2019年2月27日水曜日

IPO分析(エヌシーエヌ)

【事業内容】
 主たる事業である木造耐震設計事業において、木造建築の耐震性を確保するための高度な構造計算を事業化するとともに、構造計算された耐震性の高い木造建築を実現するための当社独自の建築システムである「SE構法」を、工務店を中心としたSE構法登録施工店(以下、「登録施工店」という)ネットワークを通じて提供しております。

(1)木造耐震設計事業 
 施主よりSE構法による木造建築を受注した登録施工店に対して、設計段階で構造計算書を出荷するとともに、建設段階で構造加工品等を販売しております。また登録施工店からは登録料及び月会費を受領しております。

当社の構造計算の特徴
 一般の木造住宅ではほとんど構造計算は実施されておりませんが、SE構法では、鉄骨造やRC造と同じ手法である許容応力度計算による構造計算を実施しております。構造計算においては、構造図面作成用CADと連動した立体解析による構造計算プログラムを使用することで、構造図と構造計算の整合性を確保する形で安全性を検証しております。

当社の構造加工品供給の特徴
 SE構法では、構造部材として強度にばらつきのある無垢材ではなく、構造品質が高く一定の強度が保たれた構造用集成材(以下、「構造加工品」という)を採用しております。また、接合部には独自開発した金物(以下、「SE金物」という)を採用するとともに、耐力壁や床材には構造用合板を採用しております。これにより高い耐震性と大空間を実現させることが可能となっております。
 当社では、構造計算の際に作図される構造データを指定構造加工工場がそのまま加工データとして利用できるシステムを構築しており、正確に加工された構造加工品を供給するとともに、合わせてSE金物や構造用合板も供給することで、木造建築の耐震性と安全性を実現しております。

 木造耐震設計事業では、物件の規模に応じて住宅分野と大規模木造建築(非住宅)分野に区分するとともに、住宅分野については、工務店ネットワークを通じて展開するネットワーク展開と、持分法適用関連会社である株式会社MUJI HOUSE等を通じて展開するハウスメーカー対応に分類して事業展開をしております。
① 住宅分野 
・ネットワーク展開
 ネットワーク展開では、工務店を中心とする建設会社を登録施工店としてネットワーク化し、そのネットワークを通じてSE構法による耐震性の確保された木造住宅の普及促進につとめております。また、全国各地の建設会社をネットワーク化することにより、地域性を熟知した登録施工店を通じて、地域それぞれの文化慣習と気候風土に合わせた機能的かつ資産性の高い住宅を提供しております。
 登録施工店は、当社が実施する講習を受講した上で、当社独自の試験に合格し資格を取得した建設会社であり、各登録施工店にSE構法管理技師を配置し現場検査を実施することで、高品質で耐震性の確保された木造住宅が提供できる体制を構築しております。
 当社は、登録施工店向けのサービスとして、各種販促ツールの提供や勉強会での情報提供に加え、構造に関する瑕疵を保証する「SE住宅性能保証」の無償提供や長期優良住宅の認定サポートを提供しております。その他、情報誌「ネットワークSE」を定期発行しております。なお、「ネットワークSE」は4,000部を定期発行しており、登録施工店だけでなく、設計事務所や学識経験者に定期購読いただいております。
 2018年3月末現在の登録施工店数は514社となっておりますが、登録施工店ネットワークの継続的な拡大に向けて、定期的に勉強会やセミナーを通じて新規顧客の開拓につとめております。
・ハウスメーカー対応
 ハウスメーカー対応では、規格型住宅を販売するハウスメーカー等パートナー企業に対してSE構法をOEM提供しており、パートナー企業が規格型住宅を販売する際に、当社は構造計算書を出荷するとともに構造加工品等を販売しております。
 当社の持分法適用関連会社である株式会社MUJI HOUSEが企画・開発・販売を行う「無印良品の家」にはSE構法が標準採用されているほか、大手ハウスメーカー数社を含むパートナー企業にSE構法を提供しております。当社では引き続きパートナー企業の開拓につとめております。
② 大規模木造建築(非住宅)分野 
 大規模木造建築(非住宅)分野では、延床面積500㎡以上の木造建築を対象にSE構法の提供を行っております。
 上述のとおり、「公共建築物等木材利用促進法」の施行等により、構造計算が必要となる大規模木造建築の建設需要が高まることが期待されておりますが、当社では創業以来、住宅を中心に2万棟以上の構造計算実績(2018年3月末時点)を有しており、その中で培った木造建築の耐震設計ノウハウを大規模木造建築へ転用し、事業化を推進しております。

(2)その他
 当社グループでは、木造耐震設計事業を主軸としながら「日本に資産価値のある住宅を提供する仕組みをつくる。」という目標を実現するため、温熱計算サービスや長期優良住宅認定の代行サービス等、住宅の資産価値向上に向けた様々なサービスを手がけております。
① 新規事業
 当社において、温熱計算サービス、長期優良住宅認定代行サービス等を提供しております。
 温熱計算サービスは、2013年に導入された「改正省エネルギー基準」により一次エネルギーの消費量が評価基準に加わったこと、また、2020年以降の省エネ基準適合住宅が義務化されることを見越して2010年からサービス提供を開始しております。SE構法による住宅だけでなく、他の工法による住宅に対してもサービス提供を行い、ゼロエネルギー住宅の普及に向けて取り組んでおります。
 また、長期優良住宅認定の代行サービスは、国が認定する「長期優良住宅」の認定取得に係る各種手続きをサポートする登録施工店向けのサービスとして展開しております。
② 住宅ローン事業 
 当社の連結子会社であるSE住宅ローンサービス株式会社において、SE構法による住宅専用の住宅ローンを代理販売しており、住宅購入者を資金面でバックアップする仕組みを整えております。
③ BIM事業
 当社の連結子会社である株式会社MAKE HOUSEにおいて、木造住宅に対して3次元CADデータ生成技術を普及促進する事業を行っております。木造住宅の間取りやデザインに3次元CADデータ(BIMデータ)を用いることにより、構造加工品などの3次元製造図の自動作成、付属する部材のリスト作成、施工図の自動生成など、設計から生産までのデータの一元化を実現し、資産価値の高い住宅をより安く市場に提供するため、BIMソリューションの開発及び販売を行っております。また、3次元CADデータは、建築後のメンテナンスデータとしても利用が可能であり、住宅の資産価値向上に寄与するものでもあります。


【業績等】
業績動向(百万円) 売上収益 営業利益 税引き前利益 純利益 
(連結実績)2017.3 5,894 125 163 126 
(連結実績)2018.3 6,083 184 229 169 
(連結予想)2019.3 6,510 - 257 183 
(連結3Q累計実績)2019.3 4,880 227 254 190 

1株当たりの数値(円) EPS BPS※ 配当 
(連結予想)2019.3 72.39 - 23 
調達資金使途 システム投資資金 

上場時発行済み株数 3,069,000株 (別に潜在株式40,500株) 
公開株数 920,000株(公募560,000株、売り出し240,000株、オーバーアロットメント120,000株) シンジケート 公開株数800,000株(別に120,000株) 

PER:11.0
PBR:
配当利回り:2.9%
公募時吸い上げ資金:7.4億
公募時時価:25億
    

【株主構成】  
(有)田杉総行 役員らが議決権の過半数を所有する会社 660,000 25.89  90
田鎖 郁夫 代表取締役社長執行役員 578,000 22.67  90
杉山 恒夫 取締役会長 410,000 16.08  90
双日建材(株) 特別利害関係者など 200,000 7.84 90 
杉山 義久 専務取締役専務執行役員、取締役会長の血族 199,000 7.81  90
山河 和博 常務取締役常務執行役員 90,000 3.53  90
伊東 洋路 特別利害関係者など 80,000 3.14  90
山川 裕史 特別利害関係者など 50,000 1.96  90
鈴間 浩 特別利害関係者など 35,000 1.37  90
飯島 靖 特別利害関係者など 28,000 1.10  

 本募集並びに引受人の買取引受による売出しに関連して、貸株人である田鎖郁夫、売出人である杉山恒夫、伊東洋路、新田和芳及び杉村幸一郎並びに当社株主である有限会社田杉総行、双日建材株式会社、杉山義久、山河和博、山川裕史、鈴間浩、中川勝人、木津正裕、藤代東、福田浩史、松延隆行、纐纈博明、松井忠三、林直美及び岡文昭は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後90日目の2019年6月11日までの期間中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却等(ただし、引受人の買取引受による売出し及びオーバーアロットメントによる売出しのために当社普通株式を貸し渡すこと等を除く。)を行わない旨合意しております。 
加えて、当社は主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後180日目の2019年9月9日までの期間中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の発行、当社普通株式に転換若しくは交換される有価証券の発行又は当社普通株式を取得若しくは受領する権利を付与された有価証券の発行等(ただし、本募集、株式分割、ストックオプションとしての新株予約権の発行及びオーバーアロットメントによる売出しに関連し、2019年2月7日開催の当社取締役会において決議された主幹事会社を割当先とする第三者割当増資等を除く。)を行わない旨合意しております。 
なお、上記のいずれの場合においても、主幹事会社はその裁量で当該合意の内容を一部若しくは全部につき解除できる権限を有しております。 

【代表者】
代表者生年月日 1965年10月09日生まれ

代表者略歴
1989年04月 日商岩井(株)(現双日(株))入社
1996年12月 当社設立(出向)
1999年02月 当社 取締役就任
2000年06月 当社 代表取締役常務就任
2006年06月 当社 代表取締役社長執行役員就任(現任)
2009年04月 ムジ・ネット(株)(現(株)MUJI HOUSE)専務取締役就任(現任)
2016年06月 (一社)日本CLT協会理事就任(非常勤)(現任) 8月 (株)一宮リアライズ 取締役就任(現任)
2017年09月 (一社)耐震住宅100パーセント実行委員会代表理事就任(非常勤)(現任)

【幹事団】
主幹事証券 野村 712,000 89.00 
引受証券 みずほ 24,000 3.00 
引受証券 三菱UFJモルガン・スタンレー 24,000 3.00 
引受証券 SBI 24,000 3.00 
引受証券 SMBC日興 8,000 1.00 
引受証券 エイチ・エス 8,000 1.00 


【私見】
 無印の住宅を請負という優位性はありますが、不動産・建築関連は業種人気はほとんどありません。業績も緩やかに伸びてはいるものの成長性を考えるとPERから妥当な水準でしょう。小規模で需給は悪くありませんが、業種から人気になる可能性は低いでしょう。


想定価額:700円
仮条件上限:800円
初値予想:950円
ブック申し込み度・・・中立
セカンダリー期待度・・・やや弱気
総合評価3


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