2020年9月2日水曜日

IPO分析(雪国まいたけ)

 


【事業内容】

 当社グループは、当社(旧雪国まいたけホールディングス②、2020年4月1日にて旧雪国まいたけ④を吸収合併し、同日付で株式会社雪国まいたけに商号変更)と子会社3社で構成され、きのこ類(まいたけ、エリンギ、ぶなしめじ、本しめじ、はたけしめじ、マッシュルーム等)及びきのこ加工食品の生産及び販売を主たる事業としております。

 当社では、まいたけの人工栽培に成功した後、まいたけの工業生産による安定的な生産・供給体制及び品質管理体制並びに小売事業者への直接販売を中心とした流通ルートの整備を図るとともに、そのノウハウをエリンギ・ぶなしめじの商品化に活かし、「きのこ総合企業」としての体制を確立してまいりました。 

当社グループの生産の特徴)

 当社グループでは、独自に開発した工業生産手法によりきのこ(まいたけ、エリンギ、ぶなしめじ、本しめじ、はたけしめじ、マッシュルーム)を生産しております。生産工程と各工程における当社グループの手法の特徴については以下のとおりです。こうした独自の生産手法により、当社は安定した生産能力、収穫、そして品質を実現しております。


(1)培地合成

 広葉樹のオガ粉と栄養添加物を独自の割合で配合して栽培の土台となる培地を作成し、高温・高圧で殺菌します。当社グループでは、独自レシピで培地を配合し、農薬や化学肥料は一切使用しておりません。


(2)植菌

 クリーンルーム管理(無菌状態に管理)した植菌室で培地に種菌を接種します。当社におけるまいたけの生産においては、独自に開発した菌を使用するとともに、植菌作業の自動化にも取り組んでおります。

 まいたけの生産に関しては、2015年8月に従来菌に比べて環境変化への耐性が強い新菌を導入し、歩留まり向上と生産の安定化を実現しております。特に、この独自に開発した新菌から収穫されるまいたけ「極」は、後述の培養・育成過程での工夫等を通じて、①弾力性が高く歯ごたえをもたらす「茎」の部分が大きく、食べ応えがあるとともに、②旨みと風味のバランスが良い等の特徴を有しており、高品質なまいたけの生産の実現に繋がっております。


(3)培養・育成

 光、温度、湿度等の環境を制御した培養室、発生室の中で、それぞれ菌糸(菌類の栄養体を構成する糸状の細胞列)、子実体(菌類の菌糸が密に集合してできた胞子形成を行う、塊状のもの。大形のものが「きのこ」と呼ばれる。)の生長を促します。

 特にまいたけでは、広大な培養室及び発生室において、天然まいたけが繁殖する深山の気候を再現した独自のデータに基づく科学的な環境管理によって、光、温度、湿度等を適切に制御し、大量生産を実現しております。培養室及び発生室の広さはそれぞれ約1,350㎡であり、業界で最大の規模と考えております。また、当社のまいたけに関しては、培地を袋に入れて培養・育成を行う手法である袋栽培を採用し、生産工程の改善を続けてきたことにより、1株の大きさが約900グラムと大型化することに成功しており、これによって、後述の包装工程において、需給に応じた多様な容量の包装と商品展開を行うことが可能になっております。

 なお、当社では、地熱利用の空調や廃棄物を熱源とするボイラー等を活用することにより、生産工程におけるユーティリティコストの低減も実現しております。


(4)収穫・包装

 収穫時期を厳しくチェックし、厳格な社内基準に適合したきのこだけを収穫し、販売用に包装します。当社グループでは、ファクトリーオートメーション(FA化)を進めており、ぶなしめじ及びエリンギに関しては、収穫・包装を含む殆どの工程において自動化を実現しております。また、まいたけについても、収穫・包装工程を中心に生産の自動化を推進しております。

 また、当社グループのまいたけは、前述のとおり、袋栽培で1株の大きさが大きいため、1株販売、500グラムから50グラムまで自由な量目設定が可能であり、当社グループでは、市況や顧客ニーズに応じた柔軟なアイテム展開を行っております。その結果、価格相場に応じた柔軟なアイテム提案によりキログラム単価の最大化を可能にし、流通顧客利益増(青果部門客単価・値入アップ)と当社利益増のwin-winな関係を実現しております。


(まいたけの特徴)

 人口の多い団塊世代が後期高齢者となる「2020年問題」が話題になるなど、少子高齢化の波は確実に強くなってきております。人口減少によってあらゆる商品の需要減少が予想されるため、さまざまな業界が警鐘を鳴らしておりますが、当社では、この高齢化の波を前向きに受け止めております。自社アンケートの結果、まいたけのヘビーユーザーは、シニア世代になるほど多くなることがわかっております。

 まいたけは、食物繊維等の栄養素が摂取できる食材としてメディアに露出することが少なくありません。最近では、まいたけに含まれる栄養成分の健康促進効果なども紹介されるようになりました。健康意識の高いアクティブシニアからの支持が強いまいたけは、需要がいっそう高まってくることが見込まれます。

 当社では、創業来長年にわたって高品質・高生産性のきのこ製品の研究開発に取り組んでまいりました。特に、主要製品のまいたけについては、その充実した栄養成分や健康促進効果に関して、研究成果の学会発表を行っております。

 当社の研究成果等によれば、まいたけには、食物繊維、α-グルカン、β-グルカン、ビタミンD、キチン、n-ヘキサン等の栄養成分が含まれております。


(きのこの市場及び当社グループの生産量シェアについて)

 きのこの国内消費量について、当社では、国内人口の減少傾向や少子高齢化が進む一方で、アクティブシニアを始めとする健康ニーズの高い消費者層のきのこ消費が増えることによって今後も概ね安定的に推移すると分析しております。また、特に、当社の主力製品であるまいたけの国内消費量については、消費の地域差、消費の季節差、ジェネレーションギャップが存在し、今後の成長ポテンシャルは十分に存在していると考えております。

 きのこの価格については、一部のきのこでコモディティ化が生じている一方、まいたけでは、大量生産の困難さに伴う参入障壁の高さを背景に需要過多の状態にあるため、価格は安定的に推移すると判断しております。

 

【業績等】

業績動向(百万円) 収益合計 営業利益 税引き前利益 純利益

(連結実績)2019.3 47,592 6,491 6,321 4,389

(連結実績)2020.3 50,759 6,691 6,646 4,346

(連結予想)2021.3 52,678 8,324 7,783 5,099

(連結1Q実績)2021.3 10,624 909 775 487


1株当たりの数値(円) EPS BPS※ 配当

(連結予想)2021.3 127.96 - 42


上場時発行済み株数 39,850,000株 (別に潜在株式75,900株)

公開株数 20,323,500株(売り出し17,672,700株、オーバーアロットメント2,650,800株)

 

PER:18.7

配当利回り:1.75%

公募時吸い上げ資金:488億

公募時時価:956億

    

【株主構成】 以下180日

Bain Capital Snow Hong Kong 親会社 20,323,500 50.90

(株)神明ホールディングス その他の関係会社 19,526,500 48.91

足利厳 代表取締役社長 60,700 0.15

小室雅裕 従業員 15,200 0.04

 

【代表者】

本店所在地 新潟県南魚沼市

設立年 2017年

従業員数 1,034人 (7/31現在)(平均40.1歳、年収350.3万円)、連結1115人

代表者名 足利 厳 (上場時57歳3カ月)/1963年生1963年05月21日生まれ

代表者略歴 

1987年04月 東急建設(株)入社

1999年05月 当社(旧雪国まいたけ)入社

2003年02月 同社 管理本部 企画部(企画管理部へ名称変更) 部長

2010年07月 同社 執行役員 管理本部 企画財務部 部長

2014年10月 同社 執行役員 経理財務本部 本部長 兼 経理財務部 部長

2015年07月 同社 常務執行役員 管理本部 本部長

2016年04月 当社(旧雪国まいたけ) 代表取締役社長 兼 管理本部 本部長

2018年06月 当社(旧雪国まいたけ) 代表取締役社長(現任)


【幹事団】

主幹事証券 SMBC日興 - -

主幹事証券 大和 - -

引受証券 みずほ - -

引受証券 SBI - -

引受証券 楽天 - -


【参考類似企業】 今期予想PER 8/19

1379  ホクト 25.0倍(連結予想 )

2904  一正蒲 19.3倍(連結予想 )


【私見】

 ファンドの再上場案件で業種からも面白みはなく魅力に欠けるIPOです。比較は完全にホクトになり、売上は負けているものの利益規模ではこちらが多く、ホクトのPER24から逆算すると3000円という評価になります。時価総額で比較するとホクトの720憶に対し956憶なので適正なのかもしれません。同PERになると1200憶になってしまうので、規模感からもそこまでの大差はないと思うので、公募近辺が適正と予想します。


想定価額:2330円

仮条件上限:2400円

初値予想:2400円

ブック申し込み度・・・やや弱気

セカンダリー期待度・・・中立

総合評価2.5

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