2025年2月7日金曜日

IPO分析(ブッキングリゾート)

 【事業内容】

​ (1)集客支援事業

 掲載施設の売上最大化を目的に、旅行者(ユーザー)の特定のニーズに特化した予約プラットフォームを運営するとともに、掲載施設に対する開業サポート、ブランド設計、施設個別の予約サイトの構築、PR広告の運用など、開業支援から開業後の集客支援まで一貫して行うコンサルティングサービスを提供しております。

当社は、集客支援事業を通じて主に以下の3つの役割を果たしております。

①集客支援

 旅行者(ユーザー)に対しプロモーションを掛けて旅行そのものの動機を創出し、予約プラットフォーム及び施設個別の予約サイトに誘導するマーケティングを行っております。予約プラットフォームだけでなく施設個別の予約サイトについても当社が制作・運営することで、予約プラットフォームと施設個別の予約サイトをシームレスに繋げることができ、検索エンジンでのSEO対策並びに修正及び変更を即時に行える体制を構築しております。

②運営支援

 プランの設定及び人員配置等の施設運営に関するノウハウや直営宿泊施設の運営により蓄積された成功事例・失敗事例の提供、仕入先や取引業者の選定に関する助言、予算実績の進捗管理等、継続性のある支援を行っております。

③開発支援

 掲載施設の事業計画の策定やコンセプト設計、設備計画、運営方法の立案、旅行者(ユーザー)の目に留まりやすいソフトコンテンツ開発等、新たな施設の開業や既存施設の魅力造成を支援するコンサルティングを行っております。


 集客支援事業の大きな特徴は、旅行者(ユーザー)の特定のニーズに特化した予約プラットフォームを運営し掲載施設のプロモーションを行うとともに、掲載施設に対して運営・開発上のコンサルティングサービスを提供していること及びそれらのサービスを成功報酬型の料金体系で提供していることにあります。

 予約プラットフォームは、アウトドアでありながら高級感があり、設備の整った環境で快適に過ごせる施設(以下、「グランピング施設」という。)及び客室内でゆっくりと過ごせる1棟貸しのリゾートヴィラなど宿泊が旅行の目的となる滞在型の施設(以下、「リゾート施設」という。)を掲載する「リゾートグランピングドットコム」並びにペットツーリズム(ペット同伴旅行)に対応した施設を掲載する「いぬやど」を運営しております。「いぬやど」では、リピート獲得を目的とした会員限定の予約プラン等を発信するため会員制度を導入しており、2024年11月末日現在の会員数は5.2万人を超えております。

 当社の顧客の多くは、施設当たりの客室数が6~7室程度の比較的小規模な宿泊施設であり、様々な形態の宿泊施設を総合的に掲載する予約サイトの中では埋没しやすく、キャンペーン等による値引きや広告宣伝費のコスト負担が大きくなる傾向にあります。当社は、予約プラットフォームを旅行者(ユーザー)の特定のニーズに特化させ、ピンポイントで訴求することで、集客効果の最大化を図っております。

 また、施設個別の予約サイト制作費用、アクセス数増加のためのPR費用、施設運営・開発についてのコンサルティング費用等を当社が負担し、当社予約プラットフォーム又は施設個別の予約サイトを通じて獲得した宿泊予約売上にのみ集客手数料が発生するという成功報酬型の料金体系を採ることで、掲載施設側の初期コストを低減し、売上が十分にない開業前の宿泊施設や経営難に陥った宿泊施設であっても利用しやすいサービスとしております。成功報酬型の料金体系は、掲載施設に売上が立たない限り当社にも売上が立たないという利害の一致を生み出し、掲載施設と深い信頼関係を築くことを可能としております。


集客支援事業における契約形態には「集客支援」と「完全集客支援」の2種類があります。

 集客支援の掲載施設に対しては、販路の1つとして当社予約プラットフォームに施設を掲載いただき、旅行者(ユーザー)に施設の情報を提供することで掲載施設の認知拡大に貢献しております。完全集客支援の施設に対しては、予約販路を当社に一任いただく代わりに、予約プラットフォームへの掲載に加えて、施設個別の予約サイトの構築、プラン作成等の運営支援、コンセプト設計等の開発支援等を一貫して行っており、施設自体の魅力造成や日常的に生じる課題の解決を支援し、掲載施設の売上最大化に貢献しております。


(2)直営宿泊事業

 直営宿泊事業では、複数の直営宿泊施設を運営しております。集客支援事業同様、観光や保養を目的とする旅行者(ユーザー)をターゲット顧客としておりますが、当社が直営宿泊施設を運営する目的は、施設運営上の成功事例・失敗事例を蓄積し、集客上有用なノウハウを獲得することにあります。

 2023年2月に直営施設「ドッグヴィラ千葉南房総」を開業し、その後新たな形態の宿泊施設に関するノウハウを獲得することを目指して2024年4月に直営施設「RIVERSIDE CAMP FIELD CHICHIBU」、2024年7月に同施設に併設する「秩父別邸 木叢-komura-」を開業し、複合施設「秩父リゾート」として運営しております。

 直営宿泊施設では、旅行者(ユーザー)は勿論のこと施設運営にかかわる関係者の貴重な声を直接聞くことができる場であり、ニーズの察知、予約獲得に有用な新サービスの試験的な導入、コスト削減に向けた効率的な運営方法の構築、設備・備品の仕入れ業者との繋がりを得ること等に役立てております。

 「ドッグヴィラ千葉南房総」では高まるペットツーリズム需要に対応するべく、「いぬやど」会員の創出やペットオーナーのニーズに応える新サービスの試験的な導入等を行っております。宿泊される旅行者(ユーザー)に対して新サービスやペット用アメニティ、ペット用フード、その他のアイテムをいかにPRしていくかを試行錯誤し、成功事例と失敗事例を蓄積して集客支援事業のコンサルティングに活かしております。

 「秩父リゾート」では、自由に滞在方法を選んで宿泊できる複合型のアウトドアリゾートを運営しております。具体的には、どんな客層、人数でも使いやすい、誰にも気兼ねせず自由に過ごせるプライベート空間を備えた連棟型のプライベートヴィラ、アウトドアニーズに応えるキャンプフリーサイト、トレーラーを利用したグランピングサイトを用意しております。そして、集客支援事業に活用するために、初期コストを抑える施設設計や制限のある土地での施設開業手法など開発面のノウハウを蓄積し、運営面ではドッグヴィラ千葉南房総同様、旅行者(ユーザー)のニーズを直接拾い、新サービス、ニーズの高い備品及び設備等を導入することでリピート獲得を進め、掲載施設の売上最大化を支援するためのノウハウ蓄積を行っております。直営宿泊施設で得られた知見を集客支援事業における提案内容に活かすことで、掲載施設の運営者に対してより実効性の高い提案を行っております。


【業績等】

決算期 種別 売上高 営業利益 経常利益 純利益

2025/04 単独中間実績 849 376 376 277

2025/04 単独会社予想 1,436 496 479 363

2024/04 単独実績 1,059 383 389 272

2023/04 単独実績 742 251 255 184


2025/04 単独会社予想 66.55 291.75 0.00


上場時発行済株数 5,700,000株

公開株数 1,646,800株(公募300,000株、売り出し1,132,000株、オーバーアロットメント214,800株)

調達資金使途 新規の直営宿泊施設開業費、広告宣伝費


PER:18.6

PBR:

配当利回り:

公募時吸い上げ資金:20.4億

公募時時価:71億


【株主構成】 

エス・エヌ・ホールディングス(有) 親会社 3,500,000 64.81% 180日 売出170,000株

(株)にしがき 親会社の関係会社 410,000 7.59%  売出410,000株

(株)デジタルストレージ 親会社の関係会社 205,000 3.80%  売出205,000株

(株)グランシーズ 関連当事者など 205,000 3.80% 180日

(株)ゆめゆめらいふ 特別利害関係者など 50,000 0.93% 売出50,000株

村上真之助 特別利害関係者など 50,000 0.93% 180日

(株)B&V 特別利害関係者など 50,000 0.93% 180日 25,000株

(株)B&Vホールディングス 特別利害関係者など 50,000 0.93% 180日 売出25,000株

日本商事(株) 特別利害関係者など 50,000 0.93% 180日 25,000株

エスオール(株) 特別利害関係者など 30,000 0.56% 売出30,000株

(株)ジョー・コーポレーション 特別利害関係者など 30,000 0.56% 180日

冨士五湖エンジニアリング(株) 特別利害関係者など 30,000 0.56% 180日

(株)グルーヴ 特別利害関係者など 30,000 0.56% 180日

(株)キャプテンライン 特別利害関係者など 30,000 0.56% 180日

(株)なかむら 特別利害関係者など 30,000 0.56% 売出30,000株

三方圭一 特別利害関係者など 30,000 0.56% 180日

(株)luana 特別利害関係者など 30,000 0.56% 180日

(株)シュクラン 特別利害関係者など 30,000 0.56% 180日

(株)ゲンバカンリシステムズ 特別利害関係者など 30,000 0.56% 180日


本募集及び引受人の買取引受による売出しに関し、貸株人かつ売出人であるエス・エヌ・ホールディングス有限会社、売出人である株式会社B&V、株式会社B&Vホールディングス、日本商事株式会社、シイエスピーク株式会社及び株式会社資産対策研究所並びに当社株主である株式会社グランシーズ、村上真之助、株式会社ジョー・コーポレーション、冨士五湖エンジニアリング株式会社、株式会社グルーヴ、株式会社キャプテンライン、三方圭一、株式会社luana、株式会社シュクラン、株式会社ゲンバカンリシステムズ、株式会社ディーエス、MRDホールディングス株式会社、株式会社日本介護医療センター、株式会社イー・エヌ・ジー、株式会社AsoboLabo、吉野建設株式会社、株式会社サンゲリオン、加藤智麗、株式会社LUCKEL、コーエィホールディング株式会社、株式会社ジェイトラスト、株式会社フローレンス、株式会社ビバック、株式会社善太、真城逞生、株式会社NKD、中村友則、溝落和子、藤井久司、藤井裕也、今井剛、株式会社加々見工務店、株式会社スペース、アニラオ企画有限会社、清水くみ子、株式会社ARKS JAPAN、髙間健太郎、藤井佳子、株式会社p.b.V及び株式会社喜びフーヅは、SMBC日興証券株式会社(以下、「主幹事会社」という。)に対して、本募集及び引受人の買取引受による売出しにかかる元引受契約締結日に始まり、上場(売買開始)日から起算して180日目の2025年8月19日までの期間(以下、「ロックアップ期間」という。)中は、主幹事会社の事前の書面による承諾を受けることなく、元引受契約締結日に自己の計算で保有する当社普通株式及び当社普通株式を取得する権利を有する有価証券の発行、譲渡又は売却等を行わない旨を約束しております。

【代表者】

代表者生年月日  1988年02月09日生まれ

2008年04月      株式会社クローバー 入社

2008年11月      サカネソーイング株式会社 入社

2011年03月      株式会社レジタイズ(現株式会社デジタルストレージ) 入社

2013年05月      当社設立、代表取締役就任(現任)


【幹事団】

主幹事証券 SMBC日興 - -

引受証券 野村 - -

引受証券 みずほ - -

引受証券 三菱UFJモルガン・スタンレー - -

引受証券 SBI - -

引受証券 西村 - -


【参考類似企業】今期予想PER(1/23)

2477 手間いらず 19.2倍 (単独予想)

304A フォルシア 24.7倍 (単独予想)

3926 オープンドア 181.4倍 (連結予想)

4689 LINEヤフー 23.9倍 (連結予想)

4755 楽天G - (連結予想)

5136 tripla 29.4倍 (連結予想)

6030 アドベンチャ 20.0倍 (連結予想)

6098 リクルートHD 45.0倍 (連結予想)

6191 エアトリ 49.4倍 (連結予想)

7048 ベルトラ - (連結予想)


【私見】

 グランピング関連に特化した旅行銘柄としては、初物感はあり優位性はあります。インバウンド銘柄としてはプラス評価ではありますが、市場と今後の成長性を考えるとそこまでの魅力は感じません。業績の伸びは良く、上値余地はあると思いますが、成長が止まるのも遠い先ではないのかとも思い、売出しが多いのもやや気になります。VCなしで、需給からは問題なさそうですが、吸収金額もそこそこあるので、時価総額100億あたりがラインなのかとも思います。


想定価額:1200円

仮条件上限:1240円

初値予想:1600円

ブック申し込み度・・・やや強気

セカンダリー期待度・・・中立

総合評価:3.5

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