2020年9月3日木曜日

IPO分析(トヨクモ)

 【事業内容】

 当社の事業は「法人向けクラウドサービス事業」の単一のセグメントであり、緊急時に簡単に情報共有できるように設計したシンプルなクラウドサービス「安否確認サービス」の開発・販売、サイボウズ株式会社の提供する業務アプリケーション構築サービス「kintone」と連携し、より便利に利用するためのクラウドサービス「kintone連携サービス」の開発・販売の2つのサービスにおいて事業を展開しております。

(1) 当社のサービスについて

① 安否確認サービス

 企業には自然災害や異常気象等による災害が発生した際に、混乱を最小限に留め、顧客サービスを継続的に提供するための対応策が求められております。当社の提供する安否確認サービスは、災害時に従業員等の安否確認を携帯電話、スマートフォンやパソコンで行うクラウドサービスです。災害発生時の被害状況を正確に把握し、従業員等への指示を迅速に行うための機能を備えております。また、社内ネットワークの障害時の緊急連絡用としても活用できるサービスになっております。

 また、当社の安否確認サービスは、クラウド型のシステムであることから、サーバーを柔軟に拡張することが可能であり、災害時のアクセス増加に自動で対応する機能を備えております。具体的には、気象庁から発表される地震速報等により、ユーザーのアクセスが始まる前にサーバーを自動的に拡張させます。これにより、災害時に当社システムへのアクセスが急増しても安定的にシステムが稼働する仕組みとなっております。一方、安否確認サービスの性質上、平常時は利用される機会が少ないことから、そのアクセス状況に応じたサーバー契約をしております。そのため、当社は常に適切な費用負担のみで運営することができ、競争力のある価格でのサービス提供が可能になっております。


② kintone連携サービス

 サイボウズ株式会社の提供するkintoneは、売上管理や顧客管理など、業務に必要なアプリケーションを作成できるクラウドサービスです。利用者にとってアプリケーションの設計や各種運用設定にプログラミングは必要なく、マウス操作のみで利用できます。様々な用途で利用できるkintoneですが、基本機能のみでは実現できないこともあります。当社はkintoneに連携するサービスを提供することでkintoneをより便利に活用することを支援しております。

 

(2) 当社のビジネスモデルについて

 当社のサービスはクラウドサービスであることから、顧客の申込みから利用までオンラインで完結することができ、当社の営業社員が訪問することなく、サービスの導入が可能です。また、当社のサービスは、顧客が「簡単」「便利」に使えることにこだわっております。問い合わせを頂いた企業には無料の試用期間を提供し操作を体験していただきますが、その試用期間中に企業の担当者が自ら操作を習得できるようなサービスとなっております。当社が訪問しての説明を行うことなく、必要に応じて電話サポートやホームページのFAQをご利用いただくだけでサービスの導入が可能となっております。また、個別にカスタマイズを行わないため、サポートの負担も少なくなっております。間接コストを最小限に抑えた効率的な事業運営により、安価なサービスの提供が可能となっております。

 なお、当社のサービスは、利用期間に応じて料金が発生するビジネスモデルであり、有償契約数の増加により、継続的に収益が積み上がるストック型ビジネスになります。また、当社が提供するサービスは、流行に左右されない性質のものであるため、継続して利用していただきやすいことも特長です。

 サービスの販売につきましては、当社に直接お申込みを頂いた顧客企業に販売する(直販)以外にも、代理店等の販売パートナーを通して販売する場合もございます。 


【業績等】

業績動向(百万円) 売上高 営業利益 経常利益 純利益

(単独実績)2018.12 482 137 137 91

(単独実績)2019.12 761 97 98 72

(単独予想)2020.12 1,036    192 184 120

(単独中間実績)2020.12 499 128 126 83


1株当たりの数値(円) EPS BPS※ 配当

(単独予想)2020.12 25.27 - 0

調達資金使途 人材採用費、人件費、広告宣伝費


上場時発行済み株数 5,002,000株 (別に潜在株式458,000株)

公開株数 550,000株(公募300,000株、売り出し200,000株、オーバーアロットメント50,000株)


PER:79.1

PBR:

配当利回り:

公募時吸い上げ資金:11億

公募時時価:100億

    


【株主構成】 

(株)ナノバンク 役員らが議決権の過半数を所有する会社 2,448,000 47.44 90日・1.5倍

サイボウズ(株) 特別利害関係者など 600,000 11.63 90日・1.5倍

インキュベイトファンド2号投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 350,000 6.78

田里友彦 取締役 330,000 6.40 90日・1.5倍

山本裕次 代表取締役社長 300,000 5.81 90日・1.5倍

落合雄一 執行役員 290,000 5.62 90日・1.5倍

片岡寛 特別利害関係者など 160,000 3.10 

(株)サムライキャピタル 役員らが議決権の過半数を所有する会社 150,000 2.91 90日・1.5倍

石井和彦 取締役 130,000 2.52 90日・1.5倍

木下正則 取締役 100,000 1.94 90日・1.5倍

三浦拳 特別利害関係者など 64,000 1.24 90日・1.5倍

 

 

【代表者】

代表者名 山本 裕次 (上場時52歳6カ月)/1968年生

本店所在地 東京都品川区西五反田

設立年 2010年

従業員数 31人 (7/31現在)(平均31.4歳、年収649.8万円)

代表者略歴 年月 概要

1990年04月 野村證券(株)入社

2000年01月 ドレスナー クラインオート ベンソン証券会社入社

2000年04月 サイボウズ(株)入社

2001年02月 サイボウズネットワークス(株)代表取締役社長

2002年04月 サイボウズ(株)取締役

2005年04月 同社執行役員

2009年02月 才望子信息技術(上海)有限公司 董事長

2010年08月 当社代表取締役社長(現任)


【幹事団】

主幹事証券 いちよし 375,000 75.00

引受証券 大和 35,000 7.00

引受証券 SMBC日興 30,000 6.00

引受証券 岩井コスモ 15,000 3.00

引受証券 SBI 15,000 3.00

引受証券 極東 10,000 2.00

引受証券 東洋 10,000 2.00

引受証券 マネックス 10,000 2.00


【参考類似企業】今期予想PER 8/26

3919  パイプドH 25.2倍(連結予想 )

4348  インフォコム 29.9倍(連結予想 )

4768  大塚商 23.8倍(連結予想 )

4776  サイボウズ 150.1倍(連結予想 )

9686  東洋テック 24.4倍(連結予想 )


【私見】

 サイボウズからのスピンオフで、安否確認サービスとクラウドということで時流にも合って業種人気があります。PERは高めですが、IT関連であれば今の地合いではあまり関係ないので問題はないでしょう。上位株主が条件付きロックなのでやや不安はありますが、規模的にも200億は簡単に超え、3倍前後が一旦の目安でしょうか。


想定価額:1800円

仮条件上限:2000円

初値予想:6000円

ブック申し込み度・・・強気

セカンダリー期待度・・・中立

総合評価4

2 件のコメント:

  1. この銘柄、やや強気の評価4.5かなと思いました。やはり大本命は、ヘッドウォーターズですか?ニューラルポケットと違い、VC売りの心配もないですね。心配なのは、あまりに跳ね上がった初値にならないかという点です。15,000円で初値が付いても、25,000円は超えそうな気がします。

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  2. 4.5を付けるにはややインパクトに欠けます。
    ヘッドの4.5は確実で、5を付けるか迷ってます。
    ナスダックが崩壊しなければ、そのラインは充分あるかと思います。

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