2023年9月12日火曜日

IPO分析(ネットスターズ)

 【事業内容】

​ (1) 当社グループのサービスについて

 複数のQRコード決済を1つのアプリで決済可能にするマルチQRコード決済サービス「StarPay」の提供を行っており、2023年2月よりクレジットカード決済、2023年7月より電子マネー決済も提供を開始しております。現在、キャッシュレス決済市場には多くのキャッシュレス決済ブランドが提供されておりますが、「StarPay」を導入することで、加盟店は複数の決済ブランドを一括して契約・運用することが可能となります。特に当社はQRコード決済に強みを持っており、「StarPay」は現在、日本国内外合わせて25種類以上のQRコード決済ブランドを統合しており、QRコード決済ブランドのカバレッジ数は国内最大級となります。

 また、当社グループは決済端末を提供するだけでなく、既に店舗にあるタブレットやPOS(販売時点情報管理)システムがQRコード決済に対応できるよう、APIを使って決済サービスを提供しており、形式を問わず柔軟に決済サービスを提供することが可能です。また、自社での営業活動に加え、業務提携先(OEM提供先・取次店)を通じて効率的な加盟店の獲得を図っております。業務提携先には、多数の企業と提携している取次店及び当社の「StarPay」をOEMとして提供しているクレジット会社等があり、当社グループではこれらの業務提携先と良好な関係構築に努めております。導入・運用のいずれも人的・金銭的負担が少ないキャッシュレス対応ツールとして、店舗や自動販売機を含め国内40万アカウント以上(2023年6月末日時点)に導入されております。子会社であるNETSTARS ASIA HOLDINGS PTE. LTD.は「StarPay」の海外におけるOEM提供先を開拓しており、QRコード決済サービスを立ち上げようとしている海外の金融機関等に対して営業を行っております。納思達科技(大連)有限公司とNETSTARS VIETNAM CO., LTD.は一部独自で営業を行っておりますが、主に当社の開発等の受託先となっております。

 また、事前注文、出前サービスなどスマートフォンを利用した様々なDX化の取り組みを行いたい加盟店に対して、ミニアプリ等のDX製品を開発・提供し、クロスセルを図っております。加盟店はミニアプリを利用することで、QRコード決済アプリのユーザーにアプローチすることが可能になり、またネイティブアプリに比較して開発費や決済金額に対する手数料が比較的安価となります。

 その他に海外向けの通信サービスとインバウンドプロモーションサービスを行っております。通信サービスは当社の祖業であり、海外向けの通信サービスのシステムを提供しており、ユーザーの利用量に応じて、通信事業者からシステム利用料を受領しております。インバウンドプロモーションサービスは主に「StarPay」の顧客向けに中国観光客向けのプロモーションを企画・運営の受託をしております。なお、2023年4月をもって当該海外向け通信サービスのシステム提供は終了しております。


(2) 当社グループのビジネスモデルについて

 現在、キャッシュレス決済市場には多くのキャッシュレス決済ブランドが提供されておりますが、「StarPay」を導入することで、加盟店は多様な決済手段・ブランドを一括して契約・運用することが可能となり、また、決済事業者は自社の決済サービスをより多くの加盟店に導入することが可能となります。

 当社グループの主力サービスである「StarPay」の収益構造は、利用の対価として加盟店の決済額に応じた手数料を受領するモデルとなっており、決済額に応じた加盟店の手数料から決済事業者の手数料を差し引いた純額が当社収益となります。当社グループはキャッシュレス決済サービスを加盟店に提供し、加盟店と各決済事業者との決済データを処理しております。

 消費者がQRコード決済を利用し、StarPayを通して、最終的に加盟店にまで決済代金が移動するまでの基本的な流れは次の通りであります。①消費者が、QRコード決済事業者のアプリケーション内の残高にチャージします。当該取引は消費者とQRコード決済事業者間の取引で当社は関与しません。②消費者がQRコード決済を利用した購買活動を行った際に、StarPayを通して、加盟店からQRコード決済事業者に決済情報(決済手段・決済日時・金額等)が連携されます(消費者からもQRコード決済事業者に直接決済情報が連携されています)。当該時点では、QRコード決済事業者が加盟店への支払債務を負っている状態で、当社に加盟店への支払債務は発生しておりません。③QRコード決済事業者が手数料Aを収受し、当社に手数料Aを控除した決済代金が送金されます。当該時点で当社において、加盟店への支払債務が発生し、預り金として計上します。④当社が手数料Bを収受し、加盟店に手数料Bを控除した決済代金を送金します。これにより、預り金の支払いが完了し、一連の決済手続きが完了します。

 直接契約している加盟店に関しては、各キャッシュレス決済事業者から決済手数料を差し引いた決済額を加盟店に代わり受領し、その入金額から当社の手数料を差し引き、翌月に加盟店へ振り込みをしております。OEM提供先からは、決済総額に応じて手数料を受領しております。また、加盟店のニーズがあれば決済端末を販売しております。決済額に応じた手数料は、当社グループの加盟店の増加とキャッシュレス決済の利用者の増加により収益が積みあがっていく構造となっております。また、当社は自社での営業活動に加え、業務提携先(取次店)を介して加盟店を獲得する場合があり、当該取次店には獲得した加盟店の決済額に応じた手数料を支払い、費用として計上しております。

 提供しているミニアプリ等DX製品の収益構造は、導入時に当社が初期開発・導入サポートを実施した対価として受領する初期売上と提供したDX製品の利用料及び保守運営料として毎月受領する月額利用料とDX製品を通して発生する決済額に応じた手数料売上を受領するモデルとなっております。ミニアプリ等のDX製品では事前注文、出前サービス、クーポン発行等の様々な機能が可能で、機能等により月額利用料が変わります。当社グループは「StarPay」の加盟店に対して決済だけでなく、ミニアプリ等のDX製品のクロスセルを図っていきます。


【業績等】

決算期 種別 売上高 営業利益 経常利益 純利益

2023/12 連結中間実績 1,798 -143 -151 -154

2023/12 連結会社予想 3,725 -654 -654 -662

2022/12 連結実績 2,987 -554 -566 -572

2021/12 連結実績 1,963 -1,013 -1,013 -1,017


決算期 種別 EPS BPS 配当

2023/12 連結会社予想 -41.01 413.93 -


売出しを行う地域

欧州及びアジアを中心とする海外市場(ただし、米国及びカナダを除く。)


上場時発行済株数 16,676,800株(別に潜在株式2,344,800株)

公開株数 3,707,700株(公募700,000株、売り出し2,524,100株、オーバーアロットメント483,600株

調達資金使途 システム開発、人材採用

連結会社 3社


PER:

PBR:

配当利回り:

公募時吸い上げ資金:53.7億

公募時時価:241億

​   

【株主構成】 

李剛 代表取締役社長CEO 3,360,000 18.34% 180日

KJP2 L.P. 投資業(ファンド) 2,051,200 11.20% 90日・1.5倍

日本郵政キャピタル(株) 投資業(ファンド) 1,111,000  6.06% 180日

NTTイーアジア(株) 資本業務提携先 1,000,000 5.46% 180日

LINE(株) 資本業務提携先 856,000 4.67% 180日

(株)SBI新生銀行 資本業務提携先 846,200 4.62% 180日

JDFountainTechnology(HongKong) 投資業(ファンド) 820,000 4.48% 180日

LUN Partners Japan Investment 投資業(ファンド) 667,200 3.64% 180日

吉田興佳 取締役 640,000 3.49% 180日

王鯤 取締役 640,000 3.49% 180日


本募集並びに引受人の買取引受による売出しに関連して、当社株主かつ貸株人である李剛、吉田興佳及び王鯤、売出人であるLINE株式会社、深圳市威富通科技有限公司、日本郵政キャピタル株式会社、NTTイーアジア株式会社、株式会社ぐるなび、株式会社SBI新生銀行、Shenzhen Qianhai Innovation Angel Funds、伊藤忠テクノソリューションズ株式会社、伊藤忠商事株式会社、SILVERROCK CAPITAL PTE.LTD.、Power Vision Technology Ltd.並びに当社の株主であるJD Fountain Technology (Hong Kong) Limited、LUN Partners Japan Investment、LUN Partners Capital Limited、SMBC日興証券株式会社、株式会社横浜銀行、SCSK株式会社及び株式会社ティーガイアは、共同主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場日(当日を含む)後180日目(2024年3月23日)までの期間、共同主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却等(ただし、引受人の買取引受による売出し、グリーンシューオプションの対象となる当社普通株式を大和証券株式会社が取得することを除く。)を行わない旨を合意しております。

 また、当社の株主であるKJP2 L.P.及びSAI GLOBAL JAPANFUND I, LLLPは、共同主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場日(当日を含む)後90日目(2023年12月24日)までの期間、当社普通株式の売却等(ただし、引受人の買取引受による売出し及び売却価格が本募集等における発行価格又は売出価格の1.5倍以上であって、株式会社東京証券取引所取引で行う売却等を除く。)を行わない旨を合意しております。

 また、当社の新株予約権を保有する山口康樹、陳斌、安達源、長福久弘、稲田哲也、滝島啓介、藤田梓馬、梅元建次朗、浅野寿夫、眞下弘和、福山太郎、吉田光宏、小林健介、中久保直人、李大偉、加納裕二、伊藤仁、森田徹、楊卓剣、藤本剛司、史凱寧、劉蘇、李路平、丸一淳、謝軼、山田愛、杜月、Wang Yuqing Jacqueline、中村千晶、劉文洋、桂素偉、山地崇史、高橋健、山本茂央、劉楠楠、李智威、姜威、李季成、李健、熊峰、王瑞、陳昱州、金屹曾、NguyenThanhDuong、PhamThanhHai、宮川香苗、徳川必要互安、王立国、宋恒、宮城耕平、及川謙一、大戸健一、範世楽、劉晅、姚丹黎、秋田勇気、国本一宏、緑川和彩、鈴木佳良、瀬川結依、戴晶晶、村岡未来、王光仲、徐亮、李楠、葛立軍、張虹及び他111名は、共同主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場日(当日を含む)後180日目(2024年3月23日)までの期間、共同主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社新株予約権及び新株予約権の行使により取得した当社普通株式の売却等を行わない旨を合意しております。

【代表者】

代表者名 李 剛(上場時49歳5カ月)/1974年生

本店所在地 東京都中央区八丁堀

設立年 2009年

従業員数 140人 (2023/07/31現在)(平均36.4歳、年収622.4万円)、連結233人

事業内容 マルチQRコード決済サービス「StarPay」の提供など

URL https://www.netstars.co.jp/

株主数 23人 (目論見書より)

資本金 3,984,370,000円 (2023/08/22現在)

代表者略歴

1999年04月 株式会社CSK(現 SCSK株式会社)入社

2005年04月 新日鉄ソリューションズ株式会社 入社

2009年02月 当社設立 代表取締役社長CEO 就任(現任)

2014年08月 ウィ・ジャパン株式会社 代表取締役 就任

2018年10月 シンガポール NETSTARS ASIA HOLDINGS PTE. LTD. 取締役 就任 (現任)

2019年10月 一般社団法人日中ツーリズムビジネス協会理事 就任(現任)


【幹事団】

主幹事証券 大和 - -

主幹事証券 SMBC日興 - -

引受証券 SBI - -

引受証券 楽天 - -

引受証券 岩井コスモ - -

引受証券 マネックス - -

引受証券 岡三 - -

引受証券 松井 - -


【参考類似企業】

4051 GMO-FG 137.6倍 (連結予想) 930億

4431 スマレジ 63.2倍 (単独予想) 470億

5258 TMN 55.6倍 (単独予想) 370億


【私見】

 QRコード決済ですが、中国人向けということで、インバウンド銘柄としては注目はありますが、TMNなど他の決済業者が落ち気味なことからややトーンダウンします。業績は成長性はあるものの、今期はマイナスで未知数です。仮条件も下がり、売出株数も減り、サイズはやや小さくなったものの、時価総額から見てもまだ割高感は若干あります。2位株主に1.5倍のロック制限がある以外は売り要素も少ないのですが、外国人資本の赤字銘柄に買いは少ないと予想します。


想定価額:1730円

仮条件上限:1450円

初値予想:1450円

ブック申し込み度・・・中立

セカンダリー期待度・・・中立

総合評価:3

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