2018年9月26日水曜日

IPO分析(イーソル)

【事業内容】
(1)組込みソフトウエア事業 
   当社グループは、昭和50年の設立以来、組込みソフトウエア事業をその事業基盤としております。 
    組込みソフトウエア事業の具体的な内容は、国内外の顧客(自動車関連メーカ、デジタル家電メーカ、産業機器メーカ、医療機器メーカ等を含む)に対して、「RTOS(リアルタイム・オペレーティング・システム)の開発・販売」、組込みソフトウエアの受託業務としての「組込みソフトエンジニアリングサービス」、「組込みソフトウエア開発にかかわるコンサルテーション」、「組込みソフトウエア開発のためのツールの販売」、「組込みソフトウエア開発エンジニアの教育」であり、当社と連結子会社イーソルトリニティ株式会社及び連結子会社eSOL Europe S.A.S.が実施しております。これら当社グループの提供するソリューションは、今後の成長を期待しているIoT(Internet of Things)の基盤技術であり、下図のイメージのように、個別の応用市場に特化しない産業横断的な技術要素からなる組込み市場において、様々な顧客層を対象としております。加えて、平成28年には株式会社デンソー、日本電気通信システム株式会社と3社で、当社が成長著しいと考えております自動車向けソフトウエア(車載ソフト)市場に特化した、株式会社オーバスを合弁会社として設立し、日本国内外の自動車メーカや部品メーカへ、製品とサービスの提供を行っております。 
    なお、当社グループはソフトウエアエンジニアリング会社への開発委託や派遣の受入れ、開発ツールメーカ等からのソフトウエア商品の仕入を行っております。 
 ①組込みソフトウエア製商品 
 (ア)RTOS(リアルタイム・オペレーティング・システム) 
    組込み機器向けに特化したオペレーティング・システムで、ネットワーク等の通信機能、ハードディスクやSDカードなどのストレージデバイスにデータを書き込むためのファイル機能や各種デバイスドライバなどを備えています。自社製のソフトウエア製品と仕入れの発生する他社商品の2種類があります。収益モデルとしては、顧客に対して開発に対する使用許諾を与える開発ライセンスと、組込み機器を販売する場合に組込み機器上での使用許諾を与えるロイヤリティ、保守活動のための保守ライセンスの3種類が存在します。いずれも当社グループにおける他の製商品、サービスと比較して、通例、粗利率が高く、エンジニア数に直接には関連しない収益モデルであり、当社グループの成長のためには、この売上規模を大きくすることが重要と考えております。 

(イ)開発支援ツール 
    組込みソフトウエアを設計・開発したり、不具合を取り除いたり、その動作を検証する際に、組込みエンジニアは様々なツール群を利用します。当社グループは自社製、他社製併せ、これらのツールを販売しております。開発支援ツールは特に海外ベンダに席巻されている分野で、日本のソフトウエア産業を強くするためにも、この事業を発展させていきたいと考えております。 
     開発支援ツールはPCやクラウド上で動作するものですので、ロイヤリティは発生せず、収益モデルは開発ライセンスと保守ライセンスの2種類となります。 

②エンジニアリングサービス等 
     エンジニアリングサービス、エンジニア向けの教育/トレーニング、コンサルティングはすべてプロジェクトベースで顧客に提供(役務提供)しております。また当社グループで最も売上貢献度の高いものがエンジニアリングサービスです。当社グループのエンジニアリングサービスの特徴としては、大企業との直接取引が多いこと、また顧客との取引期間が非常に長く、10年以上継続して取引している企業を多く抱えているということが挙げられます。RTOSとのシナジー効果も高く、RTOSの売上増はエンジニアリングサービスの売上増にも結びつきます。 

●車載ソフト向けソリューション 
     上記において説明した当社グループが提供する組込みソフトウエア製商品やエンジニアリングサービス等は、産業横断的に様々な産業で利用される技術基盤ですが、近年、電子化が急速に進展する自動車関連向けの事業として特化したビジネスを展開しております。これは主として持分法適用関連会社である株式会社オーバスで実施しており、当社がライセンスしたソフトウエア製品をベースに、欧州発の車載ソフトウエア規格であるAUTOSAR(オートザー:Automotive Open System Architecture)をカスタマイズし、自動車メーカや自動車部品メーカへ販売しております。同時に車載ソフトのエンジニアリングサービスも実施しております。 

(2)センシングソリューション事業 
    センシングソリューション事業は大きく2つのビジネスから構成され、そのすべてを当社で行っております。 
     1つ目のビジネスは、組込み技術の応用製品として、ニッチ市場向けのハードウエアを開発・販売する物流関連ビジネスです。こちらは主にハム・食品メーカ、冷食/アイスメーカ・卸、倉庫・運送業、ハンディターミナルメーカ、フォークリフトメーカ等を顧客としております。当ビジネスの主たる製商品は、指定伝票発行用車載プリンタ(以下、車載プリンタという。)、常温ハンディターミナル、耐環境ハンディターミナル(eSOL Geminus)、フォークリフト専用端末ホルダ及び販売支援用ソフトウエア(業務用端末用開発支援ツール)であり、食肉などの不定貫商品(荷姿ごとによって重量が違う商品)や冷菓など事前発注されない市場に対してルートセールスマンが使用する複写伝票に印字可能な車載プリンタを中心としたビジネスです。車載プリンタや耐環境ハンディターミナルの開発に関しては、その試作・製造を外部に委託し、当社では製品企画・製造指導と販売のみを行っております。常温ハンディターミナルに関しては、他社製のものを仕入れ車載プリンタと共に販売しております。 
     2つ目のビジネスは、すでに衰退期に入ったと考えられる車載プリンタのビジネスに替わるものとして平成26年12月より始めたセンサネットワーク関連ビジネスであります。主に自動販売機ベンダや地方自治体・農家・漁業組合等に直接又は仲介会社を通じて営業活動を行っております。自動販売機、牧畜や水田、水産など、いまだにICT(情報通信技術)化が遅れている市場に対して、温度、湿度、CO2、PH、嗅覚、味覚など様々なセンサと当社が培ってきた耐環境技術、センサデータをサーバ上に置いたIoTクラウドシステムを組み合わせることで、効率化、省力化を実現するセンサネットワークシステム(eSOL AGRInk等)を構築するものです。システムがより大規模化、複雑化する際には、組込みソフトウエア事業と協調し、より大きなシナジーを発揮できると考えております。リサーチ段階としての販売実績もすでにございますが、まだ本格的な事業化には至っておりません。 
     なお、当社グループはハードウエアを販売しておりますが、ファブレスであり、製品の企画設計と販売を行うのみで、製造はすべて外部に委託しております。また、ソフトウエアエンジニアリング会社への開発委託や派遣の受入れ、各種センサメーカ等からの商品の仕入を行っております。 


【業績等】
業績動向(百万円) 売上高 営業利益 経常利益 純利益 
(連結実績)2016.12 6,610 412 373 265 
(連結実績)2017.12 7,546 432 445 348 
(連結予想)2018.12 8,388 495 477 340 
(連結中間実績)2018.12 4,357 478 490 344 

1株当たりの数値(円) EPS BPS※ 配当 
(連結予想 )2018.12 79.80 -  -  

調達資金使途 研究開発費、人材採用費、設備投資費 
連結会社 2社 

上場時発行済み株数 5,210,000株 
公開株数 1,190,300株(公募850,000株、売り出し185,100株、オーバーアロットメント155,200株) シンジケート 公開株数1,035,100株(別に155,200株)

PER:21.1
PBR:
配当利回り:
公募時吸い上げ資金:20.0億
公募時時価:88億


  
【参考類似企業】今期予想PER(9/19)
2186  ソーバル27.4倍(連結予想 )
2349  エヌアイデイ11.4倍(連結予想 )
2354  安川情報17.7倍(連結予想 )
2359  コア18.8倍(連結予想 )
3858  ユビキタスAI-倍(連結予想 )
3918  PCIHD26.2倍(連結予想 )
9739  NSW14.2倍(連結予想 )
 

【株主構成】 
従業員持ち株会 特別利害関係者など 1,191,370 27.33 
(株)KAM 役員らが議決権の過半数を所有する会社 352,680 8.09 
笠谷 喜代年 従業員 340,190 7.80 
(株)ビーオービー 役員らが議決権の過半数を所有する会社 300,000 6.88 
イーソル(株) 自己株式 279,820 6.42 
山田 光信 取締役 212,030 4.86 
長谷川 勝敏 代表取締役社長 200,000 4.59 
(株)アバールデータ 資本提携先 200,000 4.59 
久保田 伊佐雄 取締役 106,010 2.43 
沢田 勉 特別利害関係者など 100,000 2.29 
上山 伸幸 常務取締役 94,460 2.17 

 本募集並びに引受人の買取引受による売出しに関連して、貸株人及び売出人である山田光信並びに売出人である長谷川勝敏、笠谷喜代年、上山伸幸、上前勉、久保田伊佐雄、丸山武四、奥谷弘和、権藤正樹及び徳永太並びに当社株主であるイーソル従業員持株会、株式会社KAM、株式会社ビーオービー、株式会社アバールデータ、澤田勉、高橋佐敏、株式会社三菱UFJ銀行、株式会社りそな銀行、日本生命保険相互会社、屋江保秀、阿部義宏、玉井綾子、石川正敏、戸谷陽一、室岡基、金子健及び高野憲一郎は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後90日目の平成31年1月9日までの期間中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却等(ただし、引受人の買取引受による売出し及びオーバーアロットメントによる売出しのために当社普通株式を貸し渡すこと等を除く。)を行わない旨合意しております。 
 また、当社は主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後180日目の平成31年4月9日までの期間中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の発行、当社普通株式に転換若しくは交換される有価証券の発行又は当社株式を取得若しくは受領する権利を付与された有価証券の発行等(ただし、本募集、株式分割、ストックオプションとしての新株予約権の発行及びオーバーアロットメントによる売出しに関連し、平成30年9月6日開催の当社取締役会において決議された主幹事会社を割当先とする第三者割当増資等を除く。)を行わない旨合意しております。なお、上記のいずれの場合においても、主幹事会社はその裁量で当該合意の内容を一部若しくは全部につき解除できる権限を有しております。 

【代表者】
代表者生年月日
1962年01月26日生まれ 

代表者略歴
1982年04月 エルグ(株)(現当社)入社 
1997年04月 ソフトウエア事業部長 
1999年06月 取締役 ソフトウエア事業部長 
2001年04月 取締役 ソリューションエンジニアリング事業部長 
2003年04月 常務取締役 
2005年01月 専務取締役 
2013年03月 代表取締役社長(現任) 
2016年04月 (株)オーバス 取締役(現任) 

【幹事団】
主幹事証券野村900,70087.02
引受証券三菱UFJモルガン・スタンレー41,4004.00
引受証券みずほ41,4004.00
引受証券岩井コスモ31,0002.99
引受証券むさし10,3001.00
引受証券SBI10,3001.00
 

【私見】
  車載システム等に強みがあり、Iot関連としても業績妙味はあります。業績も悪くはないですが、急拡大とまではいかなく、高PERが容認されるほどではないと思います。VCが存在せず需給は悪くないですが、吸収金額は大きいので高い初値は期待出来ないかもしれまさせん。高い初値は追いかけるべきはありませんが、低い初値であればセカンダリーも気になる銘柄です。


想定価額:1470円
仮条件上限:1680円
初値予想:3000円
ブック申し込み度・・・強気
セカンダリー期待度・・・中立〜やや強気
総合評価3.5


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