2021年9月11日土曜日

IPO分析(プロジェクトカンパニー)

 【事業内容】

(1) 事業の概要

 当社が行っている事業は「デジタルトランスフォーメーション事業」です。DXとは、テクノロジーを活用し、企業の事業モデルや業務プロセスを変革し、新たな付加価値の創出を目的とする取り組みと考えております。DXにおいて活用されるテクノロジーは、AI・RPA・ブロックチェーン・IoT・Bツール・チャットボット・マーケティングオートメーション等、多岐にわたります。また、前記した内容に限らず、ビジネスにおいて実用に耐えうる新たなテクノロジーが生まれた際には、そのテクノロジーを企業にすみやかに導入するよう提案していくことが当社の使命であると考えております。

 コンサルティングサービスにおいては、DXを通じた新規事業開発や既存事業変革、業務改善の支援を行っております。新規事業開発により新たな収益源を創出したいという顧客へは事業立上げのために検討すべき事項を洗い出し、DXの観点から事業スキームを検討、整理するなどの支援を行っております。顧客の既存事業についても、デジタルを活用した事業変革により、PL計画の達成等を支援しております。また、業務改善という観点からはRPA・BIツールの導入や、全社でのDX文化浸透のための組織変革など生産性向上のための支援を行っております。日本の大手企業におけるデジタル化ニーズを的確に捉えて案件を受注することで、コンサルティングサービスの売上高は創業来拡大を継続しております。直近は、特に新型コロナウイルス感染症流行拡大の経済情勢・事業環境を踏まえ、各社がDXを通じた新規サービス展開等に着手していることもあり、新規事業開発支援のニーズが強く、コンサルティングサービスの売上を牽引しております。2021年12月期第2四半期におけるコンサルティングサービスの売上高について内訳は、新規事業開発支援が110,577千円、既存事業変革支援が117,694千円、業務改善支援が25,461千円でありました。

 マーケティングサービスにおいては、Twitter、Instagram等のSNS運用支援、Webサイト改善、マーケティングコンサルのサービスを提供しております。SNS運用支援においては顧客のSNSを通じたブランディング・集客促進を、Webサイト改善においては集客や販売促進につながるWebサイト・LPの改善を行っております。また、マーケティングコンサルにおいては、デジタルマーケティングにおける戦略検討から実行までを支援しており、カスタマージャーニーの整理や広告出稿媒体ごとの戦略、KPI設計、訴求内容の仮説検証等を担っております。実態としては、SNSの運用における支援実績を評価いただき、より広範なデジタルマーケティングの戦略立案などに関するご相談をいただく、というような形での案件創出を行う事業構造となっております。2021年12月期第2四半期におけるマーケティングサービスの売上高について内訳は、SNS運用支援が55,569千円、Webサイト改善が18,741千円、マーケティングコンサルが47,240千円でありました。

 UI/UXサービスにおいては、UI/UXの改善のためのユーザビリティテストサービスである「UIscope」を活用し、サービス体験の改善・設計を支援しております。「UIscope」は、スマートフォンアプリ・サイトに特化し、テストユーザーであるUIscopeモニターの操作を録画し、その行動を解析することで、UI/UXを改善していくサービスです。2020年12月期において案件の80%をインバウンドで獲得しており、またこれまでの案件実績(事業譲受から2020年12月末までの累計導入企業数は125社)をもとに幅広いサービス、プロダクトのUI/UX改善ノウハウを蓄積することができております。スポットでサービスのUI/UXを調査・レポーティングした顧客について、その後中長期的にサービス体験の改善支援を行う提案を積極的に行うことで、UI/UXサービス内のショット案件から継続的な支援へのアップセルに成功しております。

 これら3つのサービスについて、2020年12月期における売上構成は、コンサルティングサービスが59.8%、マーケティングサービスが27.4%、UI/UXサービスが12.8%となっており、ビジネス支援(コンサルティングサービス)が約6割、広義のマーケティング支援(マーケティングサービス・UI/UXサービス)が約4割、という構成になっております。また、3つのサービスについてこれまで順調に売上を拡大しており、創業からの5年における売上高の年平均成長率はおよそ128%を記録、また4期連続で増収増益を達成しております。


(2) 事業の特徴・強み

 当社のデジタルトランスフォーメーション事業における強みは、コンサルティング、マーケティング、UI/UXのニーズを一気通貫で支援できることです。顧客のニーズは個社によって異なるものの、DXのうち特定のニーズだけに困っているということは現実には少ないと当社は認識しており、企業活動における様々な場面において変革を推進したいというのが実態であると評価しております。当社は、特定領域のソリューションに特化してサービスを提供する会社ではなく、DXという広いニーズに応えるために様々なソリューションを提案する会社と自己定義しています。そのため、当初は「UIscope」の活用やSNSマーケティングの支援等、単領域、ソリューション的な活用であっても、次第に様々なニーズを顧客からヒアリングすることができ、最終的には一気通貫で支援する、というのが当社の得意とするパターンとなっています。単領域で取引を開始し、複数領域に展開することで、ライフタイムバリューが大きく伸びることが当社の強みです。

 当社の案件獲得プロセスの中で、最初に案件を獲得する、ノックインツールになっているのは「UIscope」です。「UIscope」はサービス立ち上げ(事業譲受元の㈱InnoBetaによる)の2012年以来、スマートフォンのUI/UX領域のリサーチサービスをいち早く展開し、利用実績を積み重ねてまいりました。当社の戦略としては、まずはUI/UXのような単領域で顧客の信頼を獲得し、そこから別領域の案件を獲得することを目指しております。実際にUI/UXの検証・改善についてご相談を受け支援する中で、UI/UX以外の領域における課題感についても当社で検知することができ、その課題感に対して別のソリューションを提案することにより複数領域における案件受注ができております。

 このような既存顧客へのアップセルが奏功し、2020年12月期においては顧客の54.1%は売上規模100億円以上の企業群、そしてこの企業群が売上高の78.7%を占める構成となるなど、顧客への依存度分散を進めること、かつ顧客当たり売上高を高める(顧客当たり売上高は創業来の5年でおよそ5倍に上昇)ことにより日本の大手企業を中心とする顧客基盤を構築することに成功しております。

 また当社のDX支援は比較的長期で継続する性質のものであり、直近3期のストック売上※15比率はおよそ80%で推移しております。一般的なコンサルティングファームにおいてはスポット/フロー売上※16偏重が多い中、当社においては一気通貫でのDX推進支援が可能であることを評価いただき、比較的長期の継続発注をしていただける(2018年1月から2021年3月の間で取引のあった売上高100億円以上の顧客について、3か月以上の連続受注が発生したものが84.9%、6か月以上の連続受注が発生したものが71.7%。ただし、「UIscope」のショット案件を除く。)ため、結果としてストック型のビジネスを構築することができております。2021年12月期第2四半期累計期間にお取引させていただいた89社のうち、59.6%がストック売上の顧客でありました。このように、ビジネスモデルの特性上中長期的な支援が前提となるため、特定個人のスキル・能力に依存するような体制ではなく、あらゆる顧客に対して再現性をもった支援が可能となるよう、組織としての対応に重点を置いた体制構築を進めております。案件の状況に応じてパートナーも積極的に活用しており、2020年12月期においては19.4人(期中平均)のパートナーの方に当社メンバーと共同で顧客支援を行っていただいておりました。スキルの平準化やマネジメントの育成、パートナーの活用等、ストック型ビジネスに適した効率的なマネジメント体制を整備してきた結果、従業員数が増加すると同時に従業員一人当たり売上高も増加基調で推移し、2020年12月期の従業員一人当たり売上高は約33百万円(前期比約2百万円の増加)となっております。  


【業績等】

業績動向(百万円) 売上高 営業利益 経常利益 純利益

(単独実績)2019.12 664 36 31 19

(単独実績)2020.12 1,104 176 170 113

(単独予想)2021.12 2,029 400 393 272

(単独中間実績)2021.12 910 232 229 158


1株当たりの数値(円) EPS BPS※ 配当

(単独予想)2021.12 53.18 - 0

調達資金使途 人材の採用・育成費、新規事業の検討・開発、オフィスの増床、借入金の返済


上場時発行済み株数 5,385,900株 (別に潜在株式459,000株)

公開株数 1,236,800株(公募342,000株、売り出し733,500株、オーバーアロットメント161,300株)


・売出しを行う地域

欧州及びアジアを中心とする海外市場(ただし、米国及びカナダを除く。)


PER:49.8

PBR:

配当利回り:

公募時吸い上げ資金:33億

公募時時価:142億

    

【株主構成】 

土井悠之介 代表取締役社長 1,947,500 35.39 180日

伊藤翔太 取締役会長 1,947,500 35.39 180日

新宅央 専務取締役 250,000 4.54 180日

SBIホールディングス(株) 金融商品取引業者など 235,000 4.27

SBI AI&Blockchain投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 150,000 2.73

SBI Ventures Two(株) ベンチャーキャピタル(ファンド) 120,000 2.18

鑓水葵 従業員 100,000 1.82

古瀬豪 特別利害関係者など 80,000 1.45 180日

江竜寛之 特別利害関係者など 77,000 1.40  180日

高木秀邦 特別利害関係者など 67,000 1.22 180日

平石大祐 従業員 50,000 0.91

鹿島祐希 従業員 50,000 0.91

山田尚史 特別利害関係者など 40,000 0.73 180日

桃崎有治 監査役 40,000 0.73 180日

(株)AOGIRI 特別利害関係者など 40,000 0.73

藤嶋祐作 取締役 40,000 0.73


 本募集及び引受人の買取引受による売出しに関連して、売出人かつ貸株人である土井悠之介及び伊藤翔太、売出人である新宅央、古瀬豪、江竜寛之、髙木秀邦、山田尚史、桃崎有治及び渡邊裕介、当社株主である㈱AOGIRI、ゼロ・ネクスト合同会社及びTomorrow’s Consulting㈱は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後180日目の2022年3月27日までの期間(以下「ロックアップ期間」という。)中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却(ただし、引受人の買受引受による売出し及びオーバーアロットメントによる売出しのために当社普通株式を貸し渡すこと等は除く。)等は行わない旨合意しております。

  

【代表者】

代表者名 土井 悠之介(上場時32歳4カ月)/1989年生

本店所在地 東京都港区六本木 泉ガーデンタワー39階

設立年 2016年

従業員数 50人 (7/31現在)(平均27.8歳、年収554.5万円)

株主数 32人 (目論見書より)

資本金 311,950,000円 (8/24現在)

代表者生年月日 1989年05月18日生まれ

代表者略歴

2014年04月 スカイライトコンサルティング(株)入社

2016年01月 当社設立 代表取締役社長(現任)


【幹事団】

主幹事証券 SBI - -

引受証券 岡三 - -

引受証券 藍沢 - -

引受証券 岩井コスモ - -

引受証券 水戸 - -

引受証券 エイチ・エス - -

引受証券 極東 - -

引受証券 東洋 - -

引受証券 松井 - -

引受証券 むさし - -


【参考類似企業】今期予想PER(9/3)

4170  KaizenPF 57.6倍(連結予想 )

6563  みらいWK 42.0倍(単独予想 )

7351  グッドパチ 71.6倍(連結見込 )

7352  Bエンジニア 141.8倍(連結見込 )

7379  サーキュ 91.9倍(単独見込 )


【私見】

 DX銘柄で業種としては評価でき、海外売出しもあることは評価できます。業績も売上は倍増、利益も大幅増と成長性は高く、PERは高めですが評価はできます。需給は規模がやや大きめで、SBI系のVCにロックがされていないので、売り圧力は強くセカンダリーとしてはやや厳しいような気はします。

 

想定価額:2650円

仮条件上限:2650円

初値予想:4000円

ブック申し込み度・・・強気

セカンダリー期待度・・・中立

総合評価3.5


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