2023年12月6日水曜日

IPO分析(ロココ)

 【事業内容】

​ 当社グループの事業は、アウトソーシングサービスを行うITO&BPO事業(ITアウトソーシング&ビジネスプロセスアウトソーシング事業の略)、システム開発・保守・導入支援を行うクラウドソリューション事業、海外法人としてオフショア拠点にて開発・保守業務を行う海外事業の3つに区分され、更にITO&BPO事業及びクラウドソリューション事業はそれぞれ複数の事業で構成されております。

 ITO&BPO事業では、IT人材の常駐によるアウトソースを主とするITサービスマネジメント事業、ITに限らず様々な業務に対応したコールセンター・BPOサービスを行うカスタマーコミュニケーション事業、エンターテインメント顧客(興行主)へライブチケットの配席管理等を行うイベントサービス事業の3つのアウトソーシングサービスを行っております。当社が行うアウトソーシングサービスは、顧客企業のオペレーションの一部を担っていることが多く、取引の継続性が非常に高いことで、顧客との信頼関係を構築し付加価値の高い提案へと繋げることが可能であることが特徴となっております。

 クラウドソリューション事業では、米国ServiceNow社が提供するプラットフォームシステムの導入支援・運用保守の日本展開を行っているServiceNow事業、自社製品の勤怠管理システム「RocoTime(ロコタイム)」の開発・販売を行っているHRソリューション事業、システムの受託開発・保守及び米国Microsoft社が提供する「Microsoft Dynamics365/Power Platform」の導入支援・運用保守を行うシステムソリューション事業、自社製品の顔認証システム「AUTH(オース)」シリーズ及び入退場ゲートシステムの開発・販売・保守を行っているソリューション事業の4つのサービスを行っております。

 また、開発エンジニアの確保とコスト効率化を目的として中国・フィリピンに現地法人を設置しオフショア拠点として活用し、事業の成長性と収益性の向上に努めております。

 当社は、ITO&BPO事業及びクラウドソリューション事業の両事業共通して新卒・中途の採用を積極的に行っており、教育・研修を通した経営理念・経営姿勢の浸透、ITスキルの習得は重要な経営課題であると認識し注力しており、2022年12月期の離職率は業界平均よりも低水準となっております。また、顧客企業の課題解決やニーズ抽出を重要視していることから、契約形態は一次請けにこだわっており、それによって顧客1社1社と良好かつ密な関係構築が可能になるとともに、売上高の約7割を大企業(資本金1億円以上もしくは上場会社の子会社)が占めており(2022年12月期実績)、当社のノウハウ蓄積も可能になることが強みになっております。


《ITO&BPO事業》

(ITサービスマネジメント事業)

 関東圏、関西圏を中心に製造業、卸売業、小売業、金融機関等、様々な業種において、PC-LCM(PCの調達から廃棄までのライフサイクルの管理)、ヘルプデスク、キッティングサービス、インフラ・ネットワーク構築、エンジニア常駐等、幅広いサービスを提供しております。複雑化、高度化する顧客ニーズに応えるため、アウトソースする人材の正社員比率は80%を超える高い水準を維持しております。また、顧客との契約は長期継続が基本となっており、最近2事業年度の年間顧客解約率は5%未満であります。


 (カスタマーコミュニケーション事業)

 コールセンターサービス及びBPOサービス業務を行っております。大阪・東京合わせて200超の席数を有するテクニカルセンターが設置され、顧客ニーズに応じた柔軟なサービスを提供しております。差別化を図る上での当社の特徴としては、24時間365日対応が可能であること、必要な時間、必要な日数だけ対応するシェアード・サービスが可能であること、小売り、飲食、介護、コスメ、通信等様々な業種での実績・ノウハウがあり、多様なテクニカルサポートが可能であることが挙げられます。

 

(イベントサービス事業)

 コンサート、舞台などイベントに関するチケッティングサービスをトータルに提供しております。

具体的には、チケット販売サイトの運用業務、チケット購入申し込みの受付対応、申し込みデータの整理と当落抽選作業、入金対応、当選者の席割り付け(配席作業)、チケット券面作成とそのチェック業務及びイベント当日の問い合わせ対応などの業務を、丸ごとあるいはいずれか一部を請け負っております。

 なお、チケット販売サイトの構築及び保守や現地券売機とのデータ連携処理、顔認証入場ソリューションのカスタマイズなどはソリューション事業において行っており、当該事業と連携してサービス提供を行っております。


《クラウドソリューション事業》

(ServiceNow事業)

 ServiceNowはワークフロー構築やサポートデスクの運用管理等、社内業務に関するシステムを一元化して運用・管理できるクラウドサービスであります。当社は、このServiceNowを用いて、クライアント企業のワークフロー構築やタスク管理による業務プロセスの自動化や統合データベースによる情報管理の一元化等を提供するためのシステムの開発、運用サポート、保守を行っております。

 ServiceNowに関しては、米国ServiceNow社の日本展開の黎明期より歩みを共にし、「Sales」、「Service」、「ServiceProvider」、「Technology」の4領域でパートナー認定を受けております。この4つのパートナー認定すべてを持つパートナーは、2023年6月末時点において日本では8社程度であり、当社は顧客要望に合わせて複数の提案方法を検討できることが強みであります。

 また、ServiceNowに対応ができるエンジニアは、他事業のエンジニアと比べて高単価であることが特徴であり、一人当たり売上高は、ITサービスマネジメント事業と比べて1.9倍、システムソリューション事業と比べて1.5倍となっております(2021年1月~2023年7月の31ヶ月平均)。


(HRソリューション事業)

 わが国のDX推進や、コロナ禍におけるリモートワークの増大等、ビジネス環境の急速な変化から、人々の働き方が多様化・複雑化してきており、企業の人材管理ツールにおいてもデジタル化、課題解決型のものが求められております。当事業においては、自社製品の勤怠管理システム「RocoTime(ロコタイム)」の開発・販売を行っております。「RocoTime」は、業界・業種、社員数の規模を問わず、日本の商慣習を網羅した高機能なパッケージ製品であり、企業ごとの特有な就業規則に柔軟なカスタマイズが可能であるほか、導入支援等のサポート体制も充実していることが特徴であります。


(システムソリューション事業)

 お客様のニーズに沿ったシステムの設計、製造及びテスト等を行う受託開発業務、当社の開発エンジニアを常駐させお客様と共にシステム開発を行うエンジニア常駐を行っております。また、「Microsoft Dynamics365/Power Platform」は、カスタマーサービス業務の効率化から品質の向上までの企業のDX推進を支援するシステムであり、企業規模やニーズに合わせてシステム導入支援・運用保守のサポートを行っております。


(ソリューション事業)

 顔認証の技術を利用したソリューションを提供しております。昨今のコロナ禍における感染拡大防止の観点からの非接触対応への期待、イベント・会議等でのなりすましやチケット・IDの偽造・転売の問題等、社会的なニーズから顔認証システムが普及しつつあります。一般的な顔認証システムの導入には大規模な工事や複雑な運用システムがハードルとなりますが、当社製品の「AUTH」シリーズは大規模な設置工事を必要とせず、省スペースかつソフトウエアやアプリケーションのインストールだけで簡単に導入することができます。「AUTH」シリーズには、手ぶら・顔認証でスムーズな入退場を可能とする「AUTH thru(オースルー)」、スマートフォンでの生体認証チケット「AUTH TICKET(オースチケット)」、PCログインソフトウエア「AUTH SIGN(オースサイン)」、顔認証入退場管理に電気錠を連動させスムーズな入退場を可能にする「AUTH thru KEY(オースルーキー)」があります。


《その他》

(海外事業)

 中国・寧波及びフィリピン・セブをオフショア開発の拠点として、システム開発を一部委託することにより、コスト面、スピード面での優位性を高めております。寧波楽科科信息技術有限公司の開発エンジニアは100%正社員を採用しており、日本と中国の語学及びITスキルを兼ね備えたシステムエンジニアを配置しております。

 

【業績等】

決算期 種別 売上高 営業利益 経常利益 純利益

2023/12 連結3Q累計実績 5,325 394 376 250

2023/12 連結会社予想 7,203 483 467 311

2022/12 連結実績 6,929 691 698 453

2021/12 連結実績 6,304 395 408 322


決算期 種別 EPS BPS 配当

2023/12 連結会社予想 118.33 566.27 -


上場時発行済株数 3,500,000株(別に潜在株式216,300株)

公開株数 1,552,500株(公募900,000株、売り出し450,000株、オーバーアロットメント202,500株)

調達資金使途 人材雇用・研修教育費、海外進出のための現地市場調査費、借入金返済


PER:7.9

PBR:

配当利回り:

公募時吸い上げ資金:14.6億

公募時時価:33億

​   

【株主構成】 以下90日

(株)イッシン 役員らが議決権の過半数所有 1,300,000 46.16%

長谷川一彦 代表取締役社長 640,000 22.72%

長谷川裕美 代表取締役の配偶者 100,000 3.55%

吉原美智代 専務取締役 98,400 3.49%

加藤芳男 特別利害関係者など 50,000 1.78%

西本憲二 常務取締役 42,400 1.51%

河村博文 取締役 38,400 1.36%

長谷川昭次 代表取締役の血族 30,000 1.07%

ロココ社員持株会 特別利害関係者など 26,000 0.92%

長谷川正人 専務取締役、代表取締役の血族 20,000 0.71%

諏訪匡代 代表取締役の血族 20,000 0.71%

西村泉 特別利害関係者など 20,000 0.71%


​ 本募集並びに引受人の買取引受による売出しに関連して、貸株人及び売出人である長谷川一彦、売出人である株式会社イッシン並びに当社株主である長谷川裕美、吉原美智代、加藤芳男、西本憲二、河村博文、長谷川昭次、長谷川正人、諏訪匡代、清水知幸、福田勝志、関口晃、中川育弘、水野賢仁、内田悟、長谷川敏子、諏訪貴之、藤山浩泰、西尾隆之、西迫哲彦、戸部好彦、蓼沼大輔、矢崎良和、水谷卓次、河野亨、宇田寛司、川口勝之及び酒井克彦は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後90日目の日までの期間中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却等(ただし、引受人の買取引受による売出し及びオーバーアロットメントによる売出しのために当社普通株式を貸し渡すこと等は除く。)を行わない旨合意しております。


【代表者】

代表者生年月日  1951年12月23日生まれ

代表者略歴

1971年11月      コンピュータサービス株式会社 (現:SCSK株式会社)入社

1994年06月      当社設立

1994年06月      当社代表取締役社長(現任)

代表者名 長谷川 一彦(上場時71歳11カ月)/1951年生

本店所在地 大阪府大阪市中央区西心斎橋(東京本社:港区芝)

設立年 1994年

従業員数 554人 (2023/10/31現在)(平均37.5歳、年収494.9万円)、連結637人

事業内容 IT(情報技術)アウトソーシング・BPO(業務外部委託)サービスおよびシステム開発・保守・導入支援など

URL https://www.rococo.co.jp/

株主数 79人 (目論見書より)

資本金 66,500,000円 (2023/11/15現在)


【幹事団】

主幹事証券 野村 1,226,000 90.81%

引受証券 みずほ 52,000 3.85%

引受証券 岩井コスモ 21,000 1.56%

引受証券 岡三 21,000 1.56%

引受証券 SBI 10,000 0.74%

引受証券 楽天 10,000 0.74%

引受証券 松井 10,000 0.74%


【参考類似企業】今期予想PER

2471 エスプール 13.2倍 (連結予想)

3766 システムズD 11.0倍 (連結予想)

3937 Ubicom 21.6倍 (連結予想)

4053 サンアスタリスク 26.1倍 (連結予想)

4290 PI 16.2倍 (連結予想)

4481 ベース 20.2倍 (連結予想)

5035 HOUSEI 15.2倍 (連結予想)

6199 セラク 12.4倍 (連結予想)

7361 HCH 8.6倍 (連結予想)

9216 ビーウィズ 16.1倍 (連結予想)

9799 旭情報 10.7倍 (単独予想)


【私見】

 アウトソーシング事業ということで、同業も多く、大きな優勢性は感じないので業種妙味はありません。業績は伸びてはいるものの、急成長とまではいかず、PERは他社に比べて仮条件を大幅に上げてもまだ割安感はあります。吸収金額は大きくはなく、ロックも完全なので需給は良いのですが、成長性を考えると買い手は少なく、需給主導で初値は形成される可能性は高く、当日の地合い次第でぶれるしょう。


想定価額:710円

仮条件上限:940円

初値予想:1200円

ブック申し込み度・・・中立

セカンダリー期待度・・・中立

総合評価:3

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