2025年3月7日金曜日

IPO分析(ビジュアル・プロセッシング・ジャパン)

 【事業内容】

​ (1)事業の概要

 あらゆる企業が事業活動を行う上で必要とする媒体(Webサイト、ECサイト、SNS、カタログ、映像、出版)そしてコンテンツの制作・管理・配信を支援するDXソリューション事業を営んでおります。

 具体的には、当社設立初期からの中核技術であるDAMに係る知見とノウハウの蓄積から開発されたDXソリューション「CIERTO」を、様々な業種業態の企業・公共機関等の顧客へ提供しております。

 CIERTOは、組織内の膨大なデータ等の散逸・属人化を解消するのみならず、業務プロセスの変革による媒体・コンテンツの制作時間を削減することで生産性の向上を図るほか、多様化する各種媒体やデバイス向けに配信するコンテンツのブランディングの統一を実現し、ひいては顧客の業績向上に貢献していくことを目的としております。顧客企業の抱える課題とCIERTOによる課題解決のイメージは次のとおりであります。

 

(2)当社のビジネス領域

 自社プロダクト「CIERTO DAM」を主力とし、DAM及びその周辺領域においてDXソリューションを顧客へ提供しております。同じく自社プロダクトである「CIERTO PIM」は、DAMと連動して商品情報を管理するPIM機能を「CIERTO DAM」の拡張機能として提供するものであります。なお、「CIERTO DAM」と「CIERTO PIM」の両者を合わせて「CIERTO」というブランドで総称しております。

 その他、海外他社との販売代理店契約に基づく連携拡張サービスとして、WM(Work Management)機能を搭載した「APROOVE WM」、そしてMCP(Multi Channel Publishing)機能を搭載した「WoodWing Studio」を提供しております。


当社のビジネス領域に関する各種プロダクトの特徴は以下のとおりであります。

①DAM(Digital Asset Management)

 当社事業の主力である「CIERTO DAM」は、DAMの技術を採用しております。

DAMは、静止画、動画、音声、テキスト、3D、アニメーションなどのデジタル素材やコンテンツを一元管理するデジタル技術であります。

膨大な情報が飛び交う社会において企業内の情報も飛躍的に増大していることから、DAMは企業の販促活動を支える媒体・コンテンツの制作・管理・配信環境の生産性アップや商品・サービスのブランディングに欠かせないシステムであります。情報の一元化により、社内外の関係者によるスピーディな情報共有やフォーマットの異なる多種多様なメディアに対応するコンテンツ制作を同時並行的に進めることができます。同時に、ブランドロゴや商標のイメージ統一、著作権や肖像権等の各種権利及びブランドガイドラインの遵守によるブランドイメージの毀損防止に寄与すると考えております。

 DAMの具体的な機能は、膨大なデータを集約するだけでなく、個々のデータに様々な情報(例:著作権、使用期限、使用権限等)を付加できることのほか、アプリケーションでファイルを開かなくても、ブラウザ上でプレビューを行いながら画像・動画の変換や共有が可能であるというものです。これは、一般的なクラウド型オンラインストレージサービスと異なる機能であり、コンテンツ制作者にとって、セキュリティを確保しつつ付加価値の高いサービスであります。


②PIM(Product Information Management)

 PIMは、販促媒体・チャネルを通じたプロダクトのマーケティングと販売に必要な情報を管理するシステムであり、一般的には商品情報管理システムと称される技術であります。商品に関する規格や詳細な記述、そしてグローバルに展開するための各種情報等、販促活動に関わるあらゆる情報を管理することが可能となっております。

 当社においては、「CIERTO PIM」に当技術を採用しており、商品情報の管理機能だけでなく、商品情報の収集・配信・活用に必要なあらゆる機能が搭載されております。また、「CIERTO DAM」と連携することにより、商品情報に加えて商品の写真や動画、3Dデータ等の販促活動の効果を上げるためのリッチコンテンツをカタログ・ECサイト・Webサイト等の各種販促媒体に対して、円滑に配信することが可能になると考えております。

 インターネット通信販売企業における通販サイト構築のほか、大手通信販売企業のカタログ等の制作において、「CIERTO DAM」のオプションとして利用いただいております。


<商品情報管理機能>

 CIERTO PIMでは価格やサイズ、スペック、在庫情報などの商品情報を一元化することができます。さらに、CIERTO DAMと連携することで商品画像、紹介動画、マニュアル、カタログなどの販促活動における様々な業種業態の企業が必要とする関連コンテンツの統合管理が実現できると考えております。


<データ変換・配信機能>

 EC、Web、SNS、カタログ等の販促媒体にコンテンツを配信する場合、媒体やデバイスごとに仕様が異なるため、仕様に合わせたデータ変換が必要になります。CIERTO PIMはCIERTO DAMと連携することで、配信先ごとの仕様に合わせたフォーマットや規格にデータ変換し、商品情報を各媒体に配信します。


<外部システム連携>

 顧客ニーズに応じて、CMS(HeartCore CMS、WordPress等)、EC関連ソフトウェア(Shopify、ecbeing等)などの外部システムとCIERTO DAM|PIMとのAPI連携(顧客が契約・利用している各システムのAPI利用制限範囲内)に対応し、効率的なインテグレーションを実現可能と考えております。


③WM(Work Management)

 WMは、媒体・コンテンツの制作工程における進行及びコミュニケーションを管理し、生産性を向上させる技術であります。

当社が販売代理店契約に基づき提供するWMは、ベルギーのAproove SAが開発した「APROOVE WM」であります。欧州のグローバルなハイブランド企業から米国の大手流通企業、研究所等の政府機関等、多くの企業・団体で利用されております。「APROOVE WM」は、プロジェクト管理、オンライン校正、スケジュール管理が主な機能であり、「CIERTO DAM 」とのAPI連携により、仕掛中業務の生産性向上を実現できると考えております。

 「APROOVE WM」は、プロジェクトに関連するすべての情報を集中管理し、校正・確認・連絡・報告・承認などのプロセスは全て「APROOVE WM」にアクセスすることで可能となり、プロジェクト管理の厳格さを保ちつつ、メールや電話そしてミーティング等のコミュニケーションの多くは削減されます。

 また、「APROOVE WM」は単独でも提供することが可能となっております。ただし、当社は、基本的には「CIERTO DAM」とセットで導入することを推奨しており、これにより、媒体・コンテンツ制作工程におけるDAMソリューションとして、プロジェクト進行中データの一元管理・共有を円滑に行うことができると考えております。


④MCP(Multi Channel Publishing)

 出版媒体コンテンツの制作及び配信をワンソースでプリントメディア、Web、SNS等、複数媒体に制作・配信のコントロールを実現する技術です。

当社が販売代理店契約に基づき提供するMCPは、オランダに本社を構えるWoodWing Sdn.Bhd.が開発した「WoodWing Studio」であります。「WoodWing Studio」は出版業界向けのソリューションとして20年以上の実績を持ち、大規模なメディア企業を初めとして国内外の多くの企業に導入されております。

 出版媒体・コンテンツの制作には一般的に多くの関係者が関わり進行します。「WoodWing Studio」は全ての社内外の関係者がネットワークを介してオンライン上のマスターデータを共同編集する仕組みを提供します。ファイルの受け渡し/版管理はDAMと連動して行い、オンライン編集によるリモートワーク・在宅作業の実現と、共同編集による待ち時間・余剰作業の削減により、生産性向上とコストの削減が可能になると考えております。

 当社においては、「WoodWing Studio」を「CIERTO DAM」にAPI連携することで、新聞社や大手出版社等へオプションとして提供しております。また、「WoodWing Studio」単独でも提供することが可能となっております。ただし、当社は、基本的には「CIERTO DAM」とセットで導入することを推奨しており、これにより出版業界向けの専門的なDAMソリューションとして、出版媒体・コンテンツ等の情報の一元管理やアーカイブシステムを円滑に活用できると考えております。


(3)収益モデル

 自社プロダクト「CIERTO DAM|PIM」及び海外他社との連携拡張サービスの顧客への提供を通して様々な収益を獲得しております。収益形態は、主に月額サービス費用を頂くサブスクリプション型と、主にライセンス費用を一括払いで頂くライセンス型等に分類されます。


【業績等】

決算期 種別 売上高 営業利益 経常利益 純利益

2025/12 単独会社予想 1,356 223 223 130

2024/12 単独実績 1,208 183 184 122

2023/12 単独実績 1,056 139 140 90

2022/12 単独実績 911 109 144 74


決算期 種別 EPS BPS 配当

2025/12 単独会社予想 81.54 677.21 15.74


PER:17.5

PBR:

配当利回り:1.1%

公募時吸い上げ資金:7.0億

公募時時価:24億

​   

【株主構成】以下180日 

(株)シエルトコミュニケーションズ 役員らが議決権の過半数所有 640,000 43.66%

三村博明 代表取締役社長 280,000 19.10%

VPJ社員持株会 特別利害関係者など 248,000 16.92%

関郷 監査役 186,000 12.69%

吉川(戸籍名:高橋)美幸 取締役 26,800 1.83%

三村俊介 代表取締役の血族、従業員 20,000 1.36%

松本勝裕 取締役 8,000 0.55%

川畑耕史 執行役員 6,000 0.41%

鈴木優 執行役員 4,000 0.27%

谷本真基 執行役員 4,000 0.27%


本募集並びに引受人の買取引受による売出しに関連して、売出人である関郷及び吉川美幸(戸籍上の氏名:髙橋美幸)並びに当社株主である株式会社シエルトコミュニケーションズ、三村博明、VPJ社員持株会及び三村俊介は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後180日目の2025年9月20日までの期間(以下「ロックアップ期間」という。)中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社株式の売却(ただし、引受人の買取引受による売出し、オーバーアロットメントによる売出しのために当社普通株式を貸し渡すこと等を除く。)等は行わない旨合意しております。

【代表者】

代表者名 三村 博明(上場時68歳11カ月)/1956年生

本店所在地 東京都渋谷区恵比寿

設立年 1994年

従業員数 62人 (2025/01/31現在)(平均35.1歳、年収542.9万円)

事業内容 DAM(デジタル資産管理)を中核に、企業の事業活動における媒体{ウェブ、EC(電子商取引)、SNS(交流サイト)、カタログ、映像、出版}そしてコンテンツの制作・管理・配信を支援するDX(デジタル変革)事業

URL https://www.vpj.co.jp/

株主数 6人 (目論見書より)

資本金 35,000,000円 (2025/02/17現在)

上場時発行済株数 1,655,000株(別に潜在株式66,000株)

公開株数 486,400株(公募255,000株、売り出し168,000株、オーバーアロットメント63,400株)

調達資金使途 採用費・人件費、地代家賃、広告宣伝費用

代表者生年月日 1956年03月27日生まれ

代表者略歴

1980年04月 日本エヌ・シー・アール株式会社 入社

1983年01月 株式会社プライムコンピュータジャパン 入社

1986年10月 日本シリコングラフィックス株式会社(現 日本ヒューレット・パッカード合同会社)入社 営業本部長

1994年01月 当社設立 代表取締役社長(現任)

2009年08月 株式会社蒼天社外取締役

2013年01月 当社 代表取締役会長

2013年11月 当社 代表取締役社長(現任)

2023年11月 株式会社シエルトコミュニケーションズ設立 代表取締役(現任)


【幹事団】

主幹事証券 岡三 389,400 92.06%

引受証券 SBI 8,400 1.99%

引受証券 三菱UFJモルガン・スタンレー 8,400 1.99%

引受証券 松井 4,200 0.99%

引受証券 マネックス 4,200 0.99%

引受証券 楽天 4,200 0.99%

引受証券 岩井コスモ 4,200 0.99%


【参考類似企業】今期予想PER(2/26)

303A visumo 57.0倍 (単独予想)

4444 インフォネット 13.9倍 (連結予想)


【私見】

 人気業種のDX銘柄で、類似業種は多いもの業種評価はできる銘柄です。業種から成長性がありそうですが、直近の売上の伸びは思ったほどでなく、岡三主幹事であることからも不安要素はあります。需給からは、小型で吸収金額も小さく、VCなしの完全ロックであることからも、初値段階で人気になる可能性は高いです。セカンダリーは、需給からは良いのですが、成長性での不安があるのであっても短期的な動きでしょう。


想定価額:1430円

仮条件上限:1430円

初値予想:2200円

ブック申し込み度・・・強気

セカンダリー期待度・・・中立

総合評価:3.5

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