2021年9月7日火曜日

IPO分析(シンプレクス・ホールディングス)

【事業内容】

 (当社グループのビジネスモデルの特徴)

(1)顧客企業のビジネスを成功に導くSimplex Wayの基本コンセプト

 幅広い業種の顧客企業の課題に対し、ビジネスとテクノロジー双方に精通したハイブリッド人材で編成されたプロジェクトチームが、最上流のコンサルティングからシステム開発、運用保守に至るすべての工程に責任を持ち、一気通貫かつ自社完結でのトータルソリューションを提供することを基本としております。

 元請けから下請けに作業を段階的に委託していく多重下請け構造が一般的な国内IT業界において、顧客企業と直接取引を行うプライム受注を徹底しつつ、下請けへの丸投げも行わない自社完結モデルを維持している当社グループのような企業は少ない現状にあります。Simplex Wayの基本コンセプトは以下のとおりです。


① 一気通貫モデル:コンサルティングから運用保守に至る全フェーズを支援

 ビジネスとテクノロジー双方に精通したハイブリッド人材で編成されたプロジェクトチームが、最上流のコンサルティングからシステム開発、運用保守に至るすべての工程に責任を持つことで、システム導入後における改善ニーズを汲み取り、次のコンサルティングやリピートオーダー・リカーリングビジネスの獲得につなげるという循環型モデルであります。


② 自社完結モデル:プライム受注の徹底/下請けに丸投げしない開発体制

 多重下請け構造が一般的な国内IT業界において、顧客企業と直接取引を行うプライム受注を徹底しつつ、下請けにも丸投げしないというビジネスモデルであります。国内IT業界特有の構造的な中間マージンを排除すると共に、ハイブリッド人材によるソースコード開発・運用支援により、業界屈指の利益率の獲得に成功しております。


 ③ ハイブリッド人材の育成:ビジネス/テクノロジー双方に精通したプロ人材を育成

 当社グループのビジネスモデルにおいては、ビジネスとテクノロジー双方に精通した業界最高水準のハイブリッド人材の採用と育成が必須の要素です。このため、ビジネスパーソンとしてトップ層となりうる高いポテンシャルを持つ新卒人材を採用し、入社後数年間は集中的にシステム開発業務を割り振り、テクノロジーを徹底的に教育した上で、顧客企業における最前線のビジネスに直接対峙するOJTを通じて、高度なビジネスノウハウを獲得させる戦略を採用しております。


(2)ノウハウ標準化による生産性向上

 通常の受託開発プロジェクトでは、発注元である顧客企業にシステムの著作権が引き渡されるのが一般的な国内IT業界において、当社グループは、受託開発の事業形態でありながら、システム開発後、概ねすべてのシステムの著作権を当社グループに留保しております。これは、当社グループのシステム開発では、顧客企業と直接取引を行うプライム受注が基本形態であることから、上流工程にあたるコンサルティングの段階でハイブリッド人材による当社グループのノウハウやアイデアを顧客企業に提供することにより、顧客企業との交渉が可能となっているためであります。

 かかる著作権留保の結果、汎用性の高い複数のプログラムを当社グループによる再利用が可能な形でSimplex Libraryとして蓄積することに成功しております。Simplex Libraryの活用パターンは以下のとおりです。


① 受託開発プロジェクトにおけるライブラリとしての再利用

 当社グループの金融フロンティア領域における受託開発プロジェクトでは、全体の構築作業の約50~70%においてSimplex Libraryが活用されております。これにより、顧客企業にとっては、開発期間の短縮やシステムの安定性の確保が可能となり、さらには顧客企業に競争優位をもたらす機能に資源を集中できることから、多くの顧客企業からご支持をいただいております。当社グループにとっても、Simplex Libraryでノウハウを標準化することで、当社グループに競争優位をもたらす機能に資源を集中することができ、当社ビジネスのさらなる拡充に繋げることができると考えております。


② 共同利用型サービスとして提供

 Simplex Libraryとして長期にわたり蓄積してきたノウハウを駆使して自ら企画・開発したシステムを、複数の顧客企業に対して共同利用型サービスとして広く提供しております。サービス利用料を月ごとにチャージするビジネスモデルであることから、低リスクの安定的な収益源であるリカーリングビジネスの一部となっています。


(3)Simplex Wayのメリット

 創業来育んできた独自のビジネスモデルであるSimplex Wayにより、参入障壁の高い領域で事業を展開することを実現し、効率的な案件推進と業界屈指の利益率を実現しております。Simplex Wayのメリットについては以下のとおりであります。


① 業界屈指の利益率

 Simplex Wayの自社完結モデルにより、国内IT業界特有の構造的な中間マージンを排除することで、当社グループでは、効率的な案件推進ができ、高い利益率を達成しております。ソフトウェア業界の平均売上総利益率が24.9%である中、当社グループの2021年3月期の売上総利益率は39.1%であり、これは、業界屈指の水準であると考えております。

 

② 安定した収益基盤

 Simplex Wayの一気通貫モデルにより、ハイブリッド人材で編成されたプロジェクトチームが、最上流のコンサルティングからシステム開発、運用保守に至るすべての工程に責任を持ち、システム導入後における改善ニーズを汲み取ることで、次のコンサルティングやリピートオーダーを安定的に獲得することに成功しております。

 結果として、新規システム導入に係るコンサルティングや設計・構築作業等のフロービジネスの拡大に連動して、システム導入後に機能改修や法制度の変更への対応等で発生するリピートオーダーや、運用保守、共同利用型サービス等のリカーリングビジネスが連鎖的に拡大していく収益モデルを構築しております。なおこれらの分類のうち、リピートオーダーとリカーリングビジネスは当社グループの低リスクの安定的な収益源であり、2021年3月期には売上収益全体の約7割程度を占めております。


③ 実プロジェクトを通じたビジネスノウハウの習得

 ハイブリッド人材の育成に欠かせないビジネスノウハウの習得においては、顧客企業における最前線のビジネスに直接対峙する一気通貫モデルの徹底により、顧客企業と同等の豊富なノウハウを実プロジェクトの中で習得できる環境が整っております。こうした環境下において、ビジネス/マネジメント/テクノロジー等、個々の得意分野において、あくまでもプレイヤーとして能力を最大限伸ばしていくという、国内では稀な育成方法を採用しております。


 【業績等】

業績動向(百万円) 売上収益 営業利益 税引き前利益 純利益

(連結実績)2020.3 25,508 1,222 743 758

(連結実績)2021.3 27,532 4,510 4,324 2,984

(連結予想)2022.3 30,300 5,612 5,437 3,750

(連結1Q実績)2022.3 7,885 1,841 1,796 1,142


1株当たりの数値(円) EPS BPS※ 配当

(連結予想)2022.3 77.65 728.05 23

調達資金使途 -


上場時発行済み株数 48,291,800株 (別に潜在株式12,983,425株)

公開株数 22,091,000株(売り出し20,650,300株、オーバーアロットメント1,440,700株)

シンジケート 公開株数9,604,800株 


海外売出しについて

 引受人の買取引受けによる国内売出し及びオーバーアロットメントによる売出しと同時に、海外市場(但し、米国においては1933年米国証券法に基づくルール144Aに従った適格機関投資家に対する販売のみとします。)における売出し(海外売出し)が、SMBC Nikko Capital Markets Limited及びMizuho International plcを共同主幹事引受会社兼ジョイント・ブックランナーとする海外幹事引受会社の総額個別買取引受けにより行われる予定であります。

 引受人の買取引受けによる国内売出し及び海外売出しの総売出株式数は20,650,300株であり、その内訳は引受人の買取引受けによる国内売出し9,604,800株、海外売出し11,045,500株の予定でありますが、最終的な内訳は、上記総売出株式数20,650,300株の範囲内で、需要状況等を勘案の上、売出価格決定日(2021年9月13日(月))に決定される予定であります。


PER:20.9

PBR:

配当利回り:

公募時吸い上げ資金:357億

公募時時価:782億

    

【株主構成】 

刈田・シンプレクス投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 19,000,000 31.01

金子英樹 代表取締役社長CEOなど 12,702,500 20.73 360日

五十嵐充 子会社の取締役など 7,141,900 11.66 360日

シンプレクス従業員持株会 特別利害関係者など 3,404,800 5.56

福井康人 子会社の取締役など 3,021,800 4.93 360日

田中健一 特別利害関係者など 2,673,000 4.36 360日

農林中央金庫 ベンチャーキャピタル(ファンド) 2,377,500 3.88 360日

(株)刈田・アンド・カンパニー ベンチャーキャピタル(ファンド) 1,310,600 2.14 360日

KARITA&CompanyMicronesiaInc. ベンチャーキャピタル(ファンド) 917,500 1.50 360日

福山啓悟 グループの従業員 712,500 1.16 360日


グローバル・オファリングに関連して、売出人及び貸株人である金子英樹、五十嵐充及び田中健一、売出人である福井康人及び福山啓悟並びに当社株主である株式会社刈田・アンド・カンパニー及びKARITA & Company Micronesia Inc.は、ジョイント・グローバル・コーディネーターに対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含みます。)後360日目の2022年9月16日(当日を含みます。)までの期間中、ジョイント・グローバル・コーディネーターの事前の書面による同意なしには、当社普通株式等の売却等(但し、売出人によるグローバル・オファリングにおける当社普通株式の売出し、オーバーアロットメントによる売出しのための当社普通株式の貸渡し、グリーンシューオプションの行使に基づく当社普通株式の売却等を除きます。)を行わない旨を約束する書面を差し入れる予定であります。

 また、グローバル・オファリングに関連して、当社株主である株式会社三菱UFJ銀行は、ジョイント・グローバル・コーディネーターに対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含みます。)後180日目の2022年3月20日(当日を含みます。)までの期間中、ジョイント・グローバル・コーディネーターの事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却等を行わない旨を約束する書面を差し入れる予定であります。加えて、グローバル・オファリングに関連して、当社株主である農林中央金庫、助間孝三、山本元、早田政孝、バーチャレクス・ホールディングス株式会社及び江野澤慶亮は、ジョイント・グローバル・コーディネーターに対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含みます。)後360日目の2022年9月16日(当日を含みます。)までの期間中、ジョイント・グローバル・コーディネーターの事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却等を行わない旨を約束する書面を差し入れる予定であります。 

 

【代表者】

代表者名 金子 英樹(上場時58歳0カ月)/1963年生

本店所在地 東京都港区虎ノ門

設立年 2016年

従業員数 65人 (7/31現在)(平均37歳、年収839.6万円)、連結832人

株主数 16人 (目論見書より)

資本金 285,000,000円 (8/19現在)

代表者生年月日 1963年09月01日生まれ

代表者略歴

1987年04月 アーサー・アンダーセン・アンド・カンパニー(現:アクセンチュア(株)) 入社

1997年09月 (株)シンプレクス・リスク・マネジメント(現:シンプレクス(株)) 入社

2000年08月 同社 代表取締役社長(現任)

2008年04月 Simplex U.S.A.,Inc. 取締役(現任) 6月:(株)シンプレクス・ビジネス・ソリューション(現:Xspear Consulting(株)) 代表取締役社長

2016年07月 シンプレクスFX・スマートクロス(株) 設立代表取締役社長 12月:当社設立 代表取締役社長CEO(現任)

2017年02月 Simplex Global Inc. 代表取締役 5月:(株)お金のデザイン 取締役(現任) 6月:Simplex Global Inc. 取締役(現任)

2019年03月 Deep Percept(株) 設立 代表取締役会長 4月:SGI Technologies Pte. Ltd. 設立 代表取締役

2021年06月 Deep Percept(株) 代表取締役会長兼社長(現任)



【幹事団】

主幹事証券 SMBC日興 - -

主幹事証券 みずほ - -

引受証券 大和 - -

引受証券 野村 - -

引受証券 三菱UFJモルガン・スタンレー - -

引受証券 松井 - -

引受証券 マネックス - -

引受証券 SBI - -

引受証券 東海東京 - -

引受証券 岡三 - -


【参考類似企業】今期予想PER(8/26)

2315  CAICA 854.2倍(連結予想 )

2335  キューブシス 16.9倍(連結予想 )

3626  TIS 23.6倍(連結予想 )

3636  三菱総研 13.3倍(連結予想 )

3712  情報企画 12.4倍(単独予想 )

3916  DIT 22.3倍(連結予想 )

3924  ランドコンピ 13.3倍(連結予想 )

3992  ニーズウェル 15.5倍(単独予想 )

3997  トレードワクス 16.7倍(単独予想 )

4012  アクシス 23.7倍(連結予想 )

4284  ソルクシーズ 11.0倍(連結予想 )

4299  ハイマックス 14.6倍(連結予想 )

4307  NRI 37.0倍(連結予想 )

4333  東邦システム 13.8倍(単独予想 )

4450  PSOL 14.0倍(連結予想 )

4674  クレスコ 14.2倍(連結予想 )

4687  TDCソフト 19.4倍(連結予想 )

8056  日ユニシス 16.8倍(連結予想 )

9613  NTTデータ 26.0倍(連結予想 )

9759  NSD 23.2倍(連結予想 )


【私見】

 IT・金融コンサルで業種としては悪くはありませんが、再上場銘柄で評価は下がります。業績は良いですが、同業他社のPERが20弱が多いので、公募価額としては妥当な水準で上値余地は大きくなさそうない印象です。吸収金額は300憶の規模で、大規模な公募銘柄も多く、スタート段階では人気になる可能性は低いと予想します。


想定価額:1520円

仮条件上限:1620円

初値予想:1620円

ブック申し込み度・・・中立

セカンダリー期待度・・・中立

総合評価3


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