2023年12月7日木曜日

IPO分析(マーソ)

 【事業内容】

​ 予約をはじめとする経営基幹システムとWEBシステムの提供を通じて経営及び業務効率改善に資する各種DX推進を支援しております。事業セグメントとしては「ヘルステック事業」の単一としておりますが、提供サービス内容に応じて、①受診者と人間ドック・健診を提供する医療施設をつなぐ人間ドック・健診の予約プラットフォームである「MRSO.jp」の運営を中心としたヘルスケアプラットフォームサービス、②医療施設や地方自治体、法人に対して「予約」のデジタル化を基軸とした業務効率化に資する各種クラウドサービスを提供するDXサービス、③大規模接種等サービスにて構成され、主にパブリッククラウドによるSaaS(Software as a Service)形態として提供しております。

 当社の直近2事業年度においては、度重なる変異を遂げながら感染拡大する新型コロナウイルスに対して、国を挙げてワクチン接種の早期化が実現される中、当社は新型コロナウイルスのワクチン接種に関するWEB予約システムの提供体制を早期に構築し、継続的な機能拡充等を実現してきました。

 新型コロナウイルスワクチン接種は、主に市町村を主体に行われており、DXサービスの一つとして「MRSOワクチン」を提供しております。

また、市町村での接種を補完する形で臨時的に防衛省が設置した大規模接種会場や都道府県が独自に設置した集団接種会場(以下、「大規模接種」)、一部の上場企業や大学等の教育機関を中心に関係者のワクチン接種促進を目的とした集団接種会場(以下、「職域接種」、「大規模接種」と併せて「大規模接種等」)が各地に設けられており、これら大規模接種等に向けても、WEB予約システムを提供しております。

 当社では、新型コロナウイルスのワクチン接種に関するWEB予約システムを、①市町村(サービス名称「MRSOワクチン」)、②大規模接種、③職域接種(②、③はサービス名称無し)に各々ワクチン接種WEB予約システムの提供を行ってまいりました。このうち、②大規模接種及び③職域接種は臨時的な措置として設置されたワクチン接種体制のため、継続的なサービスとはならないと考えております。このため、サービス提供区分上は、「大規模接種等サービス売上」として、独立表記しております。


各サービス提供区分における主なサービスは以下のとおりです。

(1) HCPFサービス

 本サービスは、予防医療の啓蒙・健康寿命延伸に資する情報のオープン化や受診者ファーストとなるサービスの提供により、「わたしに合わせた人間ドック予約」をコンセプトに、予防医療をより身近なものにすることを目指しております。

 人間ドック・健診の予約プラットフォーム「MRSO.jp」は、2022年12月末日現在において国公立病院、大手グループ病院からクリニックまで、1,326の医療施設が提供する人間ドック・健診プランを掲載しており、受診者は、地域・路線、検査項目、受診希望日、金額、気になる病気や症状等から自身のニーズにマッチした提供施設及び提供プランを比較・検討することが可能です。また「MRSO.jp」が保有する医療施設ネットワーク及び医療施設の人間ドック・健診データを活用し、生命保険会社や会員保有企業等の提携先に対して、人間ドック・健診の予約機能を提供し、提携先各社が提供している商品価値の向上を支援しております。


 本サービスを利用頂く医療施設に対しては、人間ドック・健診の予約プラットフォームとして掲載医療施設数国内No.1であり、「MRSO.jp」への掲載により、受診者獲得のためのマーケティング機能として活用頂くことで、新規受診者層の拡大や閑散期における受診者の獲得等、医療施設の経営効率化の実現に寄与しております。

 「MRSO.jp」の収益形態は、受診者が「MRSO.jp」を通じて医療施設が提供する人間ドック・健診プランを予約後、医療施設で実際に受診した場合に、医療施設から受診金額に対して「MRSO.jp」のサービス利用料を収受する成果報酬型モデルであります。

 また、「MRSO.jp」のサイト上にて医療施設の予約促進を可能とする広告掲載サービスを行っております。こちらは掲載医療施設への広告提供枠に応じて、月額定額の広告掲載料を収受する定額報酬型モデルであります。

 その他、当社では予防医療の啓蒙を目指し、「人間ドックのミカタ」を運営しております。医師監修の上、人間ドックの見方と選び方をわかりやすくする情報発信を行っております。

 当社では、医療施設に対して、「MRSO.jp」の利用を通じたマーケティング機能と、「MRS」(以下の(2)①医療施設向けDXサービスに記載)を通じた人間ドック・健診予約に関する業務効率化機能の2つのサービスを同時に提供することにより、医療施設の経営改善の促進を図るビジネスモデルを構築しております。

 このため、当社では、医療施設と受診者をつなぎ、身近に予防医療を接して頂くことを通じて健康寿命の延伸に貢献できるサービスとして、「MRSO.jp」と「MRS」を利用して人間ドック・健診を予約された金額の合計(以下、「予約取扱高」)と、その母集団形成の基礎となる「MRSO.jp」掲載医療施設数の成長性を重視しております。これらの当社設立以来の推移は以下のとおりです。

 

(2) DXサービス

 本サービスは、当社の設立以来提供している医療施設向け人間ドック・健診WEB予約システム(「MRS」)の開発運営により培った経験やノウハウを活用し、医療施設の他、主に地方自治体等の行政機関が実施する各種健康診断や、予防接種等の予約管理等に利用可能なWEB予約システムを提供しております。

 また、当社の主領域となるヘルスケア領域に限定せず、ユーザーニーズに沿った各種業務効率化に資するDXサービスの展開を図り、サービス対象領域の拡大を図っております。


本サービスの概要は以下のとおりです。

① 医療施設向けDXサービス

 本サービスは、医療施設のホームページに設置される人間ドック・健診WEB予約システムの提供であり、「MRSO.jp」を利用する医療施設に対しては、基本的に本サービスの提供も行われております。

医療施設における人間ドック・健診の予約は、外来受付や電話による口頭での手配が多いのが実情ですが、本サービスの導入により、医療施設では、電話等による予約受付業務を軽減しながらスムーズなWEB予約受付や顧客管理を可能とすることで業務効率の向上に資するとともに、24時間予約受付の実現による人間ドック・健診の受診機会向上に寄与しております。また、受診者に対してもWEB予約を通じて医療施設の提供する人間ドック・健診プランに関する情報を直接提供することにより、受診に関する利便性が高まります。

 本サービスの収益形態は、受診者が本サービスを通じて予約後、実際に受診した場合に医療施設から受診金額に応じてサービス利用料を収受する成果報酬型モデルとなっております。

 上記の基本機能に加えて、受診者からの異なる導線からの予約(電話予約とWEB予約)を統合管理するとともに、予約プランに応じて利用される各医療機器の時間枠についても管理可能な機能を有し、予約業務の省力化と医療機器の稼働率向上を可能にするクラウド型健診予約管理サービス「MRSO-Plus」を中心に、別途各種オプションサービス(MRSO-MAIL、MRSO-CRM、MRSO健診結果、MRSO-API等)を提供しております。

 これらのオプションサービスを組み合わせることで、医療施設での予約から受診、健診管理までの人間ドック・健診の一連の業務プロセスをDXにより提供できるサービス体制となっております。

 各種オプションサービスの収益形態は、各サービス利用料を月額定額報酬として収受する定額報酬型モデルとなっております。


② 行政向けDXサービス

 本サービスは、地方自治体において地域住民等との間で活用される各種予約申込の受付管理業務を中心にデジタル化を推進し、職員等の業務負荷軽減のみならず、地域住民の利便性向上、行政サービスに対する満足度向上を実現させるものとして、各種システムの提供を行っております。

 当社が提供する住民健診WEB予約システム(「MRSO住民健診」)は、従来の電話予約中心の業務プロセスをWEB予約中心へ移行していくためのソリューションとして市町村に活用されています。特定健康診査等実施計画の作成主体となる市町村は、特定健診・特定保健指導の受診率向上に努める政策を推進する中、「MRSO住民健診」を利用することで、地域住民がスマートフォンやPCからの24時間予約が可能となることを通じて利便性が向上し、職員の予約管理業務に係る業務負荷軽減が実現されております。

 また、2020年1月の国内での新型コロナウイルス感染者確認以降、国を挙げて感染予防のためのワクチン確保と官民協力によるワクチン接種体制が整備される中、MRSの開発運用等で培った知見と実績に基づき、2021年1月より新型コロナウイルス等のワクチン接種に関するWEB予約サービス(「MRSOワクチン」)を提供しております。

 「MRSOワクチン」は、国の接種方針に合わせた迅速なシステム開発体制を構築し、利用者の利便性向上に資する拡張性を実現するとともに、システムの堅牢性をベースとした安定稼働の実績により、多くの市町村で利用されております。また、「MRSOワクチン」は、国のワクチン接種記録システム(VRS)とシステム連携が可能であり、予約受付から接種当日の受付、接種後の接種記録表示まで、ワクチン接種に関する一連のプロセス全てに対応をしております。これらにより、地域住民の利便性向上と利用主体となる職員等の業務効率化に貢献しております。

 「MRSOワクチン」は当初新型コロナウイルスワクチン接種向けのWEB予約システムとして開始しましたが、2022年10月よりインフルエンザ予防接種との同時接種が可能となったことに伴い、2022年12月期より、一部の市町村では同予防接種の予約サービスにも利用される等、用途範囲が拡大しております。なお、当社が提供する「MRSOワクチン」は、ワクチン接種WEB予約システムに関する導入契約数で市場シェアNo.1(※7)となっております。

 上記のサービス提供を通じて、多くの地方自治体からの要望等に基づき、ヘルスケア領域に限定することなく行政実務全般に関するDXサービスの提供を開始しております。既存取引自治体を中心に、行政サービス全般の各種申請手続き(がん検診の申込や受診券発行、各種アンケートやイベント申込等)に利用できる「MRSOフォーム」や、各種窓口予約やイベント予約等の受付に活用することが可能な行政WEB予約サービス「MRSOご予約」といったサービスの提供を既に開始しており、今後の当社の収益基盤拡大に向けて推進していく予定です。

 なお、行政向けDXサービスの提供にあたっては、市町村よりコールセンターや会場の運営管理業務も含めて一括して委託されることもあり、このような場合には大手旅行代理店等の販売パートナーと協業のうえ、当社は販売パートナーを通じて提供するWEB予約システムの運営管理のみを実施しております。

 これらのサービスの収益形態は、利用規模に応じてサービス利用料を月額報酬として収受する、定額報酬型モデルとなっております。


(3) 大規模接種等サービス

 本サービスは、国・都道府県・企業や大学等の職域を中心に、大規模接種及び職域接種にて利用されるワクチン接種WEB予約システムの提供を行っております。

 2021年以降のワクチン接種においては、市町村での接種をベースとしながらも、多くの国民への早期ワクチン接種を実現するため、補完的かつ臨時的な対応として、多くの大規模接種等が実施されてきました。一方で、大規模接種等は、ワクチン接種が相当程度浸透したことやワクチン接種の緊急性の低下等に伴い国の接種体制も見直される中、多くの大規模接種等が2023年3月迄に終了しております。このように大規模接種等は、性質として定常的なサービスであるDXサービスとは異なるため独立区分としております。

 上記の状況を踏まえて、当社では、2023年12月期以降の中期経営計画上は、大規模接種等サービスとして区分している売上については、既に受注を受けたもの以外は一切見込んでおりません。

 

【業績等】

決算期 種別 売上高 営業利益 経常利益 純利益

2023/12 単独3Q累計実績 1,379 490 488 320

2023/12 単独会社予想 1,815 589 579 402

2022/12 単独実績 2,251 995 996 653

2021/12 単独実績 1,739 883 881 650


決算期 種別 EPS BPS 配当

2023/12 単独会社予想 116.18 530.76 0.00


上場時発行済株数 3,531,250株(別に潜在株式253,370株)

公開株数 884,400株(公募75,000株、売り出し694,100株、オーバーアロットメント115,300株)

調達資金使途 システム開発投資、広告宣伝投資


PER:18.6

PBR:

配当利回り:

公募時吸い上げ資金:19.1億

公募時時価:76億

​   

【株主構成】 

西野恒五郎 代表取締役社長 1,488,750 40.13% 180日

三和システム(株) 役員らが議決権の過半数所有 774,700 20.88% 180日

ジャフコSV4共有投組 投資業(ファンド) 375,000 10.10% 90日・1.5倍

神田有宏 顧問先、元取締役 336,700 9.08% 180日

Aflac Ventures LLC 投資業(ファンド) 232,800 6.28% 180日

阿部順一 取締役副社長 154,500 4.16% 180日

菅生淳一 取締役 90,500 2.44% 180日

森トラスト(株) 資本業務提携先 75,000 2.02% 180日

(株)ウエスト・プラニング 顧問先 37,500 1.01% 

吉田弘 取締役 21,600 0.58% 

熊谷信太郎 元取締役 18,750 0.51% 

山口博道 元取締役 18,750 0.51% 180日

松尾清 顧問先 18,750 0.51% 


 本募集並びに引受人の買取引受による売出しに関連して、貸株人かつ売出人である西野恒五郎並びに売出人である三和システム株式会社、Aflac Ventures LLC、森トラスト株式会社、神田有宏、阿部順一、菅生淳一、山口博道及び呉培宏は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後180日目の2024年6月17日までの期間(以下「ロックアップ期間①」という。)中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社株式(当社新株予約権及び新株予約権の行使により取得した当社普通株式を含む。)の売却等(ただし、引受人の買取引受による売出し、オーバーアロットメントによる売出しのために当社普通株式を貸し渡すこと等を除く。)は行わない旨合意しております。

 また、売出人であるジャフコSV4 共有投資事業有限責任組合は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後90日目の2024年3月19日までの期間(以下「ロックアップ期間②」といい、ロックアップ期間①とあわせて以下、「ロックアップ期間」という。)中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社株式の売却等(ただし、引受人の買取引受による売出しの他、その売却価格が「第1 募集要項」における発行価格の1.5倍以上であって、主幹事会社を通して行う東京証券取引所での売却等は除く。)は行わない旨合意しております。

【代表者】

代表者名 西野 恒五郎(上場時45歳0カ月)/1978年生

本店所在地 東京都港区虎ノ門

設立年 2015年

従業員数 21人 (2023/10/31現在)(平均37歳、年収650.9万円)

事業内容 人間ドック・健診の予約プラットフォーム「MRSO.jp」および各種DX(デジタルトランスフォーメーション)支援サービスの開発・運営など

URL https://www.mrso.co.jp/

株主数 11人 (目論見書より)

資本金 100,000,000円 (2023/11/17現在)

代表者生年月日 1978年12月02日生まれ

代表者略歴

2002年10月 クレアティフ・コンサルティング設立 取締役副社長

2004年02月 三和システム株式会社 取締役

2011年01月 三和システム株式会社 代表取締役

2015年02月 当社設立 取締役会長

2016年08月 当社 取締役

2017年03月 当社 代表取締役(現任)


【幹事団】

主幹事証券 SBI - -

引受証券 野村 - -

引受証券 三菱UFJモルガン・スタンレー - -

引受証券 SMBC日興 - -

引受証券 東海東京 - -

引受証券 松井 - -


【参考類似企業】 今期予想PER(11/24)

2412 ベネ・ワン 35.6倍 (連結予想)

5129 FIXER 31.8倍 (連結予想)

6078 バリューHR 42.6倍 (連結予想)


【私見】

 人間ドック・健診の予約プラットフォームで、完全な類似業種はないものの、参入障壁は高くなく業種妙味はありません。業績はコロナ特需もあり良かったのですが、特需がなくなると成長性を感じず、特需頼みの危険なパターンです。株主構成から売り要素は少ないものの、吸収金額も適度に大きく、SBI主幹事なので買いは少なそうで、イメージとしてはクスリの窓口のようなパターンで公募前後の動きと予想します。


想定価額:2110円

仮条件上限:2160円→2260円

初値予想:2160円→2260円

ブック申し込み度・・・中立

セカンダリー期待度・・・中立

総合評価:3

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