2020年9月21日月曜日

IPO分析(キクシアホールディングス)

 【事業内容】

  メモリ事業ではメモリ製品を製造・販売しています。フラッシュメモリとは、当社グループが1987年に世界で初めて開発し世界標準となった不揮発性半導体メモリであり、大容量のデータ保存を可能にする記憶用デバイスです。スマートフォンで写真・動画などを保存するために使われる他、身近な電子機器やデータセンター等においても、欠かすことのできないコアデバイス(基幹部品)となっています。当社グループはフラッシュメモリの微細化による大容量化、及びコスト競争力の強化を推進しています。

 近年、フラッシュメモリ市場においては、データセンター、エンタープライズ及び家庭用ゲーム機向けSSDの需要が拡大しており、これまで以上に大容量化、信頼性の向上、低消費電力化が求められています。当社グループはこうした市場ニーズを背景に、微細化と多値化により大容量化を進めてきましたが、極度の微細化には電子同士が干渉しエラーが起きやすくなるという課題がありました。そこで当社グループではメモリセルを積み上げることで干渉を防ぐ積層化技術(注4)により、大容量化と信頼性の向上、低消費電力化を実現したBiCS FLASH™を開発しました。BiCS FLASH™は2017年3月期から48層積層プロセスを用いた製品の本格量産を開始し、2019年3月期は64層積層プロセスを用いた製品の本格量産を行っています。加えて、更なる技術開発を進め、本書提出日現在は96層積層プロセスを用いたBiCS FLASH™を量産しています。また、112層積層プロセス等、更なる大容量化、高速化に向けた次世代の半導体メモリの開発も進めています。

 フラッシュメモリチップは、当社グループの四日市工場及び北上工場において製造しています。半導体は材料となるシリコンウエハー上に微細な集積回路を作りこむため工程は数百に及び、製造プロセスの効率化は至上命題です。キオクシア株式会社四日市工場では生産ラインの自動化を徹底するとともに、5つの製造棟を棟間搬送で連結する統合生産体制の確立により、生産効率の向上と生産コストの低減に取り組んでいます。

 また、今後も続くと想定される3次元フラッシュメモリの需要に継続的に対応するため、BiCS FLASH™の増産に向けた四日市工場第6製造棟を建設し、加えて、岩手県北上市において新製造棟を建設致しました。新製造棟では人工知能(AI)を活用した生産システムの導入などにより生産性を更に向上させます。今後も大容量化に向けた技術開発、生産体制の拡大、コントローラ(ICチップ/ファームウェア)開発等の強化により、技術力とコスト競争力の両面における長期的な優位性の確保に努めてまいります。

 なお、当社グループは、Western Digitalグループとの間で製造合弁契約を締結し、キオクシア株式会社とWestern Digitalグループが共同出資する製造合弁会社3社を設立しています。合弁契約に基づき、製造合弁会社3社が当社グループ及びWestern Digitalグループからの資金借り入れ又は製造合弁会社3社によるリース契約により生産設備を調達し、当社グループの四日市工場及び北上工場に設置、キオクシア株式会社が製造合弁会社3社から製造委託を受け、無償貸与された生産設備にて生産をしております。キオクシア株式会社は、製造合弁会社3社に加工済みのウエハーを販売し、更に製造合弁会社3社から当社グループ及びWestern Digitalグループに50%ずつの割合で販売しております。また、当社は、製造合弁会社3社各社の議決権の50.1%を所有しており、IFRSに基づく共同事業体として、その資産、負債、収益及び費用の50%を連結財務諸表に計上しています。

 SSD & ストレージの主要製品であるSSD(Solid State Drive)は、半導体メモリ(フラッシュメモリ)を記憶素子とするストレージプロダクツです。HDDに比べて読み出し性能、衝撃・振動等の耐環境性、静寂性に優れ、待機時の消費電力が低いことも特徴の一つです。クラウドサービスの普及に伴うデータセンター向けの需要や、エンタープライズ向けストレージ機器への組み込み容量の増加等により、今後も市場全体での成長が見込まれています。当社グループはクライアント製品においてPCIe®製品を他社に先駆けて上市し、クライアントOEM市場とSAS(注5)対応エンタープライズSSDにおいて優位性を確立しているものと認識しています。また、自社製フラッシュメモリを活用し、一般汎用品から高付加価値品まで幅広いラインナップを展開しています。

 スマートデバイスにおいては、スマートフォン、タブレット、ウェアラブルデバイス、テレビ等の民生機器、車載、産業機器など、幅広いアプリケーションで利用される制御機能付きの組み込み式メモリ製品群に注力しています。特にスマートフォン向けメモリ製品の市場は依然として規模が大きく、成長しているアプリケーションであり、当社グループにとって重要なマーケットとなっております。

 また、その他には、SDメモリカード、USBメモリ等のリテール向け製品及び製造合弁会社3社経由で計上されるWestern Digitalグループ向けの売上収益等が含まれます。

 今後も製品ラインアップの強化とサポート体制の強化により、市場でのプレゼンス向上を目指します。

 


【業績等】

業績動向(百万円) 売上収益 営業利益 税引き前利益 純利益

(連結実績)2019.3 1,074,465 45,885 4,016 11,604

(連結実績)2020.3 987,234 -173,082 -238,777 -166,686

(連結1Q実績)2021.3 267,460 14,689 2,787 1,699


1株当たりの数値(円) EPS BPS※ 配当

(連結2Q予想)2021.3 -11.59 -  - 

調達資金使途 設備投資



上場時発行済み株数 539,062,500株 (別に潜在株式13,649,460株)

公開株数 95,518,300株(公募21,562,500株、売り出し66,068,900株、オーバーアロットメント7,886,900株)


PER:

PBR:

配当利回り:

公募時吸い上げ資金:3782億

公募時時価:1.9兆

    


【株主構成】 以下180日

(株)東芝 その他の関係会社 210,300,000 39.59

BCPE Pangea Cayman, L.P. ベンチャーキャピタル(ファンド) 134,112,000 25.25

BCPE Pangea Cayman2, LTD. ベンチャーキャピタル(ファンド) 77,400,000 14.57

BCPE Pangea Cayman 1A, L.P. ベンチャーキャピタル(ファンド) 48,489,780 9.13

BCPE Pangea Cayman 1B, L.P. ベンチャーキャピタル(ファンド) 30,998,220 5.84

HOYA(株) 特別利害関係者など 16,200,000 3.05

ステイシー・スミス 取締役会長執行役員、子会社の取締役 会長執行役員 2,587,500 0.49

ロレンツォ・フロレス 副会長執行役員、子会社の従業員 776,280 0.15

早坂伸夫 代表取締役社長執行役員、子会社の代表取締役社長 310,500 0.06

渡辺友治 副社長執行役員、子会社の取締役 310,500 0.06


 

【代表者】

基本事項 https://www.kioxia-holdings.com/

代表者名 早坂 伸夫 (上場時65歳1カ月)/1955年生

本店所在地 東京都港区芝浦

設立年 2019年

従業員数 113人 (7/31現在)(平均46.4歳、年収1128.6万円)、連結13512人

株主数 6人 (目論見書より)

資本金 10,000,000,000円 (8/27現在)


代表者略歴 

1984年04月 (株)東芝 入社

2001年07月 セミコンダクター社プロセス技術推進センター半導体プロセス開発第五部長

2016年06月 執行役常務(ストレージ&デバイスソリューション社副社長、同社統括技師長、同社事業化推進プロジェクトチームプロジェクトマネージャー)

2017年04月 旧東芝メモリ(株) 取締役副社長(技術本部長)

2017年06月 旧東芝メモリ(株) 取締役副社長(技術本部長)退任、(株)東芝 執行役常務 退任、旧東芝メモリ(株) 技術統括 就任

2018年08月 東芝メモリ(株)(現キオクシア(株)) 副社長執行役員、技術統括責任者

2019年07月 当社 代表取締役 副社長執行役員、東芝メモリ(株)(現キオクシア(株)) 代表取締役 副社長執行役員、技術統括責任者

2020年01月 当社 代表取締役社長(現任)、キオクシア(株) 代表取締役社長(現任)


【幹事団】

主幹事証券 三菱UFJモルガン・スタンレー - -

主幹事証券 野村 - -

主幹事証券 ゴールドマン・サックス - -

主幹事証券 JPモルガン - -

主幹事証券 SMBC日興 - -

主幹事証券 大和 - -

主幹事証券 みずほ - -

幹事証券 クレディスイス - -

引受証券 松井 - -

引受証券 マネックス - -

引受証券 楽天 - -

引受証券 SBI - -


【参考類似企業】今期予想PER 9/11現

00001 米WD 9.8倍(連結予想 )

00002 米マイクロン 14.0倍(連結予想 )

00660 韓SKハイニクス 10.1倍(連結予想 )

02408 台湾南亜科技 12.7倍(連結予想 )

05930 韓サムスン電子 12.6倍(連結予想 )

6502  東芝 15.9倍(連結予想 )

6590  芝浦メカ 6.9倍(連結予想 )

6707  サンケン電 -倍(連結予想 )

6723  ルネサス 79.3倍(連結予想 )

6762  TDK 31.2倍(連結予想 )

6769  ザイン 356.9倍(連結予想 )

6875  メガチップス 29.4倍(連結予想 )

6882  三社電機 28.8倍(連結予想 )

6963  ローム 59.5倍(連結予想 )

6976  太陽誘電 23.0倍(連結予想 )

6981  村田製 28.2倍(連結予想 )

7735  スクリン 22.7倍(連結予想 )

8035  東エレク 19.4倍(連結予想 )


【私見】

 東芝の基幹部分の上場ですが、世界市況でみると今回の上場も当初予定よりも小規模になってしまい、世界相手にはやや物足りないものになってしまいました。アップル頼みは変わらずで、ファーウェイの規制の問題など外部環境もよろしくはありません。業績面ではPLは赤字で、BSは繰延税金資産やのれんの額などを見ると不安を感じます。これだけの規模なので海外需給次第でしょうが、SBのように金余りで資金が入れば良いのですが、どちらかというと厳しい結果が予想されます。


想定価額:3960円

仮条件上限:3500円

初値予想:3400円

ブック申し込み度・・・やや弱気

セカンダリー期待度・・・中立

総合評価2.5

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