2020年2月15日土曜日

IPO分析(Kids Smile Holdings )

【事業内容】
(1) 当社グループの考え・方針
  保育園運営や幼児教育プログラムの開発を行っております。創業以来、幼児期の成長に必要なアクティブ・ラーニングに積極的に取り組んでまいりました。
子どもたちが社会に出る20年後、AI時代・情報化時代はより進化することが予測されております。今ない職業に就くだろう時代を生き抜くにあたり、子どもたちに必要な力は何か?どうしたらその力が身に付くのか?正解のない問いや自ら設定した課題に挑戦できる人材、創造性や高い専門性を発揮できる人材、人の感性や他者への思いやりに溢れた人材。そんな人材へと育つ基礎作りを、当社オリジナル教育プログラム「KID'S PREP. PROGRAM」や、モンテッソーリ、レッジョ・エミリア・アプローチ等、世界の様々な教育プログラムを積極的に取り入れ、子どもたちとともに保育者も学べるプログラムを実践しております。
これからの時代を生き抜く子どもたちを育て上げる幼児教育の場としての保育園を目指しており、具体的には、認可保育所である「キッズガーデン」及び「キッズスマイル」と、認可外のプレスクール一体型保育所「KIDS GARDEN PREP SCHOOL」の運営を通じ、「未来に輝く子どもたちを育てる」ための保育と教育サービスの提供を行っております。

(2) 非認知能力の重要性等について
 当社グループの幼児教育における一貫したテーマは「非認知能力の育成」であります。
ノーベル経済学賞受賞者であるシカゴ大学のジェームズ・ヘックマン教授は、自身の著作「幼児教育の経済学」において「乳幼児期に非認知能力を伸ばす教育を」と提唱しております。OECDのレポートにおいては、非認知能力を「フォーマル、インフォーマルな学習経験によって発達し、一生を通じて社会経済的成果に重要な影響を及ぼす個人の能力」と定義し、幼い時期の教育が人生に及ぼす影響とこの能力の重要性を提言しております。
 OECDの「スターティング・ストロング」に関するレポートでは、アクティブ・ラーニングを軸とする教育アプローチ等を紹介し、それらを低年齢から始めることが必要であると述べております。いずれのアプローチも直接教えたり、順序立てられたものを学んだりするのではなく、子どもたちが自ら考え、行動することを重視し、絵画、音楽、ロールプレイ、論理的推論、言語等の様々な分野の経験を通して、表現力や想像力を養い、物事や他者への理解を深めることの重要性を報告しております。

(3) 当社グループにおける幼児教育の取り組み
 当社グループでは前述の考えから、認可保育所においては株式会社伸芽会と共同開発した6歳までに身に付けたい5つの力「見る力」「聞く力」「話す力」「考える力」「行う力」をバランス良く伸ばし、「自立」「自主性」「想像力」の心を育み、他社への思いやり等集団生活をきちんと営むことができる子どもたちを育てるための非認知能力を育成する幼児教育プログラム「KID'S PREP. PROGRAM」を全園で提供するとともに、一部の園ではモンテッソーリプログラムや専門講師を招いての体操プログラム等も取り入れております。
 また、プレスクール一体型保育所(認可外保育施設)においては、上記「KID'S PREP. ROGRAM」とモンテッソーリプログラムを全園で実践するとともに、レッジョ・エミリア・アプローチといった海外発祥の非認知能力育成の幼児教育プログラムや、アート&クラフト・制作・水彩画等の感覚能力の育成、体操・空手・水泳・ダンス・リトミック等の運動能力や礼儀・規律・創造性の育成、幼稚園・小学校受験のためのプログラムや英語等の様々な教育サービスを取り入れることに加え、厳選した調味料を使った給食提供や、食育活動では旬の食材について知識を学ぶと共に実際に調理までを行う活動等を実践しております。加えて利用における新規予約・変更は全てスマートフォンアプリで完結できるシステムを導入する等、保護者の利便性向上にも取り組んでおります。
  
(4) 当社グループが運営する認可保育所と認可外保育施設の数
 当社グループの事業は「幼児教育事業」のみの単一セグメントとなっており、当社グループは本書提出日現在、首都圏を中心に、自治体より認可を受けた保育施設46施設、当社グループが独自に運営しているプレスクール一体型保育所4施設のほか、幼児教室1施設を運営しております。
2015年4月より「子ども・子育て支援新制度」が本格施行され、当該制度の下、公的に認可等を受けて運営される保育施設は、施設型給付費を受ける施設(認可保育所、認定こども園、幼稚園)と地域型保育給付を受ける施設に区分されることとなりました。当社グループが運営する認可保育所には、施設型給付を受ける認可保育所と、小規模保育所があります。本書提出日現在の各施設の概要は以下のとおりであります。

 ① 認可保育所(46施設):児童福祉法に基づき、国が定めた設置基準(施設の広さ、保育士等の職員数、給食設備、防災管理、衛生管理等)を満たし、都道府県知事等に認可された児童福祉施設をいいます。当社グループは、国及び自治体が負担する施設型給付費を委託費として交付を受ける認可保育所を43施設運営しております。また、小規模保育所の3施設は、子ども・子育て支援新制度の下で、市区町村の認可事業として新たに創出された保育制度(6~19名定員施設)であり、利用者(保護者)からの保育料及び自治体より地域型保育給付の交付を受け運営しております。

 ② 認可外保育施設(4施設):児童福祉法に基づき届け出を行っているが認可を受けていない、子どもを預かる施設をいいます。また、幼稚園以外で幼児教育を目的とする施設において、概ね1日4時間以上、週5日、年間39週以上施設で親と離れることを常態としている場合も、認可外保育施設に含まれます。認可外保育施設は、利用者(保護者)からの利用料により運営しております。

[認可保育所・認可外保育施設の事業モデル]
認可保育所・認可外保育施設については、利用者との契約関係が異なり、その結果保育料等の収受形態も異なっております。
① 認可保育所
 利用者との直接的な契約関係と、自治体との契約関係の2つに分かれます。利用者が支払う保育料は園児の年齢や保護者の所得水準等に応じ決定されており、自治体による法定代理収受により、自治体が徴収、当社に施設型給付として支払われます。
 一方、延長料金及び小規模保育所における保育料等については、利用者と直接利用契約を締結し、利用者からも徴収しております。

② 認可外保育施設
 利用者との直接的な契約関係のみであり、自治体との契約関係はないため、利用者と直接利用契約を締結し、利用者から基本保育料、延長保育料や各種サービス利用料を徴収しております。

【業績等】
業績動向(百万円)売上高 営業利益 経常利益 純利益
(単独実績)2018.3 3,078 -43 898 582
(連結実績)2019.3 5,326 -132 1,965 1,272
(連結予想)2020.3 7,049 - 1,457 909
(連結中間実績)2020.3 3,438 -306 1,770 1,111

1株当たりの数値(円)EPS BPS 配当
(連結予想)2020.3 332.33 -  - 
調達資金使途 認可保育所の設備投資

上場時発行済み株数 3,150,000株 (別に潜在株式145,500株)
公開株数 920,000株(公募450,000株、売り出し350,000株、オーバーアロットメント120,000株)
PER:6.8
PBR:
配当利回り:
公募時吸い上げ資金:20.8億
公募時時価:71億
    
【株主構成】
(株)エーエムカンパニー 役員らが議決権の過半数を所有する会社 1,500,000 52.71 180日
中西正文 代表取締役社長 1,200,000 42.17  180日
土居亜由美 取締役、代表取締役社長の配偶者 75,000 2.64 180日
田上節朗 取締役 12,000 0.42 180日
小柴裕美 子会社従業員 7,500 0.26
井上雄介 取締役 7,000 0.25 180日
下倉里沙 子会社従業員 3,500 0.12
菊田義人 子会社従業員 3,000 0.11
木村文哉 子会社従業員 3,000 0.11
小林大輔 子会社従業員 3,000 0.11
佐藤美沙希 子会社従業員 3,000 0.11
本募集並びに引受人の買取引受による売出しに関連して、売出人かつ当社株主である中西正文、並びに当社株主である株式会社エーエムカンパニーは、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後180日目の2020年8月30日までの期間(以下「ロックアップ期間」という。)中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社株式の売却(ただし、引受人の買取引受による売出し、オーバーアロットメントによる売出しのために当社普通株式を貸し渡すことは除く。)等は行わない旨合意しております。
また、当社の新株予約権保有者である土居亜由美、田上節朗及び井上雄介は、主幹事会社に対し、ロックアップ期間中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社新株予約権及び新株予約権の行使により取得した当社株式の売却等は行わない旨合意しております。


【代表者】
代表者生年月日 1970年09月06日生まれ
代表者略歴 
1995年04月 (株)博報堂入社
2003年12月 (株)博報堂DYメディアパートナーズ転籍
2008年12月 (株)Kids Smile Project設立代表取締役社長(現任)
2018年04月 当社代表取締役社長(現任)

【幹事団】
主幹事証券 いちよし 600,000(75.0)
引受証券 野村 96,000(12.0)
引受証券 岩井コスモ 16,000(2.0)
引受証券 エース 16,000(2.0)
引受証券 極東 16,000(2.0)
引受証券 東洋 16,000(2.0)
引受証券 マネックス 16,000(2.0)
引受証券 SBI 8,000(1.0)
引受証券 岡三 8,000(1.0)
引受証券 東海東京 8,000(1.0)

【参考類似企業】今期予想PER 1/27
2749  JPHD 22.7倍(連結予想 )
6065  ライクキッズ 5.5倍(連結予想 )
6189  グローキッズ 16.5倍(連結予想 )
6557  gbHD 48.9倍(連結見込 )
6567  SERIOHD 58.0倍(連結予想 )
7037  テノ. 19.1倍(連結見込 )


【私見】
 保育園の類似業種も増えてきて、他社と比べても大きな優位性はなさそうです。PERは低く、開園ペースも順調で、売り要素もないので下値不安は少ないかと思います。直近のgbHDと規模・業績等近いものがあり、初値は上昇したものの公募2~3割を上回って推移していることを考えると、積極的な買いは入らず公募2~3割上の評価で良いかと思います。

想定価額:2260円
仮条件上限:2260円
初値予想:3000円
ブック申し込み度・・・やや強気
セカンダリー期待度・・・中立
総合評価3.5

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