2019年2月27日水曜日

IPO分析(サーバーワークス)

【事業内容】
 当社は「クラウドで 世界をもっと はたらきやすく」のビジョンのもと、Amazon.com, Inc.の関連会社 Amazon Web
Services, Inc.が提供するクラウドコンピューティングサービス「AWS」のソリューション販売を主軸としたクラウドコンピューティング事業を展開しております。当社は、Amazon Web Services, Inc.の日本法人が設立される以前のクラウド黎明期より、他社に先駆けてAWS導入支援サービスの提供を開始し、AWSへの移行にかかるコンサルティング、クラウド基盤構築、クラウド移行後の運用支援サービス及び運用自動化のためのサービス提供等を一貫して行うことにより、ソリューションを提供しながら、AWSの利用にかかる再販売を行っております。
 クラウドコンピューティングは、サーバー、ソフトウェアライセンス、ネットワーク機器などの初期投資、ま
た運用にあたって多大な運用コストを要する従来型のオンプレミスと比較し、初期投資を必要とせず、必要に応
じてコンピューティング・リソースを柔軟かつ迅速に拡張・縮小することが可能です。その利便性の高さから、Web・ゲ
ーム・スタートアップ企業のみならず、近年では障害や中断が許されない基幹業務系システム構築の領域においても主要
な選択肢となりつつあります。従来の基幹業務系システムに限らず、今後の企業のイノベーションを後押しするビッグデ
ータ、IoT、AIなど、柔軟性と変化対応のスピードが要求される新しいビジネス領域はクラウ
ド基盤に支えられた新たなデジタル技術を大前提としたものであり、クラウドをIT基盤の最初の選択肢に据える「クラウ
ドファースト」の考え方はもはや常識化しつつあると認識しております。
 当社は、国内外のIaaS/PaaSの市場で高いシェアを誇るAWSを、顧客企業毎に最適な状態で利用するためのコンサルティング業務、設計・構築業務、および運用支援サービスの開発・提供を行っております。

(1)当社サービスの特徴 
① クラウドインテグレーション 
 当社は、従来のオンプレミス環境で運用されてきた主に企業の基幹業務系システムをクラウド環境へ移行する際のクラウド基盤のデザイン、構築サービスを提供しています。従来のシステムをクラウド上に移行し(リフト)、コスト効果や生産性を向上するためにクラウドに最適化したシステムの再構築を図る(シフト)、リフト&シフト戦略を顧客企業に提案することにより、クラウドを活用することにより享受できる効用の最大化を図ります。
 また、クラウド基盤の構築サービスの提供にとどまらず、顧客企業がクラウドを通じて実現するビジネス目標の設定、クラウドへの移行計画の策定やクラウド導入後の運用計画の策定支援まで、クラウドを導入することによって実現するIT基盤全体の最適化を見据えた上流のコンサルティングサービスも提供しております。
 また、数多くのクラウド導入に携わってきた実績から得られたナレッジ・ノウハウをデータベース化して社内での技術トレーニングを行うことにより、Amazon Web Services, Inc.が提供する各種認定技術者資格を保有する数多くのエンジニアを育成しております。公表実績AWS導入取引社数およびプロジェクト数のうち、クラウドインテグレーションの実績は以下のとおりであります。

② リセール 
(AWSリセール)
 当社は平成23年7月に Amazon Web Services LLC(現Amazon Web Services, Inc.)とVAR契約(付加価値再販売契約)を締結して以来、日本におけるAWSのリセラーとしてAWSの再販売を行っております。顧客企業は、当社が提供する付加価値としての課金代行サービス経由でAWSを利用することにより、従来ハードウェアの調達やその管理に費やしていた時間やコストを削減することができます。また、当社がAWS利用料に手数料を加算した日本円建ての請求書を発行することにより、顧客企業は一般的な銀行振込による支払いが可能となります。
 当社では、平成28年6月より、既存の課金代行サービスに新たな付加価値サービスをパッケージとして組み合わせた「pieCe」の提供を開始しております。「pieCe」では、AWS利用料の決済機能だけでなく、「CloudAutomator」(当社のAWS運用自動化サービス)も併せて提供するなど、当社独自の付加価値を付与して提供しており、また、万が一AWSに障害が発生した場合の顧客企業が被った損害を補償する損害保険を東京海上日動火災保険株式会社との業務提携により付帯させております。当社が取扱う稼働するAWSアカウント数の実績は以下のとおりであります。
 AWSは、基本的には初期費用が不要であり、顧客企業のAWS利用時間に応じたオンデマンドかつ従量型課金制となっておりますが、利用するサーバースペックと利用期間を予約することにより大幅な割引を得ることのできるReservedInstanceと呼ばれる取引形態が存在します。 

(AWS運用自動化サービス「Cloud Automator」) 
 「Cloud Automator」は、AWSのAPIを、当社が提供するWebアプリケーションの画面上からプログラムレスで直感的・視覚的に操作することにより、クラウド運用の自動化・最適化による運用品質の向上を実現するための当社独自のSaaS)です。AWSの運用に欠かせないバックアップ、EC2(仮想サーバー)やRDS(リレーショナル・データベース)の起動・停止といった「ジョブ自動化機能」と、顧客企業が利用するAWS環境が安全に運用されていることを自動的にレビューする「構成レビュー自動化機能」の2つの機能を実装しており、ヒューマンエラーを極少化しながら運用・保守管理コスト削減と安定運用を実現します。

(ソフトウェアライセンス販売) 
 情報漏洩対策など顧客企業の関心が高いセキュリティ対策ソフトウェア・サービスは、クラウド環境を安全に運用し顧客企業の不安を払拭するうえで不可欠なものとなっております。当社は、顧客企業のAWS環境を運用する上で有効な各種ソフトウェア・サービスの仕入れ販売を行っております。
 AWSリセール、AWS運用自動化サービス「Cloud Automator」、ソフトウェアライセンス販売ともに、主に利用時間・期間に応じサービス料金を課金するサブスクリプション型のビジネスモデルとなっており、持続的かつ長期的に安定的な収入を見込めるため、当社はストック型の売上と位置づけております。なお、AWSリセールは取引の性格上、利用料金の総額を売上高に計上しております。
  
③ MSP(マネージドサービスプロバイダ)
 顧客企業がAWS上に展開した仮想サーバーやネットワークの監視・運用・保守等を請け負うサービスを提供しております。
 当社は、株式会社テラスカイと合弁で、クラウドに特化した運用会社「株式会社スカイ365」を北海道札幌市中央区に設立し、24時間365日体制でインフラからアプリケーション層をカバーする性能監視、障害監視・復旧、バックアップ等の運用サービスを提供できる体制を整えております。サービス設計にあたっては、安定的なサービス提供と継続的な改善を管理するためにITILに準拠した運用設計、運用フローとサービスレベルを規定しております。当社は、顧客エンゲージメントライフサイクル(計画、設計、移行または構築、実行および最適化)全体を通して、顧客企業をサポートするために持ち合わせておくべき能力を保有するとしてAmazon Web Services, Inc.に認定された「MSPプログラム 3.0(次世代MSP)」を取得しております。
 主に利用期間に応じてサービス料金を課金するサブスクリプション型のビジネスモデルとなっており、持続的かつ長期的に安定的な収入を見込めるため、当社はストック型の売上と位置づけております。

④ その他
 主に、AWS上で稼働する特定顧客企業のサービスにおけるシステム構築、運用等を行っております。

(2)当社のビジネスモデルについて 
 当社では、クラウドインテグレーションによる売上を「フロー売上」(主に、顧客企業へのコンサルティング、基盤デザイン及び基盤構築等クラウドインテグレーションサービス提供時における役務提供による売上であって、主として顧客企業の検収時に売上が計上される一過性の売上)として位置付け、導入企業を開拓することによりフロー売上を拡大させるとともに継続利用企業を蓄積することにより、前述の「ストック売上」(主に、顧客企業がAWSを継続的に利用するにあたり発生するAWSの月額利用料及び「Cloud Automator」をはじめとする自社サービスの月額利用料及びサードパーティーソフトウェア・サービスの継続利用に伴うライセンス料(前述(1)② リセール)並びにAWS上のサーバーの監視・バックアップ等の運用代行利用料及び保守料等(前述(1)③ MSP)による継続的な売上)の拡大による安定収益化を図っております。当社の継続取引社数及び新規・既存取引社数の実績は以下のとおりであります。


【業績等】
(単独実績)2017.2 2,294 54 50 203 
(単独実績)2018.2 3,066 53 38 179 
(単独見込)2019.2 4,443 - 265 312 
(単独3Q累計実績)2019.2 3,018 205 211 310 

1株当たりの数値(円) EPS BPS※ 配当 
(単独見込)2019.2 217.33 -  -  
調達資金使途 採用費、労務費、人件費、業務委託費、短期借入金の返済 

上場時発行済み株数 1,690,000株 (別に潜在株式132,840株) 
公開株数 370,400株(公募200,000株、売り出し122,100株、オーバーアロットメント48,300株) シンジケート 公開株数322,100株 (別に48,300株) 

PER:21.9
PBR:
配当利回り:
公募時吸い上げ資金:17.7億
公募時時価:81億
    

【株主構成】 
大石 良 代表取締役社長 783,600 48.29  90・1.5
(株)テラスカイ その他の関係会社 460,000 28.35  90・1.5
エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ(株) 特別利害関係者など 65,000 4.01  90・1.5
(株)エヌ・ティ・ティ・データ 特別利害関係者など 65,000 4.01   90・1.5
羽柴 孝 取締役、関連会社の取締役 55,200 3.40  90・1.5
大塩 啓行 取締役、関連会社の取締役 47,080 2.90  90・1.5
大野 麻理 代表取締役社長の血族、従業員 14,000 0.86  90・1.5
鳥や尾 務 監査役 12,000 0.74  90・1.5
望月 明人 監査役 6,000 0.37  90・1.5
柳瀬 任章 従業員 4,400 0.27  90・1.5
千葉 哲也 従業員 4,400 0.27  90・1.5
玉木 雄二 従業員 4,400 0.27  90・1.5

 本募集並びに引受人の買取引受による売出しに関連して、当社の株主かつ売出人である株式会社テラスカイ、当社の株主かつ貸株人である大石良、及び当社の株主であるエヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社、株式会社エヌ・ティ・ティ・データ、羽柴孝、大塩啓行、大野麻理、鳥や尾務、望月明人、古川尚良、ATPプラス有限責任事業組合は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場日(当日を含む)後90日目(平成31年6月10日)までの期間(以下、「ロックアップ期間」という。)、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却等(ただし、引受人の買取引受による売出し、グリーンシューオプションの対象となる当社普通株式を主幹事会社が取得すること及び売却価格が本募集等における発行価格又は売出価格の1.5倍以上であって、主幹事会社を通して行う株式会社東京証券取引所取引での売却等を除く。)を行わない旨を合意しております。 
 また、当社の新株予約権を保有する大石良は、主幹事会社に対し、ロックアップ期間中は主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社新株予約権及び新株予約権の行使により取得した当社普通株式の売却等(ただし、新株予約権行使により取得した当社普通株式の売却価格が本募集等における発行価格又は売出価格の1.5倍以上であって、主幹事会社を通して行う株式会社東京証券取引所取引での売却等を除く。)を行わない旨を合意しております。 
 加えて、当社は主幹事会社に対し、ロックアップ期間中は主幹事会社の事前の書面による同意なしに、当社普通株式の発行、当社普通株式に転換もしくは交換される有価証券の発行又は当社普通株式を取得もしくは受領する権利を付与された有価証券の発行等(ただし、本募集、グリーンシューオプション、株式分割及びストックオプションにかかわる発行等を除く。)を行わない旨合意しております。 
 ロックアップ期間終了後には上記取引が可能となりますが、当該取引が行われた場合には、当社普通株式の市場価格に影響が及ぶ可能性があります。 


【代表者】
代表者生年月日 1973年07月20日生まれ
代表者略歴
1996年04月 丸紅(株)入社
2000年12月 (有)ウェブ専科(現当社) 代表取締役
2014年05月 (株)スカイ365取締役
2018年12月 当社代表取締役社長(現任)

【幹事団】
主幹事証券 大和 - - 
引受証券 野村 - - 
引受証券 三菱UFJモルガン・スタンレー - - 
引受証券 SBI - - 
引受証券 東海東京 - - 
引受証券 岡三 - - 
引受証券 いちよし - - 
引受証券 マネックス - - 

【参考類似企業】 今期予想PER(2/14) 
3915  テラスカイ 241.8倍(連結予想 ) 
4726  ソフトバンテク 26.0倍(連結予想 ) 


【私見】
    業種妙味があり、業績も伸びておいて、2位株主のテラスカイ同様に高PERが容認されそうな銘柄です。単価が大きいこともあり吸収金額が大きいのがやや難点ではありますが、株主構成を見ても1.5倍でロックが切れてもテラスカイ以外は売り要素は少なく需給の心配はなさそうです。テラスカイの方針は分かりませんが、初値の値幅では今クール1番の銘柄で、セカンダリーを含めた総合的にも一二を争う銘柄です。

想定価額:4320円
仮条件上限:4780円
初値予想:13000円
ブック申し込み度・・・強気
セカンダリー期待度・・・中立~やや強気
総合評価4


4 件のコメント:

  1. IPOが初値・セカンダリー共に盛り上がってますね。
    サーバーワークスは一昨年のViscoみたいになる可能性ありそうでしょうかね。

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  2. 可能性はありますね。
    相当人気になりそうです。

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  3. 関連会社の株式売却益で、上場用に相当お化粧されているのが気になります。株式売却益がない場合、初値は余裕でPER100超ですよね。許容できるほどの成長性があるとみてもよいのでしょうか。

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  4. そこが唯一の難点です。
    売却益抜かすと三年連続1億未満の利益で、利益出る体質なのかどうか。
    そんなこと関係なしに上がりそうな気もしますが。

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