2022年9月6日火曜日

IPO分析(FPパートナー)

 【事業内容】

​ 当社は、個人及び法人顧客向けにファイナンシャルプランニングを行う保険代理業を主たる業務としており、生命保険会社、損害保険会社合計32社の商品を個人顧客及び法人顧客に販売しており、対面やオンラインによる相談・商品説明・契約手続きからアフターフォローまでを対応いたします。


①事業モデル

 保険募集における見込み顧客開拓と保険商品販売の分業化をすることで、それぞれの業務の効率化を高めております。保険加入希望顧客(以降、見込み顧客)の集客を会社が行い、商品販売を営業社員が行う事業モデルとなっており、詳細は次の通りであります。


a.見込み顧客開拓

 見込み顧客を安定的かつ継続的に獲得するために自社集客と併せて他の事業会社とのBtoB及びBtoCの業務提携を行うことで組織的な集客が出来る仕組みを構築しております。

 集客ルートは、保険代理店や募集関連行為従事者といった提携企業による集客(提携社数:2022年5月末時点100社)を主とし、そのほか、公式LINEアカウントを含む当社サービスサイトを経由した集客など多様な方法があります。これらの多角的な集客ルートを活用することにより、営業社員の開拓スキルといった属人的要因だけに頼らない見込み顧客の獲得を実現することが出来ます。2021年11月期においては、提携企業からの集客件数は109,435件となっており、会社集客案件118,117件の92.6%を占めております。また、これらの会社が集客をした顧客からの紹介を中心に、営業社員の既存顧客からの紹介等の自己開拓も積極的に行っており、現在では自己開拓による新規顧客の契約獲得も全体の半数近くを占めております。このように、継続的な会社集客による見込み顧客の獲得は、その後の自己開拓による顧客拡大の基盤となり、より効率的な見込み顧客の拡大へと繋がってまいります。


b.保険商品販売、ファイナンシャルプランニング                           

 主要顧客層は20代から40代のファミリー層となっており、その特性上、キャッシュ・フロー改善と老後資金準備を主眼に置いたファイナンシャルプランニングとなるケースが多く、資産形成と万が一への備えとして保険商品の提案を行っております。

 それ以外の顧客層においてもファイナンシャルプランニングを行うことで、それぞれのライフステージに応じた保険商品の提案へと繋がっております。


c.顧客アプローチ、販売手法

 営業社員が顧客の指定する場所(ご自宅、カフェ、勤務先など)に訪問して相談を行う訪問販売型のモデルが主になっております。全国47都道府県全てに営業社員の所属する支社が有り、あらゆる地域へ訪問可能な営業網を備えております。また、新型コロナウイルス感染拡大を背景に増加した非対面での相談ニーズに応えるため、2020年5月から「オンラインFP相談」も開始致しました。2021年11月期においては自社集客案件8,682件のうち、3,891件(44.8%)が「オンラインFP相談」であり、気軽に保険相談を体験したいと言う顧客ニーズの取り込みが進んでおります。その他、首都圏と福岡には来店してご相談頂ける「マネードクター店舗」も展開しており、顧客の希望するスタイルに応じた面談方法を選択できる体制となっております。この様なハイブリッドなコンタクトポイントを用意することにより、顧客の希望する方法・タイミングでファイナンシャルプランニングを用いた保険商品の提案を行っております。なお、2021年11月末時点で営業社員数は1,858名、拠点数は111拠点(101支社、10店舗)です。2017年11月期以降の営業社員数推移は下記の通りであり、入社営業社員数は2020年11月期456名、2021年11月期470名、2022年11月期は2022年5月末までに285名となっております。


②収益モデル

 主たる収益である生命保険及び損害保険の販売手数料は、当社の保険募集活動により顧客の保険契約が成立した後に保険会社との業務委託契約に則って支払われます。販売手数料は契約が成立した年に支払われる初年度手数料、成立の翌年以降に保険契約者からの保険料支払いに応じて都度支払われる次年度以降の継続手数料、各保険会社の定める業務品質基準に則って支払われる支援金の3つに大別されます。

 継続手数料は既契約(2021年11月末時点約98万件、顧客数約43万人、保有年換算保険料約1,153億円)から発生するストック収益に相当することから安定した収益の基盤となっており、営業品質の向上と既存顧客へのアフターフォローを行うことで当社は保有契約を積み上げてまいりました。今後もこの保有契約を積み上げていくことに注力いたします。

 

③事業の特徴

a.システム

 基幹システムの自社開発体制を特長のひとつとしております。主に営業社員が使用するセールス系一元管理システムを自社開発しております。顧客の加入保険の内容、ご家族情報や過去の商談における顧客のご意向等、顧客アフターサービスに必要な情報を記録し、システムのスピーディな機能追加や改修が可能な営業サポート体制となっております。Hyper Agentの機能のうち、顧客サービスツールは顧客のライフイベントと一生涯のキャッシュ・フローをグラフに可視化して、広範囲なファイナンシャルプランニングを可能としております。また、自社及び提携企業から相談申込をした顧客との面談アポイントを自動的にマッチングする機能を有しており、顧客が希望する日時・場所に対応可能な営業社員を即時に選定いたします。


b.営業社員、資格及び販売体制

 FP資格を取得していることが顧客への適切なファイナンシャルプランニングの提供に繋がると考えており、営業社員のFP資格取得率は2021年11月現在97.2%(入社1年未満営業社員除く)となっております。営業社員は原則として支社所在地の地元採用で転勤は無いため、長期間にわたる顧客フォローを通じて信頼を築くことができ、冠婚葬祭などの地域特有の慣習を理解したファイナンシャルプランニングが可能となっております。なお、女性営業社員の割合は34.9%となっております。

 こうした営業社員の活躍により、当社にはMDRT 会員に登録している営業社員が、全国の拠点に575名在籍しております。MDRTに登録出来る基準は1年間で販売手数料6,843,900円以上となり、2021年に会員登録を行った保険募集人数は9,363名と2021年4月現在の国内生命保険募集人約128万人の約0.8%しかおりません。当社の2021年の実績は2021年11月末の営業社員1,858名のうち575名が該当となっており、各地域に満遍なく在籍していることから全国で高い水準のサービス提供が出来る体制となっております。

 また、営業拠点は各支社を7つの統括部(東北・北海道、東日本第一、東日本第二、中日本、西日本、中国・四国、九州)管下に配置・管理しております。統括部長と統括部スタッフは管下支社長の拠点運営の支援、苦情・ご意見など顧客の声の管理・対応、内部監査部と連携した体制整備の精度向上に努めております。


【業績等】

決算期 種別 売上高 営業利益 経常利益 純利益

2022/11 単独中間実績 12,203 2,039 2,042 1,177

2022/11 単独会社予想 24,048 3,328 3,348 2,008

2021/11 単独実績 20,919 1,735 1,814 1,224

2020/11 単独実績 17,301 688 718 424


決算期 種別 EPS BPS 配当

2022/11 単独会社予想 195.19 - 0.00


上場時発行済株数 11,500,000株(別に潜在株式700,000株)

公開株数 3,450,000株(公募1,500,000株、売り出し1,500,000株、オーバーアロットメント450,000株)

調達資金使途 設備資金、借入金返済


PER:13.3

PBR:

配当利回り:

公募時吸い上げ資金:89.7億

公募時時価:299億

​   

【株主構成】 

(同)FPコンサルティング 役員らが議決権の過半数を所有する会社 5,000,000 46.73% 180日

黒木勉 代表取締役社長 4,500,000 42.06% 180日

小川実(信託口) 新株予約権信託の受託者 700,000 6.54%

黒木真澄 代表取締役社長の配偶者 500,000 4.67% 180日


 本募集並びに引受人の買取引受による売出しに関連して、売出人であり当社の株主である黒木勉、並びに当社の株主である黒木真澄及び合同会社FPコンサルティングは、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場日(当日を含む)後180日目(2023年3月20日)までの期間(以下、「ロックアップ期間」という。)、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却等(ただし、引受人の買取引受による売出し、グリーンシューオプションの対象となる当社普通株式を主幹事会社が取得すること等を除く。)を行わない旨を合意しております。

 

【代表者】

代表者名 黒木 勉(上場時54歳9カ月)/1967年生

本店所在地 東京都文京区後楽

設立年 2009年

従業員数 2245人 (2022/06/30現在)(平均44.9歳、年収662.2万円)

事業内容 個人および法人向けの保険代理業、金融商品仲介業、銀行代理業

URL https://fpp.jp/

株主数 3人 (目論見書より)

資本金 100,000,000円 (2022/08/18現在)

代表者生年月日 1967年11月29日生まれ

代表者略歴

1992年04月 朝日信用金庫入社

1999年01月 アメリカン・ライフ・インシュアランス・カンパニー (現メットライフ生命保険株式会社)入社

2005年01月 株式会社東京データセンター設立 取締役 3月:株式会社エフピーコンサルティング 設立 代表取締役

2007年04月 株式会社サイネックス・ファイナンシャル・プランニング 代表取締役社長

2008年06月 株式会社サイネックス 取締役

2017年12月 合同会社FPコンサルティング設立 代表社員(現任)

2018年01月 当社 代表取締役社長(現任)

2019年10月 auフィナンシャルパートナー株式会社 取締役


【幹事団】

主幹事証券 大和 - -

引受証券 SBI - -

引受証券 SMBC日興 - -

引受証券 岡三 - -

引受証券 楽天 - -

引受証券 岩井コスモ - -


【参考類似企業】今期予想PER(8/19)

7325 アイリック 38.6倍 (連結予想) 売50憶 経利4憶 当利2.5憶 時価67憶

7343 ブロドマイン 12.8倍 (連結予想)

8798 アドバンスク 16.0倍 (連結予想) 売110憶 経利19憶 当利13憶 時価245憶


【私見】

 保険代理店業務で、類似業種も多く業種妙味はありません。業績は好調で、利益の伸びは凄まじいです。比較対象としてはアドバンスクリエイトで、売上・利益共に同サイズで、PERからは若干の上値がありそうで、時価総額からは現状が妥当と感じます。VCなしで売り圧力がないことは評価できますが、個人の買いは期待できず公募近辺が妥当かと思います。


想定価額:2340円

仮条件上限:2600円

初値予想:2600円

ブック申し込み度・・・中立

セカンダリー期待度・・・中立

総合評価:3

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