2019年9月14日土曜日

IPO分析(パワーソリューションズ)

【事業内容】
 資産運用会社等金融機関に向けた業務コンサルティング・システム受託開発・運用保守及び顧客企業からの業務のアウトソーシング受託、並びに法人に向けたRPAライセンスの販売及び導入サポート等を行っております。

①システムインテグレーション
 資産運用会社をはじめとする金融機関を対象に業務コンサルティング及びシステムの受託開発並びに運用保守を行っており、当社の主要サービスであります。具体的には、レポーティング関連システムの開発、コンプライアンス関連システムの開発、発注関連システムの開発等を行っております。
金融機関では、システムインテグレーター(以下、「SIer」という。)等が提供する様々な汎用サービスを利用しておりますが、当該サービスに接続できる環境を整備しただけでは、実際に汎用サービス等のシステムを使用するビジネス部門において、既存のシステムと上手く接続がされないなど業務上利用しやすい状態とはならない場合があります。当社では、各ビジネス部門のニーズを満たすために、SIer等の汎用サービス間や顧客内のシステムを連携させたり、付加機能の開発を行っております。
当社は顧客企業が各種汎用サービス導入後、エンドユーザーであるビジネス部門が利用できるまでの最後の部分を「ラストワンマイル」と呼び、これらを最適化することを主な事業としております。
 金融機関は新商品対応や金融規制への対応、グループの統廃合によるシステムの統廃合、AI・IoT・ビッグデータ・RPAといった新たなテクノロジーの組み込み等、業務プロセスの変更や新技術の導入機会が多く存在しております。当社は、「企業向けITにおけるラストワンマイルを最適化する」というミッションを実現すべく、ユーザーに密着した業務コンサルティング及びシステムの受託開発並びに運用保守を行っております。

②アウトソーシング
 システムインテグレーションの補完的な位置付けとして、金融機関の付随業務の受託やチーム単位での人材派遣を行うことにより、顧客企業の業務プロセスの一部を代行するサービスを提供しております。具体的には、投資信託適時開示・法定開示レポーティング、投信レポートデリバリー等を行っております。また、事業会社の総務部門のアウトソーシングとして、航空券の手配代行サービスを行っております。

③RPA関連サービス
 RPAは「複数のシステムを接続し、業務を最適化すること」を目的としており、「ラストワンマイルの最適化」を行ってきた当社のシステムインテグレーションサービスとの親和性が非常に高いサービスであると考えております。
 当社は、これまで培ってきた「ラストワンマイルの最適化」に関する業務プロセスの自動化を一層推進するため、2018年2月にUiPath株式会社のゴールドパートナーとしてリセラー契約を締結し、同年8月より一般事業会社向けにRPAソフトウェアであるUiPath RPA Platformのライセンス販売及び導入サポートを行っております。UiPath社はRPAソフトウェアにおけるリーディングカンパニーであり、世界200カ国40万ユーザー以上に利用されており、Fortune Global 500企業のトップ10企業のうちの8社、トップ50企業の50%以上、米国海軍等に採用(出典:UiPath株式会社「米UiPath社、シリーズD資金調達ラウンドで5億6,800万ドルを調達」(2019年5月8日))されております。当社では、既に取引を行っていた金融機関に加えて、その他の業界の法人に対してもサービスを提供しております。

 当社の特長と強みは以下のとおりであります。
①業界特化によるニッチなポジションの確立
ラストワンマイルを事業領域とするには、「多様な汎用サービスの統合」及び「オーダーメイドの開発」が必要となります。各社の汎用サービスの習熟と個社特性が高い開発を効率的に実現することは難しく、大手SIerを含む競業が少ないニッチな領域であります。
特に金融機関では、採用されていることから、金融業界に特化することでノウハウの横展開が可能となり、当社は、同事業領域でのサービス提供とコスト優位性を実現しております。また、業界の特徴として案件獲得時に受注実績が重要な評価指標となることからも、案件獲得と効率的な案件推進の好循環を生み出しており、他社との差別化要因となっているものと考えております。
また、当社の提供サービスは、SIerから導入したサービスを最大限に活用するための業務プロセス改善であるため、SIerとは案件紹介を受ける等の良好な関係を構築していることも特長であります。

②ラストワンマイル領域の事業化による高収益案件の獲得
当社が属するシステムインテグレーション業界では、元請けから下請けに作業を段階的に委託していくピラミッド構造が一般的であります。当社は、汎用サービスを導入した後の開発を個社別に提供していることから、顧客と直接取引を行うプライム案件が主体となっております。

③顧客ニーズに柔軟に応えるための組織体制
 当社は、業務分析・問題発見から課題解決・実践まで一貫してサポートする「一気通貫体制」及びコンサルタントが直接顧客とコミュニケーションをとる「製販一体体制」を構築しております。
 当社は、業務コンサルティング・システム設計・開発・運用保守までを一気通貫で提供しております。特に金融機関の業務は高度かつ複雑化しており、システム開発前に業務コンサルティング、システムアドバイザリーを行ったうえで、設計、開発、運用保守サイクルを総合的に提案しております。
一般的に、コンサルティングを主な業務分野とするITコンサルティング会社では業務分析・問題発見・業務改善提案を行いますが、具体的に解決策の提供までは行いません。また、受託型SIerは対象とする業務範囲を限定した業務改善提案と解決策の提示を行うため、全体最適された提案に至らない場合があります。
 当社は、一気通貫体制によって業務プロセス全体を俯瞰して課題解決を行うことが出来、顧客満足度の高いサービスの提案が可能であると考えております。
製販一体体制とは、コンサルタントがチームで専属担当となり、案件獲得からサービス提供までを行う体制です。営業人員を確保する必要がないため、コストを意識した営業展開が可能となると同時に、現場の声を丁寧に拾い上げたサービスの提供が可能となっております。また、案件獲得においても、顧客企業のビジネス部門への理解と金融機関特有のシステムサービスに関する知見の双方が必要であるため、本体制が効果的に機能しているものと考えております。

④MD制
 顧客企業からの受託開発及び運用保守等のサービス提供を担当する各部署を疑似的な企業とみなし、部長であるMD(Managing Director)に権限の委譲と成果の適正な配分を行っております。部署での収益は諸コストを除き部署内で配分されるため、案件の成功と従業員のインセンティブを紐付けることで、案件獲得力を強化しております。また、自部署の部下がMDとなり、新部署を設立すると、独立元のMDにはのれん分けとして新部署の収益の一部が継続的に付与される仕組みとなり、人材育成にも効果を発揮しております。
各部署の「経営」をMDに任せることで、リーダーシップや起業家精神の養成とモチベーションの向上を図っております。

【業績等】
業績動向(百万円) 売上高 営業利益 経常利益 純利益
(単独実績)2017.12 2,131 291 291 206
(単独実績)2018.12 2,364 289 291 202
(単独予想)2019.12 2,664 312 314 204
(単独中間実績)2019.12 1,378 213 213 139

1株当たりの数値(円) EPS BPS※ 配当
(単独予想)2019.12 184.19 1,147.72  - 
調達資金使途 人件費や外注費、設備投資、借入金の返済
上場時発行済み株数 1,323,700株 (別に潜在株式126,744株)
公開株数 328,500株(公募285,700株、売り出し0株、オーバーアロットメント42,800株)
シンジケート 公開株数285,700株(別に42,800株)


PER:10.2
PBR:
配当利回り:
公募時吸い上げ資金:6.1億
公募時時価:25億
    
【株主構成】
(同)未来企画 役員らが議決権の過半数を所有する会社 298,000 25.59  180
(同)一誠堂 役員らが議決権の過半数を所有する会社 284,000 24.38  180
佐藤成信 代表取締役社長 98,000 8.41  180
みずほ成長支援投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 90,000 7.73  90.1.5
兼子浩之 取締役副社長 88,000 7.56  180
高橋忠郎 取締役副社長 63,284 5.43  180
老川信二郎 取締役 35,178 3.02  180
加藤秀和 従業員 26,928 2.31  180
鈴木義晃 従業員 17,904 1.54  180
片倉正人 従業員 13,154 1.13  180
 本募集に関連して、株主かつ貸株人である佐藤成信及び兼子浩之、並びに当社の株主である合同会社未来企画、合同会社一誠堂、高橋忠郎、老川信二郎、加藤秀和、鈴木義晃、片倉正人、髙橋正樹、加藤康男、石垣圭子、青木直美、染郷充、山口正利、土方俊吾、丸本美晴、尾崎弘之、中村修一、川嶋しづ子及び島田啓一は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場日(当日を含む)後180日目(2020年3月28日)までの期間、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却等(ただし、グリーンシューオプションの対象となる当社普通株式を主幹事会社が取得すること等を除く。)を行わない旨を合意しております。
また、当社株主であるみずほ成長支援投資事業有限責任組合は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場日(当日を含む)後90日目(2019年12月29日)までの期間、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却等(ただし、当社普通株式の売却価格が本募集等における発行価格又は売出価格の1.5倍以上であって、主幹事会社を通して行う株式会社東京証券取引所取引での売却等を除く。)を行わない旨を合意しております。
加えて、当社は主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場日(当日を含む)後180日目(2020年3月28日)までの期間、主幹事会社の事前の書面による同意なしに、当社普通株式の発行(自己株式の処分含む)、当社普通株式に転換もしくは交換される有価証券の発行又は当社普通株式を取得もしくは受領する権利を付与された有価証券の発行等(ただし、本募集、グリーンシューオプション、株式分割及びストックオプションにかかわる発行等を除く。)を行わない旨合意しております。

【代表者】
代表者生年月日 1970年10月08日生まれ
代表者略歴 年月 概要
1993年04月 (株)ティー・シー・エフ入社
1997年04月 (株)野村総合研究所入社
2002年01月 当社設立 代表取締役社長(現任)
2002年04月 イーフォーステクノロジー(有)取締役

【幹事団】
主幹事証券 大和 266,000 93.10
引受証券 みずほ 8,500 2.98
引受証券 SBI 2,800 0.98
引受証券 マネックス 1,400 0.49
引受証券 岩井コスモ 1,400 0.49
引受証券 いちよし 1,400 0.49
引受証券 松井 1,400 0.49
引受証券 極東 1,400 0.49
引受証券 エース 1,400 0.49

【参考類似企業】今期予想PER8/28
2315  カイカ 17.6倍(連結予想 )
3916  DIT 31.2倍(連結予想 )
3924  ランドコンピ 14.7倍(単独予想 )
3992  ニーズウェル 17.0倍(単独予想 )
3997  トレードワクス 18.1倍(単独予想 )
4284  ソルクシーズ 18.9倍(連結予想 )
4299  ハイマックス 16.4倍(連結予想 )
4307  NRI 26.4倍(連結予想 )
4333  東邦システム 14.3倍(単独予想 )
4674  クレスコ 15.6倍(連結予想 )
4687  TDCソフト 11.5倍(連結予想 )

【私見】
 業種としてはコンサル系なので何倍にもなる銘柄ではありませんが、RPAなども携わっていることから業種評価はできます。業績はやや物足りないですが、上場を機に伸びる可能性はあり、PERも低めなので上値は充分あります。一番の利点は、需給の良さで、吸収金額・時価総額共に小さく、ロックもほぼかかっていることから初値段階で高騰は間違いないでしょう。

想定価額:1870円
仮条件上限:2000円
初値予想:6000円
ブック申し込み度・・・強気
セカンダリー期待度・・・中立~やや強気
総合評価3.5

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