場合にのみプロジェクト実行者に提供されるAll or Nothing方式があり、プロジェクト内容に応じて方式を決定しておりますが、概ね9割がAll-in方式を採用しております。 
 また、本サービスにおいては、事業開始以来「ものづくり」領域へ注力してきたことから掲載プロジェクトの内訳として、プロダクト系分野のプロジェクトが多く、その他にも飲食分野等の多様なジャンルのプロジェクトを取り扱っております。 
 なお、2018年5月に地方自治体がプロジェクト実行者となりプロジェクトへの寄附を募る「ふるさと納税型クラウドファンディング:Makuakeガバメント」を立ち上げ、各地方自治体における活用も円滑にする試みを開始しております。 

②「Makuake Incubation Studio」サービス 
 「Makuake Incubation Studio」サービスは、企業等が有する研究開発技術を活かした新事業を創出するため、新製品の企画、企画を実現するためのパートナーマッチング、プロジェクトの戦略立案や事業計画、マーケティングレポートの作成等、製品開発領域における各種インキュベーションサービスを提供しております。 
 当社は、企業の研究開発テーマや成果の中に有用な技術であるにも拘らず事業化に至っていない案件が数多く存在していると考えており、「Makuake」サービスの運営を通じて蓄積した顧客ニーズのデータやノウハウ等を活用し、企業の有用な技術を活用した新しい発想の製品開発をサポートすることで、報酬を受領しております。 
 なお、当該サービスによる製品開発サポートを通じて、「Makuake」サービスにおけるプロジェクト導出に注力しております。 
  
③その他のサービス 
 「Makuake」サービスの運営に関連して以下のサービスを展開しております。 
・EC(電子商取引)サイト運営サービス 
 「Makuake」において創出されたプロダクト(商品)を「Makuake ストア」にて販売取次するサービスであり、プロジェクト終了後もプロジェクト実行者に対してプロダクトを販売する機会を提供しております。当社は、サイトにおける販売実績に基づく手数料を受領しております。 
  
(2)当社事業及びサービスの特徴について 
①キュレーターによるコンサルティングサポート 
 プロジェクト実行者の「Makuake」サービスの活用に際し、全てのプロジェクトに担当キュレーターを配置し、コンサルティングサポートを実施しております。プレゼンテーションやPRを得意としないプロジェクト実行者に対して、プロジェクト内容の明瞭化やプロジェクト支援者に対する訴求力向上等をサポートすることにより、製品・サービスの魅力を最大限に引き出し、支援額拡大を支援しております。 
 また、サポートにあたりキュレーターが複数のプロジェクトのコンサルティングサポートを効率的に実施できるよう、オペレーション管理システムを構築・運営しております。 

②プロジェクト品質の確保 
 当社は、サービス展開において社内ガイドラインを策定し、プロジェクトの適正性や実現可能性、プロジェクト実行者の評価、リターンの実現可能性及びサイト掲載情報の適正性、適法性等に留意したチェックを実施しております。キュレーター本部内におけるプロジェクトチェック体制に加え、経営管理本部における審査専門のチームによる審査を合わせて実施することにより、プロジェクト品質を確保し、掲載に不適切なプロジェクトの排除に努めるほか、プロジェクト実行におけるリスク低減を図り、プロジェクト支援者へ及び得るリスクの低減に努めております。 

③マーケティングへの活用 
 一般的にクラウドファンディングは、プロジェクト実行者のプロジェクト実現のために資金調達を主たる目的とするものと考えられておりますが、当社「Makuake」サービスにおける実行プロジェクトは、資金調達のみならずマーケティング活動やPR活動への活用も重視される傾向があります。当社は、当該ニーズに対応すべく、基本サービスに加えて特許を取得しているマーケティング分析ツール等の提供も実施しております。 

④各種メディアによる広告宣伝活動 
 当社は、「Makuake」サービスにおけるユーザー獲得について、各種メディア媒体を活用した広告宣伝活動を展開しております。Webメディア、新聞・雑誌及びテレビ局等に対して、各媒体が興味を示すジャンルのプロジェクト情報を提供することはもちろん、取材受付等の連携を積極的に実施する等、メディア向けの取り組みを継続することにより掲載プロジェクトが各媒体へ掲載される機会を拡大し、プロジェクト支援者の集客を図る仕組みを構築しております。 
また、各媒体に当社サービスを取り上げられることが魅力あるプロジェクト又はプロジェクト実行者の獲得にも繋がる等、好循環が生じているものと認識しております。 

⑤プロジェクト成立後納品までモニター 
 当社は、プロジェクトが成立した後、プロジェクト実行者よりプロジェクト支援者にリターンが提供されるまでの間、「Makuake」プロジェクトページの「活動レポート」にて納品までの進捗状況を定期的に掲載していただいております。また、全てのプロジェクトに対し、CSチームにて定期的な報告状況の確認を行っており、プロジェクト支援者とのコミュニケーションを促すとともにリターンの納品までを見える化しております。 

⑥既存会員のリピート購入による安定した顧客基盤 
当社は、魅力のあるプロジェクトの提供及び各種メディアを活用したPR活動による集客等により、新たな製品やサービス等に高い関心を示すユーザー層の獲得を推進しており、プロジェクト支援者におけるリピート購入割合は6割を超える高い水準で推移していることが特徴であります。 
当該リピート率を維持しつつ、より多くのユーザー層を獲得すべくスマートフォンアプリの提供や、サイト利用における機能強化、キュレーターによるコンサルティングサポート力の強化を推進しております。 

⑦良質なプロジェクトの継続的獲得への取組み 
 当社は、「Makuake」サービスにおいて、魅力的なプロジェクトを継続的に獲得していくため、金融機関やその他事業者とのビジネスマッチング等の連携により、各地域の取引先企業の紹介を受ける取り組みを行っております(2019年9月末における連携金融機関は100社以上、その他事業者は41社)。特に、金融機関の場合、事業性評価融資の拡大が求められており、その一環として当社サービスを活用するケースも増加しております。 
また、「Makuake Incubation Studio」サービスにおける企業保有技術等の活用による新製品創出サポートを通じ、注目度の高いプロジェクトの能動的な創出に努め、クラウドファンディング案件としての展開に注力しております。 


⑧自律的成長モデル 
当社は、「Makuake」サービスの運営を通じ、良質なプロジェクトを獲得・創出し、メディア掲載等による認知度向上や集客により、プロジェクト実行者とプロジェクト支援者を結び付け、クラウドファンディングプロジェクトにかかる実績及びその成功事例を積み上げてきております。 
 事業開始以来上記取り組みを継続してきた結果、プロジェクト実行者によるプロジェクト掲載希望が増加し、プロジェクト掲載数の増加が図られております。また、魅力的なプロジェクトの増加に伴い各種メディアへの掲載機会が広がり、当社サービスの認知度が向上しているほか、当社サービスにおける訪問者数や会員数、プロジェクト支援数が増加していることが決済総額及び業容拡大に結び付いております。さらに、当該状況が、更なるプロジェクト実行者及びプロジェクト支援者の増加に結びつくことにより、自律的な事業成長のサイクルが構築されているものと認識しており、これらサイクルの強化による事業拡大を推進しております。 

(3)「Makuake」サービスにおけるプロジェクト決済総額について 
「Makuake」サービスのサービス開始当初においては、プロジェクト支援はプロジェクト実行者の知人やSNSのフォロワー等による支援が多くを占めておりました。また、クラウドファンディング自体が、チャリティ目的や資金力の乏しい個人又は小規模団体のみが活用するものであるというイメージが市場に先行していたことから、サービス活用領域が限定的であり、事業規模拡大における制約要因となっておりました。 
当社は、当該状況に対して、2016年1月「Makuake Enterpriseサービスを開始し、企業向けの新製品開発サポートにかかる取り組みを推進したほか、2016年9月期には当社のクラウドファンディング活用に関わる提案・啓蒙活動の強化を推進した結果、当社のクラウドファンディングにかかる多様な活用方法等が認知され、ユニークな新製品や新サービスのプロジェクトが増加するとともに、それら新製品及び新サービスの登場を楽しみにするプロジェクト支援者層の獲得が図られ、決済総額は拡大傾向にあります。 


【業績等】
業績動向(百万円)売上高 営業利益 経常利益 純利益
(単独実績)2017.9 478 57 61 43 
(単独実績)2018.9 958 154 156 112
(単独実績)2019.9 1,344 124 127 89
(単独予想)2020.9 2,187 478 476 330

1株当たりの数値(円)EPS BPS 配当
(単独予想)2020.9 30.69 193.53  - 
調達資金使途
システム開発および改修、人員増強、借入金の返済、広告宣伝

上場時発行済み株数 10,966,000株 (別に潜在株式944,000株)
公開株数 2,926,700株(公募980,000株、売り出し1,565,000株、オーバーアロットメント381,700株)

PER:50.5
PBR:
配当利回り:
公募時吸い上げ資金:45.3億
公募時時価:169億
    

【株主構成】 
(株)サイバーエージェント 親会社 7,800,000 71.36 90・1.5
KSK ANGEL FUND LLC ベンチャーキャピタル(ファンド)1,498,000 13.71 90・1.5
中山亮太郎 代表取締役社長 552,000 5.05 90・1.5
坊垣佳奈 取締役 268,000 2.45 90・1.5
木内文昭 取締役 268,000 2.45 90・1.5
堀越宝世 特別利害関係者など 200,000 1.83 90・1.5
生内洋平 執行役員 60,000 0.55 1.5
矢内加奈子 従業員 40,000 0.37 森恵 従業員 40,000 0.37 1.5
中村剛 従業員 30,000 0.27 1.5
佐藤啓 従業員 30,000 0.27 1.5
木曽恵里夏 従業員 30,000 0.27 1.5

 本募集並びに引受人の買取引受による売出しに関連して、売出人かつ貸株人である株式会社サイバーエージェント、当社の株主かつ売出人であるKSK ANGEL FUND LLC、及び当社の株主である中山亮太郎、堀越寶世、坊垣佳奈、木内文昭は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場日(当日を含む)後90日目(2020年3月9日)までの期間(以下、「ロックアップ期間」という。)、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却等(ただし、引受人の買取引受による売出し、グリーンシューオプションの対象となる当社普通株式を主幹事会社が取得すること及び売却価格が本募集等における発行価格又は売出価格の1.5倍以上であって、主幹事会社を通して行う売却等を除く。)を行わない旨を合意しております。
 また、当社の第1回新株予約権の保有者である中山亮太郎、坊垣佳奈、木内文昭及び当社従業員15名、並びに第2回新株予約権の保有者である生内洋平は、主幹事会社に対し、ロックアップ期間中は主幹事会社の事前の書面による同意なしに、当社新株予約権及び新株予約権の行使により取得した当社株式の売却等(ただし、新株予約権行使により取得した当社普通株式の売却価格が「第1 募集要項」における発行価格又は売出価格の1.5倍以上であって、主幹事会社を通して行う売却等を除く。)を行わない旨を合意しております。


【代表者】
代表者生年月日 1982年04月11日生まれ
代表者略歴 
2006年04月 (株)サイバーエージェント入社
2010年10月 (株)サイバーエージェント・ベンチャーズ出向
2013年05月 当社代表取締役社長(現任)
2016年11月 (一社)日本クラウドファンディング協会 代表理事


【幹事団】
主幹事証券 大和 - -
引受証券 みずほ - -
引受証券 SBI - -
引受証券 SMBC日興 - -
引受証券 マネックス - -
引受証券 岩井コスモ - -


【参考類似企業】今期予想PER 11/11
3482  ロードスター 10.6倍(連結予想 )
3494  マリオン 8.7倍(単独予想 )
8938  グロームHD 6.5倍(連結予想 )

【私見】
業種としては初物で未知数ですが時流にものっており評価はでき、本田圭佑や市川海老蔵が株主と話題性は抜群です。業績は波はありそうで、PERは高めですが業種柄高PERでも容認はされるかと思います。規模はやや大きめですが、セカンダリーとしては程よい大きさで、1.5倍のロック解除までは問題なさそうです。サイバーと2位株主次第なので何とも言えませんが、ひと相場あってからの売却と予想しセカンダリーも期待したい銘柄です。

想定価額:1550円
仮条件上限:1550円
初値予想:2800円
ブック申し込み度・・・強気
セカンダリー期待度・・・中立~やや強気
総合評価4

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