2019年9月4日水曜日

IPO分析(ギフティ)

【事業内容】
 メールやSNSといったスマートフォン上でのコミュニケーションが増加する中で、当社グループはそうしたコミュニケーションをより豊かにしたいと考えています。eギフトサービスは、メールやSNSでやり取りされる文章に添えるだけで贈ることができるサービスです。日頃の「小さなありがとう」の気持ちに添えて、ギフトを贈ることで、人と人のあたたかいつながりを増やすこと、そしてギフトをきっかけに、新しい土地に行ってみたり、新しいサービスを体験したり、そんな小さなワクワクに出会えるチャンスを創ることを当社グループはミッションに掲げています。
当社グループは、こうしたミッションを実現する為に、①個人ユーザーがWebでeギフトを購入することができる『giftee』サービス、②法人がキャンペーン等での利用を目的にeギフトを購入することができる『giftee for Business』サービス、③eギフト発行企業(飲食店・小売店等)がeギフトの生成・流通・販売・決済・実績管理を行うことができるシステム『eGift System』をSaaSで提供する『eGift System』サービス、④地域通貨の電子化ソリューションを提供する地域通貨サービス『Welcome! STAMP』、の主に4つのサービスを提供しており、これら全体を「eギフトプラットフォーム事業」と定義して、eギフトの生成・流通・販売を一気通貫で行っております。
 当社グループは、個人ユーザーがeギフトを購入することができるWebサービス『giftee』、法人がキャンペーン等での利用を目的にeギフトを購入することができるサービス『giftee for Business』、eギフトの生成・販売・流通・決済・実績管理を行うことができるシステム『eGift System』及び地域通貨の電子化ソリューションを提供する地域通貨サービス『Welcome! STAMP』といった、個人及び法人向けソリューションの提供によりeギフトの生成・流通・販売を一気通貫で行うeギフトプラットフォーマーとしての地位を確立いたしました。
 当社グループの属するeギフトの市場について、株式会社矢野経済研究所「2019年版商品券・ギフト券/eギフト市場の実態と展望」によれば、これまでキャンペーンの集客等の販促活動に紙券やプラスチックカードを利用していた事業者がeギフトを利用する事例が増加する等、eギフトの認知度向上に伴い、個人ギフト・法人ギフトの両方で需要が拡大しており、eギフトの市場規模は2018年度で1,167億円に達しているとされております。
 当社グループは、eギフトプラットフォーム事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。セグメントを構成する主要サービスは、①『giftee』サービス、②『giftee for Business』サービス、③『eGift System』サービス、④地域通貨サービス『Welcome! STAMP』の4つに大別され、eギフトプラットフォーマーとしてeギフトを活用する個人及び法人に対してサービスを提供しております。

①  『giftee』サービス(当社)
『giftee』サービスは、直接対面していない人に対して何かギフトをプレゼントしたいニーズのある個人ユーザーが『giftee』のアプリ又はWebブラウザ上でeギフトを選択して、クレジットカードやキャリア決済等により購入し、メールやSNSで受け取る方に送付することができるサービスです。
受け取る方は受け取ったギフト画面を店頭で提示すると商品がもらえます。また、贈る方が送付する際には、「誕生日おめでとう」や「ありがとう」といった内容のメッセージカードとテキストのメッセージを付すことも可能です。
『giftee』サービスが取り扱っている商品は、コーヒーやドーナッツといった数百円程度の価格帯が中心で、贈る方も受け取る方も負担にならないカジュアルな商品ラインナップが多いことが特徴です。また、メールやSNSで送付することから、送料をかけずに送ることができます。
更に、店頭で商品を受け取るのではなく、受け取る方が入力した住所に商品を配送するといった配送型のギフトも取り扱っております。比較的単価の高いドリンクや食品等を、受け取る方の住所を知らなくてもプレゼントできるといったメリットがあります。
当社は、『giftee』サービスにてeギフトを個人に販売した場合、当該eギフトの発行企業から、当該eギフトの販売手数料を受領しております。
『giftee』は、2011年3月にサービスを提供して以降、着実に会員数を伸ばし、会員数は125万人に達しております(2019年6月末時点)。

②  『giftee for Business』サービス(当社、GIFTEE MALAYSIA SDN.BHD.)
『giftee for Business』サービスは、法人がキャンペーン等で自社のユーザーにギフトを付与するシーンで利用可能なサービスです。
『giftee for Business』の活用シーンは多様で、例えば、来店促進のソリューション(保険会社や金融機関等来店のお礼、モデルルームや住宅展示場、各種イベントやセミナーなどへの来場(事前Web予約等)のお礼など)、キャンペーンやプレゼントの賞品(アンケートキャンペーンやプレゼントキャンペーン、懸賞の賞品など)、自社サービスの利用のお礼(保険/引っ越しの一括見積、学校/教材等における資料請求などWebサイト内のサービスを利用者へのプレゼント、レンタカー会社や宿泊施設等のギフト券付きプランなど)、その他サイト内のポイント交換や社内の報酬制度等、様々なビジネスソリューションとして幅広くご活用いただけます。
従来、同様のシーンでは、プレゼント商品として、プラスチックや紙の金券等が利用されることが多く、在庫管理や梱包、包装、郵送代金、また、それに伴う事務作業等、プレゼント商品の代金以外に様々なコストが発生していました。『giftee for  Business』の活用により、一連の作業は、メールやSNSなどでeギフトのURLをお客様に送信するのみで完了するため、従来発生していた配送費、在庫管理費、梱包費や人件費及びそれらに伴う間接コストを削減することが可能となります。

また、2017年8月から、法人がeギフトのURLをお客様に送信する際に活用できるキャンペーンツールである『Giftee Campaign Platform』サービスの提供を開始しました。例えば、法人の公式SNSアカウントを登録すると当該登録を行なった個人のSNSアカウントにeギフトを自動的に付与する仕組みや、アンケートに回答すると抽選に応募でき、当該抽選に当選した個人のみにeギフトを付与する仕組み等、法人がキャンペーンをより効率的に実施することが可能になり、『giftee for Business』の利用企業数を増加させております。
当社グループは、『giftee for Business』サービスを利用いただく法人から、eギフトの発行手数料を受領すると共に、当該eギフトの発行企業から、当該eギフトの販売手数料を受領しております。
『giftee for Business』は、2016年4月にサービスを提供して以降、着実に利用企業数を伸ばしております。2019年1月から6月までの累計期間の『giftee for Business』サービスの利用企業数は371社、eギフト流通額は14億円となっております。

③  『eGift System』サービス(当社、GIFTEE MALAYSIA SDN.BHD.)
当社グループがSaaS提供する『eGift System』は、飲食店・小売店等の法人がeギフトの生成・流通・販売・決済・実績管理を行うことができるシステムです。
『eGift System』を導入することで、飲食店・小売店等の法人が自社のeギフトを自社のホームページやスマートフォンアプリで販売することができるだけでなく、当社グループの提供する『giftee』や『giftee for Business』、その他eギフトサービス提供会社に対して、eギフトを販売することが可能となります。カジュアルなギフト需要を獲得することができるだけでなく、eギフトを利用するために来店する個人消費者への併売を期待して導入するeギフト発行企業もあります。
更に、生成されるeギフトの原資を飲食店・小売店等の法人が自社で負担して自社ユーザーに配布することで、電子クーポンとして活用することも可能となります。
『eGift System』で生成されたeギフトを店頭で決済する手段として、スマートフォン画面にバーコードを表示させた上で店頭のバーコードリーダーで読み取る方法に加え、電子スタンプ(注1)を用いた決済が可能である点が特徴です。なお、店頭で決済されたeギフトは、リアルタイムに消込(注2)を行うことで、二重利用を防止します。
バーコードリーダーでの読み取りを行う場合、店頭及び本部の販売管理システムを改修するコスト負担が大きくなる一方、電子スタンプでは当該販売管理システム側の改修が不要で、コストを抑えて『eGift System』を導入することが可能です。
当社グループは、『eGift System』を導入いただいた企業より、システム利用料を受領しております。
『eGift System』は、2014年1月にサービスを提供して以降、着実に導入企業数を伸ばし、利用企業数は70社、利用継続率(注3)は98.6%となっております(2019年6月末時点)。

④  地域通貨サービス『Welcome! STAMP』(当社)
当社グループは、前述の電子スタンプを活用した地域通貨ソリューションを提供しております。従来の紙やカードで発行されていた、特定の地域でのみ使える通貨や商品券(以下、「地域通貨」といいます。)をスマートフォンを用いて流通させるソリューションです。
従来の紙やカードで地域通貨を発行する場合、当該紙やカードの紛失や盗難を防ぐために利用者や加盟店それぞれで管理することが必要でした。また、加盟店は当該紙やカードを交換所に持参して換金する必要がありました。電子化された地域通貨は、紛失や盗難のリスクが低く、また、電子スタンプで決済された後に自動的に登録口座に入金されるため、加盟店のオペレーションの軽減につながると考えられます。更に、電子通貨の販売・利用の実績は全てリアルタイムでシステム内で一元管理されるため実績や履歴などのデータを即時・自動で集計することが可能です。
2016年10月には、長崎県の五島列島で発行されている地域通貨『しまとく通貨』の電子化を、2017年9月には、東京都の11の離島で使用できる『しまぽ通貨』の電子化を行いました。当社グループは、『Welcome! STAMP』を導入いただいた地域通貨の発行主体より、システム利用料を受領しております。

【業績等】
業績動向(百万円)売上高 営業利益 経常利益 純利益
(単独実績)2017.12 556 25 33 20 
(連結実績)2018.12 1,121 285 283 198
(連結予想)2019.12 1,774 538 528 358
(連結中間実績)2019.12 874 307 308 209
1株当たりの数値(円)EPS BPS 配当
(連結予想)2019.12 14.79 95.27 0
調達資金使途 人件費・採用教育費、広告費・販促費、サーバー費用、外注費
上場時発行済み株数 24,831,000株 (別に潜在株式3,337,000株)
公開株数 5,049,300株(公募800,000株、売り出し3,590,700株、オーバーアロットメント658,600株)シンジケート 公開株数4,390,700株(別に658,600株)/
PER:101
PBR:
配当利回り:
公募時吸い上げ資金:75.7億
公募時時価:372億
    
【株主構成】
太田睦 代表取締役CEO 5,417,000 19.79 90
KDDI新規事業育成2号投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 3,716,000 13.58 90・1.5
ジャフコSV4共有投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 3,617,000 13.22 90・1.5
鈴木達哉 取締役COO 1,983,000 7.25 90
梅田裕真 特別利害関係者など 1,750,000 6.39 90
柳瀬文孝 取締役CTO 1,655,000 6.05 90
(株)インスパイア ベンチャーキャピタル(ファンド)1,000,000 3.65 90・1.5
KDDI新規事業育成投組 ベンチャーキャピタル(ファンド)1,000,000 3.65 90・1.5
(株)ジェーシービー 特別利害関係者など 950,000 3.47
(株)SMBC信託銀行信託口12100440 ベンチャーキャピタル(ファンド)950,000 3.47
 本募集並びに引受人の買取引受による売出しに関連して、貸株人である太田睦並びに当社株主である梅田裕真、鈴木達哉、柳瀬文孝、株式会社三越伊勢丹イノベーションズ、見満周宣、藤田良和、株式会社ディー・エヌ・エー、中原寛法及び森悟朗は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後90日目の2019年12月18日までの期間中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社株式の売却等(ただし、オーバーアロットメントによる売出しのために当社普通株式を貸し渡すこと等を除く。)を行わない旨合意しております。
売出人であるKDDI新規事業育成2号投資事業有限責任組合、ジャフコSV4共有投資事業有限責任組合、株式会社インスパイア、KDDI新規事業育成投資事業有限責任組合及び株式会社インスパイア・インベストメントは、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後90日目の2019年12月18日までの期間中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社株式の売却等(ただし、引受人の買取引受による売出し及びその売却価格が「第1 募集要項」における発行価格の1.5倍以上であって、主幹事会社を通して行う売却等は除く。)を行わない旨合意しております。
 加えて、当社新株予約権者である小林理生、黒瀬敏正、三木恵介、大曽根淳、村本健一、加藤宏志、上方雅敏及び小澤和基は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後90日目の2019年12月18日までの期間中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社株式の売却等を行わない旨合意しております。
また、当社は主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後180日目の2020年3月17日までの期間中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社株式の発行、当社株式に転換若しくは交換される有価証券の発行又は当社株式を取得若しくは受領する権利を付与された有価証券の発行等(ただし、本募集、株式分割、ストック・オプションとしての新株予約権の発行及びオーバーアロットメントによる売出しに関連し、2019年8月16日開催の当社取締役会において決議された主幹事会社を割当先とする第三者割当増資等を除く。)を行わない旨合意しております。

【代表者】
代表者生年月日 1984年12月29日生まれ
代表者略歴 2007年08月 アクセンチュア・テクノロジー・ソリューションズ(株)(現、 アクセンチュア(株))入社
2010年08月 当社設立 代表取締役(現任)

【幹事団】
主幹事証券 野村 - -
引受証券 みずほ - -
引受証券 SMBC日興 - -
引受証券 SBI - -
引受証券 大和 - -
引受証券 岩井コスモ - -
引受証券 マネックス - -
引受証券 松井 - -
引受証券 水戸 - -
引受証券 岡三 - -

【参考類似企業】今期予想PER8/20
3938  LINE -倍(連結予想 )
3960  バリュデザ 2,535.3倍(連結予想 )
6172  メタップス 9.2倍(連結予想 )
9434  ソフトバンク 15.0倍(連結予想 )

【私見】
 eギフトという初物業種で業種妙味が非常にある銘柄です。まだ規模は小さいですが、利益率も高く高PERも是正されていくのは早いかもしれません。コンサル出身の社長で株価には期待できセカンダリーでも面白そうですが、規模が大きくKDDIとジャフコのVCが1.5倍でロックが外れることは気がかりで、セカンダリーは価額や需給をみてからの判断になりそうです。

想定価額:1250円
仮条件上限:1500円
初値予想:2200円
ブック申し込み度・・・強気
セカンダリー期待度・・・中立~やや強気
総合評価4

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