2021年9月7日火曜日

IPO分析(レナサイエンス)

 【事業内容】

  当社は、医療現場の課題を解決するための多様なモダリティ(医薬品、医療機器、人工知能(AI)ソリューション等)を、医師と共に医療現場で研究開発し、医療イノベーション創出に貢献し続けることで、ヒトが心身共に生涯にわたって健康を享受できるための新しい医療を創造したいと考えています。

 新型コロナウイルス感染症への対応が全世界で喫緊の課題となっています。当社は、これら医療の課題を解決できる内服薬を開発しています。当社は2020年10月には前期第Ⅱ相医師主導治験を国内で開始し、半年後の2021年3月末には前期第Ⅱ相試験を終了し、次相試験は2021年6月に開始しました。並行して、米国とトルコでの医師主導治験も実施しています。

 当社は、老化関連疾患(がん・糖尿病・呼吸器疾患・循環器疾患)、女性・小児の疾患、新型コロナウイルス感染症など、医学的あるいは社会的にも重要な課題を解決すべく、研究開発や事業に取り組んでいます。


  当初、コンピューター工学及び低分子スクリーニングから創薬したPAI-1阻害薬などの低分子医薬品の開発を主体に開発を展開していましたが、研究・医療機関からの要請、更に医療現場の課題を解決するための必要性から、現在では当社の開発領域(モダリティ)は、医薬品のみならず、医療機器やAIソリューションなど多岐にわたっています。

 当社は、国内外の大学や他の研究機関で発掘された多くのモダリティにわたるコンセプトやシーズを、基礎研究から臨床開発(医師主導治験)までを一気通貫で繋げる研究開発を行い、大手製薬企業等に繋ぐことで医療イノベーション創出に貢献します。自社シーズを、オープンリソースとして外部研究者に提供し研究いただくことで新たな医療用途を発見し、この中から科学性、医学性、経済性(事業性)の観点から選択し医師主導治験に繋げていきます。

  当社は、大学など研究機関等との共同研究を通して自社シーズの医療応用の可能性を広げ、多くの診療科や医療機関と医師主導治験を実施することで、多くのモダリティにわたる革新的な医療シーズの橋渡しを具現化できるベンチャー企業です。

 当社研究開発の特徴は、これまでに培ってきた国内外の多くの共同研究や医師主導治験のネットワークを活用することです。

 これまで21件に及ぶ複数疾患に対する複数研究開発パイプラインでの医師主導治験の実績があり、多面的・多層的な研究開発事業を展開しています。現時点で、医師主導治験を活用した臨床開発パイプライン数では、当社は国内バイオベンチャーの中でもトップクラスと考えられます。

 医師主導治験には多くの利点があります。医師自ら治験を立案及び実施出来ますので、医療現場での課題実態に合った試験計画や枠組みで実施できるのみならず、医師の治験に対するモチベーションは高く、治験が効率的に進みます。治験実施計画の作成、規制当局との専門的な対応、患者登録など医師自らが治験を推進することや、オーファン疾患(患者数が少ない疾患)や企業が通常手を出さない困難な領域の疾患にも取組めることが特徴です。当社は多くの医療機関とのネットワークを通じて、多様な診療科にわたる医師主導治験を同時に複数実施することが可能です。

 当社は、医薬品の種になるリード化合物の探索から臨床開発(治験)まで一貫して取り組んでおり、当社が行う治験(医師主導)は全て国内外共に未承認の薬剤(first-in-human)を対象としており、海外承認(国内未承認)薬や既存薬の適応拡大のための治験ではありません。2003年の薬事法改正によって、医師自らが治験を実施する医師主導治験の道が開けましたが、治験に必要な医薬品を安全性試験、製剤を含めて全て自ら準備することは依然として難しい状況です。当時は、海外承認国内未承認の新薬や適応外使用薬(いわゆるドラッグラグ)も数多く存在したので、国内未承認薬や適応外使用薬が医師主導治験の主流でした。治験の実施し易さ(製造から安全性試験など既存のデータで対応可能)という点からも、多くの大学等の医療機関の医師が海外承認(国内未承認)の新薬や適応外使用薬の治験を医師主導で取り組みました。また、既存薬の適応拡大も大きな市場が期待できる場合は大手製薬企業も取り組みますが、市場の小さなオーファン領域の疾患は製薬企業の興味の対象ではないので、製薬企業が取り組まないオーファン疾患を対象に既存医薬品を用いて医師主導治験として実施される場合もありました。そのような背景から、「医師主導治験は適応拡大やオーファン疾患が対象」という印象が定着していた時期もございます。しかし、適応拡大の対象となる既存薬が特許期間中であれば、薬事承認に進めるにはライセンスが必要となりますし、一方、対象となる既存薬がジェネリックであれば特許も無いために大きな収益は期待できません。

 当社が現在医師主導治験に取り組んでいる医薬品プロジェクトの6件全てが、基礎研究から一貫して開発に取り組んでいる新規自社シーズで、先行事例のない国内外の未承認薬(first-in-human)です。オーファン疾患は2件(RS5614_CML、RS5614_メラノーマ)ありますが、自社シーズで特許もグローバルで確保しており、オーファン疾患治療薬といえども上市以降は確実な収益が期待できます。


(1) 事業モデル

 自社開発品(自社シーズ)を有する一方で、大学等からの外部シーズを獲得し医師主導治験を活用しながら治療コンセプトの実証Proof-of-concept (POC)まで成長させ、製薬企業等へライセンスアウトすることが、当社のビジネス・モデルです。現パイプラインの中で、自社シーズは、PAI-1阻害薬及びピリドキサミン等であり、外部シーズはこれら化合物の新たな用途等が該当します(事業の内容 (2) 当社のコア技術参照)。多様なモダリティ(医薬品、医療機器、人工知能(AI)ソリューション等)の研究開発を業務としていますが、大学等研究機関との共同研究で基礎研究を行い、その成果を活用して臨床開発(医師主導治験)までを一気通貫で繋げる開発を行っています。

 自社シーズに対する臨床応用の可能性を広げるために基礎研究を広く展開する必要があります。当社では、自社化合物をオープンリソースとして研究者に提供し研究いただくことで新たな用途の発見に取組んでいます(オープンイノベーション)。そして、この中から、科学・医学的、事業性の観点から適切なプロジェクトを取捨選択し医師主導治験を実施します。基礎研究成果は、共同研究を実施した大学等研究機関と共同で特許を出願し、当社事業の基盤となる知的財産の確保に努め、当社が独占的な実施権の許諾を受けた後に、事業化に向けた開発を進めます。

 医薬品や医療機器については、自社若しくは大学等研究機関/パートナー企業と共同で、製造方法の開発、非臨床薬効薬理試験、安全性試験、医師主導治験(第Ⅰ相〜第Ⅲ相)までを実施し、有効性と安全性の確認と知的財産価値を高めた上で、国内・海外の製薬企業等に対して、製品の開発権、製造権、販売権等をライセンスアウトすることで、(a)契約一時金、(b)開発の進捗に応じて支払われるマイルストーン収入、(c)製品上市後に売上高の一定割合が支払われるロイヤリティ収入、(b)売上高に対する目標値を達成するごとに支払われる販売マイルストーン収入等を得る事業モデルを採用しています。また、パートナー企業とは、ライセンス契約に至る前の比較的早期の研究開発段階において、将来のライセンス契約を前提としたオプション権付き共同研究契約(オプション契約)を締結することもあります(事業系統図の(共同研究))。この場合、当社は、パートナー企業から(a)共同研究費、(d)オプション契約費用を得ることで、自社の費用負担を低減しつつ、かつパートナー企業の開発リソースも活用することで、研究開発を加速できるメリットを得られます。


【業績等】

業績動向(百万円) 事業収益 営業利益 経常利益 純利益

(単独実績)2020.3 72 -183 -183 -184

(単独実績)2021.3 209 -86 -90 -100

(単独予想)2022.3 122 -395 -399 -400

(単独1Q実績)2022.3 31 -29 -32 -32


1株当たりの数値(円) EPS BPS※ 配当

(単独予想)2022.3 -36.00 - 0

調達資金使途 研究開発、借入金の返済


上場時発行済み株数 12,269,000株 (別に潜在株式16,500株)

公開株数 3,394,100株(公募2,240,000株、売り出し711,400株、オーバーアロットメント442,700株)


本邦以外の地域において開始される募集及び売出しに係る事項について

欧州及びアジアを中心とする海外市場(ただし、米国及びカナダを除く。)


PER:

PBR:

配当利回り:

公募時吸い上げ資金:21.3億

公募時時価:77億

    


【株主構成】 

宮田敏男 取締役会長 3,420,000 34.05 180日

大和日台バイオベンチャー投組ベンチャーキャピタル(ファンド)2,341,200 23.31 90日・1.5倍

宮田あや 取締役の親族 1,200,000 11.95 180日

宮田萌美 取締役の親族 1,050,000 10.45 180日

加藤敬子 取締役の親族 600,000 5.97 180日

宮田光世 取締役の親族 480,000 4.78 180日

THVP-1号投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 360,000 3.58 90日・1.5倍

SMBC社会課題解決投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 150,000 1.49 90日・1.5倍

KSP5号投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 120,000 1.19

宮田一慶 取締役の親族 120,000 1.19 180日

 

本募集及び引受人の買取引受による売出しに関し、貸株人かつ売出人である宮田敏男、売出人である加藤敬子及び宮田光世、当社株主である宮田あや、宮田萌美、宮田一慶、大塚ホールディングス株式会社及び野口一夫は、SMBC日興証券株式会社(以下「主幹事会社」という。)に対して、本募集及び引受人の買取引受による売出しに係る元引受契約締結日に始まり、上場(売買開始)日から起算して180日目の2022年3月22日までの期間中は、主幹事会社の事前の書面による承諾を受けることなく、元引受契約締結日に自己の計算で保有する当社普通株式及び当社普通株式を取得する権利を有する有価証券の発行、譲渡又は売却等を行わない旨を約束しております。

 当社株主である大和日台バイオベンチャー投資事業有限責任組合、THVP-1号投資事業有限責任組合、KSP5号投資事業有限責任組合及び77ニュービジネス投資事業有限責任組合は、主幹事会社に対して、本募集及び引受人の買取引受による売出しに係る元引受契約締結日に始まり、上場(売買開始)日から起算して90日目の2021年12月22日までの期間中は、主幹事会社の事前の書面による承諾を受けることなく、元引受契約締結日に自己の計算で保有する当社普通株式及び当社普通株式を取得する権利を有する有価証券の発行、譲渡又は売却等(ただし、その売却価格が募集における発行価格又は売出しにおける売出価格の1.5倍以上であって、主幹事会社を通して行う東京証券取引所での売却等は除く。)を行わない旨を約束しております。

 

【代表者】

代表者名 内藤 幸嗣(上場時62歳6カ月)/1959年生

本店所在地 東京都中央区日本橋本町

設立年 2000年

従業員数 5人 (7/31現在)(平均36.2歳、年収634.8万円)

株主数 15人 (目論見書より)

資本金 210,000,000円 (8/18現在)

代表者生年月日 1959年03月14日生まれ

代表者略歴

1987年04月 (株)ミドリ十字(現 田辺三菱製薬(株))入社 同社 中央研究所蛋白医薬研究部

2001年10月 三菱ウェルファーマ(株)(現 田辺三菱製薬(株))蛋白医薬研究所 グループマネージャー

2007年10月 田辺三菱製薬(株) 先端医薬研究部 グループマネージャー

2009年04月 同社 事業開発部 シニアマネージャー

2015年07月 同社 ビジネスディベロップメント部 シニアマネージャー

2019年01月 当社 入社 研究開発部長 7月:当社 取締役研究開発管掌 就任

2020年08月 当社 代表取締役副社長 就任

2021年03月 当社 代表取締役社長 就任(現任)


【幹事団】

主幹事証券 SMBC日興 - -

引受証券 大和 - -

引受証券 SBI - -

引受証券 極東 - -

引受証券 東洋 - -

引受証券 いちよし - -

引受証券 丸三 - -


【参考類似企業】 時価総額(8/31)

4564  OTS 169億円

4565  そーせい 1,442億円

4571  ナノキャリア 204億円

4572  カルナバイオ 150億円

4575  CANBAS 32億円

4582  シンバイオ 412億円

4588  オンコリス 220億円

4594  ブライトパス 82億円

4597  ソレイジア 173億円

4598  DELTA-P 78億円

4882  ペルセウス 72億円


【私見】

 赤字のバイオなので本来は投資対象外ですが、コロナ治療薬の開発を進めていることから注目度は高いです。アンジェスではありませんが、売上も2億程度で赤字の会社なので開発には現実味はありませんが、話題性から一喜一憂する相場は続く可能性はあります。規模は適度な大きさですが、VCは条件付きロックなので売り要素は多く、個人の売買で乱高下する相場が起こりそうな気はします。また、1000円以下銘柄は上がる銘柄も多く、コロナ銘柄として初値人気は高そうな気はします。


想定価額:630円

仮条件上限:670円

初値予想:1000円

ブック申し込み度・・・強気

セカンダリー期待度・・・中立~やや強気

総合評価3.5


0 件のコメント:

コメントを投稿