2023年9月13日水曜日

IPO分析(AVILEN)

 【事業内容】

<当社のビジネスと目指す姿>

 当社は、2018年の創業以来、「最新のテクノロジーを、多くの人へ」というビジョンのもと、生成AIをはじめとする当社が独自開発した技術コアモジュールである「AVILEN AI」を活用したAIソフトウエアの開発、実装、またAIドリブンなビルドアップコンテンツ(DXやAIを推進するための組織開発や人材育成コンテンツ)も提供することで、企業のAI実装推進を一気通貫で支援する「AIソリューション事業」を展開しております。

 当社が目指す姿は、多くの企業に対し「AIソフトウエアユニット」に関わるサービスを提供するために、AI推進に既に着手をしているAI-Readyな企業だけでなく、これからAI推進に着手するAI-Ready以前の企業に対しても、ビルドアップコンテンツを提供することで、アセスメントや方針策定等のデジタル組織・人材の開発を行い、要件定義から実際のデータの利活用を見据えたデータ基盤となるデータ・プラットフォームの設計と実装を支援し、更にはAIソフトウエアの実装・活用(顧客企業における新規事業の創出や業務効率化のために課題の特定から企画、PoC、開発・実装まで行う)を推進し、当該企業や資本業務提携先とのパートナリングにより共同開発したパッケージ型ソフトウエアを拡販・普及を実現し、豊かな未来を実現することです。


<提供するサービスとビジネスモデル>

 AIソリューション事業の単一セグメントとして、「AIソフトウエアユニット」、「ビルドアップユニット」という2つのサービスを提供しております(「ユニット」とはAIソフトウエア及びビルドアップそれぞれのサービスの総称)。「AIソフトウエアユニット」として自社開発技術コアモジュールである「AVILEN AI」を活用し、ビジネスプロセスへのAI実装・データ利活用を支援し、「ビルドアップユニット」として組織のアセスメントやロードマップの策定、経営者や従業員、経営企画やエンジニア等部門横断的なAI人材の育成による組織開発を支援し、両ユニットにまたがるサービスとしてD&A戦略コンサルティング(データ及びアナリティクスと事業戦略策定の繋ぎこみを行うコンサルティング)を提供しております。なお、「AIソフトウエアユニット」においては法人向け、「ビルドアップユニット」においては法人及び個人向けにサービスを提供しております。両ユニット共に主にフロー収益ですが、「AIソフトウエアユニット」の一部サービスにおいてはストック収益となっております。

 当社は、月間32万PV(2022年12月期の月間PVの平均値)の自社メディアの「AI Trend」を活用することで、効率的なリード顧客(見込み顧客)の獲得(2023年6月末時点で上場企業グループを含む大手企業を中心に累計530社以上の法人顧客と取引実施)が可能となっております。当社は、多くの企業に対し「AIソフトウエアユニット」に関わるサービスを提供するために、「ビルドアップユニット」にコンテンツのクロスセルや他部門への拡大による深耕(IT部門で領域特化研修、営業部門でG検定対策研修を実施する等)を進めて、顧客とのリレーション構築を行い、企業が抱える経営課題を特定しつつ、「AIソフトウエアユニット」において、AI・データサイエンスの観点でデータの利活用により業務効率化等の新たな価値を創造するAIソリューションを提供できるというビジネスモデルを構築しております。


(1)当社の特徴と優位性

 当社の特徴と優位性は、「①特定の業界に限定されない顧客の課題を捉え、マルチモーダルなAIソフトウエアの開発を可能にする技術コアモジュール」、「②潜在的なAI/DX市場を創出し、80%超の継続率を実現するビジネスモデル」、「③業界全体が抱える成長ボトルネックを解消する「AVILEN DS-Hub」のエコサイクル」、及び「④高いブランド認知による顧客獲得能力」にあります。


①特定の業界に限定されない顧客の課題を捉え、マルチモーダルなAIソフトウエアの開発を可能にする技術コアモジュール

 9つの自社開発技術コアモジュールである「AVILEN AI」を有し、幅広い技術領域をカバーしております。コアモジュールがあることで効率的な開発を可能としております。最新論文や最先端のテクノロジーをリサーチする社内の体制(AVILEN Research)を構築しており、常にコアモジュールをアップデートすることが可能となっております。また、特定の業界に限定されない顧客の課題を捉え、AIソフトウエアを提供しております。単一のモジュールでは解決できない課題に対しては、複数のモジュールを組み合わせたマルチモーダルなAIソフトウエアの開発も可能としております。また、2023年4月には、コアモジュールである「Instructea」とChatGPTを組み合わせたSaaSプロダクトである「ChatMee」の販売を開始しており、生成AIビジネスへの展開も進めております。


②潜在的なAI/DX市場を創出し、80%超の継続率を実現するビジネスモデル

 AIビジネス市場はまだ導入段階で長期的な発展が期待されております。AI導入の目的は業務効率化や生産性向上等その利用範囲・目的も幅広い一方で、慢性的なAI人材の需給ギャップが顕在化しており、企業はAIの導入が急がれるも、専門人材の採用難等から同時に人材の育成を行うことによる、AI/DX組織への変革が求められています。

 当社は、AI推進に既に着手をしているAI-Readyな企業だけでなく、これからAI推進に着手するAI-Ready以前の企業に対してもビルドアップコンテンツを提供することで、潜在的なAI/DX市場を創出することが可能となっております。

 また、「ビルドアップユニット」及び「AIソフトウエアユニット」のビジネスを展開することで、顧客内でのビルドアップコンテンツのクロスセル、そして他部門への拡大による深耕、さらにビルドアップコンテンツを活用しながら企業が抱える経営課題を特定しつつ、AI・データサイエンスの観点でAIソフトウエアを開発することで顧客と幅広い業務領域で取引ができるため、結果としてAI技術の導入サービスのみを提供するビジネスモデルと比較して高い継続率(継続率:前年度売上を計上した顧客のうち、当事業年度も売上を計上した顧客の比率。2022年度継続率:82.6%)を実現し、LTV)を拡大することが可能となっています。


③業界全体が抱える成長ボトルネックを解消する「AVILEN DS-Hub」のエコサイクル

 社内のデータサイエンティスト・エンジニアに加え、197名(2022年12月末時点)のデータサイエンティスト・エンジニア集団である「AVILEN DS-Hub」を組織しています。在籍メンバーは、当社が独自開発した技術スクリーニングテスト(2022年12月期合格率6%以下(辞退者を含む採用試験合格者数を応募人数で除した数値))を通過した人材になります。「AVILEN DS-Hub」は主にデータサイエンス領域を研究している学生メンバーで構成されており、在籍メンバーは個別に当社と業務委託契約を締結し、当社の「AIソフトウエアユニット」におけるコーディング業務や技術的サポート(技術調査や技術適用)、「ビルドアップユニット」におけるコンテンツ開発や受講者からのアルゴリズム等に関わる質問対応等の業務を行うとともに、当社の安定した採用ルートの確保にも繋がっており、2022年12月期は「AVILEN DS-Hub」から9名の新卒を採用しています。「AVILEN DS-Hub」で経験を積んだ後に正社員として採用するため、即戦力人材の獲得、採用コストの低減、高いエンゲージメントとリテンションに繋がっています。


④高いブランド認知による顧客獲得能力

 月間32万PV(2022年12月期の月間PVの平均値)の自社メディアの「AI Trend」、一般社団法人日本ディープラーニング協会が実施するE資格において、当社が提供するE資格講座の受講者の5期連続合格者数1位(2021#1~2023#1)という実績等により効率的に顧客獲得が出来ており、2022年12月期は125社の新規法人顧客(2022年12月期に初めて取引開始した法人顧客)を獲得しました。

 結果として、創業5期目で製造業界や金融業界、物流業界、情報通信業界及びサービス業界等といった各産業の上場企業をはじめとした企業との取引が「AIソフトウエアユニット」、「ビルドアップユニット」それぞれのサービスで複合的に進展しており、LTVも上昇傾向にあります。


(2)当社が展開するサービス及びソリューションの内容

①AIソフトウエアユニット

 企業が抱える経営課題を特定し、AI・データサイエンスの観点でデータの利活用により業務効率化等の新たな価値を創造するソリューションを提供しています。金融、インフラ、製造業、サービスといった様々な業界の既存オペレーションを理解したうえで、当社のコアモジュールを活用したカスタマイズ型ソフトウエアを提供しております。なお、コアモジュールは効率的な開発を可能とするアルゴリズムになります。

 また、当社は「AIソフトウエアユニット」で開発されたサービスのうち、汎用性の高いサービスをパッケージ型ソフトウエアとして、SaaS型等で他の案件にも横展開しております。主なパッケージ型ソフトウエアは、三菱UFJ信託銀行株式会社と共同開発した当社のコアモジュールである「Estimea」を搭載した「AI Seed(ビジネスユーザー向けのデータ分析ツール)」になります。

 2023年4月には、コアモジュールである「Instructea」とChatGPTを組み合わせたSaaSプロダクトである「ChatMee」の販売を開始しており、生成AIビジネスへの展開も進めております。


②ビルドアップユニット

 顧客企業におけるAI/DXに関わる組織及び人材の現状評価から必要人材(ビジネス領域及びエンジニア領域)の育成まで、AIの実装を実現するための組織開発に必要なアセスメント・方針策定・ロードマップ策定・エグゼキューション・人材育成に関わるパッケージ化されたサービスを一気通貫で提供しております。具体的には、法人・個人向けにeラーニングをベースとしたAIに関するパッケージ化された研修サービス(動画講義、講義資料)を提供しております。2022年12月期の売上割合は法人向けが67.1%となっております。また、研修サービスは、社内人材を中心に独自に制作しております。


【業績等】

決算期 種別 売上高 営業利益 経常利益 純利益

2023/12 単独中間実績 391 65 65 46

2023/12 単独会社予想 968 236 211 147

2022/12 単独実績 732 110 110 79

2021/12 単独実績 477 84 84 58


決算期 種別 EPS BPS 配当

2023/12 単独会社予想 24.45 - 0.00


上場時発行済株数 6,050,000株(別に潜在株式299,730株)

公開株数 1,652,400株(公募50,000株、売り出し1,386,900株、オーバーアロットメント215,500株)

調達資金使途 人件費、採用関連費


PER:86.7

PBR:

配当利回り:

公募時吸い上げ資金:35.0億

公募時時価:128億

​   

【株主構成】 

ジャフコSV6投組 投資業(ファンド) 1,886,560 29.95% 180日・1.5倍

日本郵政キャピタル(株) その他の関係会社、資本業務提携先 1,319,950 20.95% 180日

(株)大塚商会 資本業務提携先 1,140,000 18.10% 180日

ジャフコSV6-S投組 投資業(ファンド) 471,640 7.49% 180日・1.5倍

崔一鳴 元代表取締役 405,000 6.43% 180日・1.5倍

大川遥平 取締役 267,000 4.24% 180日

高橋光太郎 代表取締役 245,400 3.90% 180日

吉田拓真 特別利害関係者など 108,000 1.71% 180日・1.5倍

(株)エアトリ 資本業務提携先 90,000 1.43% 180日・1.5倍

高橋香輝 特別利害関係者など 81,000 1.29% 180日・1.5倍


本募集並びに引受人の買取引受による売出しに関連して、売出人かつ貸株人であるジャフコSV6投資事業有限責任組合及びジャフコSV6-S投資事業有限責任組合、並びに当社の株主であるJIA1号投資事業有限責任組合及び株式会社エアトリは、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場日(当日を含む)後90日目(2023年12月25日)までの期間、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社株式の売却等(ただし、引受人の買取引受による売出し、グリーンシューオプションの対象となる当社普通株式を主幹事会社が取得すること及び売却価格が本募集等における発行価格又は売出価格の1.5倍以上であって、主幹事会社を通して行う株式会社東京証券取引所取引での売却等を除く。)を行わない旨を合意しております。

 また、当社の株主である崔一鳴、吉田拓真及び高橋香輝は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場日(当日を含む)後90日目(2023年12月25日)までの期間、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社株式の売却等(ただし、引受人の買取引受による売出し及びグリーンシューオプションの対象となる当社普通株式を主幹事会社が取得すること及び売却価格が本募集等における発行価格又は売出価格の2.5倍以上であって、主幹事会社を通して行う株式会社東京証券取引所取引での売却等を除く。)を行わない旨を合意しております。

 さらに、当社の株主である日本郵政キャピタル株式会社、株式会社大塚商会、大川遥平、高橋光太郎、株式会社アイネット、三菱UFJ信託銀行株式会社及び株式会社インテック、並びに当社新株予約権者である吉川武文、渡邉雅也、乙川浩志、白鳥みか、大谷拓海及びその他6名は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場日(当日を含む)後180日目(2024年3月24日)までの期間(以下、「ロックアップ期間」という。)、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社株式の売却等(ただし、引受人の買取引受による売出し及びグリーンシューオプションの対象となる当社普通株式を主幹事会社が取得すること等を除く。)を行わない旨を合意しております。


【代表者】

代表者名 高橋 光太郎(上場時28歳7カ月)/1995年生

本店所在地 東京都中央区日本橋馬喰町

設立年 2018年

従業員数 50人 (2023/07/31現在)(平均29.6歳、年収543.5万円)

事業内容 AI(人工知能)ソフトウエアおよびビルドアップパッケージの提供をはじめとするAIソリューション事業

URL https://corp.avilen.co.jp/

株主数 14人 (目論見書より)

資本金 3,000,000円 (2023/08/22現在)

代表者略歴

2019年08月 当社入社

2019年11月 当社取締役就任

2020年12月 当社代表取締役就任(現任)


【幹事団】

主幹事証券 大和 - -

引受証券 SMBC日興 - -

引受証券 楽天 - -

引受証券 SBI - -

引受証券 マネックス - -

引受証券 極東 - -

引受証券 岡三 - -

引受証券 岩井コスモ - -

引受証券 丸三 - -

引受証券 松井 - -


【参考類似企業】今期予想PER(8/29)

3993 PKSHA 119.7倍 (連結予想)

4011 ヘッドウォータ 220.4倍 (連結予想)

4056 ニューラル - (連結予想)

4259 エクサウィザー - (連結予想)

4268 エッジテクノ 70.8倍 (単独予想)

4382 HEROZ 874.0倍 (連結予想)

4418 JDSC 453.3倍 (連結予想)

5132 pluszero 131.8倍 (単独予想)

5572 リッジアイ 169.1倍 (単独見込)

5574 ABEJA 124.4倍 (単独予想)

5582 グリッド 61.0倍 (単独予想)

5586 LaboroAI 146.6倍 (単独予想)


【私見】

 AI銘柄で人気業種ではあるのですが、筆頭株主がジャフコとういことで他のAI銘柄よりもややトーンダウンします。成長性はあるものの、PSR6倍で、時価総額などからも200億を超えるのは簡単ではないかと思います。更にジャフコが1.5倍でロックが外れるとなると、3000円前半までが落ち着き所と予想します。


想定価額:2000円

仮条件上限:2120円

初値予想:3100円

ブック申し込み度・・・強気

セカンダリー期待度・・・中立

総合評価:3.5

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