2019年9月16日月曜日

IPO分析(レオクラン)

【事業内容】
 新築・移転時の医療機関や福祉施設等に対して、企画段階から開設に至るまでの総合的なコンサルティングを行い、医療機器・医療設備・医療情報システムを販売する「メディカルトータルソリューション事業」、医療機関で撮影されたCTやMRI等の医用画像を遠隔で診断し、情報提供するサービスを行う「遠隔画像診断サービス事業」及び介護・福祉施設向け給食サービスを行う「給食事業」を営んでおります。
  
(1) メディカルトータルソリューション事業
 本事業におきましては、当社及び連結子会社3社(㈱医療開発研究所、㈱レオクラン東海、㈱L&Gシステム)により行っております。当事業では、医療機関、予防・検診施設及び介護・福祉施設等に対して、医療機器の選定等のコンサルティングをベースに、医療機器、医療設備及び医療情報システムの受注販売、付帯する保守・メンテナンスサービス並びに建築内装工事及び医療設備工事の請負も行っており、特に病院の新築・移転、再編・統合におけるコンサルティング及び医療機器等の販売を主要業務とした「狩猟型」商社を標榜しております。具体的には、医療機関や福祉施設等の新築、増改築、移転等のプロジェクトに対し、計画の根幹に係わる重要なファクターである医療機器、医療設備、医療情報システム等の選定・運営について、設計的な技術支援、プロジェクト全体の予算管理及びスケジュール管理をワンストップで提供する「トータルソリューション事業」を展開し、顧客とのウィン-ウィンの関係の中で医療機器、医療設備、医療情報システム及び医療材料・消耗品の受注販売を行っております。また、ライフサイクルコストの観点から、保守・メンテナンスサービスにも注力し、継続したサービスの提供体制を整えております。尚、コンサルティング及び医療機器等販売の主要業務が当事業売上高に占める割合は、直近5期平均で95.1%、医療材料・消耗品の割合は4.9%であります。
当事業が提供するサービスの内容は以下のとおりであります。
a コンサルティング業務
 業界経験の長い当社経営陣、上級マネージャーのネットワークを活かした病院経営層へのアプローチに加えて、綿密なヒアリングと現地調査を重ねることで、設計、建設の開始前より、個別のニーズを活かした全体最適化を目指すコンサルティングを行い、企画提案をいたします。

b 企画・設計支援業務
 医療、建設、設備のあらゆる面で、豊富な専門知識と経験を持つスタッフにより、医師等医療従事者と建設業者の橋渡しをすることで、病院業務の円滑化を目指す建築計画、設計の支援を行います。

c IT・ネットワーク構築支援業務
 医療機関に必須となっている医療情報システムについて、医療情報整備・構築等のネットワークインフラから電子カルテ、院内システムまで運用面を含めて全体最適化を図りながら、システム選定及び導入の支援を行います。また、地域医療ネットワークシステム、医療情報データベースの構築・共有化などを見据えた、セキュリティ強化やシステム構築にも対応いたします。

d 医療機器の調達・販売業務
 コンサルティングの中には、機器の調達支援が含まれていることも多く、限られた予算の中で、顧客の要求を尊重しつつ、医療施設の全体最適化を目指した調達と販売を行います。
 建物、施設の建替は30年程度に1回ですが、機器、設備は5~6年に1回の更新が必要となります。当社グループでは、そのための新しい技術・機種・システムに対する知識を蓄積しております。特定メーカーに依存することなく最適の機器・システムの選定、調達が可能であり、かつ、将来の保守・メンテナンスを考慮して地域ディーラーとも協業することができます。
 
e 予防医療部門
 病院機能とは独立した健診施設の新規開設、健診システム・画像システムを中心とした健診情報システムの構築、健診車両製作等、健診施設運営・機器導入をワンストップでサポートいたします。

f 保守・メンテナンス部門、サプライ部門
 設備・機器導入後の保守・メンテナンスについても、専門スタッフを擁して迅速に対応いたします。また、必要に応じて、医療材料・消耗品の調達、供給も行います。
 
 全国の一般病院の平均病床数は、178床(厚生労働省2016年医療施設動態調査より算出)でありますが、当社が係る病院の新築・増改築案件の平均病床数は、396床(直近5期平均)と、全国一般病院の平均病床数に比べて規模の大きな病院を主体としております。また、2007年に営業エリアを近畿中心から全国指向に方針転換したことを背景に、現在は取組み案件が全国に広がっており、直近5期の累計実績案件数では、北海道東北地区9.8%、関東地区11.8%、中部地区29.4%、近畿地区21.6%、中国四国地区11.8%、九州沖縄地区15.7%となっております。全国展開においては、医療材料・消耗品取引に依存しない当社の特色を活かし、地方地元商社との連携も図っております。また、当社は狩猟型の医療機器商社として多彩な商品を取り扱っており、その中でも、放射線機器を中心とした大型機器が大半を占めております。

(2) 遠隔画像診断サービス事業
 本事業におきましては、連結子会社である京都プロメド㈱により行っております。遠隔画像診断サービスとは、依頼元の医療機関で撮影されたCTやMRIなどの医用画像を、放射線診断専門医により遠隔で診断し、情報を提供するサービスであります。当サービスは、現在の医療環境全般の課題となっている医師不足や、医師の偏在に対応するものであり、情報通信技術を活用することで医療機関を直接訪問せずとも、診断行為や医師同士の意見交換が可能であり、医療機関内で行われる画像診断と遜色ない環境で診断を実施することができるものであります。京都プロメド㈱では、設立以来、京都大学医学部との連携により、高度な知識と豊富な経験を持つ放射線診断専門医を安定的に確保し、常時5~6人の専門医が常駐する読影センターを有し、緊急の画像診断にも対応できる体制を維持しております。また、自社SEによる依頼元医療機関とのシステム連携や、専任の受付スタッフによるスムーズな受付管理を常に心がけ、よりよいサービスの提供と業容拡大に努めております。

(3) 給食事業
 本事業におきましては、連結子会社である㈱ゲイト(ブランド名:クックレオ)により介護・福祉施設等への給食サービスを行っております。当サービスは、「クックチル」(注)という新調理システムにより、セントラルキッチン(給食センター)にて、料理を一括集中生産し、 チルド状態にした料理を、サテライト厨房(現地厨房)と連携して、日々の食事を提供する「おかず販売」と、施設から委託を受け、委託元の厨房に職員を配置し、日々の食事を提供する「業務受託サービス」を行っております。
 セントラルキッチンで調理された商品をお届けする「おかず販売」は、食事準備の簡素化及び時間短縮が図れるため、介護職員の業務負担を削減することができ、昨今、また今後における調理技術のある人材(有資格者含む)の確保が困難な状況にも柔軟に対応することが可能であります。
㈱ゲイトで提供するクックチル料理は、管理栄養士が栄養バランスを考慮して献立・レシピを作成し、専門の調理師がマニュアルに従って調理を行い、均一な味の提供を行っております。いわゆるクックフリーズ(調理済みの冷凍食品)とは違い、彩りや風味の損傷を最小限に抑えており、添え野菜など一部の商品を生野菜で納品することで、現地調理に近い仕上がりを再現しております。

【業績等】
業績動向(百万円) 売上高 営業利益 経常利益 純利益
(連結実績)2017.9 19,060 6 28 242
(連結実績)2018.9 25,715 645 652 357
(連結見込)2019.9 35,273 1,103 1,099 658
(連結予想)2020.9 26,044 665 664 446

1株当たりの数値(円) EPS BPS※ 配当
(連結予想)2020.9 231.16 2,629.45 45
調達資金使途 システム投資、採用費、借入金の返済、社債の償還資金
上場時発行済み株数 1,945,000株 (別に潜在株式35,600株)
公開株数 486,400株(公募163,000株、売り出し260,000株、オーバーアロットメント63,400株) シンジケート 公開株数423,000株(別に63,400株)

PER:11.7
PBR:1.02
配当利回り:1.7%
公募時吸い上げ資金:13.1億
公募時時価:53億
    
【株主構成】  以下180日
杉田昭吾 代表取締役社長 800,000 44.01
(株)A&M 代表取締役社長の配偶者らが議決権の過半数を所有する会社 244,000 13.42
従業員持ち株会 特別利害関係者など 79,600 4.38
大阪中小企業投資育成(株) ベンチャーキャピタル(ファンド) 66,000 3.63
八上重明 取締役、子会社役員 28,000 1.54
吉川謹司 特別利害関係者など 25,000 1.38
(医)藤井会 特別利害関係者など 24,000 1.32
ファスキアホールディングス(株) 特別利害関係者など 24,000 1.32
(株)東洋美装 特別利害関係者など 24,000 1.32
(株)ユニティ建築企画 特別利害関係者など 24,000 1.32
セントラルメディカル(株) 特別利害関係者など 24,000 1.32
(株)ウイン・インターナショナル 特別利害関係者など 24,000 1.32
和田公良 特別利害関係者など 24,000 1.32
古川国久 特別利害関係者など 24,000 1.32
上古殿吉郎 特別利害関係者など 24,000 1.32
矢木礼子 特別利害関係者など 24,000 1.32
 本募集及び引受人の買取引受による売出しに関し、貸株人かつ売出人である杉田昭吾、当社株主かつ当社役員である八上重明、竹内興次、廣川隆、山田寿夫、筒井照己、中野正和、尾﨑健治、松本淳一、山村誠人、当社株主かつ当社子会社役員である後藤さとみ、鳥本茂己、河上聡、平野吉則、当社株主である株式会社A&M、レオクラン従業員持株会、大阪中小企業投資育成株式会社、吉川謹司、医療法人藤井会、ファスキアホールディングス株式会社、株式会社東洋美装、株式会社ユニティ建築企画、セントラルメディカル株式会社、株式会社ウイン・インターナショナル、和田公良、古川國久、上古殿吉郎、矢木礼子、矢部博、杉立市兵衛、株式会社花屋敷エンタープライズ、早瀬哲督、早瀬博美、加藤吉隆、医療法人宝持会、植木洋子、飯塚美也子、川口弘美、稲葉秀、木村吉男、泉和子、杉田和男、中川内敏雄、田川芳和、多々良俊英、谷口博克、吉田純一、矢木亮吉、西尾和浩、奥平櫻子、村田高穂、坂本嗣郎、松本昊一、辻本厚生、小村哲也、竹原潤、有岡久一、坂口克史、宇塚惠子、濱本幸孝、阪本弘彦、新屋敷康、近森伶子、藤井庸司、池田秀一、山田泰司、吉田徹也、柴本茂樹、浅野元和、大塚久喜、櫻井卓哉、小泉貴司、鈴木幹郎、中江幸司、西村英樹、並びに当社新株予約権者である泉尾昌男、佐藤耕一、小林昌弘、渡辺英雄、望月昌実、竹村喜雄、北村玲子、清川透、吉田宏行、田上誠二、山田敏史、九之池一浩、十代竜一、仁久丸拓平、廣野和行、江口和哉、川勝俊幸、小濵顕一、粟飯原千鶴、中村仁、辻村純一、水島啓吾、與坂和重、門脇智也、近藤謙次、秋庭正和、宮川佳代、中出匡彦、宮本忠司、坂口省司、横部達也、平山桂、高橋直文は、SMBC日興証券株式会社(以下「主幹事会社」といいます。)に対して、本募集及び引受人の買取引受による売出しにかかる元引受契約締結日に始まり、上場(売買開始)日から起算して180日目の2020年3月29日までの期間(以下「ロックアップ期間」といいます。)中は、主幹事会社の事前の書面による承諾を受けることなく、元引受契約締結日に自己の計算で保有する当社普通株式(潜在株式を含む。)の売却等を行わない旨を約束しております。

【代表者】
代表者生年月日 1953年03月07日生まれ
代表者略歴 年月 概要
1978年04月 西本産業(株)(現 キヤノンライフケアソリューションズ(株))入社
1996年04月 (有)メディカル・トータル・プランナー設立 代表取締役(現任)
2000年09月 西本産業(株)(現 キヤノンライフケアソリューションズ(株))退職
2001年01月 当社設立 代表取締役(現任)
2004年03月 (株)レオクラン東海設立 代表取締役
2013年12月 京都プロメド(株) 取締役(現任)

【幹事団】
主幹事証券 SMBC日興 - -
引受証券 みずほ - -
引受証券 大和 - -
引受証券 野村 - -
引受証券 エース - -
引受証券 SBI - -

【参考類似企業】今期予想PER9/4
2689  カワニシHD 8.2倍(連結予想 )
3055  ほくたけ 11.8倍(連結予想 )
3079  DVx 13.9倍(単独予想 )
3154  メディアスHD 16.7倍(連結予想 )
3183  ウインパートナ 16.4倍(連結予想 )
3360  シップHD 19.2倍(連結予想 )
7575  日本ライフL 16.9倍(連結予想 )
9265  ヤマシタヘルケア 11.9倍(連結予想 )

【私見】
 遠隔医療サービスなど面白みはあるものの、基本は医療機器の販売なので、業種としては2部市場で面白みにやや欠けます。業績は低めですが、同業種も10~16程度なので公募やや上が落ち着きどころで、来期減益となることから成長性が物足りません。需給は非常に良く、ロックもほぼかかっていることから売り要素はなく、長期の方には良いのかもしれません。

想定価額:3070円
仮条件上限:2700円
初値予想:3000円
ブック申し込み度・・・中立
セカンダリー期待度・・・中立
総合評価3

0 件のコメント:

コメントを投稿