2023年9月24日日曜日

IPO分析(くすりの窓口)

 【事業内容】

​ 様々な業種の店舗のインターネット予約サービスを展開する株式会社EPARKの調剤薬局部門として2015年8月に事業を開始しました。EPARKの名を冠した調剤薬局の予約サービスからスタートし、その後、調剤薬局のニーズを捉えた予約サービスとは別の独自事業を自社開発し、展開してまいりました。さらに近年では、医療機関や介護施設向けのシステム・サービスも展開し、当社が標榜する「医・薬・介護、個人ユーザー(患者)をつなぐプラットフォーム」としての機能の拡充を図っております。

 そうした機能の実現のため、当社は、当社、連結子会社7社(なお、連結子会社のうち株式会社介護サプリ1社については、2023年8月23日付で株式の一部譲渡を行っており、今後連結子会社から除外する予定です。なお、株式譲渡の詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(重要な後発事象)」に記載しております)、関連会社1社でグループを構成しております。当社については、東京本社の他、札幌、名古屋、大阪、福岡に拠点を設け、全国を対象に営業活動を行っております。また、東京本社にはコールセンターを設置し、顧客からの問い合わせや要望に応えられる体制を整備しております。

 

(1)メディア事業

 患者の利便性、薬局の効率性・生産性などの向上を目的としたサービスを展開しております。株式会社EPARKが調剤薬局部門の予約サービス「処方便」として開始した事業が端緒ですが、会社分割によって当社が事業を譲受し、当社内にシステム開発部門を設置のうえ機能改善・拡充等の開発を繰り返し、当社独自の発展を継続しております。


①EPARKくすりの窓口

 調剤薬局・ドラッグストアといった薬局の検索サイト/アプリ「EPARKくすりの窓口」を運営しております。立地や営業日など様々な条件を指定して薬局を検索できる他、患者が医療機関から受け取った処方箋をサイト/アプリ経由で指定した薬局に送ることで、処方薬受取りの予約ができる機能を有しております。薬局にとっては、処方する医薬品の準備が予めでき、患者にとっては、待ち時間の短縮につながるなど、双方にメリットが生まれます。また、新型コロナウイルス感染症が流行する環境下では、薬局店舗内の密を防止することにもつながります。主な事業収益は、ストック売上として薬局からの処方箋のインターネット予約に係る手数料収入です。患者からの初回予約があった場合に当該患者に係る初回登録手数料が発生し、その後は初回よりも金額を抑えた手数料が当該患者に係る登録管理料として毎月継続します。この収益の一定割合をロイヤリティとして株式会社EPARKに支払っております。


②EPARKお薬手帳

 電子お薬手帳アプリ「EPARKお薬手帳」を運営しております。患者自身が処方箋を読み取って処方された医薬品の情報を登録できる他、飲み忘れ防止のためのアラーム発信機能、血圧値や体温の登録などPHR(Personal Health Record)管理機能等を有しております。薬局側では、当社と契約のある薬局であれば、自店で処方した医薬品の情報を自動で患者のお薬手帳に登録したり、患者のお薬手帳に登録された過去の処方歴を自店のPC等で確認するなどが可能となっております。また、薬局だけに留まらずさまざまな医療機関との連携を行っております。直接的な収益はありませんが、当社の事業を個人ユーザーに知ってもらうための入口のツールとなる他、「EPARKお薬手帳」上でいつも利用する薬局をかかりつけ登録することでホーム画面上に表示でき、薬局を検索することなく処方薬受取りの予約ができるため、、「EPARKくすりの窓口」の利用促進・リピートにつながり、ストック売上を維持します。

 

(2)みんなのお薬箱事業

 薬局に対して様々なソリューションを提供するために当社が開発してきた独自事業であり、医薬品卸事業者と薬局における医薬品の流通改善を支援し、薬局経営の効率性・生産性及び医薬品卸事業者の業務効率などの向上を目的としたサービスを展開する事業であります。


①みんなの共同仕入れサービス

 薬局や医療機関に代わって医薬品卸売事業者に対する医薬品の仕入価格交渉を代行する「みんなの共同仕入れサービス」を展開しております。当社関連会社のグローバル・エイチ株式会社が予め医薬品卸売事業者と仕入価格の交渉を行い、加盟している薬局等は交渉後の価格での仕入れが可能となります。個々の薬局等が単独で仕入れを行うのと比較してボリュームが大きくなるため、条件面でのスケールメリットを享受することを目的としたスキームです。当社グループの主な事業収益は、ストック売上として、薬局等と医薬品卸事業者との間の医薬品売買における取引薬価、売買価格に応じて算定される手数料収入です。また、グローバル・エイチ株式会社に対して、事業収益より一定割合を手数料として支払っております。


②eオーダーシステム

 薬局や医療機関における医薬品の在庫管理システム及び自動発注システムの機能を有する「eオーダーシステム」を提供しております。薬局等のレセプトコンピュータと「eオーダーシステム」を連携させることにより、人工知能(AI)が患者ごとの処方歴を把握し、必要な医薬品の種類と量を判断して自動的にリストアップします。それを基に自動的に医薬品卸売事業者に、「みんなの共同仕入サービス」加盟店であれば当社グループを経由して、医薬品の発注が行われます。これにより薬局等における過剰在庫の抑制、欠品の防止、薬剤師の事務負担軽減といった効果を目指すものです。主な事業収益は、ショット売上として薬局等からの初期導入費用収入及びストック売上としてシステム利用料収入です。

 

③みんなのお薬箱

 医薬品売買ニーズマッチングサイト/アプリ「みんなのお薬箱」を提供しております。薬局において処方されずに不動在庫となった医薬品を売りたい薬局と、不足している医薬品を買いたい薬局のニーズをマッチングさせ、売買を仲介します。これにより、全国の薬局のデッドストックを有効利用し、各薬局においてはコスト削減につなげることを目指したサービスです。売却の方法は、「みんなのお薬箱」において購入希望者を募る「出品」と、当社子会社の株式会社ピークウェルが「買取」を行ったうえで同社が「みんなのお薬箱」に出品するという2種類があります。購入者は、「みんなのお薬箱」から買いたい医薬品を探して購入を申し込む他、店舗における医薬品ごとの月間使用量をAIが分析し、それに応じて出品されている医薬品を自動的に購入するメニューも用意しております。当社グループの主な事業収益は、ストック売上として売買が成立した医薬品の薬価に応じた手数料収入です。

 

(3)基幹システム事業

 「医・薬・介護、個人ユーザー(患者)をつなぐプラットフォーム」を実現するためのラインナップの充実を企図し、医療機関、薬局、介護施設に必要な事務処理システムや情報システム等を販売しております。これらは主に当社子会社が行っており、主要な商品は以下の通りです。主な事業収益は、ショット売上として初期導入費用収入とストック売上として保守料収入です。


【業績等】

決算期 種別 売上高 営業利益 経常利益 純利益

2024/03 連結1Q実績 2,153 458 470 301

2024/03 連結会社予想 8,298 1,233 1,178 751

2023/03 連結実績 7,420 1,050 938 391

2022/03 連結実績 6,489 715 815 515


決算期 種別 EPS BPS 配当

2024/03 連結会社予想 72.61 558.91 0.00


上場時発行済株数 10,980,000株(別に潜在株式460,800株)

公開株数 3,220,000株(公募1,800,000株、売り出し1,000,000株、オーバーアロットメント420,000株)

調達資金使途 システム・ソフトウエア開発資金


募集を行う地域

欧州及びアジアを中心とする海外市場(ただし、米国及びカナダを除く。)


PER:23.4

PBR:

配当利回り:

公募時吸い上げ資金:54.7億

公募時時価:187億

​   


【株主構成】 

NBSEヘルステック投組 代表取締役会長が全議決権を掌握 3,180,000 32.98% 180日

(株)EPARK その他の関係会社 3,135,000 32.52% 180日

SBIイノベーションファンド1号 投資業(ファンド) 2,865,000 29.72% 180日・1.5倍

堤幸治 代表取締役社長 275,100 2.85% 180日

望月裕介 従業員 38,700 0.40%

宮本幸輝 従業員 38,700 0.40%

岩城周平 従業員 38,700 0.40%

山口遊生 従業員 15,300 0.16%

川上浩司 従業員 15,300 0.16%

菅野洋志 従業員 9,000 0.09%

金崎泰輔 従業員 9,000 0.09%


 本募集並びに引受人の買取引受による売出しに関連して、貸株人であるNBSEヘルステック投資事業有限責任組合、株主である株式会社EPARK、新株予約権者である堤幸治及び外間健は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後180日目の2024年3月31日までの期間中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式(当社新株予約権及び新株予約権の行使により取得した当社普通株式を含む。)の売却等(ただし、オーバーアロットメントによる売出しのために当社普通株式を貸し渡すこと及びグリーンシューオプションの対象となる株式を主幹事会社が取得すること等を除く。)は行わない旨合意しております。

【代表者】

代表者名 堤 幸治(上場時47歳0カ月)/1976年生

本店所在地 東京都豊島区池袋

設立年 2004年

従業員数 309人 (2023/07/31現在)(平均31.8歳、年収430万円)、連結434人

事業内容 薬局・医療・介護向けソリューションの提供

URL https://kusurinomadoguchi.co.jp/

株主数 3人 (目論見書より)

資本金 100,000,000円 (2023/08/30現在)

代表者生年月日 1976年09月14日生まれ

代表者略歴

1999年02月 株式会社光通信入社、同社インターネット事業部長

2002年04月 同社ネットワーク事業部長

2005年04月 同社OA機器事業部長

2006年04月 SBMグルメソリューションズ株式会社ソリューション事業部長

2010年09月 同社代表取締役社長

2014年10月 株式会社ライナック取締役、株式会社EPARK代表取締役副社長

2015年06月 当社取締役

2016年09月 当社取締役副社長


【幹事団】

主幹事証券 SBI 2,240,000 80.00%

引受証券 岡三 280,000 10.00%

引受証券 大和 112,000 4.00%

引受証券 SMBC日興 56,000 2.00%

引受証券 みずほ 42,000 1.50%

引受証券 東海東京 28,000 1.00%

引受証券 アイザワ 8,400 0.30%

引受証券 岩井コスモ 8,400 0.30%

引受証券 極東 8,400 0.30%

引受証券 松井 8,400 0.30%

引受証券 むさし 8,400 0.30%


【参考類似企業】今期予想PER(9/7)

2309 シミックHD 4.2倍 (連結予想)

2796 ファーマライズ 14.0倍 (連結予想)

3628 データHR - (連結予想)

3671 ソフトマックス 11.3倍 (単独予想)

3733 ソフトウェアサー 15.6倍 (連結予想)

4320 CEHD 12.8倍 (連結予想)

4350 メディカルシス 11.9倍 (連結予想)

4483 JMDC 45.3倍 (連結予想)

4820 EMシステムズ 24.2倍 (連結予想)

9435 光通信 14.0倍 (連結予想)


【私見】

 お薬手帳として知名度があることから業種妙味があります。業績も伸びていて成長性からは評価は出来ますが、PERからはそれほど割安感は感じません。吸収金額・時価総額共に大きめで、元々光通信系の子会社で、今はファンドが筆頭株主と転々としていることは気になる点ではあります。また、SBI系のファンドに1.5倍のロック制限があるので、その価額が目先のラインと予想します。


想定価額:1640円

仮条件上限:1700円

初値予想:2000円

ブック申し込み度・・・やや強気

セカンダリー期待度・・・中立

総合評価:3.5

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