2023年7月13日木曜日

IPO分析(クオルテック)

【事業内容】

​ (信頼性評価事業)

 電子部品等に対する環境試験、電気試験、振動試験等からなる信頼性評価試験、良品・不良解析、試験素材切断と切断面の研磨加工、試験機製造販売等を行っております。

 単なる分析・故障解析業務にとどまらず、不良の真因を見つけ出すための再現実験を行い、顧客の技術課題を根本から解決できる会社を志向し、関連会社であるSGSクオルテック株式会社の営業力と当社の技術力を融合した技術営業体制を構築しております。また、分析や信頼性評価試験のみならず、受託試験を通じて蓄積した技術・ノウハウを活かしたパワー半導体の信頼性評価装置の開発・販売にも取組んでおります。

 当社では電気自動車の開発・普及が急速に拡大すると予測される以前から電気自動車の基幹部品であるインバータの中のパワー半導体の信頼性評価試験や故障解析に取組み、受注をいただいております。電子回路、ソフトウエア、水冷機構などの試験環境を自社内で開発できる事から、顧客の多種多様なニーズに対応して参りました。また、信頼性評価試験の前後において、部品や基板の実装部の解析や評価、改善提案までトータルで対応できる事で、パワー半導体の信頼性評価試験において強みを有しております。

 近年では、信頼性評価試験を実施するだけでなく、国際規格に基づく試験の実施から規格認証の取得まで、トータルに対応できる体制を構築しております。現在では、信頼性評価試験の規格を策定する活動(IPC(米国電子回路協会)やJEITA(電子情報技術産業協会))にも参画しております。当事業では、顧客より試験や検査、分析、解析、加工、機器販売の役務提供の対価として収益を得ております。


 (微細加工事業)

 ビルドアップ基板やフレキシブルプリント基板(薄く柔らかい屈曲可能な基板)等に対する試作・量産レーザ加工を行っております。

 スマートフォンから医療機器まで、あらゆる製品領域において、ジャンルを問わない幅広い対応力で顧客のニーズに対応して参りました。また、顧客の要望に応えるために必要な設備を揃えることで電子部品業界の技術的なニーズに応える体制を整えて参りました。

 温湿度などの少しの環境変化で加工が変わってしまったり、設備毎の個体差があるなど管理が非常に難しいレーザ加工機を自社では持たずアウトソーシングする基板メーカーに対して、ビッグロットの量産加工から新材料のレーザ加工性評価や極短納期の試作品加工まで、多様な依頼に柔軟に対応出来る事が当社の強みであり、20年以上の長きに亘って事業を継続できている理由であると考えております。当事業では、顧客より加工の役務提供の対価として収益を得ております。


(その他事業)

 遺伝子検査を通じて、犬・猫遺伝子疾患の原因遺伝子変異の検出サービスや、バイオ医療関連製品(包装材料、シリンジなど)の受託検査を行うバイオ事業、各種コンサルティングのゼロイノベーション事業、表面処理技術事業を行っております。また、新材料への表面処理加工等、最先端の材料への処理を試作から量産まで請け負っております。

 顧客が開発する製品は、高品質かつ高い信頼性を目指されており、その実現に向けて素材等の改善提案をしております。そのために当社は、基礎実験や再現実験を繰り返し、ノウハウとデータの蓄積を地道に行って参りました。当事業では、検査や加工、指導の役務提供の対価として収益を得ております。


これらの事業に加えて研究開発部門を有しており、「パワー半導体とオートモーティブ」をキーワードにしたテーマで研究開発を行っております。

・パワー半導体に関する研究

 市場が拡大しているパワー半導体について、当社はパワー半導体の信頼性評価試験であるパワーサイクル試験受託市場での実績を持っております。その実績を活かすために、当社の得意とする実装技術/表面処理技術の融合による高信頼性を有した実装・工法を提供するために、次の研究に取組んでいます。

1)パワー半導体の接合不具合要因となる、マイグレーション現象(電界の影響で金属が絶縁物上や界面を移動する現象)のメカニズム解析

2)パワー半導体の接合不具合要因となるはんだ中のボイドが発生しないボイドレスはんだの開発

3)高温接合に適したはんだめっき技術の開発

4)はんだ接合部などのボイド及びクラックの画像解析ソフトの開発


・オートモーティブに関する研究

 自動車の電動化に伴い、さまざまな変化が生じています。2021年6月に経済産業省が、2035年までに乗用車新車販売で電動車100%を実現できるよう、包括的な措置を講じると公表したことにより、さらに電動化は加速することが予想されます。また、自動運転、電動化が進むことにより自動車のノイズ問題は複雑となりかつ高周波を扱う必要性が生じております。こうした業界動向に対し次の研究に取組んでおります。

1)自動車の電動化に伴い必需品となる高速充電が特徴となるキャパシタを、当社独自技術である水系電解液を使って開発

2)EMC(電磁両立性)のコンサルティングを通じて顧客の課題を抽出し、ビジネス化につなげる取組みと、高周波計測(ミリ波、高速通信など)の評価技術の確立を目的とした研究活動

3)固体電池用電解質材料の開発と、電気特性評価手法の確立


 【業績等】

決算期 種別 売上高 営業利益 経常利益 純利益

2023/06 単独3Q累計実績 2,546 318 318 230

2023/06 単独会社予想 3,274 305 303 221

2022/06 単独実績 3,155 348 339 327

2021/06 単独実績 1,475 57 55 63


決算期 種別 EPS BPS 配当

2023/06 単独会社予想 105.48 - 37.00


上場時発行済株数 2,350,000株

公開株数 1,385,700株(公募250,000株、売り出し955,000株、オーバーアロットメント180,700株)

調達資金使途 設備資金(試験所新設費用など)


PER:24.1

PBR:

配当利回り:

公募時吸い上げ資金:35.2億

公募時時価:60億

​   

【株主構成】 

志方広一 取締役の血族 995,000 47.38% 90日 売30,000

ライジング・ジャパン・エクイティ第二号投組 投資業(ファンド) 925,000 44.05%  売925,000株

CBC(株) 資本業務提携先 180,000 8.57% 90日

 本募集並びに引受人の買取引受による売出しに関連して、売出人かつ貸株人である志方廣一並びに当社株主であるCBC株式会社は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後90日目の2023年10月25日までの期間中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却等(ただし、引受人の買取引受による売出し、オーバーアロットメントによる売出しのために当社普通株式を貸し渡すこと及びグリーンシューオプションの対象となる当社普通株式を主幹事会社が取得すること等を除く。)を行わない旨合意しております。

 また、当社は主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後180日目の2024年1月23日までの期間中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の発行、当社普通株式に転換若しくは交換される有価証券の発行又は当社株式を取得若しくは受領する権利を付与された有価証券の発行等(ただし、本募集、株式分割及びストックオプションとしての新株予約権の発行等を除く。)を行わない旨合意しております。


【代表者】

代表者名 山口 友宏(上場時49歳8カ月)/1973年生

本店所在地 大阪府堺市堺区三宝町

設立年 1993年

従業員数 223人 (2023/05/31現在)(平均42.4歳、年収491.1万円)

事業内容 電子部品の不良解析・信頼性試験などの受託、レーザー加工・表面処理(めっき)技術を中心とした微細加工など

URL https://www.qualtec.co.jp/

株主数 3人 (目論見書より)

資本金 100,000,000円 (2023/06/23現在)

代表者略歴

1997年02月 大雅工業株式会社 入社

2004年08月 共栄バルブ工業株式会社 入社

2005年02月 株式会社エコプロ   入社

2005年03月 当社 入社

2018年12月 当社 専務取締役

2020年04月 当社 代表取締役社長

2022年04月 当社 代表取締役社長 社長執行役員(現任


【幹事団】

主幹事証券 野村 - -

引受証券 SMBC日興 - -

引受証券 SBI - -

引受証券 岩井コスモ - -

引受証券 丸三 - -

引受証券 岡三 - -

引受証券 極東 - -

引受証券 マネックス - -


【参考類似企業】今期予想PER

2162 nmsHD 12.3倍 (連結予想)

3156 レスターHD 10.7倍 (連結予想)

6615 UMCエレ 11.1倍 (連結予想)

6635 大日光 7.4倍 (連結予想)

6703 OKI 19.8倍 (連結予想)

6723 ルネサス 18.4倍 (連結予想)

6832 アオイ電子 63.9倍 (連結予想)

7613 シークス 9.8倍 (連結予想)

8154 加賀電 9.6倍 (連結予想)


【私見】

 業種としては検査関連で、パワー半導体の関連でもあることから業種としては地味ですが、トヨタ関連でもあり悪くない銘柄です。成長性に関しては物足りなく、PERも割安感はなく、上値は重たいことが予想されます。ファンドじは全株売出しで、需給の心配はありませんが、吸収金額は大きめで静かなスタートが予想されます。


想定価額:2540円

仮条件上限:2540円

初値予想:2800円

ブック申し込み度・・・中立

セカンダリー期待度・・・中立

総合評価:3 

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