2019年9月8日日曜日

IPO分析(チャットワーク)

【事業内容】
 (1)Chatwork事業
 ビジネスチャットツール「Chatwork」の開発及びサービスの提供、広告サービスの提供並びに「Chatwork」をサービスプラットフォームとして活用した各種サービスの提供を行っております。
近年、将来における労働人口減少の見通しや政府主導の働き方改革の推進等により、企業経営において労働生産性の向上が必要となっております。当社は、当該環境において、企業における業務時間の多くを占めるコミュニケーションの効率化が業務効率及び労働生産性の向上に資するものと考え、当事業を推進しております。

①ビジネスチャットツール「Chatwork」について
当社が提供する「Chatwork」は、主要なコミュニケーションツールとして広く一般に普及しているチャットサービスを、ビジネスコミュニケーション向けに提供するものであります。
当サービスは、基本となる「チャット」機能に加えて、「タスク管理」、「ファイル共有」及び「音声又はビデオ通話(会議)」といったビジネスコミュニケーションに必要とされる各種機能をワンストップで提供しております。また、通信データの暗号化等によるセキュリティ対応や管理機能の提供により、高い機密性及び安全性が要求されるビジネス利用に対応したサービスを構築しております。「Chatwork」の主な特徴は以下のとおりであります。

(ⅰ)シンプルで直感的に使えるユーザー・インターフェース
当社は、当サービスについて、ITリテラシーに関わらず幅広い業種・業態で利用可能なコミュニケーションツールとすることを目指しており、誰にでも使いやすいユーザー・インターフェースの構築等に留意した開発を推進しております。また、PCブラウザでの利用に加えて、スマートフォンやタブレット等のモバイル端末向けアプリケーションを提供することにより、社内外を問わず様々な環境において活用が可能である等、利用者の利便性向上に努めております。

(ⅱ)セキュリティ体制
当サービスでは、第三者からの盗み見や改竄を防ぐため、添付ファイルを含む通信内容の全てを暗号化しております。加えて、データ管理の厳格化及び適切な監視体制の構築等により、情報漏洩の防止に努めております。
なお、当社の情報管理及び運営体制は、国際規格であるISO27001(情報セキュリティマネジメントシステム)、ISO27017(クラウドサービスセキュリティ)及びISO27018(クラウドサービスの個人情報管理)の各認証を取得しております。
当社は、一層のセキュリティ強化を推進するため、自社及び外部機関における定期的な調査・監査に加えて、「バグバウンティ」プログラム(※)の公開等を実施しており、これら取組みを継続することにより、当サービスの安全性及び信頼性向上に努めております。
(ⅲ)社外ユーザーと円滑にコミュニケーション可能
一般にビジネスチャットツールは、社内コミュニケーションを前提としたサービスが多くを占めておりますが、当サービスは、社内利用に限らず取引先等の社外とのコミュニケーションを想定した設計となっております。
当サービスを活用することにより、社内外における円滑なコミュニケーションの実現を可能とする一方で、管理機能の提供により外部接続にかかる制限設定を可能にし、セキュリティと利便性を両立しております。

(ⅳ)多数の他社サービスとの機能連携
当ツールは、外部プログラムとの連携のためのAPI(Application Programming Interfaceの略であり、当ツールと他ツールとの連携が可能となるプログラミング上の接続点を指します)を公開しており、他社が提供するカレンダーやメール、経費精算、ワークフロー、出退勤管理、チャットボット等の各種ツールとのサービス連携が可能であります。

(ⅴ)多言語対応
当ツールの利用言語は、日本語に加えて、英語、中国語、ベトナム語、タイ語、スペイン語に対応しております。海外企業やユーザー企業の海外展開におけるビジネスコミュニケーションでの利用も可能となっております。

②事業展開について
(ⅰ)サブスクリプション型課金モデル
「Chatwork」サービスは、インターネット上でブラウザを介してその機能を利用するSaaS(Software As A Service)形式により提供しており、有料プランについて利用者(ID)数に応じた定額利用料(所謂サブスクリプション型の課金)を受領しております。
当社サービスは、顧客企業における導入に際してシステム投資を必要とせず初期投資が限定的であること、また、月額利用料をユーザーID当り数百円の水準に設定しており、負担が少ないこと等から、導入企業における継続利用により安定的な収益獲得が可能となるビジネスモデルを構築しております。
なお、当サービスでは、ストレージ容量やグループチャットの作成数等に一定の制限を設けた無料プランを提供しておりますが、ストレージ容量拡大やユーザー管理機能等が必要となる企業は、有料プランへの移行が図られております。

(ⅱ)顧客獲得手法
当事業におけるユーザー開拓は、以下の4つに区分されます。現在のユーザー開拓は、顧客企業自らがオンラインにて申込む「フリーミアム」形態が主体となっておりますが、導入企業の一層の拡大を図るため、自社営業による直接販売を展開しているほか、販売代理店による顧客開拓も開始しております。なお、当社のChatworkは前述のとおりITリテラシーに関わらず幅広い業種・業態での利用が可能であるため、国内の全事業者・全ビジネスパーソンが顧客ターゲットであると考えております。

(ⅲ)「Chatwork」を活用したサービス提供
当社では、「Chatwork」をビジネスインフラとして活用するために、以下のサービスを展開しております。

・広告サービス
当サービスのうちフリープランのユーザーを対象として、ブラウザ又はアプリケーション上に広告を掲載・表示するサービスであります。掲載広告は、直接営業又はアドネットワーク事業者を通じた出稿がなされており、広告主又は広告事業者より掲載料を受領しております。

・プラットフォームサービス
当社提携先との協業によるサービスを「Chatwork」を通じて提供しております。現在提供しているサービスは、以下の通りであります。


(2)セキュリティ事業
当事業は、セキュリティ対策ソフトウェアの仕入販売を行っております。当社は、ESET社の提供するセキュリティ対策ソフトウェア「ESET」について、日本国内総販売代理店(一次代理店)であるキヤノンITソリューションズ株式会社の二次代理店としてWebを介した通信販売を行っております。当社は、自社の販売サイトにおいて、Web広告やアフィリエイトプログラムを活用した集客を行い、ソフトウェアの販売を行っております。
なお、当事業にかかる当社売上高は、仕入販売時においては仕入額及び販売額の差額を純額計上しているほか、一部は更新時に一次代理店より受領する手数料額を計上しております。

【業績等】
業績動向(百万円)売上高 営業利益 経常利益 純利益
(単独実績)2017.12 968 -249 -230 -232
(単独実績)2018.12 1,301 -186 -163 -110
(単独予想)2019.12 1,770 67 50 56
(単独中間実績)2019.12 853 55 56 46
1株当たりの数値(円) EPS BPS 配当
(単独予想)2019.12 1.57 39.97  - 
調達資金使途 人材採用費や人件費、広告宣伝費、サーバー費用
上場時発行済み株数 36,600,000株 (別に潜在株式3,984,000株)
公開株数 9,775,000株(公募600,000株、売り出し7,900,000株、オーバーアロットメント1,275,000株)シンジケート公開株数8,500,000株(別に1,275,000株)/(海外分含む)

PER:1019
PBR:
配当利回り:
公募時吸い上げ資金:156億
公募時時価:585億
    
【株主構成】
(株)EC studioホールディングス 役員らが議決権の過半数を所有する会社 24,244,400 60.64 90.1.5
ジャフコSV4共有投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 3,640,000 9.10  90.1.5
GMO Venture Partners4投組 ベンチャーキャピタル(ファンド)2,184,000 5.46  90.1.5
山口勝幸 取締役兼副社長執行役員COO 1,686,000 4.22  90.1.5
山本正喜 代表取締役兼社長執行役員CEO兼CTO 1,651,000 4.13  90.1.5
新生企業投資(株) ベンチャーキャピタル(ファンド)1,176,000 2.94  90.1.5
SMBCベンチャーキャピタル2号投組 ベンチャーキャピタル(ファンド)800,000 2.00  90.1.5
井上直樹 取締役兼執行役員CFO 560,000 1.40  90.1.5
鈴木陽三 特別利害関係者など 423,000 1.06  90.1.5
春日重俊 執行役員 322,000 0.81  90.1.5
本募集並びに引受人の買取引受による売出しに関連して、売出人かつ当社株主である株式会社EC studioホールディングス、ジャフコSV4共有投資事業有限責任組合、GMO Venture Partners4 投資事業有限責任組合、新生企業投資株式会社及びSMBCベンチャーキャピタル2号投資事業有限責任組合、並びに当社の株主である山口勝幸、山本正喜、鈴木陽三、中川あや、株式会社マネーフォワード、井上直樹、堀内寛裕、須藤裕嗣、春日重俊、西尾知一、堀江裕隆、石田隼、中央会計株式会社、トリプルグッドホールディングス株式会社、田縁英治、西澤将人及び新免孝紀は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場日(当日を含む)後90日目(2019年12月22日)までの期間(以下、「ロックアップ期間」という。)、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却等(ただし、引受人の買取引受による売出し、グリーンシューオプションの対象となる当社普通株式を主幹事会社が取得すること及び売却価格が本募集等における発行価格又は売出価格の1.5倍以上であって、主幹事会社を通して行う株式会社東京証券取引所取引での売却等を除く。)を行わない旨を合意しております。

【代表者】
代表者生年月日 1980年12月16日生まれ
代表者略歴
2004年04月 (株)テレウェイヴ(現(株)アイフラッグ)入社
2005年04月 当社専務取締役CTO
2018年06月 当社代表取締役兼社長執行役員CEO兼CTO(現任)

【幹事団】
主幹事証券 大和 - -
引受証券 みずほ - -
引受証券 SMBC日興 - -
引受証券 SBI - -
引受証券 マネックス - -
引受証券 楽天 - -
引受証券 松井 - -

【参考類似企業】今期予想PER
2323  fonfun 114.7倍(連結予想 )
3921  ネオジャパン 37.7倍(単独予想 )
3938  LINE -倍(連結予想 )
3999  ナレッジスイト 33.4倍(連結予想 )
4397  チームスピリト 106.0倍(単独予想 )
4776  サイボウズ 134.0倍(連結予想 )

【私見】
 当初は規模が大きすぎでビジネスモデルからそほどでもないという評価でしたが、調べたところsansanのようなパターンのなる可能性は高いという結論に至りました。業種としては今年時価総額2兆円となった米スラッグ社と競合で、今後大手の参入で長期的には厳しいとは思いますが、短期的にはビジネスモデルとしては相当の評価をしても良いかと思います。問題は規模の大きさで、スタート時点で500憶と相当の規模で、初値段階では公募やや上が限界で、どちらかといとセカンダリー銘柄の可能性もあり、VCのロックラインの1.5倍あたりまでは可能性のある銘柄だと思います。

想定価額:1605円
仮条件上限:1600円
初値予想:1750円
ブック申し込み度・・・やや強気
セカンダリー期待度・・・やや強気
総合評価3.5

4 件のコメント:

  1. こたさんの推奨するこの銘柄欲しかったのですが、主幹事はダメで、別の幹事会社から〇〇00株大量に来ました。人気はなかったのかもしれませんが、こたさんが分析した通りsansanのようになるとかなり嬉しいです。こたさんは配分いかがだったでしょうか?また、現時点での見立てご教授ください。

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  2. サイバーが厳しそうでしたので、こちらを多めに狙いそれなりにきました。前の週のサイバーとギフティーにセカンダリーがあれば流れに乗れそうですが、もし二社が沈没したらここは確実にダメだと思います。その時は自律制御のようなパターンを想定しています。

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  3. 本日は低空飛行でしたね。今後の見通しはいかがでしょうか?こたさんの見る目通りsansanのようになると良いのですが…

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  4. 明日次第ですが、明日も陰線で終わるようなら厳しそうですね。

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