2020年9月10日木曜日

IPO分析(rakumo)

 【事業内容】

  主要サービスは、(1) 当社及び他社のライセンスサービスの提供である「SaaSサービス」、(2) ライセンスサービスに関する導入支援や業務支援等を中心とした「ソリューションサービス」、(3) ベトナムを拠点にラボ型ITシステム開発等を行う「ITオフショア開発サービス」であります。


(1)SaaSサービス

 企業向けグループウェア製品「rakumo」の開発・販売の他、他社ライセンスの代理店販売を実施しております。「rakumo」は、当社グループが企画・開発を手がける企業向けグループウェアにおけるサービス群の総称であり、カレンダーや勤怠管理、経費精算、稟議申請等の各種機能を有しております。rakumoの名称は、ユーザーがサービスをより楽に利用するための「楽(らく)」と、「雲(=クラウド)」をかけたものであります。

 なお、rakumoは、SaaS(Software as a Service)と呼ばれる方式でサービスを提供しております。これは、ユーザー側でソフトウェアを保有するのではなく、サービス提供側がクラウド上でソフトウェアの機能を提供し、ユーザーはインターネット経由でサービスを利用する形態であります。


① 提供サービス

a.Google版rakumo

 Google版rakumoは、Google社が提供するグループウェア「G Suite」と連携し、機能拡張したアドオンツールとして提供しております。G Suiteは一般ユーザー向けに提供が開始されたこともあり、rakumoでは、企業がG Suiteを利用する際に不足する機能の補完や、より使いやすい画面の設計、より便利にご利用いただける機能を提供しております。


b.Salesforce版rakumo

 Salesforce版rakumoは、salesforce.com社の営業支援サービスであるSales Cloudなどのサービスと連携し、主に営業担当者の予定調整業務負荷を軽減します。


c.他社ライセンスの販売

Google社のG Suiteライセンス販売の他、関連サービスの他社ライセンス販売を行っております。


② rakumoシリーズ共通のコンセプトと特徴

a.導入・利用しやすい料金の実現

 rakumoシリーズは、「幅広いお客様の共通業務を支援する安全かつ高品質なITサービスを、多種多様なお客様に、導入しやすいコスト・環境で提供する」という事業開始当初のミッションを実現するため、サービス提供基盤として、従来のサーバー設備投資コストと比べて低コストでの導入が可能な、Google社やsalesforce.com社のクラウドプラットフォームサービスを利用しています。

 

b.ユーザー体験分析を基としたサービスデザイン

 お客様の業務の生産性は業務サービスの操作性と直結しているという認識の下、専任のプロダクトデザイナーがエンドユーザーの様々な利用ケースを分析し、幅広いお客様に利用しやすい操作画面やプロセスのデザインを行っています。


c.自社・他社サービスとの連携によるプロセスの自動化・効率化

 rakumoは基盤サービスとして広く利用されるGoogle社のG Suiteやsalesforce.com社のSales Cloudといったアプリケーションサービスと様々なデータや機能において連携しています。また、rakumoシリーズでは、カレンダー・経費精算・ワークフロー間の連携のように、個々のサービス同士が連携し、データを別のサービスでも利用することが可能となっております。

 これらにより、企業内システムで発生しがちな、異なるITベンダーが提供するサービスを利用することによる手間の軽減、また、データをサービス間で再利用することによる重複入力の削減や入力ミスの低減、プロセスの自動化等を実現しております。


 ③ rakumoサービスのビジネスモデルについて

a.SaaS方式での容易なサービス導入の実現

 従来、企業内の情報共有ツールであるグループウェアは、利用企業の自社内でサーバーや通信回線設備、ソフトウェア等を保有・運用する形態で、大企業向けが主流でありました。これらは、セキュリティ面での優位性やカスタマイズが容易といったメリットがある一方、設備調達やカスタマイズの為、導入までに一定の期間が必要であり、また、導入後もソフトウェアの改修や設備の運用コストが多額に発生する等、中小企業への導入は難しい面がありました。

 一方、当社グループが採用している「クラウド」方式では、従来のようにユーザー側でサーバーやソフトウェア等の設備を利用企業側で保有するのではなく、インターネットを介してサービスを利用するため、低コストかつ短期間での導入が可能であります。

 また、ソフトウェアサービスを、インターネットを介して(クラウド上で)提供し、利用者が必要な機能を必要な分だけ利用できる「SaaS」方式を採用しております。これにより、ソフトウェアの保守や機能追加等はサービス提供側で一括して実施するため、運用コストも安価であり、中小企業での導入も容易となっております。


b.サブスクリプション型リカーリングレベニューモデルによる安定性と成長性の実現

 主要サービスである「rakumo」の収益構造は、サービス料金を顧客企業の使用期間及びユーザー数に応じて定期定額契約(サブスクリプションとして課金することで、継続的な収益(リカーリングレベニュー)を得ることができる「サブスクリプション型リカーリングレベニューモデル」となっております。

 売り切り型ではなく、継続的なサービス提供を前提としており、継続的に収益が積み上がっていくストック型ビジネスとしての安定性がありながら、新規契約数の増加に伴う高い成長も目指すことができるビジネスを展開しております。

 

c.Google社及びsalesforce.com社のサービスとの連携

 Google社及びsalesforce.com社のサービスと密接に連携したサービスであり、それぞれのサービスをご利用いただいているお客様には、利用者の操作面や管理操作面での利便性向上、操作の効率化が可能になります。当社グループとしては、両社サービスとの連携を更に深め、また、両社の基盤を最大限に活用することにより、当社グループの事業の安定と成長に繋げられるように事業を展開していく方針であります。


d.販売パートナー等との連携による安定性と成長性の実現

 自社販売だけでなく、販売パートナー及び紹介パートナーを多数有していることも当社グループの特徴であります。2つの販売チャネルを効果的に機能させることで、導入企業数及びユーザー数の更なる増加による事業の安定性及び成長性の実現に尽力しております。


e.継続的なサービス開発を背景としたクロスセル及び低解約率の実現

 顧客のサービス利用期間における満足度を高めることが契約更新に繋がることから、当社グループでは、プロダクト開発力の強化や継続的な製品改修、顧客サポートの品質向上、定期的な新サービスのリリース等に努めております。これらの施策や販売・マーケティング施策等により、既存顧客に対しては、契約更新のみならず、他のサービスや関連商品等の購入(クロスセル)に繋げていただけるよう尽力しております。

 また、導入の容易さや安価な利用料金により、着実なユーザー数の増加、高い継続率を実現しており、多種多様な業界、中小企業から大企業に至るまで1,939社(2020年6月末時点)の企業に導入いただいており、少数の特定顧客に依存しない収益構造となっております。

 グループウェアの入れ替えには全社的な対応が必要となることも多く、容易に解約される性質の製品ではないと考えられ、ライセンスの販売額に対する月間解約率は低位(2020年上期平均1%未満)で推移しております。


 (2)ソリューションサービス

 当社及び他社SaaSサービスの導入支援や業務支援等のソリューションサービスに加え、ライセンスサービスに関連した他社ハードウェアの販売等を行っております。

 当社製品は、直感的に理解でき、幅広いお客様に利用しやすい操作画面やプロセスのデザインにより、原則として導入作業から運用段階まで、導入企業自ら実施いただけるよう設計しております。一方で導入企業からのご要望にお応えするため、前システムからの移行作業や、関連サービスも含めた導入時の初期設定作業、管理者や各ユーザー向けの操作説明等を実施しております。これまでのサービス開発・運用経験やノウハウを活かし、高度なIT及び業務スキルをもった当社コンサルタントにより、各種ソリューションサービスを提供しております。


(3)ITオフショア開発サービス

 日本国内における各企業のIT開発部門においては、開発案件の増加や新技術の開発等により、最新のITスキルを有した人材が求められる一方、IT業界の人材供給は限られており、慢性的な人材不足に直面する等、開発コストが増加する一因ともなっております。当社グループでは、他社企業からの開発依頼にお応えするため、連結子会社であるrakumo Company Limited(ベトナム)を拠点として、ITオフショア開発サービスを提供しております。

 メインに実施している「ラボ型」のシステム開発では、顧客ごとに特定のエンジニアを確保し、専属のチームを組成の上、一定期間継続的に開発業務を行います。チームメンバーが固定されていることにより、企業独自の開発要件やノウハウ等の蓄積も可能となり、人材確保や人件費面以外においてもコスト削減メリットが生じます。

なお、ITオフショア開発サービスは中長期での契約となる場合が多く、SaaSサービス同様にお客様の業務に組み込まれることとなり、安定的な収入を生み出せる構造となっております。 

主な販売先はソフトバンク14.9%、電算システム13.7%、USENスマートワークス11.1%、オープンハウス10.0%。


【業績等】

業績動向(百万円) 売上高 営業利益 経常利益 純利益

(連結実績)2018.12 534 -9 -14 -8

(連結実績)2019.12 664 24 20 -38

(連結予想)2020.12 817 92 71 60

(連結中間実績)2020.12 385 45 42 41


1株当たりの数値(円) EPS BPS※ 配当

(連結予想)2020.12 15.34 - 0

調達資金使途 人件費、開発費、販売促進費、クラウドサーバー費用、借入金の返済


上場時発行済み株数 5,292,900株 (別に潜在株式436,000株)

公開株数 1,524,900株(公募266,400株、売り出し1,059,600株、オーバーアロットメント198,900株)

 

PER:81.4

PBR:

配当利回り:

公募時吸い上げ資金:19.1億

公募時時価:66億

    

【株主構成】 

MICイノベーション4号投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 1,179,000 21.58  90日・1.5倍

御手洗大祐 代表取締役社長CEO 1,057,700 19.36 180日

アイ・マーキュリーキャピタル(株) ベンチャーキャピタル(ファンド) 555,500 10.17 90日・1.5倍

田近泰治 取締役CTO 544,500 9.97 180日

BIG1号投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 530,600 9.71 90日・1.5倍

SpiralCapitalJapanFund1号投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 500,000 9.15 90日・1.5倍

(株)創世 役員らが議決権の過半数を所有する会社 377,000 6.90 180日

HENNGE(株) 特別利害関係者など 176,700 3.23 180日

高間徹 特別利害関係者など 111,500 2.04  90日・1.5倍

(株)日本政策金融公庫 特別利害関係者など 55,500 1.02 90日・1.5倍

西村雄也 取締役CFO 55,500 1.02 90日・1.5倍

 

【代表者】

代表者名 御手洗 大祐 (上場時48歳5カ月)/1972年生

本店所在地 東京都千代田区麹町

設立年 2004年

従業員数 47人 (7/31現在)(平均35.5歳、年収560.3万円)、連結90人


代表者略歴 

1996年04月 日本電信電話(株)入社

1999年09月 バックテクノロジーズ(株)設立 代表取締役

2004年12月 (株)日本技芸(現当社)設立 代表取締役社長

2005年04月 (株)アイスタイル 社外取締役

2018年04月 rakumo Company Limited(ベトナム) 会長(現任)

2019年03月 当社代表取締役社長CEO(現任)


【幹事団】

主幹事証券 みずほ 1,127,600 85.04

独立幹事証券 東海東京 66,300 5.00

引受証券 野村 33,100 2.50

引受証券 SBI 19,800 1.49

引受証券 いちよし 13,200 1.00

引受証券 岩井コスモ 13,200 1.00

引受証券 丸三 13,200 1.00

引受証券 岡三 13,200 1.00

引受証券 東洋 6,600 0.50

引受証券 水戸 6,600 0.50

引受証券 楽天 6,600 0.50

引受証券 松井 6,600 0.50


【参考類似企業】

参考類似企業 今期予想PER 8/28

3921  ネオジャパン 113.5倍(連結予想 )

3976  シャノン -倍(連結予想 )

3999  ナレッジスイト -倍(連結予想 )

4776  サイボウズ 139.8倍(連結予想 )


【私見】

 SaaS関連で業種人気はあり、うまくいけば楽楽精算のラクスですが、どちらかというとナレッジSに近いかと思います。売上規模も小さめで時価総額200憶までが本来のラインでしょうが、地合い次第ではその上も。吸収金額も適度にあり、筆頭VCのロック解除もあるので初値で数倍とまではいかなくても2~3倍ラインにはいくでしょう。


想定価額:1100円

仮条件上限:1250円

初値予想:2800円

ブック申し込み度・・・強気

セカンダリー期待度・・・中立

総合評価4

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