2025年3月3日月曜日

IPO分析(メディックス)

 【事業内容】

​ (1) 事業の特徴

 デジタルマーケティング支援事業として、インターネット広告販売(運用型広告)、マーケティングDX/アクセス解析、Webサイト制作などを通じて顧客企業のマーケティングを支援する各種サービスを提供しています。

 特に運用型広告(検索連動型広告、ディスプレイ広告、フィード広告の総称)に注力し、広告枠を販売・運用し手数料を受け取るインターネット広告が主力サービスとなっておりますが、特徴的なのは、デジタルマーケティング全体を一貫してプランニングすることです。有効な施策を計画し、適切なKPIを設定、自ら実行することで、デジタルマーケティング全体を最適化します。

 デジタルマーケティングに必要なマーケティングDX/アクセス解析、Webサイト制作などすべてのソリューションを包括的に提供しており、これら個々のサービスを有機的なつながりをもった戦略として提供すべく、徹底したヒアリングから提案・制作・出稿・運用・結果の解析まで、一本化した窓口(ワンストップ体制)を通じて実施しています。

 具体的には、アカウントプランナーと各専門領域(運用型広告、Webサイト制作、マーケティングDX/アクセス解析)を担当するエキスパート(スタッフ)が在籍しています。アカウントプランナーは、いわゆる“営業”とは異なり、デジタルマーケティングの総合的知識を持ったプロフェッショナルとして、集客、制作、解析・分析、CRMといったデジタルマーケティング活動全体を設計。それぞれのエキスパートを統括し、個々の活動の実施・運用・分析・報告、すべてを一貫してコントロールします。

 当社の、包括的なサービスをアカウントプランナーを窓口とするワンストップ体制で提供している点は、継続的に長年取引をいただけている顧客をはじめとして、当社の多くの顧客から、評価をいただけているポイントの一つとなっていると考えております。


 (2) 販売方針と主な商品及びサービスの特徴

①販売方針

 当社では「BtoC領域」「BtoB領域」「データマネジメント・その他領域」の3つの領域に分けて販売方針を立てております。

「BtoC領域」「BtoB領域」はともにインターネット広告を主軸とするデジタルマーケティングの総合支援サービスであり、検索連動型広告、ディスプレイ広告、フィード広告といったインターネット広告の他に、広告の受け皿となるウェブサイト制作、またデジタルマーケティング施策全体の効果改善のためのデータ計測、レポーティング及びダッシュボード化、データ分析、コンサルティング等を行うデータマネジメントのサービスを販売また実行しております。当社の顧客が対象としている事業がBtoC事業かBtoB事業かによってデジタルマーケティング支援のやり方やノウハウは大きく異なるため、当社ではそれぞれ専門組織を作り、組織戦略や販売方針を分けて当社の売上拡大に向けてマネジメントしております。

 BtoCの事業は、ターゲットが多く、リードタイムが短いのが特徴となるためインターネット広告の運用改善がデジタルマーケティングを成功させる上で非常に重要と考えており、広告運用体制の充実や広告クリエイティブをはじめとした効果改善ノウハウの蓄積に重点をおき、顧客のデジタルマーケティングの効果を改善する事で新たな予算を獲得し、当社の売上拡大を促進しております。

 BtoBの事業は、ターゲットが少なく、リードタイムが長いのが特徴となるためインターネット広告の運用改善のプライオリティはBtoC程は高くなく、代わりに獲得したリードを育成するためのコンテンツ制作やインターネット広告の配信状況とオフラインでの営業状況のデータ連携をした上でのデータ分析がデジタルマーケティングを成功させる上で非常に重要と考えており、素早く良質なコンテンツ制作を可能にする環境整備やウェブサイト制作の専用パッケージ化等を行うなど、インターネット広告はもちろん、インターネット広告以外の取引を拡大する事で当社の売上拡大を促進しております。

 「データマネジメント・その他領域」は、デジタルマーケティングの総合支援サービスではなく、データマネジメント施策(マーケティングDX、アクセス解析、Webサイト制作)単体で提供領域を切り出しマネジメントすることで、スピーディーにサービスを磨き・進化させながら、事例や知見の集約を行うことで、将来の当社の成長を牽引する領域とすることを目論み、売上拡大を促進していく事を方針としております。当社の競合にあたるインターネット広告代理店の中には、データマネジメント・その他領域のサービスを行っていない企業も多くあるため、各サービスごとに市場のニーズに合わせた販売戦略を立案し当社の売上拡大を促進しております。


②BtoC領域の商品及びサービスの特徴

 インターネット広告を主軸とするデジタルマーケティングの総合支援サービスであるため、ア.運用型広告、イ.マーケティングDX・アクセス解析、ウ.Webサイト制作と、デジタルマーケティング施策を幅広く販売しております。それぞれの商品サービスの特徴は以下の通りです。


ア.運用型広告

 運用型広告には、大きく検索連動型広告、ディスプレイ広告(動画広告・SNS広告を含む)、フィード広告があります。

検索連動型広告とは、検索エンジンでユーザーが検索したキーワードに関連した広告を検索結果画面に表示する広告であり、リスティング広告とも呼ばれます。

 当社は検索連動型広告において20年以上にわたる経験と実績を持ち合わせています。その知識と経験を持ち合わせた当社のアカウントプランナーがヒアリングを重ね、顧客の課題にあった検索連動型広告を提案し、運用の際はアカウントプランナーと運用のプロであるスタッフがタッグを組み、初期設計(キーワード選定・原稿制作・アカウント構築)から分析・改善を一貫して実施することで、より良い広告効果を生み出すことが可能となっています。

 ディスプレイ広告とは、WebサイトやWebアプリ内の広告枠に表示される画像広告、動画広告、テキスト広告等を総称するもので、消費者へのブランド訴求、自社サイトへの誘導や、資料請求や商品購入において大きな効果が期待できるものです。主流はアドネットワーク広告に代表される「運用型」です。この広告で効果を上げるには、日々更新される実績データを基に、その時々に合った運用をスピーディーに細かく行っていくことが求められます。

 また、当社は2016年に、効果のあるクリエイティブを生み出すための広告クリエイティブ専門組織「B-SOKU」を立ち上げました。この「B-SOKU」の使命は、クライアントのプロモーションを成功に導くことにあり、狭い範囲の機能を担う部署ではなく、広告効果を最大限に高めるために様々な知見を幅広く駆使する制作のスペシャリスト集団です。また「B-SOKU」の最大の強みは、効果につながる「質」を担保したクリエイティブを生み出せることです。営業部門と連携し、PDCAサイクルの構築、それに沿ったクリエイティブの作成、広告運用に乗せての実践的な結果分析を、確実・スピーディーにこなします。


 フィード広告とは、自社の商品データを複数の広告メディアに合うよう、広告配信先のメディアのフォーマットに変換して送信するデータフィードという仕組みを使った広告のことです。例えば、ダイナミックリターゲティング広告や商品リスト広告などは、一般的に効果の高いフィード広告ですが、さらに、効果を上げるためには、各メディアの特性に合わせたフィード設計が非常に重要です。また、大量の商品・案件を扱う、ECサイト、求人サイト、不動産サイトなどでは、システムによる自動化も必須となります。

 そこで当社は、2016年から「M-Feed」という高機能フィード作成ツール、フィード設計、メンテナンス、解析によるPDCAを、セットで提供するサービスを開始しました。この「M-Feed」により、フィード広告の特性に合わせた最適な提案と運用を行います。


イ.マーケティングDX・アクセス解析

 マーケティング分野でも「DX」(デジタル変革)が加速する昨今ですが、当社は業界に先駆けて2007年に専門組織を立ち上げ、データ計測や分析、改善施策立案の実績を積み上げてきました。当初はWeb広告データ、Web行動ログが中心となっておりましたが、CRMやMAの導入支援・活用支援等にサービスを拡大し、取り扱うデータも顧客データや購買データ等に拡大、また個別に分析・活用した部分最適に留めるのではなく、データ統合・可視化を通じ、デジタルマーケティングだけでなく、顧客のマーケティング活動全体に関する領域で、導入支援から施策立案・運用までをトータルでサポートし、事業KPI・マーケティングKPIを最大化するサービスに成長しております。

 2021年には企業のマーケティング分野のDXを支援するソリューション「M-Data(エムデータ)」の提供を開始しました。これは、データ取得・統合、可視化、分析、予測までを網羅し、マーケティングDXをワンストップで実現・支援するソリューションです。BigQuery×Tableauでのデータ統合環境を構築し、顧客の経営層から現場に至るまでの事業KPIを整理&可視化することができます。長年に渡る数多くのデータ活用、分析設計・設定、レポート、PDCAによる、豊富な知見とノウハウを持つ当社だからこその高品質なサービスです。


ウ.Webサイト制作

 Webサイトの制作・改善を中心に、クリエイティブでマーケティングの課題を解決する「Webインテグレーションユニット」の前身である制作プロダクション事業は、1984年の創業時の事業でもあり、最も歴史のある専門組織です。

 Webサイトは、コーポレートサイトやブランディングサイト、ECサイトなど多様な形と目的を持ち、商材やターゲットによっても、そのアプローチは様々です。デジタルマーケティング全体の中で、そのサイトが担うべき役割と持つべきゴールをしっかりと定義し、そこへと訪問者を導くWebサイトとなるために、当社は綿密な情報設計(Information Architecture)とスマートなインターフェース(User Interface)を重視して、サイト構築を行っています。中でも、アクセス解析を基にしたUI設計に強みがあります。制作ディレクターを中心に、アカウントプランナー、解析ディレクター、デザイナー、テクニカルディレクター、コピーライターがWebサイト制作に参加し、プロジェクトのスタートアップから企画・構築・運用・解析まで一気通貫で対応します。


③BtoB領域の商品及びサービスの特徴

 BtoB領域もBtoC領域同様、インターネット広告を主軸とするデジタルマーケティングの総合支援サービスであるため、ア.運用型広告、イ.マーケティングDX・アクセス解析、ウ.Webサイト制作と、デジタルマーケティング施策を幅広く販売しており、「認知・共感」から「調査・商談」さらに「ファン化」まで、BtoB企業のマーケティングに対する幅広い対象領域に対して、クライアントの成長フェーズに応じた適切な ソリューションを提供しています。それぞれの商品サービスの特徴はBtoC領域にて記載した内容と同様となるため割愛いたします。


④データマネジメント・その他領域の商品及びサービスの特徴

 データマネジメント・その他領域は、データマネジメント施策やWebサイト制作等を単体で各専門組織が販売しております。主な販売商品サービスはイ.マーケティングDX・アクセス解析、ウ.Webサイト制作となります。それぞれの商品サービスの特徴はBtoC領域にて記載した内容と同様となるため割愛いたします。


【業績等】

決算期 種別 売上高 営業利益 経常利益 純利益

2025/03 単独中間実績 1,944 253 400 435

2025/03 単独会社予想 4,185 810 957 812

2024/03 単独実績 4,179 801 804 489

2023/03 単独実績 4,273 784 815 401


決算期 種別 EPS BPS 配当

2025/03 単独会社予想 107.60 410.28 14.00


上場時発行済株数 8,080,000株(別に潜在株式493,750株)

公開株数 2,645,000株(公募500,000株、売り出し1,800,000株、オーバーアロットメント345,000株)

調達資金使途 人材の採用・人件費、システム投資、マーケティング投資


PER:7.4

PBR:

配当利回り:1.75%

公募時吸い上げ資金:21.1億

公募時時価:65億

​  

【株主構成】 以下180日

小谷中茂樹 創業者、元代表取締役 3,200,000 39.88%

水野昌広 取締役(監査等委員) 1,757,500 21.90%

メディックス従業員持株会 特別利害関係者など 840,100 10.47%

小谷中一樹 特別利害関係者など 753,750 9.39%

田中正則 代表取締役社長 580,000 7.23%

(株)フォローワンズハート 役員らが議決権の過半数所有 420,000 5.23%

今森教仁 従業員 103,750 1.29%

馬場昭彦 管理担当取締役 75,000 0.93%

両角創平 取締役 69,900 0.87%

菊地悟 従業員 52,500 0.65%


 本募集並びに引受人の買取引受による売出しに関連して、売出人かつ貸株人である小谷中 茂樹、水野 昌広及び小谷中 一樹、当社株主(新株予約権の保有者を含む。)であるメディックス従業員持株会、田中 正則、株式会社フォローワンズハート、今森 教仁、馬場 昭彦、両角 創平、菊地 悟、鈴木 さなえ、大久保 修一、根口 邦彦、中村 郁生、上野 一幸、加藤 幸太、大塚 諭史、伊久美 俊平、小池 一弥、池田 成宏、當流谷 圭、下條 洋介及び新村 智美は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後180日目の2025年9月14日までの期間(以下「ロックアップ期間」という。)中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却(ただし、引受人の買取引受による売出し、オーバーアロットメントによる売出しのために当社普通株式を貸し渡すこと及びグリーンシューオプションの対象となる当社普通株式を主幹事会社が取得すること等は除く。)等は行わない旨合意しております。

【代表者】

代表者名 田中 正則(上場時67歳9カ月)/1957年生

本店所在地 東京都千代田区神田神保町

設立年 1984年

従業員数 280人 (2025/01/31現在)(平均33.9歳、年収596.1万円)

事業内容 クリエイティブ設計・制作、データ解析・分析、インターネット広告代理などのデジタルマーケティング支援事業

URL https://www.medix-inc.co.jp/

株主数 10人 (目論見書より)

資本金 75,800,000円 (2025/02/12現在)

代表者生年月日 1957年05月27日生まれ

代表者略歴

1980年04月 ㈱日本リクルートセンター(現 ㈱リクルートホールディングス)入社

1999年07月 ㈱ランドネットDD 代表取締役

2009年01月 ㈱リクルートスタッフィング情報サービス 代表取締役

2010年06月 ㈱博展 代表取締役

2014年06月 ㈱フォローワンズハート 代表取締役(現任)

2018年03月 AI CROSS㈱ 社外取締役、5月:公益財団法人水産無脊椎動物研究所 理事(現任)

2021年04月 当社入社 取締役

2022年04月 当社 代表取締役(現任)


【幹事団】

主幹事証券 みずほ - -

引受証券 三菱UFJモルガン・スタンレー - -

引受証券 SBI - -

引受証券 楽天 - -

引受証券 マネックス - -

引受証券 松井 - -

引受証券 東海東京 - -


【参考類似企業】今期予想PER(2/17)

2389 デジタルHD 11.7倍 (連結予想)

2459 アウンコンサル - (連結予想)

4293 セプテーニHD - (連結予想)

4751 サイバエージ 28.4倍 (連結予想)

4784 GMOインター 70.2倍 (連結予想)

6533 オーケストラHD 17.9倍 (連結予想)

7357 ジオコード 65.0倍 (単独予想)

9244 デジタリフト 28.7倍 (連結予想)

9554 AViC 19.1倍 (連結予想)

9561 グラッドキュ - (連結予想)


【私見】

 インターネット広告のデジタルマーケティング関連で、類似業種も多く業種としての魅力はありません。スタンダードで、業績は横ばいと成長性からの魅力はありません。見た目上のPERは低いですが、通常であればやや割安といったところでしょうか。VCなしで売り圧力はないものの、吸収金額はやや大きめで、配当利回りも普通なので、初日段階では買われる可能性は低いと予想します。


想定価額:860円

仮条件上限:800円

初値予想:800円

ブック申し込み度・・・中立

セカンダリー期待度・・・中立

総合評価:3

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