【事業内容】
「データの保護、データの利活用を追及する」をミッションとして、安心・安全なデータセキュリティを社会に提供するため、自社開発した秘密分散技術「ZENMU-AONT」を活用した「秘密分散ソリューション『ZENMU』シリーズ」の展開、及び国立研究開発法人産業技術総合研究所により開発された理論と「ZENMU-AONT」開発のノウハウを生かした「秘密計算(※2)ソリューション」(「QueryAhead」)の開発を進めております。なお、当社は情報セキュリティ事業の単一セグメントであります。
(1) 秘密分散ソリューション「ZENMU」シリーズ
従来、セキュリティで用いられる一般的な暗号化技術では、暗号化された元データを暗号鍵やパスワードで管理するため、暗号鍵やパスワードを詐取されてしまうと、情報漏洩のおそれがありました。しかも、パスワードは増え続けることで管理が難しくなり、同一のパスワードを使い回す懸念もあります。これに対して当社の「ZENMU-AONT」は、「データ自体を無意味なものとして扱う」という新しい発想のセキュリティであり、データを暗号化したうえで複数の意味のないデータに変換・分散し、分散片単独では元のデータの復元や解析をできないようにする処理(データの無意味化)を行います。データの復元には暗号鍵やパスワードによる管理ではなく、全てのデータの分散片をそろえることで復元するアルゴリズムを実現しています。暗号鍵やパスワードによる管理を必要とすることなく、データを守ることを実現しました。また、分散片の数やデータサイズを任意に設定可能であり、データサイズは最小で32バイトであるため、ネットワークやストレージに大きな負荷をかけることがなく、分散処理や復元処理の高速化が可能となっています。
当社の秘密分散ソリューションのうち主力である情報漏洩対策ソリューション「ZENMU Virtual Drive」は、シンクタンク、コンサルティングファーム、金融機関、ITベンダーなどで活用されておりますが、特定の業界や企業規模に限定されず利用することが可能です。当社ソリューションにおいては、契約先で使用されるPC端末毎にライセンスを付与することとしておりますが、ライセンスの販売形態として、①ライセンスのみを一括して販売するフロー型、②ライセンス契約と保守契約及びアプリケーションのアップデート対応が一体となったサブスクリプション契約、③ライセンス利用に係る保守単独契約の三形態があり、②③をストック型形態と位置づけております。販売経路は主に代理店を介しており、近年はライセンス数1,000件以上の大規模案件を代理店との協業により獲得していくことが多くなっております。こうしたフロー型及びストック型のビジネスモデルの概況は以下のようになっております。
当社の秘密分散ソリューション「ZENMU」シリーズの主なサービス・製品の詳細は次のとおりです。
①情報漏洩対策ソリューション「ZENMU Virtual Drive」
「ZENMU Virtual Drive」は秘密分散技術を使用したPC向けの情報漏洩対策ソリューションであり、上の図の「ZENMU for PC」」や「ZENMU Virtual Drive Enterprise Editon」の総称です。サーバー、クラウド、USB、スマートフォン、ウエアラブル端末などあらゆるデバイスに、PCに内蔵されているデータの一部を自由に分散保管し、分散片を外部で管理する仕組みとなっています。保管先も、無意味化されたデータであれば、高価なストレージである必要はないため、新規にサーバー等の追加投資をする負担が少なく、パブリッククラウドの利用も可能です。
また、PCの操作に不慣れな方にも複雑な操作を必要とすることなく快適に利用できる、ユーザビリティの高さをコンセプトに開発を進め、シンプルな画面設計で通常のPC上の操作とほぼ同様に扱えるようになっております。データを分散保管したPCと外部のデバイスとの接続時に自動で分散片をPC上でマウント(結合)し、復元されたデータにアクセス可能な状態にしています。
仮に、データの分散片が保管されているデバイスの紛失や盗難に遭ったとしても、管理者が分散片へのアクセスを停止すればデータを復元することができなくなるため、セキュリティリスクは軽減されます。データの無意味化により、分散片の一部のデータだけでは元のデータを推測することは、現実的な処理時間では不可能な状態となることから、個人情報保護委員会が規定する「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」上の「漏洩等事案に係る個人データ又は加工方法等情報について高度な暗号化等の秘匿化がされている場合」に該当する状態であり、当社では分散片の一部の漏洩は情報漏洩には該当しないものと判断しております。
従って、社外へのPCの持ち出しやリモートワーク等の際、紛失・盗難時の有効な対策になり得ると考えております。エンドポイントセキュリティ(※5)として、従業員のリモートワークなどの多様な働き方を重視し、セキュリティインシデント発生の抑制及び発生時の被害のリスクを減少したい顧客への導入が増加し、他社ブランドとしてOEM提供しているものを含め本書提出日現在約10万人の方にご利用頂いております。
さらに、オフラインでも利用でき、ネットワーク環境に影響されず、安定的なパフォーマンスを維持することができます。ネットワーク環境には依存せず、アクセスの集中時やWeb会議で通信負荷が増大した際のレスポンスの悪化や処理速度の低下といった事態は生じず、大量の処理を実行するサーバー等のリソースが不要であるため、情報セキュリティソリューションの選択肢の一つであるVDIと比較して、導入・運用に係るコストを抑えられる特徴があります。
また、顧客が必要としている時に即時に試用・提供が可能であり、顧客側においても、サーバー等の新たな固定資産の設備投資への負担が少ないため、ソフトウエア開発等の受託開発型に比して、導入までの意思決定期間を短くすることができます。
当社では、常にカスタマーサポート部門と技術開発部門が連携してサービスの改善・強化に努め、顧客から選ばれるサービスの継続を目指しております。
②秘密分散ソフトウエア開発キット「ZENMU Engine」
「ZENMU Engine」は「ZENMU-AONT」の秘密分散技術を顧客のソリューションに組み込むことができるようにするための製品(ライブラリ)であり、ソフトウエア開発キットとして提供しています。また、顧客の要望に応じて「ZENMU Engine」を組み込んだOEM商品の開発に対するコンサルティングなどの技術支援を行っております。
「ZENMU Engine」に係る課金形態として、顧客の利用目的に応じたソフトウエア開発キットのライセンス収入を得るほか、ライセンス利用に伴う保守契約を締結し、保守料を収受しております。また、OEM商品の開発に際して、コンサルティング料を収受するほか、OEM商品の収益に応じたロイヤルティを得る収益形態となっております。
<ZENMU EngineのOEM商品の事例>
a.デジタルウォレット
NFT及び暗号資産の取扱もできるデジタルウォレットの保護の要として、秘密鍵の秘匿化処理に「ZENMU Engine」の技術が採用されました。デジタルウォレットは、今後、メタバースと言われるインターネット上の3次元の仮想空間におけるサービスやNFTマーケット、暗号資産決済等、Web3サービスでは必要不可欠となるため、今後の利用拡大も期待されます。
b.防犯・監視カメラ
個人の顔が識別できる映像データは個人情報にあたりますが、秘密分散技術によって映像データを分散保管することによりセキュリティが強化され、漏洩や盗聴、窃取から守ることができ、株式会社日立システムズエンジニアリングサービスから「秘密分散フォービデオ」として提供されております。
(2) 秘密計算ソリューション
当社では、秘密分散技術を応用し、国立研究開発法人産業技術総合研究所との共同研究を基に秘密計算ソリューション「QueryAhead」を開発しました。秘密計算技術を用いることで、データを秘匿化したまま計算や通信、保存などの処理を行い、クラウドや社内サーバーなど環境を問わずに安全にデータの受け渡しや加工・分析が可能となり、データの利活用の活性化によるビジネス機会の創出、産業の活性化が期待されます。
当社では、複数の企業と連携して、秘密計算技術の開発・改良などの研究開発を進めるほか、秘密計算ソリューション「QueryAhead」を利用したサービスの事業化を目指すパートナーの開拓や委託研究の受託役務等を進めております。
(3) その他
秘密分散ソリューションおよび秘密計算ソリューションの開発・提供とは別に設立当初から行っております、シンクライアント用「Windows Embedded OSのカスタマイズ」及び「シンクライアント基盤最適化コンサルティング」を「Embedded」ソリューションとして提供しており、既存代理店の案件や導入済顧客からの追加導入やPC更新時などのリピート案件について顧客の運用に応じたコンサルティングやカスタマイズ作業などの受託役務から収益を得ております。
【業績等】
決算期 種別 売上高 営業利益 経常利益 純利益
2025/12 単独会社予想 850 112 145 159
2024/12 単独実績 648 76 84 78
2023/12 単独実績 440 46 56 72
2022/12 単独実績 232 -124 -113 -115
決算期 種別 EPS BPS 配当
2025/12 単独会社予想 126.65 - -
上場時発行済株数 1,312,800株(別に潜在株式116,400株)
公開株数 331,200株(公募240,000株、売り出し48,000株、オーバーアロットメント43,200株)
調達資金使途 人件費・人材採用費
PER:12.5
PBR:
配当利回り:
公募時吸い上げ資金:5.2億
公募時時価:21億
【株主構成】
岡積正夫 元代表取締役 145,400 12.21% 売出 40,000 180日
セグエグループ(株) 特別利害関係者など 119,800 10.06% 180日
田口善一 代表取締役社長CEO 84,000 7.06% 180日
四国電力(株) 特別利害関係者など 65,200 5.48% 売出8,000 90日・1.5倍
(株)Win4 役員らが議決権の過半数所有 63,600 5.34% 180日
(株)テクノスジャパン 特別利害関係者など 61,600 5.17% 180日
TNPスレッズオブライト投組 投資業(ファンド) 53,400 4.49% 90日・1.5倍
松倉泉 従業員 44,200 3.71% 180日
北陸電力ビジネス・インベストメント(同) 投資業(ファンド) 43,800 3.68% 180日
ミツイワ(株) 取引先 40,000 3.36% 180日
本募集並びに引受人の買取引受による売出しに関連して、売出人である岡積正夫、貸株人である田口善一及び当社株主であるセグエグループ株式会社、株式会社Win4、株式会社テクノスジャパン、松倉泉、北陸電力ビジネス・インベストメント合同会社、ミツイワ株式会社、富士通クライアントコンピューティング株式会社、林勢二、中国電力株式会社、井上雅之、國井晋平、阿部泰久、佐藤哲平、酒井茂輝は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後180日目の2025年9月22日までの期間中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社株式の売却(ただし、引受人の買取引受による売出し、オーバーアロットメントによる売出しのために当社普通株式を貸し渡すこと等を除く。)等は行わない旨合意しております。
加えて、売出人である四国電力株式会社及び当社株主であるTNPスレッズオブライト投資事業有限責任組合、イノベーション・エンジン産業創出投資事業有限責任組合、JIA1号投資事業有限責任組合、TUSキャピタル1号投資事業有限責任組合、ニッセイ・キャピタル7号投資事業有限責任組合、イノベーション・エンジンPOC投資事業有限責任組合は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後90日目の2025年6月24日までの期間中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社株式の売却(ただし、引受人の買取引受による売出し及びその価格が「第1 募集要項」の1.5倍以上であって、主幹事会社を通して行う売却は除く。)等は行わない旨合意しております。
【代表者】
代表者名 田口 善一(上場時63歳9カ月)/1961年生
本店所在地 東京都中央区銀座
設立年 2014年
従業員数 35人 (2025/01/31現在)(平均48.9歳、年収676.5万円)
事業内容 暗号技術の応用である秘密分散技術を利用したセキュリティーソリューションおよび秘密計算ソリューションの開発・販売
URL https://zenmutech.com/
株主数 66人 (目論見書より)
資本金 219,650,000円 (2025/02/21現在)
代表者生年月日 1961年05月28日生まれ
代表者略歴
1984年04月 株式会社SRA 入社
1994年05月 日本オラクル株式会社 入社
2000年09月 株式会社エコス 入社
2002年04月 株式会社サン・ジャパン 入社
2004年04月 有限会社Win4(現 株式会社Win4) 設立 代表取締役(現任)、6月:Harness有限責任事業組合(現 株式会社Harness LLP)設立 組合長
2014年03月 株式会社シンクライアント・ソリューション総合研究所(現 当社) 設立 代表取締役社長
2019年04月 当社 取締役副会長、9月:当社 取締役社長
2021年04月 当社 代表取締役社長CEO(現任)
【幹事団】
主幹事証券 岡三 - -
引受証券 SBI - -
引受証券 松井 - -
引受証券 アイザワ - -
引受証券 岩井コスモ - -
引受証券 マネックス - -
引受証券 むさし - -
【参考類似企業】今期予想PER(2/28)
3968 セグエ 21.0倍 (連結予想)
4020 ビートレンド - (単独予想)
4662 フォーカスS 11.2倍 (単独予想)
8056 BIPROGY 17.2倍 (連結予想)
【私見】
暗号技術の応用である秘密分散技術を利用したセキュリティソリューションとうことで馴染みのない言葉ですが、業種面では独自性があり楽しみな銘柄です。この技術が業績に結び付くかが焦点で、現状は厳しいかもしれませんが、上場後に官公庁や大手企業から採用されることがあれば株価も跳ね上がる可能性もありそうです。PERは高くなく、1.5倍でロックが外れるVCもそう多くないことから需給面では心配はなく、初値段階で人気になる可能性は高いです。岡三主幹事でセカンダリーで高値を追うかは検討が必要です。
想定価額:1470円
仮条件上限:1580円
初値予想:3500円
ブック申し込み度・・・強気
セカンダリー期待度・・・中立~やや強気
総合評価:4
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