2023年12月11日月曜日

IPO分析(ヒューマンテクノロジース)

【事業内容】

​ (1)当社グループの概要

 当社及び連結子会社4社により構成されており、勤怠管理SaaS事業を営んでおります。当社グループは、「オペレーションから解放し、創造的業務への後押し」をミッションとして掲げて、クラウド勤怠管理システム「KING OF TIME」の開発・販売を主たる事業としております。

 企業にとって最も重要な経営資源は、「ヒト(人材)」と考えております。その「ヒト」の「時間」(人時)を管理するベースとなるのが「勤怠管理」であり、「人時生産性(注1)」を向上させることこそが、当社グループの使命であります。勤怠管理業務を、日々の煩雑なオペレーション業務から、「ヒト」に紐づく様々なデータを利活用できる創造的業務へと転換することを目指しております。

 勤怠管理システムは、各種法規制への対応や、バックオフィス業務の効率化を背景に導入が進んできましたが、2019年4月に施行された「働き方改革関連法」への対応需要により、SaaS市場を中心に市場が急拡大し、国内市場における導入率も向上しました(富士キメラ総研「ソフトウェアビジネス新市場 2023年版」)。

 そのような中で、当社グループは、クラウド勤怠管理システム「KING OF TIME」に経営資源を集中し、複雑・高度化する勤怠管理需要に応えてきました。その結果、幅広い企業の勤務形態へのカバーが可能となっております、中小/中堅企業をコア顧客層としつつ、高度なセキュリティ要件にも対応していることから、近年は大手企業への導入も進んでおります。

 「KING OF TIME」にリソースを集中する一方で、人事管理システムや給与システムなどの外部サービスとの連携も積極的に進めています。勤怠管理と親和性の高いサービスを中心に、市場で評価を得ているサービスや、同時利用で相乗効果が期待できるサービスと連携し、利用者の利便性を最優先に考えたオープンなエコシステムとなっております。勤怠管理に向き合い続けた結果、「KING OF TIME」は、規模・業種・業態問わず、様々な企業に選ばれるサービスに成長することができました。

 販売チャネルの特徴として、既に強固な顧客基盤を持つ販売パートナー(販売店及びOEM提供先)との連携が挙げられます。クラウドサービスは直接販売が主流で、多額な広告宣伝費をかけて見込客を獲得し営業活動を行うのが一般的ですが、当社グループは既に多数の顧客を持っている販売パートナー企業と連携することによって効率的に顧客を獲得しており、2023年9月における課金ID数に占める販売パートナー経由の間接販売が、約65%を占めております。


(2)サービスの概要

 「KING OF TIME」は、2003年12月にリリースを実施いたしました。現在に至るまでに、多岐にわたる機能改善を行い、顧客ニーズを汲み上げ多機能化を実現した結果、業種・業態、企業規模に大きく偏らず、導入されるサービスに成長しました。

 ローカルルールが多く存在し、百社、百通りの勤怠管理があると言われる勤怠管理市場におきまして、オールラウンドな導入実績は当社サービスの優れた機能性を示しており、大きな特徴の一つだと考えております。

 また、「KING OF TIME」の機能面の特徴として、以下6つが挙げられます。

①打刻方法

 顔認証や静脈認証などの生体認証やICカードなど、働き方や業務形態に応じた最適な打刻方法を選択できます。また、出勤はオフィスでICカード、退勤は外出先からスマートフォンといったように、環境に合わせて複数の打刻手段を組み合わせることも可能です。

②管理集計機能

 顧客からの要望を反映して長年バージョンアップを重ねてきた結果、各社各様の就業規則に対応した勤怠管理を実現することができます。また、法定の休暇管理だけでなく独自に付与する休暇の管理や、残業申請などの各種申請承認、勤怠データの給与連携などの機能が備わっています。加えて、勤怠管理に関わるプロフェッショナル(社労士・税理士・弁護士)のアドバイスを反映し、コンプライアンスを意識した機能開発を行っております。

③データ活用機能

 集計された従業員・勤怠データを給与計算サービスや人事管理サービスへ活用できます。

 給与計算サービスとの連携方法は、CSV連携とAPI連携の2通りがあります。CSV連携は顧客毎に出力する項目とレイアウトを設定できます。API連携は、無償で公開しており、公開している項目数が多くAPI連携実績が多数あります。

④誰でも使える

 顧客からの要望を反映して長年バージョンアップを重ねてきた結果、利用しやすいシンプルな画面構成となっています。パソコン操作が苦手なユーザーや従来の紙のタイムカードを使用するユーザーであってもスムーズな乗り換えが可能です。

⑤充実のサポート体制

 チャット、電話(要予約)、オンラインヘルプ、動画などのコンテンツがあり、無料体験中から本番運用を想定しての利用が可能です。

⑥最新のセキュリティ完備

 ハードウエア・ソフトウエア両面で、また社内外からのアクセスについてセキュアな環境を設定し、システムの運用にあたっております。最新のセキュリティシステムの採用により、お客様の大切な情報をしっかりお守りします。バックアップも複数拠点で行っているため迅速な復旧が可能となっております。

 また、当社グループが属する勤怠管理システムを起点としたHRサービスの潜在市場規模は、以下のとおりであります。この分野の成長ドライバーとして、「企業のDX化ニーズ」「働き方改革の推進」「リモートワーク普及等の労働環境変化による対応」等により業務の効率化やデータに基づく管理が求められ、労務管理業務のシステム化が一層進むと想定しております。


【業績等】

2024/03 連結中間実績 2,395 219 216 132

2024/03 連結会社予想 4,919 501 481 326

2023/03 連結実績 4,223 328 325 237

2022/03 連結実績 3,584 591 583 438


決算期 種別 EPS BPS 配当

2024/03 連結会社予想 38.96 333.31 10.20


上場時発行済株数 9,100,000株

公開株数 3,781,200株(公募1,000,000株、売り出し2,288,000株、オーバーアロットメント493,200株)

調達資金使途 システム開発、マーケティング費用、海外市場開拓への投資


売出しを行う地域

欧州及びアジアを中心とする海外市場(但し、米国及びカナダを除く。)


PER:26.2

PBR:

配当利回り:0.1%

公募時吸い上げ資金:38.5億

公募時時価:92億

​   

【株主構成】 

ニューホライズン(株) 役員らが議決権の過半数所有 3,600,000 44.44% 360日

恵志章夫 代表取締役会長 1,800,000 22.22% 360日

奥畑和行 特別利害関係者など 900,000 11.11% 360日

飯泉満 従業員 900,000 11.11% 360日

渡辺修次 特別利害関係者など 738,000 9.11%

家崎晃一 代表取締役社長 81,000 1.00% 360日

伊藤忠商事(株) 特別利害関係者など 81,000 1.00% 180日


 本募集並びに引受人の買取引受による売出しに関連して、売出人かつ貸株人である恵志章夫、売出人である奥畑和行及び飯泉満並びに当社株主であるニューホライズン株式会社及び家﨑晃一は、共同主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む。)後360日目の2024年12月15日までの期間中、共同主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却(ただし、引受人の買取引受による売出し及びオーバーアロットメントによる売出しのために当社普通株式を貸し渡すこと等を除く。)等を行わない旨合意しております。

 また、当社株主である伊藤忠商事株式会社は、共同主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む。)後180日目の2024年6月18日までの期間中、共同主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社株式の売却等を行わない旨合意しております。


【代表者】

代表者名 家崎 晃一(上場時62歳7カ月)/1961年生

本店所在地 東京都港区元赤坂

設立年 2011年

従業員数 280人 (2023/09/30現在)(平均36.5歳、年収553万円)、連結296人

事業内容 勤怠管理を中心としたクラウドサービスの開発および提供

URL https://www.h-t.co.jp/

株主数 7人 (目論見書より)

資本金 19,930,000円 (2023/11/17現在)

代表者生年月日 1974年04月01日生まれ

代表者略歴

1998年04月 ㈱リョーサン 入社

2001年06月 Singapore Ryosan Private Limited 出向

2009年08月 当社 入社

2021年06月 当社 取締役

2021年09月 ITエージェント㈱ 代表取締役就任

2022年06月 当社 代表取締役社長(現任)


【幹事団】

主幹事証券 みずほ 2,383,900 72.50%

主幹事証券 大和 739,800 22.50%

引受証券 SBI 98,600 3.00%

引受証券 楽天 65,700


【参考類似企業】今期予想PER(11/24)

4013 勤次郎 27.4倍 (連結予想) 時価100億 売40億 経5.4億

4060 rakumo 34.9倍 (連結予想) 時価60億 売12億 経2.8億

4287 ジャストプラ 12.8倍 (連結予想)

4397 チームスピリト - (連結予想)

6436 アマノ 18.2倍 (連結予想)

【私見】

 勤怠管理システムの販売で、どのくらいの優位性があるか分かりませんが、上場を機に成長性はありそうな会社です。業績も伸びており、勤次郎やrakumoあたりよりもやや低めで、サイズとしては勤次郎とスタート時点で同サイズで、成長性を考えると上値余地はありそうです。高く評価をしても150億までが限界かとは思います。問題は吸収金額の大きさで、初値段階で個人の買いが入るかは微妙で、売り要素もないことから安ければ買いのスタンスでも良いのかもしれません。


想定価額:940円

仮条件上限:1020円

初値予想:1200円

ブック申し込み度・・・中立

セカンダリー期待度・・・中立

総合評価:3.5

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