2021年9月5日日曜日

IPO分析(コアコンセプト・テクノロジー)

 【事業内容】

 コンサルティング力とAI技術の融合による、主に製造業・建設業のデジタルトランスフォーメーション(以下、DX。実現を支援するサービスを主軸に据えつつ、卸売業・小売業・情報通信業等の他産業の支援、デジタイゼーション(デジタル技術によって新たな価値を付与すること)支援やSalesforceのカスタマイズ導入支援、ITエンジニア調達支援等を幅広く手掛けております。


 1. ビジネスモデル

 当社は、これまで製造業・建設業向けを中心にDX支援、デジタイゼーション支援を行ってきましたが、今後はDX実現方法について製造業・建設業と近しい流通・物流、医療、食品、そして順次、横展開がしやすい業種にDX支援の対象領域を拡大していく方針です。

 当社の受注経路は、事業会社からの1次請けが約5割、大手SIerやコンサルティングファームからの2次請けが約5割となっております。当社はものづくりに関する知見とスマートファクトリー及びBIM/CIM関連のIT技術の蓄積が強みであるため、製造業・建設業については1次請けが中心となっておりますが、競合優位性がないその他の産業についても事業領域を広げ安定的な受注を確保するために、2次請け案件にも積極的に対応しております。大手SIerやコンサルティングファームとはDX案件受注で競合することもありますが、当社の技術力や人材調達力を評価いただくことも多いため、「競合ではなく協業」を意識して、協力しながら顧客企業のDX推進に取り組んでおります。

 当社の支援内容として1次請け、2次請けの違いによる差異はなく、いずれにつきましてもDX支援、デジタイゼーション支援、Salesforceのカスタマイズ導入支援、ITエンジニア調達支援等を行っております。

 顧客企業の規模別売上高構成比は売上高1,000億円以上が約4割、売上高100億円以上1,000億円未満が約4割と、大企業・中堅企業が中心となっており、エンドユーザーの業種別では製造業・建設業・卸売業・小売業・情報通信業で7~8割を占めております。

 プロジェクト期間は1カ月~数年単位まで様々ですが、大規模なプロジェクトについてはリスク低減のため案件を細分化し(契約期間1カ月~3カ月が大半)、準委任契約(7~8割程度)で受注するよう努めております。当社の事業はいわゆるストック型ビジネスではありませんが、売上高に占める既存顧客の比率が8割以上となっており、既存顧客からの継続的なリピート受注が安定的な高成長のベースとなっております。

 また、当社は中小IT企業と広範な開発支援パートナーネットワークを構築しており、事業レバレッジのために、また案件の規模やスケジュールに柔軟に対応するために、1次請け、2次請けいずれにおいても外注を積極的に活用しております。


2.当社の特徴

(1)ものづくりに関する知見と先端IT技術

 当社は、創業時から有する製造業の現場におけるものづくりに関する知見、形状認識や3Dグラフィックス、解析・シミュレーション、AIIoT、CAD、CAM、PLM、BIM/CIM等の技術を深化させるとともに、理系大学院で高度な数学(線形代数、幾何学等)を修めたIT技術者を中心に採用・育成し、ものづくりに関する知見と先端IT技術を有するエンジニアの増員に努めてきました。

 製造現場において発生するさまざまな物理的な事象やオペレーションを理解していない状態で、いくら高度なAIやIoT等の技術を組み込んだシステムを開発しても、製造現場のオペレーションに馴染まなかったり、かえって無駄な工数が発生したりする等の問題が生じます。また、いわゆるインダストリー4.0で先行した欧州企業が提供するスマートファクトリーソリューションはカスタマイズの範囲が限定されているため、日本の多くの製造工場に存在する既存の古い設備との自動連携対応が不可能であったり、システムに合わせる形でのオペレーションの大幅変更が必要であったり、ベテラン技術者が有する各企業独自のノウハウが活かせない等の課題があります。

 当社は、先端IT技術を使うことはDXの目的ではなく手段であると考えており、また製造業の現場に精通したエンジニアを多数有しているため、「AIを活用すべき業務と活用しない方が良い業務の峻別ができること」「各企業独自のノウハウをどのようにAIによって活用するかを長年の経験則から熟知していること」「各企業が持つ多様なメーカー設備へのカスタマイズについても、知見者をアサインして柔軟に対応できること」が当社の強みだと考えております。こうした「ものづくりに関する知見×AI/IoTの技術力×各設備等へのカスタマイズ対応力」によって、「各企業独自のノウハウを継承しつつ現場ですぐに使える実効性が高いスマートファクトリーソリューション」を提供することが可能となっております。

 こうした製造業に関する優位性がそのまま当てはまる建築・建設業向けのBIM/CIM構築も当社の得意分野となっております。


(2)製造業・建設業のDX開発基盤「Orizuru」

 「Orizuru」は「製造業向けDX開発基盤」「建設業向けBIM/CIMの開発基盤」であり、2つの特徴的な機能群「Orizuru OPC UA」と「Orizuru 3D」で構成されています。

「Orizuru OPC UA」はDX実現のために必要となる元データの収集や各種工程の自動化を実現する通信基盤です。現場の設備・装置の状態を自動で取得、数値で把握し、その解析結果に基づき設備・装置に自動的に指示を出すハブとしての役割を果たします。

「Orizuru 3D」は低スペックPCの標準的なブラウザ上でも3次元CADデータを軽量表示することが可能な「Orizuru 3D Viewer」と、過去の設計データやベテラン技術者のノウハウ(見積、製造、不具合情報)等の膨大なデータの中からAIによって類似性を高精度で検索し活用することにより、業務効率化や製造原価の自動見積を実現する「Orizuru 3D 類似検索」で構成されています。

 こうした「設備・装置からのデータ収集と指示伝達の自動化」「3Dモデルによる可視化」「類似検索」という「Orizuru」の標準機能をベースとして、顧客企業のニーズに応じたカスタマイズを行うことで、顧客企業のDXをスピーディかつ低コストで実現することが可能です。

 今後は、製造業・建設業以外の他産業においても標準的に必要な機能を順次拡張していく予定です。


  (3)独自のDX実現手法「CCT-DX Method」

 当社はDX実現を一気通貫で伴走支援するための独自手法である「CCT-DX Method」を活用し、顧客企業のDX実現を支援しております。「CCT-DX Method」は、①DX実現のグランドデザインを「DX-ToBeダイジェスト」という形式で示す「目指す姿の策定」、②DX実現後の業務が最初から最後まで実現できるか、そしてスムーズに流れるかを検証する「技術検証」、③段階的にアジャイル形式でシステム開発を進める「仕組み構築」、④顧客企業が自立的かつ継続的にDXを実践できる体制を構築する「運用・内製化支援」という一連のプロセスと手法です。


 (4)IT人材調達力

 当社は自前で構築した広汎な開発支援パートナーを積極活用しており、売上高に占める外注費比率は2018年12期~2020年12期平均で55%程度と比較的高水準となっております。外部リソースの活用によって事業レバレッジを実現するとともに、事業環境が悪化した場合の財務レジリエンス(売上高が減少した場合にも外注費を削減することによって赤字となるリスクを回避できる)を保持しております。


  (5)安定的な収益モデル

 当社の2020年12月期の取引顧客数は212社、取引外注先数は421社となっており、事業成長のベースとなる顧客基盤・調達基盤いずれも順調に拡大しております。  


【業績等】

業績動向(百万円) 売上高 営業利益 経常利益 純利益

(単独実績)2019.12 4,766 165 183 117

(単独実績)2020.12 5,534 180 188 124

(単独予想)2021.12 7,043 407 352 244

(単独中間実績)2021.12 3,443 222 224 146


1株当たりの数値(円) EPS BPS※ 配当

(単独予想)2021.12 67.08 428.09 0

調達資金使途 人材採用費・人件費、社内管理システム導入費用


上場時発行済み株数 3,787,000株 (別に潜在株式718,600株)

公開株数 425,500株(公募200,000株、売り出し170,000株、オーバーアロットメント55,500株)

 

PER:52.1

PBR:

PSR:1.89

配当利回り:

公募時吸い上げ資金:14.8億

公募時時価:132億

    


【株主構成】以下 180日

金子武史 代表取締役社長CEO 720,000 16.72

芸陽線材(株) 取締役会長の親族らが経営する会社 400,000 9.29

下村克則 取締役会長 370,000 8.59

田口紀成 取締役CTO 360,000 8.36

(株)SHIMOMURA 役員らが議決権の過半数を所有する会社 350,000 8.13

津野尾肇 取締役 280,000 6.50

高盛豊文 元取締役、取締役会長の親族 220,000 5.11

中島数晃 取締役CFO 220,000 5.11

田中浩和 従業員 200,400 4.65

グッドエコ(株) 高盛豊文氏の資産管理会社 200,000 4.64

コタエル信託(株) 新株予約権信託の受託者 150,000 3.48

高橋雪乃 従業員 100,500 2.33

岩山道代 従業員 100,400 2.33

ティームズ(株) 特別利害関係者など 100,000 2.32

(株)NAKAX 特別利害関係者など 100,000 2.32


本募集並びに引受人の買取引受による売出しに関連して、貸株人かつ売出人である金子 武史、売出人となる株主である下村 克則、髙盛 豊文、田口 紀成、津野尾 肇、中島 数晃、加藤 允文及び萩原 将智、並びに売出人ではない株主である芸陽線材株式会社、株式会社SHIMOMURA、グッドエコ株式会社、田中 浩和、ティームズ株式会社、株式会社NAKAX、高橋 雪乃、岩山 道代及び田口 雅美、並びに上記に含まれない当社の新株予約権者であるコタエル信託株式会社、岡本 真史、杉本 考、森田 英明は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場日(当日を含む)後180日目(2022年3月20日)までの期間(以下、「ロックアップ期間」という。)、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却等(ただし、引受人の買取引受による売出し、グリーンシューオプションの対象となる当社普通株式を主幹事会社が取得すること等を除く。)を行わない旨を合意しております。 


 

【代表者】

代表者名 金子 武史(上場時45歳4カ月)/1976年生

本店所在地 東京都豊島区南池袋

設立年 2009年

従業員数 234人 (6/30現在)(平均34.58歳、年収624.8万円)

株主数 17人 (目論見書より)

資本金 92,000,000円 (8/16現在)

代表者生年月日 1976年05月19日生まれ

代表者略歴

2000年04月 (株)インクス(現SOLIZE(株))入社

2006年04月 (株)ラグナ設立

2006年12月 (株)KT Consulting入社

2009年09月 (株)シンスター監査役

2010年10月 当社入社

2013年01月 取締役副社長就任

2015年07月 代表取締役社長CEO就任(現任)


【幹事団】

主幹事証券 大和 325,600 88.00

引受証券 みずほ 11,100 3.00

引受証券 楽天 11,100 3.00

引受証券 SMBC日興 7,400 2.00

引受証券 SBI 7,400 2.00

引受証券 岩井コスモ 7,400 2.00


【参考類似企業】今期予想PER(8/24)

2327  NSSOL 20.0倍(連結予想 )

3626  TIS 23.9倍(連結予想 )

3666  テクノスJPN 16.6倍(連結予想 )

3719  ジェクシード 225.3倍(単独予想 )

3753  フライトHD 22.0倍(連結予想 )

3771  システムリサーチ 13.6倍(連結予想 )

3798  ULS-G 31.6倍(連結予想 )

3987  エコモット 986.9倍(連結予想 )

4307  NRI 36.5倍(連結予想 )

4394  エクスモーション 30.8倍(単独予想 )

4722  フューチャー 19.2倍(連結予想 )

6532  ベイカレント 66.9倍(単独予想 )

9613  NTTデータ 25.1倍(連結予想 )

9719  SCSK 62.4倍(連結予想 )


【私見】

 製造業・建設業のDX支援ということで業種妙味があり、優位性がどこまであるかでもう一つ評価を上げても良さそうな銘柄です。経営陣も東大出身が多く人材も良さそうです。売上の伸びは良く、今期の利益も大幅増で成長性も大きそうですが、PERが52と高めの設定なので、どこまで評価するかは判断が難しいです。また、株主にはロックがかかっており、吸収金額も大きくなく、初値人気になることは確実ですが、時価総額が2倍で250憶になるので、300憶程度で止まるのか、中期で500憶を目指すのか注目はしたい銘柄です。


想定価額:3350円

仮条件上限:3500円

初値予想:8000円

ブック申し込み度・・・強気

セカンダリー期待度・・・中立~やや強気

総合評価4

2 件のコメント:

  1. 承認されている銘柄では大本命ですね。最近は日経平均30000円に復帰して大型株の値上がりに比べ、マザーズには資金が流れてきませんね。
    その流れで初日に初値となってくれるといいですが。

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  2. 落ちるのは早いですが、上がるのは最後ですからね。
    今クールではここがダントツでしょうね。
    セーフィー、アスタリスク、ワンキャリア、レナサイエンスあたりを次候補と考えています。

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