2025年3月9日日曜日

IPO分析(ミライロ)

 【事業内容】

​ 当社では「バリアバリュー」を企業理念とし、当事者の視点から「障害=バリア」を取り除き、「価値=バリュー」に転換するインフラやソリューション、サービスの提供を行っております。デジタル障害者手帳「ミライロID」によるインフラの提供、企業等への「バリアバリューソリューション」の提供を軸として、障害者とその家族が今日を楽しみ、明日を期待できる社会を実現するための事業展開を行っております。


(1) デジタル障害者手帳「ミライロID」

 障害者手帳とは、身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳、療育手帳の3種の手帳の総称であり、いずれの手帳の保有者も「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」の対象となります。障害者手帳の保持者は、自治体や事業者が独自に提供するサービスを受けることもでき、障害者にとって障害者手帳は生活の中で必要不可欠なものとなっております。しかしながら、これまで障害者手帳は、現物のみが証明手段であったため、当事者にとっての現物の所持・提示の負担だけではなく、インターネット上のオンライン取引での利用や他のシステムとの連携が不可能であることが社会課題となっております。さらに、障害者手帳の色・形状・レイアウト等の仕様については各自治体で定めているため、自治体ごとに様式が異なり、事業者にとっては正しく手帳を見分けることは困難です。結果として、不正利用等が横行している他、時間を割いて現物確認を行うことも事業者にとって負担となっております。

 デジタル障害者手帳「ミライロID」は、2019年7月からスマートフォンのアプリとして提供されており、ユーザーは個人情報と障害者手帳画像を登録し、さらに当社で登録内容を目視で確認して認証することにより、スマートフォンだけで障害者手帳の確認と同等の効果をユーザーに提供することを目指しております。さらに登録情報の信頼性を高めるため、2020年6月から政府が運営するオンラインサービス「マイナポータル」との連携が可能となり、現在、鉄道会社をはじめとして、高速道路・バス・タクシー・航空等の交通機関、美術館・博物館・レジャー施設等の障害者割引を提供する施設、地方自治体の関連施設で障害者手帳の現物がなくとも、スマートフォン上の「ミライロID」画面の提示により障害者割引の適用が可能となっております。

 当社では「ミライロID」をデジタル障害者手帳として、さらなる利便性・メリットの向上、利用拠点の拡大により、ユーザー数の増加を図り、障害者が社会活動を行うためのインフラとして無償で提供しております。

 また「ミライロID」には、障害情報登録機能、プッシュ通知機能、クーポン機能、アンケート機能、マップ機能、ストア機能など多様な機能を実装しており、他のシステムとのAPI連携も可能となっております。今後、ユーザー及び事業者にメリットのある機能開発及びAPI連携による「ミライロID」を活用したサービス開発を推進してまいります。

なお、2024年12月31日現在における「ミライロID」の導入事業者数は4,094事業者、ユーザー数は43.5万人となっております。

 

(2) バリアバリューソリューション

 企業等に対して、障害者にとっての社会的障壁を取り除き、障害者との共生社会を実現するため、障害を価値に転換するためのバリアバリューソリューションを提供しております。

① ミライロIDソリューション

 「ミライロID」による障害者に対するサービス提供や、企業等からの障害者への対応・取り組みに関する相談に対し、「ミライロID」や専門人材を活用したソリューションやコンサルティングを提供しております。

 「ミライロID」のお知らせ画面を活用した広告配信や、「ミライロID」ユーザーが利用可能な障害者割引サービス「ミライロクーポン」、割引価格での製品購入が可能なオンラインストアサービス「ミライロストア」、割引価格でのチケット購入が可能なオンラインチケット販売サービス「ミライロチケット」、バリアフリー情報を発信する「ミライロマップ」を通じて、障害者向けのマーケティング支援サービスを提供しております。企業等は、障害者を消費者としたプロモーション効果だけではなく、障害者の社会参画に寄与することから、SDGsやCSRの観点からも「ミライロID」を活用した取り組みを行っております。その他、「ミライロID」によるサービスとして、障害者向けがん保険(ミライロ保険<がん保険>)の販売、オンラインチケットシステムや交通系アプリとのAPI連携やシステム開発、QRコードを活用した駐車場の障害者割引適用サービス、「ミライロID」ユーザーに向けた求人募集サービスも実施しております。

 

(API連携)

 企業等の保有する会員データやシステムなどの外部サービスと、「ミライロID」の登録情報を連携することが可能です。ユーザーの利便性向上及び企業等のサービス向上やオペレーション負担の軽減に繋げることが出来ます。

 企業等からの障害者への対応・取組みに関する相談に対し、必要に応じて障害者をモニターとして活用した調査サービス「ミライロ・リサーチ」を行い、障害者にとっての障壁となっている問題点を発見し、解決するためのソリューションの提供を実施しております。モニターとなる障害者については、2024年12月31日現在、当社WEBサイトで募集したモニター約2千人、及び「ミライロID」ユーザーのうち、障害者手帳の有効期限切れなどの不備がなく障害者手帳情報を登録している32.3万人の配信対象者に実施しております。アンケートに回答したモニターに対しては、謝礼を支払うことで、継続的な回答をいただくことにつなげています。その他、障害者へのサービス提供や就業時における事前的改善措置や合理的配慮が適切になされているかを把握し、組織的な課題の改善を推進する「ミライロ・サーベイ」、「ミライロ・アーキテクチャー」及び「ミライロ・クリエイティブ」などのコンサルティングも実施しております。

 

② ユニバーサルマナー研修及び検定

 障害者・高齢者・LGBTQ+等の多様な人との向き合い方をユニバーサルマナーと定義し、障害のある当事者が講師となるユニバーサルマナー研修及び検定を会場開催・オンライン開催・eラーニングにより実施しております。なお、検定における資格認定については、一般社団法人日本ユニバーサルマナー協会が行っております。

 個人受講者には、ユニバーサルマナー検定(1級から3級)及び認知症、LGBTQ+対応も含めた各種研修を会場開催、オンライン開催、eラーニングにより実施しております。

 企業等の団体での受講者に対しては、同様にユニバーサルマナー研修及び検定を会場開催、オンライン開催、eラーニングにより提供するだけでなく、企業等のニーズに合わせた業界特化型のユニバーサルマナー検定や、当事者講師による講演にも対応しております。


 ③ コミュニケーションサポート

 聴覚や発話に困難のある方(以下、「聴覚障害者等」という。)に向けた情報保障サービス「ミライロ・コネクト」を提供しております。「ミライロ・コネクト」では、企業や自治体に向けた遠隔手話通訳サービス、手話リレーサービス、手話・文字通訳派遣の提供に加えて、電話リレーサービスのオペレータ業務の受託、手話通訳者を目指す方や手話を学びたい方のスキルアップをサポートする手話オンライン講座「ミライロ・コネクトClub」を行っております。


【業績等】

決算期 種別 売上高 営業利益 経常利益 純利益

2025/09 単独1Q実績 183 25 26 16

2025/09 単独会社予想 880 184 163 104

2024/09 単独実績 709 116 121 178

2023/09 単独実績 582 1 11 9


決算期 種別 EPS BPS 配当

2025/09 単独会社予想 12.01 69.02 0.00


上場時発行済株数 10,475,000株(別に潜在株式403,500株)

公開株数 2,646,300株(公募1,250,000株、売り出し1,051,200株、オーバーアロットメント345,100株)

調達資金使途 ソフトウエア開発・改修費用、人材採用・人件費、ソフトウエア利用者登録作業費、長期借入金の返済、広告宣伝費、事務所設備への設備投資


PER:22.4

PBR:

配当利回り:

公募時吸い上げ資金:7.1億

公募時時価:28億

​   

【株主構成】 以下180日

垣内俊哉 代表取締役社長 3,380,000 35.10%

民野剛郎 取締役副社長 3,360,000 34.90%

谷間真 取締役 208,000 2.16%

大阪市高速電気軌道(株) 特別利害関係者など 200,000 2.08%

住友林業(株) 特別利害関係者など 200,000 2.08%

ヤマトホールディングス(株) 特別利害関係者など 200,000 2.08%

(株)三菱UFJ銀行 取引先 192,000 1.99%

(株)エス・ケイプランニング 特別利害関係者など 157,800 1.64%

大亀雄平 元取締役 157,800 1.64%

樫野孝人 特別利害関係者など 157,800 1.64%

寺嶋正浩 特別利害関係者など 157,800 1.64%


本募集及び引受人の買取引受による売出しに関し、貸株人かつ売出人である垣内俊哉、売出人である民野剛郎、株式会社エス・ケイプランニング、大亀雄平、樫野孝人及び寺嶋正浩並びに当社株主である谷間真、大阪市高速電気軌道株式会社、住友林業株式会社、ヤマトホールディングス株式会社、株式会社三菱UFJ銀行、さくらインターネット株式会社、株式会社ゼンリンデータコム、西武鉄道株式会社、花王株式会社、京王電鉄株式会社、東京海上日動火災保険株式会社、日本生命保険相互会社、大野修一、程近智、足立光、後藤芳一、柳澤大輔、株式会社クセジュ、力石寛夫、新子明希、合同会社div、石塚邦雄、松岡宏泰、田中安人、村田博文、米倉誠一郎、米倉智子及びその他1名は、SMBC日興証券株式会社(以下「主幹事会社」という。)に対して、本募集及び引受人の買取引受による売出しにかかる元引受契約締結日に始まり、上場(売買開始)日から起算して180日目の2025年9月19日までの期間(以下「ロックアップ期間」という。)中は、主幹事会社の事前の書面による承諾を受けることなく、元引受契約締結日に自己の計算で保有する当社普通株式(潜在株式を含む。)及び当社普通株式を取得する権利を有する有価証券の発行、譲渡又は売却等を行わない旨を約束しております。

 当社株主である株式会社カヤック、三菱地所株式会社及び株式会社ペイフォワードは、主幹事会社に対して、ロックアップ期間中は、主幹事会社の事前の書面による承諾を受けることなく、元引受契約締結日に自己の計算で保有する当社普通株式及び当社普通株式を取得する権利を有する有価証券の発行、譲渡又は売却等(ただし、その売却価格が募集における発行価格又は売出しにおける売出価格の1.5倍以上であって、主幹事会社を通して行う売却等は除く。)を行わない旨を約束しております。

【代表者】

代表者名 垣内 俊哉(上場時35歳11カ月)/1989年生

本店所在地 大阪府大阪市淀川区西中島

設立年 2010年

従業員数 50人 (2024/12/31現在)(平均37.3歳、年収512.8万円)

事業内容 1.デジタル障害者手帳「ミライロID」の企画、設計、開発、提供2.ユニバーサルデザインに関する研修、リサーチ&コンサルティング3.手話通訳派遣、遠隔通訳など情報保障および手話講座の提供

URL https://www.mirairo.co.jp/

株主数 39人 (目論見書より)

代表者生年月日 1989年04月14日生まれ

代表者略歴

2010年06月 当社代表取締役社長(現任)

2013年08月 一般社団法人日本ユニバーサルマナー協会代表理事(現任)

2016年04月 一般財団法人バリアバリュー財団理事長

2022年06月 レオス・キャピタルワークス㈱社外取締役

2024年04月 SBIレオスひふみ㈱社外取締役(現任)


【幹事団】

主幹事証券 SMBC日興 - -

引受証券 三菱UFJモルガン・スタンレー - -

引受証券 みずほ - -

引受証券 SBI - -

引受証券 岩井コスモ - -

引受証券 岡三 - -

引受証券 楽天 - -

引受証券 マネックス - -

引受証券 松井 - -


【参考類似企業】今期予想PER

264A Schoo 39.8倍 (単独予想)

291A リスキル 19.8倍 (単独予想)

4014 カラダノート 14.3倍 (単独予想)

6099 エラン 15.1倍 (連結予想)

6200 インソース 20.3倍 (連結予想)

7363 ベビーカレン 22.8倍 (単独予想)

9438 エムティーアイ 22.4倍 (連結予想)

9610 ウィルソンWLW - (連結予想)


【私見】

 デジタル障害者手帳の企画等ということで、オンリーワン企業で優位性があり評価できます。デジタル障害者手帳ということだけでは、成長性の限界はありますが、関連分野で広がりはありそうな企業です。代表が自らが障害者で、証券界への車いすでの登場となると、話題性という意味では株価の期待値が大きいです。更に株主に三菱UFJ・ヤマトHD・住友林業ら大手企業から、さくらインターネット・カヤックなどIT企業からも出資を受けるなどネットワークの広さも魅力ではあります。低単価・超小型・完全ロックとセカンダリーでも追いたい銘柄です。


想定価額:255円

仮条件上限:270円

初値予想:620円

ブック申し込み度・・・強気

セカンダリー期待度・・・やや強気

総合評価:4

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